Author: 早川 雅

Apple Musicなどの音楽配信サービスがもたらした『音楽のインスタント化』とは…
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Apple Musicなどの音楽配信サービスがもたらした『音楽のインスタント化』とは…

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最近に始まったことではないが、音楽のサブスクリプションサービス、つまり音楽配信サービスは人々の生活の一部になりつつある。 現在の日本における音楽配信サービスの使用者数は2000万人を突破している。音楽業界の舞台はライブやCDではなく、もうすでにインターネットを介した音楽配信に移行してるのかもしれない。このことは音楽業界の市場に対し、どのような影響を及ぼしているのだろうか。 まずは音楽配信サービスの普及によるメリットについて考えてみる。わかりやすいメリットとして、多くの人々が低価格で何千何百万曲もの楽曲を自由に楽しむことができるようになることである。Apple Musicを例にとると、現在、海外アーティストも含めて9000万曲以上もの楽曲が配信されている。これほど多くの楽曲を好きな時に好きなだけ定額で楽しむことができる音楽配信サービスはやはり画期的なものであると言うことができる。

『音楽のインスタント化』とは

また、アーティストにとっても楽曲を聴くことに対するハードルを下げることができるというのは大きなメリットとなる。どれだけ聴いても定額の音楽配信サービスがあるからこそ、テレビCMやTikTokなどで耳にした曲をすぐに聴くことができ、アーティストの新規ファン獲得につながっているのだろう。このように価格的、アクセス的に、音楽を聴くことが身近になることはアーティストとリスナーどちらに対してもメリットであると言える。 次に音楽配信サービスのデメリットについて考えてみよう。わかりやすいデメリットとしてはやはり、アーティストの還元率が挙げられる。Apple Musicの場合は1再生1.5円であると発表されている。この金額は一見低いものに見えるかもしれないが、他の音楽配信サービスと比較すれば高く設定されている。 しかし、ただでさえライブ離れが進み、私たちがアーティストに直接還元する機会が少なくなっている現在の音楽市場において、この数字は厳しいものであろう。音楽を聴くことが身近になりすぎたゆえに音楽というものの価値自体が正しく見積もられていないように思う。音楽は大金や長い時間をかけるものではないという認識が広がりつつある。『音楽のインスタント化』である。このような状況下だからこそ、アーティストにとっても、ライブで生の音楽を感じてもらうことが一番の喜びとなるのだろう。

日本の音楽業界は岐路に立たされている

さらに、日本の音楽市場では海外の市場と比較して、音楽配信サービスが拡大していく傾向が強くなっていくだろうと予想する。 その大きな理由として、日本と海外のCDの値段の違いが挙げられる。日本のCD(アルバム)は平均して2,000円から3,000円、高いと5,000円近くのものもある。一方、海外では1,000円から2,000円程度であることがほとんどである。この上、音楽配信サービスが定額聴き放題とあれば、利用しない手はないだろう。このような背景もあり、日本の音楽市場における音楽配信サービスの力は拡大していくように思う。 音楽配信サービスにメリットはもちろんたくさんあるのだが、上に挙げたようにアーティストの還元率が低く、アーティストの活動の妨げとなる可能性も捨てきれない。アーティストも資金がなければ、楽曲制作に真剣に向き合い、より良い作品を生み出すことも容易ではなくなるだろう。この傾向が続けば、日本の音楽業界は間違いなく衰退するだろう。日本の音楽業界は岐路に立たされているように私は思う。 音楽配信サービスによって、音楽を聴くことがより身近になり、音楽が人々の生活の一部になっていることは確かである。しかし一方で、それは音楽の価値が正しく認識されない『音楽のインスタント化』にもつながっている。音楽というものが身近になった私たちだからこそ、なんとなく”聞き流す”のではなく、もう一度音楽を”味わってみる”のはどうであろうか。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
「Ado」というブランドが人気の理由とは… アーティストの効果的なマーケティング方法について考察する
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「Ado」というブランドが人気の理由とは… アーティストの効果的なマーケティング方法について考察する

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音楽マーケティングといわれて何か思い浮かべることができるだろうか。 音楽は芸術品であるととらえたい人にとっては耳の痛い話かもしれないが、現代音楽にはビジネス的な側面があることはどうしても拭い切れない。音楽マーケティングの根幹はアーティストのブランディングにあると考える。 今回は音楽マーケティングの成功例を追っていき、なぜそれが成功したのかを考察していこう。

女性アーティスト「Ado」とは

音楽マーケティングすなわち、アーティストのブランディングの成功例として、今や老若男女誰もが知っているであろう女性アーティスト「Ado」について述べていこう。「Ado」は代表曲「うっせぇわ」がTikTokで大流行を呼んだことで一躍有名になったのだが、なぜ彼女はそれをブームで終わらせず人気を集め続けているのだろうか...。 もちろん「Ado」本人の並外れた歌唱力や楽曲の独創性が認められ、人気を集めていることは確かなことである。しかし、それ以上に彼女が元歌い手の現役高校生シンガーであるという売り出し方が人気の要因となっていると考える。 なぜ現役高校生シンガーという売り出し方が効果的であったのだろうか。それは「Ado」の並外れた歌唱力と相反するような普通の高校生というイメージを作ることで、その意外性が話題を呼んだからである。 実際に彼女がラジオなどに登場するとリスナーがその意外性に興味を示しているようなコメントをよく目にする。彼女本来のかわいらしさが、どこか応援したくなる雰囲気を醸し出しているのだろう。さらに言えば、普通の女子高生が一躍歌姫へと変身する、そんなシンデレラストーリーをリスナーが意図せずとも望んだ結果、これほどまでに注目されるアーティストになったのだろう。

元歌い手の現役高校生というブランディング

また元歌い手であり、現在も歌ってみた動画を投稿していることも彼女がファンを拡大できた大きな理由の一つと言える。 TikTokなどのおかげもあってかVOCALOIDとPOPSの垣根は今でこそ低くなりつつあるものの、やはりまだVOCALOIDはサブカルチャー的であるというイメージが拭い切れていないように思う。そのため両者のファン層の違いは確かに存在する。人気の拡大には異なるジャンルからファンを集めることが少なからず必要になるだろう。そんな中で「Ado」はVOCALOIDの歌ってみた動画をアップし続けることで、VOCALOIDのファンを味方につけることに成功したのだ。 また、「Ado」の楽曲には有名VOCALOIDプロデューサーが作詞、作曲を手掛けているものも多くある。例えば「踊」という楽曲では「ヒバナ」や「乙女解剖」などで有名なDECO*27が作詞を担当している。これもVOCALOIDファンを味方につけた理由の一つといえる。ファン層の違うジャンルのファンを引き込むことで爆発的な人気を実現したのだろう。これもすべて「Ado」の歌い手という一面を捨てることなく守り続けた結果である。 このように「Ado」は自分を元歌い手の現役高校生とブランディングすることができたので確固たる人気を手に入れたのだ。 あるアーティストがただ歌唱力や曲のキャッチーさが評価されて人気になるというのは容易なことではない。インターネット技術の発展でインディーズやメジャー、個人に関係なく、アーティストや楽曲自体の魅力が正当に評価される時代になっている。しかし、いやだからこそ、その中に埋もれないためにはアーティストが戦略的に自分自身をブランディングするということが、音楽マーケティングということにおいては重要になるだろう。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
音楽業界は「オンラインライブ」を代用品にしてはいけない… BTSなども活用した成功方法とは
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音楽業界は「オンラインライブ」を代用品にしてはいけない… BTSなども活用した成功方法とは

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Quote source:https://o-dan.net/ja/

 

音楽業界は「オンラインライブ」を代用品にしてはいけない... BTSなども活用した成功方法とは

 

あなたはオンラインライブを見たことがあるだろうか。以前から注目されていた技術ではあったが、ここ数年の社会情勢により、急速に存在感を強めていった。

 

さらに、BTSなどの世界的なアーティストもオンラインライブを行っており、世界中で大きな反響を呼んでいる。賛否両論が大きく分かれるオンラインライブであるが、オンラインライブの成功にはどのような要因が関わってくるのだろうか。

 

オンラインライブ成功のための要因を考察していく前に、オンラインライブのメリットとデメリットについて考えてみよう...

 

 

 

 

 

「もさお。」「WurtS」から見る音楽プロモーションアプリとしてのTikTok
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「もさお。」「WurtS」から見る音楽プロモーションアプリとしてのTikTok

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TikTokは今や最強の音楽プロモーションアプリと言ってもいいのかもしれない。カラオケの急上昇ランキングや音楽配信サービスのダウンロードランキングを見てみても、TikTokで一度は耳にしたことがある曲がずらりと並んでいる。 どのようにTikTokを用いれば効果的にアーティストをプロモーションできるのだろうか。今回は2人のアーティストを例にとって考察してみよう。 1人目のアーティストは「もさお。」である。 「もさお。」とは顔出しを一切しない男性シンガーソングライターである。TikTokで発表された「ぎゅっと。」という楽曲は、その女性目線で素直に綴られた歌詞が、多くのユーザーに刺さり、大ヒットを巻き起こした。それがきっかけとなり、現在もインディーズながら多くの注目を浴びる存在となっている。

アーティスト「WurtS」

2人目のアーティストは「WurtS」である。 彼も、同じく顔出しをしていない男性アーティストである。彼の楽曲は作詞、作曲、デザイン、映像などがすべて本人によって手掛けられている。自主製作MVが用いられている「分かってないよ」という楽曲は、その耳に残るリズムと恋愛のもどかしさを素直に歌う飾らない歌詞が多くの共感を生み、注目を集めた。 この2人のアーティストに共通すること、それはキャッチーなリズムとユーザーに直接訴えかけるような真っ直ぐな歌詞である。 TikTokというアプリの性質上、聞き始めて数秒間でその楽曲の良し悪しが判断されてしまう。そこでユーザーの心を掴むためには、一瞬聴いただけでも耳に残りやすい曲調、または考えずともすぐに理解でき、共感してしまうような歌詞が必要不可欠である。実際、TikTokで注目される楽曲はこの2人のものに限らず、キャッチーなリズムと共感を呼ぶ歌詞を持ち合わせているだろう。 ここまではTikTokで流行るためのアーティストや楽曲自体の要因を考察してきた。ここからはTikTokで音楽マーケティングを効率的に進めていく方法を考えたい。この場合の音楽マーケティングとはレーベル、あるいはアーティスト自身がどのようにファンを集め、人気を得るかということである。 TikTokにおける効果的な音楽マーケティングの方法、それはインディーズのアーティストの露出を促進することにあると思う。インディーズといっても中小レーベルに所属しているアーティストもあれば完全に個人で活動している場合もあり、様々である。しかし、どちらの場合にもTikTokは人気を集めるうえで強い味方となってくれるだろう。

実力勝負が可能な世界

TikTokにおいてはインディーズやメジャーといったアーティストの立ち位置が取り払われる。アーティストは自分の実力勝負が可能なのである。その理由はTikTokは誰でも簡単に動画制作をし、投稿できること。さらに、YouTubeなどとは違いユーザーが自ら検索せずともその映像がユーザーの目に届くことにある。 前者の理由についてはこのインターネット社会においては珍しいことではないかもしれない。しかし、後者はTikTokならではの利点であろう。TikTokはインディーズのアーティストのために用意された花道といってもよいかもしれない。TikTokを使えば誰でも予算的、機会的な制約無しで楽曲を評価してもらうことが可能なのだ。 TikTokに対する評価は様々であり、TikTokではやった曲をヒットチャートで目にするのを好ましく思わない人ももちろんいるだろう。しかし、TikTokがあるからこそ様々な制約が解け、自分がほんとに好きだと思えるアーティストに出会えるとしたら、とても良い時代なのではないかと私は思う。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
バーチャルYouTuberから考えるエンタメ業界とIT技術の可能性とは…
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バーチャルYouTuberから考えるエンタメ業界とIT技術の可能性とは…

 

 

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バーチャルYouTuberから考えるエンタメ業界とIT技術の可能性とは...

 

エンターテインメント・コンテンツは様々な分野から注目を集めている。エンタメ業界はいつの時代でも”人を集める力”を持っているため、様々な業界がそれぞれの技術やノウハウを使いエンタメ業界に進出してくることは当然のことであろう。今回はその中でも近年急激に結びつきを強めているエンタメ業界とIT技術の融合の例を見ていくことで、エンタメ業界に新しい技術を取り入れる方法を考察していこう。

 

エンタメ業界とIT技術の融合のわかりやすい例としてバーチャルYouTuberを話題に挙げてみよう。皆さんはバーチャルYouTuberというものをご存じだろうか。身近に感じる人もいれば、全く聞いたこともない人もいるかもしれない。

 

バーチャルYouTuberとは「キズナアイ」をはじめとする2DCGや3DCGを用いてYouTubeなどで生放送や動画投稿を行う配信者のことである。彼らはモーションキャプチャという人の体に赤外線センサーなどをつけ、その動き測定し、データ化することでアバターを動かす技術が...