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世界を熱狂させる「K-POP」を支える戦略的なマーケティングとは
EVENING編集部
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最終更新日:2024年1月15日
音楽業界はSNSの普及やデジタルの発展によって年々複雑さが増している中、ユニークで新しい発想を取り入れたプロモーションが世界各地で行われ、マーケティングがより重要な役割を果たすようになった。
特に、K-POPは巧みなマーケティング戦略で世界に市場を拡大していることで有名である。韓国関税庁によると、音楽関連の韓国で生産されたCDとDVDの輸出額は、2020年の1~11月に約180億と前年同期比で95%増となった。日本国内の音楽市場においても「NiziU」や「JO1」といった日本版K-POPグループが参入するなど、KPOPという音楽のエンターテイメント・コンテンツは大きな輸出産業として世界中で認知され、大きな成果を生んでいる。
本稿では、そんなK-POPのマーケティングについて成功事例を2つ取り上げたい。1点目としては「世界進出志向の明確なターゲティングと計画的な戦略」による成功事例を、2点目としては「顧客への高関与ルートの構築」による成功事例を紹介していきたい。
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1. 世界市場志向の明確なターゲティングと計画的な戦略による成功事例
世界市場志向のメンバー選定やコンセプト設計
韓国の音楽ビジネスは、以前から日本と比較して国内市場が小さかったため、海外マーケットに市場を拡大する必要があった。そのため、最初のメンバー選定やコンセプト設計の段階から国内市場ではなく、グローバル市場を目指している。例えば、「BLACKPINK」は、アメリカのHIP HOP的な格好良さを求める若者向けのコンセプトが設定され、楽曲もラップやクールな曲調が多い。さらに、メンバー構成もタイ出身や韓国系オーストラリア人など多様性やグローバル色が際立っている。
非言語コミュニケーションの高いスキル
また、非言語コミュニケーションである高いダンススキルやハイクオリティーなMV(Music Video)によって、非韓国語圏の人々でも視覚的に楽しめる工夫が施されている。K-POPのMVは色鮮やかなセットが特徴的で、何年もかけて物語が展開され、小さな仕掛けが散りばめられているため、新曲のMVが公開されるたびに伏線の謎を考察するのがK-POPのMVの醍醐味になっている。
鋭い戦略眼
さらに、注目すべきはスマートフォンが普及したタイミングで、SNS事業を展開し始めていたという事実である。「BTS」が所属するBig Hit Entertainment(現HYBE)は、YouTubeが海外で認知され始めたタイミングで、SNSの普及によって多くの人が孤立する時代がくることを予測し、人々の寂しさに寄り添える環境を作ることを目指した。その手段としてSNSの公式アカウントを開設したのだ。音楽ビジネスを、“音楽を創っている産業” という「マーケティング近視眼」で捉えるのではなく、長期的な視野で事業を展開し、SNSを通じて世界にパフォーマンスを発信したことが現在のKPOPの人気に繋がったと考えられる。
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2. 顧客への高関与ルートの構築による成功事例
2020年、日本国内で話題を呼んだ『Nizi Project』
ここではデビューを決定づけるオーディション番組、そしてS N Sの更新頻度に注目した。2020年1月から放送された、韓国の大手音楽事務所JYPエンターテインメントとソニーミュージックによるオーディションプロジェクト『Nizi Project』は、国内でも大きな話題を呼んだ。プロデューサー J.Y. Parkの指導方針やキャラクターも人気を集め、同番組から誕生したグループNiziUのプレデビュー曲『Make you happy』は、オリコン週間デジタルランキングで初登場1位を獲得した。
誰もが自分の「推し」に出会い、応援できる『PRODUCE 101』
さらに、2016年に韓国で始まったオーディション番組『PRODUCE 101』では、101人の練習生の中から視聴者が「国民プロデューサー」として自分の「推し」に投票し、11人に絞りこまれるオーディション形式が話題を集めた。このプロデュースシリーズは、日本や中国などにも輸出され、JO1をはじめ新たな次世代アイドルグループが次々と誕生している。オーディション番組を通じて、視聴者は練習生が驚きの才能を開花させる瞬間や成長する瞬間に立ち会うことができ、自ずと練習生の人間性に惹かれていく。つまり、オーディション番組を用いたプロデュース方法によって消費者の製品関与を効果的に高めることができたのだ。
ファンの日常を彩るSNS
さらに、デビューを果たしたグループの多くは、SNSを活用したクロスメディア・マーケティングを通して、ファンと親密に交流するのだ。アーティストが日常やオフの姿を投稿したり、ファンの投稿にリプライを直接返したりすることで、アーティストとファンの障壁が薄くなり、ファンは日常的にアーティストに関与することになる。また、従来のSNSにとどまらず、BTSは「Weverse」を、SMエンターテイメントに所属するアーティストは「Lysn」というコミュニティ・アプリを活用して、世界中のファンに「親しみやすさ」を伝えている。これらの結果としてファンのエンゲージメントが日々高まり、コア顧客を獲得していくことに成功したのだ。
まとめ
今回取り上げた事例以外にも、K-POPはユニークで奇想天外な発想のマーケティング手法を用いて、世界を魅了し続けている。K-POPのコンテンツを楽しみながら、どのような仕掛けがあるのかを少し考えてみるだけでも新たな発見があるかも知れない。K-POP界では今後も新たなオーディション番組が控えており、世界的なアーティストを世の中に生み出していくだろう。
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