TikTokでヒットする音楽の特徴とは?ティックトックを活用した効果的な音楽マーケティングの成功例を紹介
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TikTokでヒットする音楽の特徴とは?ティックトックを活用した効果的な音楽マーケティングの成功例を紹介
近年の音楽界ではTikTokを通じたヒットが広く見られるようになり、多くのアーティストが日々その効果的な活用を迫られています。TikTok上で起こるバズはアルゴリズムによる影響が大きく予測が困難であるとされていますが、一方でこれまでヒットした楽曲にはいくつかの共通要素が存在します。
本記事では近年TikTokでヒットした楽曲を複数取り上げ、何がヒットに繋がったのかを分析します。本記事を読むことで、TikTokを通じた効果的な音楽マーケティングの方法について学ぶことができます...
TikTok音楽マーケティングの成功法とは? TikTokで有名になるためのポイントを解説!
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TikTok音楽マーケティングの成功法とは? TikTokで有名になるためのポイントを解説!
この記事では、TikTokと音楽の相性の良さやTikTokで売れる人の条件、TikTokでバズるための音楽マーケティングについて詳しく解説します。
また、TikTokで有名になったアーティストや曲の事例もご紹介します。
TikTokの力を最大限に活用し、音楽業界で成功したい方やTikTokを活用したいマーケティング担当者にとって、この記事を読むことで具体的な手法や戦略を身につけることができます。
TikTokと音楽の相性は抜群!その理由とは?
TikTokは、短いビデオ形式でクリエイティブなコンテンツを発信できるプラットフォームです。音楽とビジュアルがシンクロすることで、視聴者に強い印象を与えることができます。
さらに、TikTokは音楽に合わせて踊るという特徴もあり...
「Ado」というブランドが人気の理由とは… アーティストの効果的なマーケティング方法について考察する
音楽マーケティングといわれて何か思い浮かべることができるだろうか。
音楽は芸術品であるととらえたい人にとっては耳の痛い話かもしれないが、現代音楽にはビジネス的な側面があることはどうしても拭い切れない。音楽マーケティングの根幹はアーティストのブランディングにあると考える。
今回は音楽マーケティングの成功例を追っていき、なぜそれが成功したのかを考察していこう。
女性アーティスト「Ado」とは
音楽マーケティングすなわち、アーティストのブランディングの成功例として、今や老若男女誰もが知っているであろう女性アーティスト「Ado」について述べていこう。「Ado」は代表曲「うっせぇわ」がTikTokで大流行を呼んだことで一躍有名になったのだが、なぜ彼女はそれをブームで終わらせず人気を集め続けているのだろうか...。 もちろん「Ado」本人の並外れた歌唱力や楽曲の独創性が認められ、人気を集めていることは確かなことである。しかし、それ以上に彼女が元歌い手の現役高校生シンガーであるという売り出し方が人気の要因となっていると考える。 なぜ現役高校生シンガーという売り出し方が効果的であったのだろうか。それは「Ado」の並外れた歌唱力と相反するような普通の高校生というイメージを作ることで、その意外性が話題を呼んだからである。 実際に彼女がラジオなどに登場するとリスナーがその意外性に興味を示しているようなコメントをよく目にする。彼女本来のかわいらしさが、どこか応援したくなる雰囲気を醸し出しているのだろう。さらに言えば、普通の女子高生が一躍歌姫へと変身する、そんなシンデレラストーリーをリスナーが意図せずとも望んだ結果、これほどまでに注目されるアーティストになったのだろう。1st Album『狂言』
— Ado (@ado1024imokenp) October 23, 2021
2022年1月26日に発売決定しました。
ジャケットはORIHARAさん @ewkkyorhr です。
そして本日より各店舗にて予約もスタートしました。
詳しくはアルバム特設サイトをご覧下さい……https://t.co/K5LfkkTDct#Ado #Ado狂言 #Adobum pic.twitter.com/V3lczGcv80
元歌い手の現役高校生というブランディング
また元歌い手であり、現在も歌ってみた動画を投稿していることも彼女がファンを拡大できた大きな理由の一つと言える。 TikTokなどのおかげもあってかVOCALOIDとPOPSの垣根は今でこそ低くなりつつあるものの、やはりまだVOCALOIDはサブカルチャー的であるというイメージが拭い切れていないように思う。そのため両者のファン層の違いは確かに存在する。人気の拡大には異なるジャンルからファンを集めることが少なからず必要になるだろう。そんな中で「Ado」はVOCALOIDの歌ってみた動画をアップし続けることで、VOCALOIDのファンを味方につけることに成功したのだ。 また、「Ado」の楽曲には有名VOCALOIDプロデューサーが作詞、作曲を手掛けているものも多くある。例えば「踊」という楽曲では「ヒバナ」や「乙女解剖」などで有名なDECO*27が作詞を担当している。これもVOCALOIDファンを味方につけた理由の一つといえる。ファン層の違うジャンルのファンを引き込むことで爆発的な人気を実現したのだろう。これもすべて「Ado」の歌い手という一面を捨てることなく守り続けた結果である。 このように「Ado」は自分を元歌い手の現役高校生とブランディングすることができたので確固たる人気を手に入れたのだ。 あるアーティストがただ歌唱力や曲のキャッチーさが評価されて人気になるというのは容易なことではない。インターネット技術の発展でインディーズやメジャー、個人に関係なく、アーティストや楽曲自体の魅力が正当に評価される時代になっている。しかし、いやだからこそ、その中に埋もれないためにはアーティストが戦略的に自分自身をブランディングするということが、音楽マーケティングということにおいては重要になるだろう。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.音楽マーケティングにおけるSNS活用の重要性とは… TikTokとTwitterの重要性を考察してみた。
今や私たちの生活に欠かせないものとなったソーシャルネットワークサービス(SNS)。
2020年時点で、人口1億2,000万人に対し、Twitterの国内月間アクティブユーザー数は4,500万人以上、インスタグラムは3,300万人以上と大きな広がりを見せている。
そんなSNSは今や音楽を広める手段としても欠かせないものとなっている。
マーケティングの「商品(音楽)が愛される仕組みをつくる」という目標を叶えるためにSNSができることは何だろう。今回は、音楽プロモーションにおいてとくに強い影響力があると思われるtiktokとTwitterの2つのメディアに焦点を当て、その音楽とのかかわりについて見ていきたいと思う。
▼ TikTokとTwitter
▼ TikTok:
いまやtiktokはヒット曲が生まれる場になったといえる。見ているだけで自動的に音楽が流れるため、まるでCMのように音楽そのものをダイレクトに届けられるということがメディアとしての特徴である。
では、TikTokの音楽マーケティングにおける役割とは何だろうか。
① 音楽の無関心層へのアプローチ
Tiktokは基本的に動画視聴アプリであるため、tiktokを見ている人は音楽を聴くことを目的としているわけではない。動画の背景に勝手に音楽が流れるため、動画を見れば自然と音楽を取り込むことになる。流行りの音楽に関心がない人、サブスクリプションサービスに登録していないため音楽を聴く手段を持たない人等にも動画視聴を通じて楽曲を広めることができるのだ。
② 特定の世代に向けたアプローチ
SNSの中でもTikTokは特に利用者の年齢の偏りが大きいプラットフォームである。TikTokの利用者の約7割は10代20代の若者であるというデータがある。若い世代をターゲットにした音楽は、TikTokというプラットフォームを使用する事で効果的に売り出す事ができる。年齢という観点から、音楽を届けたい層に届ける事ができるのだ。
▼ Twitter:
Twitterも、メディアの性質上tiktokほど音楽と密接にかかわっているわけではないが音楽プロモーションにおいて重要な役割を果たしている。
では、Twitterが果たす役割とはどのようなものなのだろう。
① ファンの力を使った宣伝
音楽に限った話ではないが、公式Twitterが「新曲に関する情報は#●●でツイートしてね」等と#を指定して呼びかけることがある。ファンはその#を通じて自分の意見を発信するのだが、これがらアーティストや楽曲の宣伝につながるのだ。
ファンとSNSを使って双方向のやりとりをすることが大切だと言える。またファンは、他の人の感想を読んだりすることを通じて同じアーティストを応援することで大勢の人と繋がっている感覚を得ることができる。これがファン同士の結束を高め、応援するモチベーションを高めるためにも大きな役割を果たすといえる。
② アーティストの音楽以外の魅力発信
アーティストの公式Twitterが発信する情報はおおきく分けて二つある。一つはCDリリースやライブ開催等の音楽活動に関する情報、もう一つはアーティスト自身のプライベートな思いや呟きである。このプライベートな呟きが、ファンにアーティストの音楽だけでなくその人となりを好きになってもらうために重要だと言える。アーティストを人として好きになることで、今まで音楽をダウンロードして聴くだけだったファンがライブに足を運んだり、グッズや書籍を購入するようになる、という可能性は充分あるだろう。Twitterを通じて音楽以外の発信をしていくことは熱心なファンを獲得するための重要な手段である。
▼ まとめ
今回は、SNSを活用した音楽マーケティングについて、2つのメディアの果たす役割を見てきた。
これから益々SNSでの音楽プロモーションは激化していくと考えられる。
楽曲を効果的に広める方法を見極める一方、楽曲そのもの以外の面からも効果的な手段を模索していくことがSNSを通じた音楽マーケティングにおいて需要になっていくだろう。
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メディア運営:Evening Music Records Inc.
音楽業界におけるアーティストのマーケティングとは。成功例と失敗例について考察すると…
良い音楽を世間に届けファンベースを形成していくためには、マーケティングの力が必要不可欠である。
音楽に限らずコンテンツの消費のスピードが非常に速いといえる現代において、楽曲そのものの良さだけを打ち出して勝負するのはかなり無謀だといえるかもしれない。ではどのようなマーケティングがアーティストの成功につながるのだろうか。
良いマーケティング、悪いマーケティングとは一体何なのだろう。音楽業界におけるマーケティングの成功事例、失敗事例について見ていきたい。
▼ 成功事例は...
成功事例として、キャッチフレーズ、コンセプトワードをつけた例を挙げたいと思う。
・AKB48 「会いに行けるアイドル」
・いきものがかり 「泣き笑いせつなポップ三人組」
・Official髭男dism 「聴き手の人生とタイアップ」
・YOASOBI 「小説を音楽にするユニット」
AKB48:
「会いに行けるアイドル」握手会に重きを置くという戦略をよく表したキャッチフレーズだといえる。このキャッチフレーズによって、ファンはAKB48の楽曲を楽しむだけではなくメンバーを身近な存在としてとらえて応援することを楽しめるのだという1つの指標を与えているのだと言える。
いきものがかり:
「泣き笑いせつなポップ三人組」いきものがかりが送り出してきた楽曲の良さを、彼らの雰囲気に合った優し気な言葉でふんわりとまとめる秀逸なフレーズである。「泣き笑い」という言葉から、彼らの楽曲が聴き手やシチュエーションを選ばない振れ幅の広いものだという事をアピールしていると言える。
Official髭男dism:
「聴き手の人生とタイアップ」Official髭男dismのアルバムを通して聴いてみると、特徴的なバンド名とは裏腹に現実とかけ離れたようなファンタジーの世界ではなく、日常生活における身近なコンテンツに寄り添った普遍的な楽曲が多いことが分かる。多くの人の人生とタイアップするためには楽曲の普遍性が重要であることは明らかであり、彼らの音楽の特徴を表す決定的なフレーズだと言える。
YOASOBI:
「小説を音楽にするユニット」YOASOBI結成当時から定められていたコンセプトである。YOASOBIの楽曲が魅力的であるのはもちろんであるが、その楽曲に「小説を基にしている」という付加価値がつくことでさらに聴き手の興味を引いていると考えられる。このフレーズが比較的普遍的なテーマが多いYOASOBIの楽曲を他のアーティストの曲から差別化していると言える。
▼ 失敗事例は...
では反対にマーケティングの失敗といえることとなってしまった事例はあるだろうか...。
個人的な意見になってしまうが、2010年代に見られた「ギタ女ブーム」に合わせて女性シンガーソングライターを売り出すという方法は、一時的な効果に終わってしまったという印象を受ける。当時「ギタ女」として注目を浴びていたアーティストの中で、ここ最近もヒット曲と呼べる曲をリリースできている人はかなり少ないのではと感じる。
では、ギタ女ブームにあやかったマーケティングが失敗に終わった理由はどこにあるのだろうか。
それは「ギタ女」である以外のアイデンティティを表現することができなかったからだと考えられる。他の「ギタ女」ではなくそのアーティストでなくてはいけない理由や、独自性をアピールすることができずにブームと共に消えていったというこの事例は、マーケティングの失敗例と言える。
▼ まとめ
音楽業界におけるマーケティングの成功例と失敗例を見てきた。成功例のポイントとしては、アーティストにぴったりのキャッチコピーをつけることで「そのアーティストが提供できるもの」の方向性をきちんと定め、聴き手に提示したことである。全く知らない難解なものに誰も興味を抱かない。ある程度のわかりやすい表現で他との差別化を図ったために功を成したと考えられる。
インターネットメディアが急速に成長している時代に、マーケティングも多様化し、更なる可能性を秘めたものになってゆくだろう。その中でも、マーケティング成功の秘訣として変わらないものは確かにあると考える。
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世界を熱狂させる「K-POP」を支える戦略的なマーケティングとは
音楽業界はSNSの普及やデジタルの発展によって年々複雑さが増している中、ユニークで新しい発想を取り入れたプロモーションが世界各地で行われ、マーケティングがより重要な役割を果たすようになった。
特に、K-POPは巧みなマーケティング戦略で世界に市場を拡大していることで有名である。韓国関税庁によると、音楽関連の韓国で生産されたCDとDVDの輸出額は、2020年の1~11月に約180億と前年同期比で95%増となった。日本国内の音楽市場においても「NiziU」や「JO1」といった日本版K-POPグループが参入するなど、KPOPという音楽のエンターテイメント・コンテンツは大きな輸出産業として世界中で認知され、大きな成果を生んでいる。
本稿では、そんなK-POPのマーケティングについて成功事例を2つ取り上げたい。1点目としては「世界進出志向の明確なターゲティングと計画的な戦略」による成功事例を、2点目としては「顧客への高関与ルートの構築」による成功事例を紹介していきたい。
▼ 1. 世界市場志向の明確なターゲティングと計画的な戦略による成功事例
世界市場志向のメンバー選定やコンセプト設計:
韓国の音楽ビジネスは、以前から日本と比較して国内市場が小さかったため、海外マーケットに市場を拡大する必要があった。そのため、最初のメンバー選定やコンセプト設計の段階から国内市場ではなく、グローバル市場を目指している。例えば、「BLACKPINK」は、アメリカのHIP HOP的な格好良さを求める若者向けのコンセプトが設定され、楽曲もラップやクールな曲調が多い。さらに、メンバー構成もタイ出身や韓国系オーストラリア人など多様性やグローバル色が際立っている。
非言語コミュニケーションの高いスキル:
また、非言語コミュニケーションである高いダンススキルやハイクオリティーなMV(Music Video)によって、非韓国語圏の人々でも視覚的に楽しめる工夫が施されている。K-POPのMVは色鮮やかなセットが特徴的で、何年もかけて物語が展開され、小さな仕掛けが散りばめられているため、新曲のMVが公開されるたびに伏線の謎を考察するのがK-POPのMVの醍醐味になっている。
鋭い戦略眼:
さらに、注目すべきはスマートフォンが普及したタイミングで、SNS事業を展開し始めていたという事実である。「BTS」が所属するBig Hit Entertainment(現HYBE)は、YouTubeが海外で認知され始めたタイミングで、SNSの普及によって多くの人が孤立する時代がくることを予測し、人々の寂しさに寄り添える環境を作ることを目指した。その手段としてSNSの公式アカウントを開設したのだ。音楽ビジネスを、“音楽を創っている産業” という「マーケティング近視眼」で捉えるのではなく、長期的な視野で事業を展開し、SNSを通じて世界にパフォーマンスを発信したことが現在のKPOPの人気に繋がったと考えられる。
▼ 2. 顧客への高関与ルートの構築による成功事例
2020年、日本国内で話題を呼んだ『Nizi Project』:
ここではデビューを決定づけるオーディション番組、そしてS N Sの更新頻度に注目した。2020年1月から放送された、韓国の大手音楽事務所JYPエンターテインメントとソニーミュージックによるオーディションプロジェクト『Nizi Project』は、国内でも大きな話題を呼んだ。プロデューサー J.Y. Parkの指導方針やキャラクターも人気を集め、同番組から誕生したグループNiziUのプレデビュー曲『Make you happy』は、オリコン週間デジタルランキングで初登場1位を獲得した。
誰もが自分の「推し」に出会い、応援できる『PRODUCE 101』:
さらに、2016年に韓国で始まったオーディション番組『PRODUCE 101』では、101人の練習生の中から視聴者が「国民プロデューサー」として自分の「推し」に投票し、11人に絞りこまれるオーディション形式が話題を集めた。このプロデュースシリーズは、日本や中国などにも輸出され、JO1をはじめ新たな次世代アイドルグループが次々と誕生している。オーディション番組を通じて、視聴者は練習生が驚きの才能を開花させる瞬間や成長する瞬間に立ち会うことができ、自ずと練習生の人間性に惹かれていく。つまり、オーディション番組を用いたプロデュース方法によって消費者の製品関与を効果的に高めることができたのだ。
ファンの日常を彩るSNS:
さらに、デビューを果たしたグループの多くは、SNSを活用したクロスメディア・マーケティングを通して、ファンと親密に交流するのだ。アーティストが日常やオフの姿を投稿したり、ファンの投稿にリプライを直接返したりすることで、アーティストとファンの障壁が薄くなり、ファンは日常的にアーティストに関与することになる。また、従来のSNSにとどまらず、BTSは「Weverse」を、SMエンターテイメントに所属するアーティストは「Lysn」というコミュニティ・アプリを活用して、世界中のファンに「親しみやすさ」を伝えている。これらの結果としてファンのエンゲージメントが日々高まり、コア顧客を獲得していくことに成功したのだ。
最後に...
今回取り上げた事例以外にも、K-POPはユニークで奇想天外な発想のマーケティング手法を用いて、世界を魅了し続けている。K-POPのコンテンツを楽しみながら、どのような仕掛けがあるのかを少し考えてみるだけでも新たな発見があるかも知れない。K-POP界では今後も新たなオーディション番組が控えており、世界的なアーティストを世の中に生み出していくだろう。
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メディア運営:Evening Music Records Inc.
なぜAKB48は成功し、乃木坂46に抜かれたのか?マーケティングでの考察
過去から現在に至るまで、音楽業界では様々な形でマーケティングが行われてきた。
もちろん、全てが成功した訳ではなく、失敗したマーケティングも存在するだろう。本記事では、その中でも成功と失敗の両方を経験している「AKB48」について述べていく。
AKB48と聞くと、成功した印象の方が強いかもしれない。しかし、現在では乃木坂46に人気を凌駕されている。(秋元康氏が両チームともプロデュースしている関係で成功と呼べるかもしれないが、「AKB48にとっては」失敗しているという観点で記述している。)この人気の入れ替わりは、偶然ではなく、マーケティングの失敗によるものでもあるだろう。したがって、AKB48に成功面・失敗面、両方の側面からアプローチしていきたい。
▼ マーケティングの成功例
(1)競争市場の導入
AKB48と聞いて最初に浮かぶワードはなんだろうか。握手会、総選挙、神7…様々な単語が想起されるのではないかと思う。そして、今あげた三単語に共通しているのが「競争」という概念である。AKB48は常に変革を求め、メンバー同士で争わせることを是としてきた。
競争はメンバー自身の意識を高める効果を果たし、(3)で後述する物語の構築にも一役買ってきた。競争となると、知らず知らずの内に白熱し、予定以上にお金を使ってしまう…そんなことも起こり得るのである。
(2)コンセプトの明確化
「会いに行けるアイドル」。今となっては当たり前のように思えるAKB48を表すこの言葉だが、AKB48が結成された当時ではあり得ないことであった。アイドルとはテレビの中の存在で、易々と会いに行ける存在ではなかったからである。AKB48はこのコンセプトを大々的に発表することで自身の存在意義を明確に世間に示してきた。つまり、コンセプトだけで差別化に成功したのである。この当時は珍しかった会いに行けるアイドルであるが、今ではむしろ会いに行けるのがアイドルである。(そのため、気軽に会いにいけないことが付加価値となることさえある。)
AKB48はキャッチーでわかりやすいこのコンセプトを示すことで、マーケティングにおける差別化に成功したのである。
(3)物語ビジネスの構築
「物語ビジネス」という単語を聞いたことはあるだろうか。これは、ジャンプ等の少年漫画でよく語られるマーケティング手法である。主にジャンプでは、作品内に「友情・努力・勝利」の三要素が含まれていることが多い。それと同じように、AKB48では、「越境、危機、成長、勝利」という山川悟氏の『事例でわかる物語マーケティング』に則ったイベントが数々開催されてきた。
例えば...
越境: AKB48のオーディションに合格する
危機:「組閣」制度により、慣れ親しんだチームが解散する
成長: 新たなチームの中で評価される
勝利: チーム内で序列をあげ、総選挙で上位にランクインし、選抜メンバーに選ばれる
※ 「組閣」制度とは、AKB48内に結成されたチームのメンバーがシャッフルされ、新たなチームが発表されるイベントのことである。まさに内閣の組閣を想像していただければ良いのではないだろうか。
上記の様なことが日常的に起こり得るのである。これによって、必然的に各メンバーに物語が発生し、自然発生的に物語ビジネスが構築され得るのである。
▼ マーケティングの失敗例
(1)競争市場の不透明さ
競争市場を構築する上で大事になるのが、透明性である。実際の市場でも、情報の非対称性が存在すると正しく取引ができないように、いちアイドルが構築した市場といえど、完全競争になるべく近づけることは欠かせない。しかし、AKB48で行われた競争が完全に透明であったかというとそうではない。運営とファンとでは情報量に差があるのだから、ある程度の情報は開示されて然るべきであるが、ファンの間で納得されていない競争結果が幾つか存在する。特に、シングル表題曲の選抜メンバーの選び方は数字に依拠するものでない以上、透明性が欠けてしまうのであるが、競争市場を構築したことによってそれが反感を買うことになってしまった。
(2)巨大組織故の管理不足
AKB48は、100人以上のメンバーを要する巨大グループである。また、坂道グループとは異なり、全メンバーが同じ事務所に所属している訳ではないため、統制が取りにくいのである。したがって、恋愛等のスキャンダルや、メンバー個人がネット上で炎上にさらされることが多い。これは、巨大組織の抱える問題であるが、アイドルという職業である以上、批判を免れることはできない。したがって、これはマーケティングにおける失敗と言えるだろう。
(3)物語ビジネスの落とし穴
物語ビジネスは、物語が自然発生することによって行われてきた、と成功例(3)で記述した。しかし、自然発生するからこその落とし穴が存在する。前述した週刊少年ジャンプであれば、物語を動かすのはその作品の作者であるため、物語の行方を自分で決定することができる。しかし、AKB48は自然発生する物語に自身のビジネスを委ねてきた。そうなると、思わぬ方向の物語が始まることがあるのだ。運営側がある程度までしか物語の舵を切ることができないというのは、物語ビジネスの魅力であり、欠点ともなり得る。(2)と共通する部分でもあるが、ビジネスの全決定を人が調整することが難しい形式のビジネスモデルを構築してしまったことは、マーケティングの失敗と言えるだろう。
以上、AKB48をマーケティングの視点から分析してきた。
現在から振り返ることで失敗・成功両面の原因・理由を考察することができるが、未来がどうなるかわからない段階で物事を決定するのは非常に大変なことであろう。しかし、なるべく失敗しないような、また、失敗してもリカバリーが効くようなマーケティングを行うために過去の成功例・失敗例は分析すべきなのだ。読者の皆さんにとって、これが現在を考えるきっかけとなれば、筆者にとって僥倖である。
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メディア運営:Evening Music Records Inc.