〈ライブレポート〉SAY-LA 東名阪ツアーのファイナル公演を取材! 進化し続けるライブとは
4月よりスタートしたSAY-LAの東名阪ワンマンツアー「東名阪SPRING ONE MAN TOUR 2023」のファイナル公演が、5月1日(月)に新宿ReNYで行われた。
観客たちを歌声と笑顔の磁力でグッと引き寄せるように、ライブは『運命マグネット』から幕を開けた。フロア中に、カラフルな光の輝きが揺れている。優しい笑みを浮かべ「好きだよ~好きだ」と歌うメンバーらの声へ向け、たくさんのエールが飛びかう、どちらがS極やN極でも構わない。熱狂という磁力で互いに惹かれあったその場には「楽しい」たけが支配する空間が生まれていた。
『I LOVE YOU』に合わせて、フロア中から熱い声が飛びかう。彼女たちの甘い歌声の告白に触れ、胸をドキドキしながら興奮を覚える人たち。互いに、片思いの恋心を交わしあうこの景色に触れていると、胸が熱くなる。続く『純愛ペスカトーレ』でも彼女たちは,「これからもずっと側にいてね」と歌いながら、この関係を、長く育み続けようと思いを投げかけていた。
SAY-LAには、片思いの告白にも似た、相手を思い、慕う歌がとても似合う。曲ごとに思いを届けられるたび、胸がキュッとしめつけられる。
「ここを東京で一番熱い場所にしましょう」の言葉から、この日に懸けるメンバーらの気合が見えてきた。
咲山しほと沙藤まなかの"しおもん"コンビが歌ったのが、『YES,肯定ペンギン』。最近、ユニット活動も始めたように、2人の絶妙なコンビネーションを、熱い視線を向けながらずっと追いかけていたくなる。サビでは、2人の大きく振りまわすタオルの動きに合わせ、フロア中でも、数多くのペンライトやタオル、腕がくるくるとまわっていた。このハートフルな一体化した景色が、2人にはとても似合う。ピョコピョコとペンギンのような様で歌い踊る姿も、愛らしかった。
本コーナーの最後を担ったのが、藤沢泉美。彼女は、ソロ曲であり、バラードの『THIS IS ME~心の泉~』を、秘めた思いを告白するように、胸に手を寄り添えながら歌っていた。フロア中に灯った真っ赤な光が、君への感謝の思いを伝える藤沢泉美の姿を、優しく支えるように揺れていた。
ふたたび7人編成で歌ったのが、『愛呼吸』。藤沢泉美の届けた、ファンたちへの感謝の思いを、彼女たちはふたたび7人で、愛の告白に変えて伝えてきた。「ありがとう」「大好きだよ」「愛してるよ」と、優しい笑みを浮かべて歌うメンバーたちの姿と思いを、フロア中の人たちが舞台に向けて大きく手を捧げながら受け止めていた。
咲山しほの「たくさんの愛を届けます」の声を合図に歌ったのが、『感情リバーシブル』。この日の彼女たち、「好き」を素直に言えない裏腹な恋心を歌った『感情リバーシブル』や、「愛おしすぎて胸が熱いよ」と歌った『胸熱アンドロメダ』のように、SAY-LAを支えてくれる一人一人の"君"に向かって、愛の告白という形を通しながら感謝の思いを伝えていた。『感情リバーシブル』の一瞬のブレイクで、星奈さなが「ごめんね」と言葉を漏らしたとたん、フロア中から萌え立つ声が沸き上がったことも伝えておきたい。
ももちももの実体験もラップに詰め込んだ『BBQマシュマロ』では、フロア中の人たちをBBQを囲む仲間に誘い入れ、7人の歌に声をかけあう様などを描きながら、共にパーティー気分を味わっていた。ももちもものラップも愛らしい。何時の間にか、メンバーも、フロア中の人たちも無邪気な笑顔だ。終盤には、メンバーがフロア中の人たちにお菓子をばらまく場面も生まれていた。
最後にSAY-LAは、これからも幻の花という夢の宝物を一緒に探しにいこうと、スカートを軽やかになびかせて『水色ラフレシア』を歌唱。「あなたとならみつけられる」と、フロア中にいる人たちへ優しい眼差しを向けて彼女たちは歌ってくれた、その姿が愛らしい。最後に7人で、舞台の上に花開いたラフレシアのポーズを見せてくれたのも印象的だった。
彼女たちは、胸の内に掲げたあの約束をけっして忘れはしない。それが何年後になろうとも、7人は、約束の武道館という舞台の上に立つ夢をけっして失くすことはない。
アンコールでSAY-LAが歌った『約束の三年目~今ここから描き出す物語~』を耳にしながら、改めて彼女たちと熱情した声を指切りの変わりに、共に日本武道館を目指そうと約束を交わしていた。描いた夢に終わりはない。もし、終わるとしたら、それは夢を信じれなくなったとき。でも彼女たちは、夢が少しでも輝きを放っている限り、その輝きに磨きをかけてきたし、今も磨き続けている。だからこそ何時か、あの場所で、共に笑顔と嬉し涙を分かち合おう。
最後にメンバーらが、この日の感想を述べてくれた。本記事では、要約してお伝えしたい。
「わたしは今年でSAY-LAに加入して5周年を迎えます。日々活動をしていると、アイドルって安定がなくて、不安定になる日もいっぱいあれば、うきうきで帰れる日もあれば、胸がキューッとなりながら帰る日もあって。そんな毎日だけど、こうして続けていれるのは、どんなときもみんなの前では笑顔でいたいと思ったり、ファンのみんなという幸せに思える存在に出会えたから、こうやって続けていれてるなって感じています。わたしがアイドルデビューしたのが新宿ReNY。この場にワンマンで帰ってこれて嬉しいです」(沙藤まなか)
「SAY-LAとしてもうすぐ5年、アイドルとしては11年やってきたんですけど。初めてアイドル人生で東名阪ワンマンツアーが出来ました。こんなに長くやっていても、まだ叶えられてない夢があって、それを叶えられたことがとても嬉しいです。ずっとやっていてもまだ叶えられてない夢がたくさんあるということは、正直悔しいけど。まだ続けていれば叶えられる可能性はあるので、ここにいるみなさんとまだ叶えられてない夢を一つずつ叶えていけたら嬉しいなと思います。私たちの夢を、みんなの夢として一緒に追いかけていける環境に感謝しながら、まだまだアイドル活動を頑張り続けます」(咲山しほ)
「わたしが卒業を決意したのも、ここにいるメンバー一人一人のおかげでもあるし、ここにいるみんなのおかげで、わたしもアイドルとしてここに立っていれてるんだなと、今、改めて実感しました。メンバーみんながSAY-LAに入って本当に良かったという声を聞けて、わたしはここまでSAY-LAで7年間頑張ってこれて本当に良かったなって、今、この瞬間に思えました。わたしは違う方面から、改めてもっと頑張っていこうと思ってるし、残された8か月も、もっともっといろんなことを頑張っていきたいです。わたしのSAY-LAとしての人生は終わってしまうけど、SAY-LAはもっともっとこれからも未来のあるグループとして続いていくので、ここからさらに大きな目標に向かって、今、ここにいるみんなと走っていけたらなと思っています。最後までみんなと一緒に、SAY-LAを一つのチームとして引っ張っていけたらなと思います」(藤沢泉美)
最後にファンたちと交わしあったのが『こじらせ片想い』。冒頭からフロア中の人たちがメンバーと同じ動きをしながら熱く沸きだした。メンバーらに向かって飛びかう絶叫した声・声・声。お馴染み、「君が好きです」「俺もー」「君が好きです」「誰よりもー」のやりとりに触れるたびに、胸熱な気持ちになる。今宵もハートの奥底で、絶対解けない絆を結びあうように、「君が好きです」「俺もー」「誰よりもー」と熱く声を交わしあっていた。
もう、この瞬間を味わえているだけで俺得な気分だと、きっとみんなも思っていたに違いない。
「東京で一番熱い場所にしましょう」懸けるメンバーの気合

友達ウェディングベルで幸せを祝福
ひと足早く夏の風を呼び込むように歌ったのが、『正統派の夏が来る』。正統派のアイドルたちが正攻法で攻める姿は、夏の日射し以上の眩しい輝きを放っていた。ジメジメした灼熱の夏ではない、7人は爽やかな夏の風を歌声に乗せて届けていた。メンバーとフロア中の人たちが、「Hey!!」のかけ声に合わせ一緒に飛び跳ねる姿は、まるで夏の野外フェスのようだった。 舞台の上で、くるくると可憐に舞い踊りながら、SAY-LAは晴れた声で『BELIEVE』を歌唱。「明日世界が終わっても~前に進もう」と、舞台の上で跳ねながら歌うメンバーらの動きに合わせ、フロアでもカラフルな光がひと際大きく揺れていた。歌に合わせ、終始沸き立つ熱い声。この日の彼女たちは、1曲ごとに甘い告白や、一緒に夢を追い続けようと思いを伝えてきた。 『LOVE DICTIONARY』でも、一人一人が、目の前の"君"に思いをしたためた手紙を届けるように「君と近づきたい」と歌っていた。ライブはまだ序盤戦。でも、ハートは破裂しそうな勢いでドクンドクンと大きな音を鳴らしていた。 次に披露したのが、ユニットメドレー。藤沢泉美とももちももが歌ったのが、適齢期の2人に似合う『友達ウェディングベル』。2人とも、めちゃめちゃ元気だ。ときめいた気持ちを「もっともっと受け止めてよ」と言わんばかりにアピール。幸せな友達を祝福するように満面の笑顔で歌うその姿も、インパクト強く胸に焼きついた。ももちももの「これからもよろしくね」の甘い歌声の矢も、しっかりとハートを貫いた。 『ボロボロ・ボロネーゼ』を歌ったのが、星奈さな、小椋妃奈乃・椎名ここの3人だ。このメンバーで、大人の悲しい恋心を歌う姿は、嬉しい意外性だった。「なんて”ひなの”」と歌う声など、物悲しいあまりに焦れる気持ちを、3人は振った相手へぶつけるように。切なさを、強さへ変えるように歌っていた。最後にはラフレシアのポーズを見せてくれた

約束の武道館という舞台の上に立つ夢

SAY-LA メンバーコメント
「地元の大阪でSAY-LAとして、わたしとしても、ワンマンライブが出来たのが嬉しかったです。みんなが、わたしがメンバーに入ったことで大阪での公演が増えたと喜んでくれたように、SAY-LAに自分が入って良かったなと思えた東名阪ツアーでした」(椎名ここ) 「自分の中でいろんなことを考えてるうちにつらくなってきちゃって。失くなっちゃうかなと思って、遠くへ飛んでいきたくもなっていたんですけど。でも、みんながライブで待っていてくれてるから、みんなのおかげでアイドルを続けられています。これからも、みんなからもらっているいっぱいの愛を、みんなに返していきます」(ももちもも) 「もうすぐ怪我の復帰から1年経ちます。みんなに日々支えられているなと感じているし、こんなにいい人たちにいっぱい応援してもらえているグループにいれることが嬉しいです。これからもみんなのことを笑顔にして、もっともっと支えられるようになりたいです」(小椋妃奈乃) 「加入した当初にわたしがSAY-LAでやりたかったのが、東名阪ワンマンツアー。それを、3年後に実現できて良かったなと思っています。わたしがアイドルでいれるのは絶対にみんなのおかげだし、本当にアイドルを続けてきて良かったなと思っています」(星奈さな)
SAY-LA「運命マグネット」MV
https://youtu.be/ZshVy1E57YA〈ライブレポート〉着実な成長を続ける「にしな」の現在地、多様な表情を見せた3度目のワンマンライブとは…

〈ライブレポート〉着実な成長を続ける「にしな」の現在地、多様な表情を見せた3度目のワンマンライブとは...
4月17日、にしながワンマンライブ『虎虎』の東京公演を中野サンプラザで開催した。この日は昨年6月にZepp Tokyoで行われた初ワンマン、4月2日に開催された『虎虎』の大阪公演に続く、にしなにとって3回目のワンマンライブ。回を重ねるごとに着実な成長を続ける彼女の現在地が伝わってくるようなライブだった。
開演時刻を過ぎてまずバンドメンバーがステージに登場し、フィードバックノイズが鳴らされるなかで にしな が姿を現すと、1月に配信リリースされた最新曲“スローモーション”からライブがスタート。ざらついたギターがかき鳴らされるアグレッシブなナンバーで幕を開け、勢いそのままに“真白”、ウィンドシンセのソロがフュージョン感を演出する“夜になって”と...
WANIMA、7月14日「Cheddar Flavor Tour 2021」ライブレポートを公開!! 10月23〜24日には横浜アリーナでもライブ開催決定…

WANIMA、7月14日「Cheddar Flavor Tour 2021」ライブレポートを公開!! 10月23〜24日には横浜アリーナでもライブ開催決定...
5月11日の広島からスタートした(本来の初日であった4月28日のZepp Tokyo公演は延期)WANIMAのツアー「Cheddar Flavor Tour 2021」。新型コロナウィルス感染拡大の影響により途中でストップしてしまった「COMINATCHA!! TOUR 2019-2020」以来、じつに1年3ヶ月ぶりに再開されたツアーである。
その間、WANIMAは『Cheddar Flavor』『Chilly Chili Sauce』と2枚のCDをリリースし、ZOZOマリンスタジアムでの無観客ライブ「COMINATCHA!! TOUR FINAL」を開催し、昨年12月には東京ガーデンシアターで有観客ライブ「Boil Down 2020」を敢行。あらゆる手段を使って、ファンに自分たちの音楽を届けてきた。『Cheddar Flavor』『Chilly Chili Sauce』と繋がってきた三部作は8月18日にリリースされる7thシングル『Chopped Grill Chicken』で完結するが、その中で生まれた新しい曲たち、そしてWANIMAが伝えようとしてきたメッセージを、直接、目の前の観客に向かって届ける――それがこのツアーだ。
21公演目となるUSEN STUDIO COAST、2デイズの2日目。椅子が並べられたライブハウスのフロアというのはいつになっても慣れないが、そこを埋め尽くしたファンの熱気が、このライブに対する期待を物語っている。そして開演時刻。SEが鳴り響くと、いきなり大きな手拍子が巻き起こった。ステージに登場してきたKENTA、KO-SHIN、FUJIの3人。全員笑顔でハイテンションだ。
「『Cheddar Flavor Tour 2021』新木場編、開催します!」。KENTAの言葉にフロアの温度はさらに上昇。その手が打ち鳴らす音のボリュームがいっそう大きくなる。「よく来たな、みんな!」。KENTAが叫ぶと、ライブは三部作最初の1曲となった「Cheddar Flavor」からスタート。立て続けに「Chilly Chili Sauce」へ。狼煙のような2曲をフロアを煽り立てながら披露すると、お客さんは手を振り、叩き、それに応える。3曲目「LIFE」を歌い終えたKENTAが手にしたマイクを高く掲げる。それは「帰ってきたぞ!」という宣言のようでもあった。
椅子があるということで、MCのときには着席を促し、しっかり言葉を伝えようとするKENTA。客席の隅々までを指差しながら語りかける。マスクはもちろんマスト、大声での歓声は禁止と、大合唱と笑顔が溢れる本来のWANIMAのライブからすればたくさんの制約があるが、そのぶん「みんなができんことは俺らに任せて! ゆっくりして帰ってください」とKENTA。その言葉どおり、この日の3人の演奏と歌には、いつにも増してエネルギーが注ぎ込まれているように見えた。
〈明日は晴れるかな〉と歌う「エル」、〈あなたの心が晴れますように…〉と歌う「雨あがり」、そして『Cheddar Flavor』から〈この旅は途中だから〉と歌う「SHADES」。ずっと歌われてきた曲も、このツアーで初めて歌われる曲も、今伝わるべきメッセージと温度をもって鳴り響く。FUJIの叩くスネアの力強さ、KO-SHINのギターの鋭さ、そしてKENTAの歌のぐいぐいと心に入り込んでくるような近さ。三部作を作ったからなのか、この状況がそうさせたのか、いずれにしてもWANIMA、明らかにパワーアップしている。
Tempalayが『Tempalay Live 2021』を中野サンプラザで開催! 緊張のライブレポートを公開。
2月26日、Tempalayが『Tempalay Live 2021』を中野サンプラザで開催した。この日はワーナー内レーベルunBORDEへの移籍発表後の初ワンマンで、ホールでの単独公演も彼らにとっては初めて。多彩な照明演出とともに、サイケデリックな空間を作り上げた。
1970年の大阪万博のテーマソングである“世界の国からこんにちは”がSEとして延々流れる中、開演予定時刻の18時を過ぎると場内が暗転。スネアのロールに導かれ、ショーの始まりを告げるかのようなファンファーレとともに幕が上がると、一曲目からクライマックス感のある“おつかれ、平成”でライブがスタートした。メロディアスな楽曲ながら、最後の轟音パートに突入すると、「Tempalayのライブに来た」という気分が高まってくる様な感覚に会場は包まれていた。
その後はアッパーな曲を連発し、“のめりこめ、震えろ。”では間奏で小原綾斗がステップを踏みながらノイズギターをかき鳴らし、“SONIC WAVE”ではコーラスパートでAAAMYYYが右手を突き上げてオーディエンスを煽り、ファンキーな“Austin Town”と続けて行く。会場が中野サンプラザということで、爆風スランプの“大きな玉ねぎの下で”が流れる中、John Natsukiがお馴染みのサンプラーを用いた挨拶をするというシュールな一幕に続いて披露されたのは、移籍第一弾として配信された“EDEN”。ミニマルなループのリズムが小気味いい前半から一転、“Seven Nation Army”のような太いギターリフとともに、豪快なロックドラムへと切り替わる曲展開は、やはりライブでの醍醐味とも言える様だった。
▼ オーディエンスをSF的な「ここではないどこか」へ
また、インストの“未知との遭遇”からシームレスに繋いだ“my name is GREENMAN”も序盤のダビーな雰囲気から途中でジャズファンクへと変化し、ラストに置かれたストロボがたかれる中での轟音パートはかなりサイケデリック。バンドのポップサイドを象徴する“どうしよう”を挟んで、ライブ中盤では“Festival”、“革命前夜”と初期の曲を続けると、ダンサブルな“新世代”でこの日最初のピークを作り上げた。
MCでは「初のホールとはいえこんな状況なので、さほどテンションは上がっていない」と飄々と語り、「今日は岡本太郎の110歳の誕生日だそうです。彼がゾンビになって歩いているかもしれません」とファンを公言する岡本太郎について話すと、こちらも初期曲の“ZOMBIE-SONG”を披露。音源ではビートボクサーのREATMOをフィーチャーしていたように、軽快なヒップホップビートが心地よく、さらにはAAAMYYYのラップとコール&レスポンスが楽しい“テレパシー”を続け、ライブ後半はよりディープなゾーンに入っていった。
ゆったりとした“深海より”からモンドな雰囲気の“カンガルーも考えている”へと続き、ラストの轟音が鳴り響くと、そのまま続編とも言うべき新曲の“フクロネズミも考えていた”へ。この曲はTempalayとしては初めてのAAAMYYYとJohn Natsukiによる共作曲で、“カンガルーも考えている”のムードを引き継ぎつつ、変調されたピアノやシーケンスでバンドの新たな一面を示している。二胡の旋律に導かれる“大東京万博”はすでにクラシックの風格を持ち、オーディエンスをSF的な「ここではないどこか」へと連れ去ったと言える様子だった。
▼ 平熱と恍惚が波のように繰り返される世界感
なお、最後のMCではアルバムのリリースとそれに伴う全国ツアーの告知をしながら、「『重大発表』はいつもこんな感じで、解散とか休止はないので騙されないでください」「アンコールほどいかがわしいものはない。大体物販のTシャツを着て出てくる」と、最後まで飄々と話し、「初ホールと岡本太郎に感謝。ありがとうございました」と挨拶した。
おどろおどろしさの中の美しさが際立つ“美しい”と“そなちね”を続け、最後は“Last Dance”で文字通りの芸術的爆発を見せると、ギターのフィードバックノイズが鳴り響く中でライブは終了。平熱と恍惚が波のように繰り返されるこの世界から、簡単には抜け出せそうにない。
「セットリスト」
01.おつかれ、平成
02.のめりこめ、震えろ。
03.SONIC WAVE
04.Austin Town
05.EDEN
06.未知との遭遇〜my name is GREENMAN
07.どうしよう
08.Festival
09.革命前夜
10.新世代
11.ZOMBIE-SONG
12.テレパシー
13.深海より
14.カンガルーも考えている
15.フクロネズミも考えていた
16.大東京万博
17.美しい
18.そなちね
19.Last Dance
クレジット
文 :金子厚武
写真:鳥居洋介
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メディア運営:Evening Music Records Inc.