VivaOla 独占インタビュー!音楽制作秘話やアーティストの素顔に迫る
今回は、今注目のアーティスト「VivaOla(ヴィヴァオラ)」にインタビューを行い、彼の音楽制作の秘話や、アーティストを目指すに至った経緯について伺いました。
VivaOlaは、過去に アルバム『APOLRIE VIVANT』などをリリースし注目を集めており、今回のインタビューでは音楽の道を歩むきっかけや、音楽に対する独自の視点を語っていただきました。
彼の素顔に迫るとともに、音楽と向き合う姿勢がどのように形作られていったのかを探ります。
―― インターナショナルなバックグラウンドをお持ちですが、海外での経験が音楽スタイルや価値観にどのような影響を与えましたか?
VivaOla:大学時代にアメリカへ行く機会があり、そのときに大きなカルチャーショックを受けました。この経験が、後々の音楽、特に作詞に大きな影響を与えたんです。
もともと英語で歌詞を書きたいと思ってはいましたが、当時はまだ音楽を仕事にするつもりもなく、日本語で書くことにも抵抗はありませんでした。ただ、洋楽を聴くうちに、日本語の歌詞では自分の表現がしっくりこないと感じるようになりました。
また、実際にアメリカに行ったとき、英語は話せるものの、いざ注文しようとすると言葉がスムーズに出てこなかったんです。ファーストフード店で店員さんに「Hi!」と明るく話しかけられたとき、ちょっと戸惑ってしまって(笑)。その瞬間、自分が日本で育ったことを改めて実感しました。
―― 現地での経験が、自分自身を見つめ直すきっかけになったのですね。
VivaOla:そうですね。特に印象的だったのは、現地で仲良くなったアメリカ人の友人が、日本の文化にとても詳しかったことです。自分は日本に住んでいるのに、文化や歴史についてまだ知らないことが多くあると気づかされました。日本では当たり前だと思っていたことが、海外に行くことで特別なものだと感じるようになったんです。
――音楽やエンターテインメントでも、海外に行ったことで気づいたギャップはありましたか?
VivaOla:ありましたね。洋楽を聴いていても、実際にアメリカで生活してみると、歌詞の意味やニュアンスをより深く理解できるようになりました。元より第二言語として英語を話せてはいましたが、それ以上に文化的な背景やスラング、表現方法を知ることで、歌詞に込められた意図が明確になったんです。
例えば、以前は「この歌詞ってこういう意味かな?」と曖昧に理解していた部分が、現地での会話や文化を通じて「ああ、こういうことだったのか」と腑に落ちることが増えました。そうした経験が、音楽制作にも大きく影響しています。
今はインターネットの普及で海外の文化に触れることが簡単になりましたが、実際に現地で生活すると、より直感的に理解できることが多いと感じました。
ネットを通じてミームやトレンドを知ることはできますが、リアルな空間でその文化に触れると、より深く体感できます。そうした経験が、自分の音楽制作にも影響を与えていて、新しい視点や表現方法が自然と加わるようになりました。
―― なるほど。現地での経験や交流が音楽の幅を広げ、より深い表現を可能にしたのですね。
__制作を進める中で、友人からのフィードバックに、何か腑に落ちるような感覚があったということですか?
VivaOla:逆に、腑に落ちない感覚があるからこそ気付かされましたね。自分のことを言うのは恥ずかしいんですが、よく『アマノジャク』って言われるんですよ。
__なるほど、ご自身はどう感じますか?
VivaOla:確かにそうだなと思いつつ、『アマノジャク』って言われるときは一番嫌なんです。たぶん、あまのじゃくって言われて嬉しい人は少ないと思います。
__確かに、『アマノジャク』という言葉は強いですね。
VivaOla:はい、呼べる人はかなり仲の良い人ですね。それくらい強い言葉ですから。
__アーティストとして、作品を作る際の工夫はありますか?
VivaOla:そうですね。自己理解の仕方が少し変わっているんですが、体調や心身の状況をあまり理解しない方だと思っています。最近は、交えた会話などをメモしたりして、自分の状態を見返し『明日は気分が下がりそう』みたいな心身のチェック的なことをしてます。
__自己認識を深めるための方法ですね。
VivaOla:その通りです。メタ認知として、会話をする前に『このことを話そう』と決めておき、その流れが自分の浮き沈みだと理解しています。友達にリリースを聴いてもらうとき、逆に安心感がありますね。VivaOlaがあまり好きじゃない友達に聴いてもらうと、意見が貴重に感じます。
肯定的な意見も嬉しいですが、自分としては、本当に必要なのは正直でリアルなフィードバックです。自己肯定感はある程度足りていると思っているので、それを求めるわけではないんです。必要なのは、オネスティ(正直さ)ですね。
__今後の活動について、どのような展開を予定していますか?
VivaOla:最近、音楽制作のインプット期間を終え、ついにアウトプットの段階に入りました。今年1月から新しい作品の制作を始め、さまざまなアーティストとのセッションを行っています。自分名義でのリリースも控えており、皆さんに良い意味で驚きを提供できると思います。
音楽的には、これまでの作品とは異なる方向性に進んでおり、前作『RIGHT/WRONG』は比較的落ち着いた内容でしたが、今回はもっと自由に「暴れたい」という気持ちが強くなっています。音楽は自由なもので、その変化を楽しんでいただければ嬉しいです。
__『暴れたい』というのは作風に変化を与えたのでしょうか?
VivaOla:はい、今回はVivaOlaの音楽作品集の中で、これまで挑戦したことがないようなことに挑戦しています。音楽的にもコンセプト的にも新しいアプローチをしていますので、ぜひ楽しみにしてください。
__ファンにどのように受け取られると思いますか?
VivaOla:正直、全く異なる世界観に変わるので驚かれるかもしれません。それでも、新しい音楽の発見があると思っています。
__ファンに伝えたいことはありますか?
VivaOla:これからリリースされる作品は、音楽のスタイルは大きく変わりますが、驚きと新たな発見を楽しんでもらえるはずです。
「暴れたい」というのは、破壊的な意味ではなく、もっと自由に、自分らしさを表現したいという気持ちです。これまで真面目に音楽やアートに取り組んできましたが、今は少し解放され、冒険的なことに挑戦したいと感じています。
それでも、この挑戦が今まで応援してくれたファンにとっても、新しい発見になることを信じています。次の作品では、これまでの作風とは真逆の方向に進む可能性もあり、ファンの反応がどうなるか少し不安ですが、それもまた楽しみにしています。
__音楽制作の転換点は、2025年に訪れるのでしょうか?
VivaOla:そうですね。今後の作品では、これまでの音楽とは全く異なるアプローチを試みる予定です。「暴れたい」という気持ちもその一環ですね。新しい音楽がどう仕上がるか、ぜひ期待してください。
__最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
VivaOla:これからの音楽活動を楽しみにしていてほしいです。新しい作品には、今のVivaOlaの新たな挑戦が詰まっています。ぜひ聴いてほしいですし、感想を直接聞けたら嬉しいです。音楽は一方通行ではなく、リスナーとの繋がりがあってこそのものだと思っています。ライブやSNSを通じて、皆さんともっと深く繋がりたいので、今後とも応援よろしくお願いします!
今回のインタビューでは、VivaOlaが音楽制作において自己表現と独自のスタイルを大切にしていることがわかりました。制作過程では試行錯誤を繰り返して洗練された曲を作り上げていることがよく伝わります。彼の音楽には、自身の個性と情熱が込められていて、独特の魅力が感じられます。
VivaOlaの新たな試みがどのように展開されるのか、今後の活動がますます楽しみです。
また、2025年3月10日から15日まで開催された『SXSW Music Festival 2025』(米テキサス州オースティン)では、オフィシャルショーケース『INSPIRED BY TOKYO』などへも出演しました。今後の活動にも注目です。
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アーティストを目指したきっかけ
―― アーティストを目指すきっかけを教えてもらえますか? VivaOla:特に大きなきっかけがあったわけではないのですが、高校生の頃から音楽が趣味で、次第に仕事にしたいと思うようになりました。日本の高校生なら、進路を考える時期、例えば、大学進学をどうするか悩むタイミングですよね。その頃、「Wez Atlas(ウェズアトラス)」と同じ高校に通っていて、音楽を通じてよく一緒に過ごしたことが印象に残っています。 振り返ると、高校時代からデスクワーク中心の仕事は自分には合わないと感じていましたが、その気持ちを親に伝えるのは簡単ではなく、最終的には大学進学を選びました。でも、大学に入ってからも違和感は消えず、「やっぱり自分は音楽の道に進みたい」と改めて実感するようになったんです。 ―― 大学に進学したことで、普通の進路に違和感を覚え、音楽の道を選んだのですね。 VivaOla:そうですね。最初は音楽を仕事にしようとは思っていませんでしたが、大学生活を送る中で、その思いが次第に明確になっていきました。周囲の人との繋がりも広がる中で、自分の道を見つけていった感じです。 気づけば音楽の世界に足を踏み入れていて、最初は「DistroKid(ディストロキッド)」のような音楽配信サービスを知り、周りの人たちと一緒に自分の楽曲をアップし始めました。それがキャリアの第一歩だったのかなと思います。 ―― 高校時代の音楽活動についても教えてください。 VivaOla:高校では音楽の授業がほとんどなかったので、音楽に触れる機会はそもそも少なかったのですが、廊下でよく顔を合わせていたWez Atlasの名前は知っていました。自分はインターナショナルスクール出身で、彼はアメリカのコロラド州から来た帰国子女のため、少しバックグラウンドが異なっていました。 音楽を通じて急接近したのは、ちょうどテスト期間中でした。お互いにテストを避けたかったのかもしれません(笑)。そのタイミングで、自然に音楽を通じて仲良くなり、一緒に楽曲制作を始めました。 ―― 音楽を通じて仲良くなったんですね。当時、どのような音楽を作っていたのですか? VivaOla:自分は当時ジャズに興味があり、彼はラップが好きでした。最初から同じジャンルで活動していたわけではなかったのですが、逆にそこが面白かったんです。スタイルが違うからこそ、新しいアイデアが生まれやすかったのかなと思います。 ―― それは興味深いですね。音楽を作る中で、お互いの違いが刺激になったということですね。 VivaOla:そうですね。同じ音楽を作るにしても、アプローチが異なることで新たな発見がありました。共感って80%だと思っていて、100%に近づくと、ただのコピーになってしまうんです。でも、違いがあるからこそ面白いんです。だからこそ、彼との音楽制作は自分にとって大きな意味がありました。それぞれ異なるアプローチを合わせることで、新しい音楽が生まれる瞬間を楽しんでいました。 ―― 音楽に対する情熱は、お互いの違いから生まれたのですね。 VivaOla:その通りです。音楽は自分を表現する手段であり、異なるスタイルを取り入れることでより深みが生まれると思っています。自分たちが作った音楽には、お互いの違いが反映されているからこそ、ユニークな作品になったのだと思います。 ―― なるほど。音楽の多様性が、創造性を生むのですね。音楽と海外経験の影響

初めてVivaOlaの音楽を聴くなら、まずはこの曲
__初めてVivaOlaの音楽を聴く人に、ぜひ聴いてほしい曲は何ですか? VivaOla:おすすめですか。うーん、とても難しい質問ですね。初めて聞かれた質問かもしれません(笑)。お気に入りの曲がいくつかあるので選ぶのが難しいですが、もし最初に聴いてもらいたい曲を挙げるなら「RIGHT/WRONG feat.Jimmy Brown」と「Runway」ですね。 「RIGHT/WRONG feat.Jimmy Brown」:https://youtu.be/hdnZHVMbg_8 「Runway」:https://youtu.be/39O8klKAz6Q 特に「Runway」は、自分にとって非常に大切な曲であり、今でもその中に成長を感じる部分があります。 作品のリリース自体に喜びを感じる一方で、後から制作面で悔しさを覚えることがあります。リリースした当初はそれが最高のものだと思っていたけれど、後から振り返ると、もっと別のアプローチができたのではないかと感じることがあります。 __制作に込めた思いについて教えてください。 VivaOla:Runwayは、試行錯誤を繰り返しながら作った作品です。その制作過程で悔しい部分も多かったのですが、それが逆に自分を成長させるきっかけとなりました。 例えば、「Runway」の制作中に、自分の音楽の方向性が少しずつ変わっていったことを実感しました。最初は音楽に対して広い興味を持ち、ギターや既存の音楽のスタイルに挑戦したり、今風のビートを使ったりと、さまざまなスタイルを試しましたが、「Runway」の制作に取り組むうちに、ボーカルやフロントマンとして歌いたいという気持ちが強くなり、シンプルに「自分の歌」を表現したいという思いが芽生えました。 1st ミニ アルバム『STRANDED』全体は、さまざまな要素を取り入れた、オードブルのように多様なスタイルを試した作品です。その中でも「Runway」が特に際立っていると感じた理由として、昔からの友達や音楽仲間から「VivaOlaの代表曲だ」と言われたからです。「この曲を知らなきゃ本物のファンじゃない」と言われ、自然と誇らしい気持ちが湧きました。“アマノジャク”な自分

インスピレーションと制作プロセス
__楽曲を作るとき、どこからインスピレーションを受けますか? VivaOla:作りたい曲が浮かぶ瞬間には、歌いたいこと、伝えたいメッセージ、奏でたいサウンドなどが頭の中で交錯します。 自分が大切にしているのは、 アルバムやEPといった形で、全体的に大きなビジョンを持って作ることです。シングル単体で作ることはあまりなく、むしろ次にやりたい方向性や目標に向けて作ることが多いですね。例えば、来年の今頃にはこういった曲を作りたいという目標を持ちながら制作することが多いです。 個人的に、他のアーティストのように身近な出来事や体験からインスピレーションを得ることは少なくて、むしろフラットな状態で「今作りたい曲はこれだ」と思って作り始めます。 後から振り返ると、「あの時、ああいう気持ちだったな」と思い出すことはありますが、それはあくまで制作後の振り返りとして感じることが多いですね。瞬間的な感情や出来事から作ることは避けるようにしています。 __制作プロセスについて、スケジュールや計画はありますか? VivaOla:実際には、あまり決まったスケジュールに基づいて制作しているわけではありません。マネージャーとのミーティングで示された目標に対して意義を見出すようにしていますが、自分はどちらかと言うと、特定のタイムスパンを設けて制作を進めるのではなく、むしろ制作に取りかかるタイミングが重要と考えています。 作らない時期は音楽以外の活動に没頭して、新しい学びを得たり経験を積んだりしています。その期間が過ぎて、何かしら飽きる瞬間が来た時に、自然と「作りたい」という気持ちが湧いてくるんです。 音楽から離れているときでも、インプットは常に意識しており、音楽を作っていない時期が長くても、それが次の制作に繋がることを感じています。 音楽とは関係ない活動でも、新しいアイデアやインスピレーションが得られることがあり、例えば、最近友人とセッションをしていて、友人が聞かせてくれた録音が父との喧嘩の内容で。「音楽に使えるかも」と思って家族の喧嘩の音声を録音していたらしいんですよ(笑)。こういった予期せぬ出来事も、音楽に繋がることがあるんです。 __では、「インプット期間」はどのように過ごしているのでしょうか? VivaOla:インプット期間は、完全に音楽から離れて過ごすわけではありませんが、音楽以外の活動を重ねることで、自分の感性を磨いています。 友達と会ったり、音楽以外の体験を通じて新しい視点を得ることが多いです。旅行に行ったり、他のアートに触れることも感性を広げる一環です。ただ、音楽制作に入るタイミングが来ると、その瞬間に全てを投入して作業に集中することになります。音楽の制作をしていない期間も、常にインスピレーションを感じ続けるような感覚ですね。 __それでは、音楽制作時に心がけていることはありますか? VivaOla:制作時は、他の活動に没頭している時とは全く異なるマインドセットで取り組んでいます。音楽を作っている時は、何かに追われている感じではなく、むしろ自分の表現に集中しています。誰かに「遊ぼう」と言われても、「今は制作中だから」と断ることが多いです。 時々のインスピレーションに従って、楽曲を作ることに集中します。音楽制作には、計画的な制作というよりも、その時の流れに任せる方が、自然に進むんです。 __制作活動の「充電期間」についてどう思いますか? VivaOla:充電期間として、インプットをたくさんしておくことは、制作活動を始める前の準備段階として重要です。インプットを繰り返しながら、自分の中で新しいアイデアが蓄積され、自然とアウトプットに繋がります。充電期間のような時間を意識的に過ごすことで、その後の制作活動がより充実したものになりますね。音楽制作の哲学と創作の工夫
__「GIVE MINE」の作品では、ミステリアスな雰囲気が感じられますが、作品を作る際に意識している点はありますか? VivaOla:ミステリアスであろうとは思っていませんが、もしかしたら良い意味でも悪い意味でもそう感じる方がいるかもしれません。ライブは別として、音楽作品においては自分を前面に出すことはあまり意識していません。 映像やジャケット写真などでは、音楽という作品が主であり、私自身が強調される必要はないと思っています。もちろん、登場することはありますが、自己顕示欲はあまり感じていません。 __アーティストとしてのコンセプトが強調されるということですか? VivaOla:どうなんでしょう、マネージャーの方が理解しているかもしれません(笑)。最近のミーティングでもその方向性について話し合いましたが、自分がかっこいいと思うものは、全体的に統一感があるものです。ミステリアスな存在であることを意識しているわけではなく、その結果、そう感じる方もいるかもしれません。 __一部のアーティストは普段の生活を全てさらけ出すことで、音楽がより伝わりやすくなる場合がありますが、VivaOlaの場合、必ずしも全てを出す必要はないという考え方ですよね? VivaOla:その通りです。全てをさらけ出すアーティストもいますが、私の場合は音楽にちょっとした魔法やミステリー、ファンタジーを加えることが大切だと考えています。もちろん、すべてが真実である必要はありません。 __本当である必要はないし、むしろ夢を見させることが大切だということですね。 VivaOla:そうですね。全てが本当であることよりも、聴く人に夢を見せることが大切です。もちろん、その中には自分の人生経験や原体験が根底にありますが、それを超えた何かを音楽で表現したいと思っています。 __では、制作に行き詰まった時はどう対処していますか? VivaOla:スランプではないですが、インプットが足りないと感じることはあります。作りたくない時は無理に作らないようにしています。以前、 アルバム「Juliet is the moon」のリリース後はしばらく曲作りができず、納得のいくものが作れませんでした。その時に学んだのは、無理に作らないことです。作れない時に作っても気持ちが悪いので、休むことが大切だと感じています。 __休憩を取り入れることでリフレッシュするんですね。そこから気持ちが整理されてまた新たなアイデアが生まれるのでしょうか。 VivaOla:そうですね。曲を貯めておくことが必要だとは思いませんが、頑張りすぎることは避けています。挑戦や新しいことに挑むことは大切ですが、無理に突き詰めることは避けています。作れないときは、休むことが最良だと思っています。音楽を通じて伝えたいメッセージ
__音楽を通じて世の中に伝えたいメッセージはありますか? VivaOla:メッセージを伝えることは正直難しい部分もあります。難解な歌詞を書くことはあまりなく、歌詞に大きなメッセージを込めることは少ないかもしれません。ただ、音楽を通じて「愛」や「感動」を伝えたいという気持ちは持っています。愛にはさまざまな形があり、例えば友人同士の愛や、時には執着からくる愛もあります。恋愛をテーマにした曲は少ないですが、愛や感情をテーマにした歌詞は多く書いています。 __具体的な曲はありますか? VivaOla:例えば、「GIVE MINE」では独占的な愛や毒々しい愛を描きたかったんです。また、「PRESENCE」では、音楽を通じて愛を伝えたいという気持ちを表現しています。 愛というものは、時に怒りや対立を生むこともありますが、それも愛の一部だと思っています。逆に、嫌いな人に怒りを感じるのも、その人に対する愛情があるからこそだと考えています。そういった様々な「愛」のメッセージを伝えたいですね。 __メッセージが反映された作品はありますか? VivaOla:例えば、藤田織也と一緒に作った「O.M.M」では、キャリアやビジョンについて考えたことが歌詞に反映されています。歌詞の詳細は明かしたくないので、具体的な話は避けます(笑)。自分が書いた意図がそのまま伝わることにこだわりはなく、むしろ今話していることが歌詞に現れる方が大事だと思っています。 「O.M.M」にはその側面があり、リスナーには「ただの『君を思い馳せている』歌詞」と捉えられるかもしれませんが、自分たちにとっては、それ以上に、現在と未来の自分、そしてファンやリスナーとのビジョンも込められています。そうした関係性を大切にし、比喩的に表現しています。 __歌詞を書くには、原体験が必要だと思いますか? VivaOla:原体験がないと、このような歌詞は書けないと思いますし、背景は非常に重要だと感じています。ただ、愛というテーマに関しては、セクシャルな意味に縛られたくないんです。逆に、プラトニックな意味にも縛られたくなく、その部分が抽象的になることを意図しました。愛の形を超えたメッセージを歌詞に込めたかったので、そうした抽象的な部分が伝わればいいなと思っています。音楽の新たな方向性と“暴れたい”という思い

TORO「ロックの復権」を掲げる新生バンドが想う「孤独感」とは
「ロックの復権」を掲げる2023年結成のトリオ・ロックバンドTORO(トロ)。
既に2枚の アルバムをリリースしている彼らだが、去年、FUJI ROCK 2024の出演を果たし、SiM主催の 音楽フェスDEAD POP FESTIVAL 2024にはSiMのボーカル MAHの直接オファーでステージに立つなど、結成2年目とは思えぬ快進撃を続けている。
そんな彼らの魅力に迫るべく、バックグラウンドやアルバム制作、ライブなど様々なテーマについてじっくり語っていただいた。
筆者:今日までに他のメディア取材記事も拝見させて頂いたのですが、「ロックの復権」という言葉をよく目にします。とても魅力的なコンセプトだと思うのですが、どのような思いがあるのでしょうか?
梅田:最初キャッチーコピーみたいなのが欲しくてインパクト重視でいってしまったというか(笑)。
筆者:そうなんですね(笑)。でもものすごくロックバンドだなと感じるんですけれども。
梅田:そうですね。インパクト重視でいったは良いものの、元々やってたバンドも本当の意味でのサブカルチャーというかサブジャンルというか。言い方がちょっとくさいけど、アンダーグラウンド的な 音楽をやってたからこそ出来るカウンターカルチャー精神というのをメンバーそれぞれが持ってて、そのカウンターカルチャー感のあるロックミュージックという軸があるのかなと思います。
筆者:そう聞くと、先ほどの話とも似てる部分があると思うのですが、TOROの曲を聴いていると、どの年代の音楽に影響を受けたのかとても気になりまして、特に好きな年代はありますか?
梅田:最近、今作ってる 曲や、今後の制作を考える時に、バンドの軸になるジャンルを考えさせられることが多くて。よく思うのがどの年代という特定のものはないんですけど、それこそオルタナティブというか、本当の意味でのオルタナティブというか。いつの時代に聴いても同じ感動がするような音楽が好きで。そういう意味ではポップスと被ってる部分はあると思うんですけど、ずっと聴いていられるような曲作っていきたいなというのは思います。
筆者:普遍性ということでしょうか?
梅田:そうですね。いつの時代も聞かれる音楽ということを考えた時に「懐かしさ」と「新しさ」が両立できるような曲を作っていきたいなと考えています。
筆者:メンバー間では制作においてどのような役割を割り当てていますか?
梅田:基本的には僕がデモを作って、大西からドラムとかビートのアイデアをもらって。ベース(ハセガワ)はベースでアレンジをしてもらうって感じです。TOROはベースやドラム以外にも音が鳴っているタイプのバンドだから、最近は色々相談する感じで、自分が作るけど話し相手になってもらうことが多いですね。
筆者:ハセガワさんも大西さんもアレンジ面で意識することはありますか?
ハセガワ:アレンジというよりは、例えば「ここのメロディーが変わったから、こうしてみたんだけどどう?」みたいなのが来て、それで繰り返し聴いて「前の方が良いんじゃない?」みたいな、アレンジ作業というよりはフィードバックする感じですね。
筆者:大西さんもそのような感じですか?
大西:そうですね。基本、梅田が作ってきたものがあって、それをより翻訳的な感じにするというか。ドラムだったら僕の方が聴いてるし、リズムを勉強してるので、「こういうことをやりたいんだったら、こうだよね?」っていう感じでアレンジして、フィードバックしてみたいな感じですね。さっき梅田が言ってたように、前はドラムだけとかドラムのフレーズだけやってたんですけど、最近はデモ段階から「どうだろう?」と言ってくれるのでドラム以外の箇所も皆んながいるタイミングで話し合ったりしますね。
筆者:共通認識がより深まった感じですね。
大西:そうですね。
筆者:2024年に2ndアルバム『幸です』をリリースされましたが、1stアルバム『TORO』とはだいぶテイストが違う作品だと思うのですが、制作過程において1stアルバムと何か違いはありましたか?
梅田:アルバムの統一感は作りつつも、一つのジャンルに偏るバンドではないのかなっていう認識はあって、2ndアルバムを作る時に最初はポップスの 曲を作ろうっていう気でいたんですけど、考えていくうちに色々なジャンルが混じって、ちょっとオタクなアルバムになったのかなっていう感じはあります。
筆者:意識したというよりは、自然と付け加えられたという感じなんですね。
梅田:そうですね。付け加えられたという感じではありますね。自分が作りたい曲を作るっていうの想いはあるんですけど、色んな音楽を聴いて生まれた排泄物のような要素も作曲の魅力の一つかなって感じてて。1stアルバムを作ってる時は、バンドの方向性はあったんですけど、1stアルバムに比べて2ndアルバムの方が自分が聞く音楽を、自然とアウトプットしたような感覚はあって。1stアルバムの方が、バンド結成前の曲が多かったし、制作の方向性がある程度明確にありました。2ndアルバムは自然に出てきた音楽を素直にアウトプットした アルバムになったと思ってます。
筆者:そういう意味では2ndアルバムの方が楽曲に多様性が出た感じですか?
梅田:そうですね。自由な感じに。
筆者:1stアルバムでは英語の歌詞のみの楽曲があったと思うのですが、2ndアルバムでは、すべて英語歌詞の楽曲はないなと思ったのですが、歌詞に対する想いやスタンスに変化があったのでしょうか?
梅田:バンドをはじめる前に作った 曲は、ラウドロックミュージックをずっとやってきて、英語が当たり前の文化で育ってきたので自然と英語的なフレーズが出てくるし、「英語だろ!」みたいな感じだったんですけど。それこそ1stアルバムも日本語がちょびちょび入ってるじゃないですか?
筆者:そうですね。
梅田:そう。ボーカルや作詞をやるのがこのバンドが初めてだったので、最初は当たり前に英語でやってたけど日本語で書いたら、自然と言いたいことが出てきて、言葉遊びが面白いなとなって。邦楽を全然聴いてこなかったタイプだったので、日本語の歌詞に対する知識がなくて。日本語に対するトラウマがあって、日本語が良いって気付いた後は、トラウマだったからこそ使ってこうみたいな。そしたらだんだん自分っぽい言葉が生まれてきて、面白いなと思い、日本語で書くようになりました。
筆者:一つの挑戦でもあり、それが今作に表れたんですね。
梅田:そうですね。今後も多分ずっと日本語が多めになると思います。
筆者:そうなるとTOROの楽曲以外で、日本人アーティストの方の歌詞にも意識が向くようにもなったのではないでしょうか?
梅田:そうですね。日本語の歌詞を書くようになって、日本のバンドが好きになったというか、最近は山下達郎さんや宇多田ヒカルさんとか。日本語をフィールドに活動している作詞家に対して、自分の中で解像度が高くなった感じはあります。
筆者:表現方法が増えた感じはありますね。
梅田:そうですね。言葉がないからこそ出てくる語彙というものがあるのかなと思います。
筆者:精力的にイベント出演を行われ、イベントとはもちろん、FUJI ROCKやSiM主催のDEAD POP FESTIVAL にも出演された中で心境の変化はありましたか?
メンバー:(しばらく考え込む)
梅田:でも、また野外フェスはやりたいよね。
ハセガワ:そうだね。
梅田:いちばん音が抜けるからなのか開放感があって。それこそフェスって言葉通り祭りというか、すごく共有されてる感があるなと思って。フェスにいっぱい出れるようなバンドになりたいなって感じましたね。あとはリスナーの方も徐々に増えているとは思うけど、2024年はライブ活動での課題を解決する場面が多かったです。元々ライブに来てくれる人よりは、一人で 音楽をイヤホン越しで聴いてるリスナーに届いて欲しいというか、部屋でも聴けるロックミュージックでありたいという意識はあって。だから今後もライブは一回も行ったことないけど音楽がめっちゃ好きな人に届けられたら良いなっていう意識はありますね。
筆者:2024年は台湾の音楽イベントにも出演されていましたが、お客さんの雰囲気は日本と違いはありましたか?
梅田:20代くらいの若い人が多くて、台湾の人は「どれ?どれ?評価してやるか。」ではなくて純粋に「音が鳴ってるからちょっと行こうよ。」みたいな気軽さが国内全体にあるのかなって実感しましたね。
筆者:すごく本質的な話ですね。
梅田:そうですね。皆んなが同じ感情を共有している感じが台湾のフェスにはあって、主催の方の思いも伝わってきて熱気があるなと思いました。
筆者:同じアジアでもやはり違いはあったんですね。
梅田:違いましたね。
筆者:ライブの手応えも感じやすかったのではないでしょうか?
梅田:そうですね。レスポンスも素直にきてくれましたね。
筆者:先ほど、大西さんが学生時代にSiMにハマっていたとお聞きしましたが、DEAD POP FESTIVAL にSiMのボーカルMAHさんから直接オファーが来て出演されたことは一つの成果だと思うのですが、どのような心境でしたか?
大西:めちゃくちゃ嬉しかったですね。それこそDEAD POP FESTIVAL は自分が初めて行ったフェスだったので。梅田もね?
梅田:うん。俺もそう。
大西:SiMとかcoldrainとかのライブに高校生の頃たくさん行ってたので本当に嬉しかったですね。しかも自分たちが結成1年目だったので、「うわ、まじか?!」みたいな(笑)。有頂天みたいな感じでしたね。
梅田:嬉しかったよね。
大西:うん。めちゃくちゃ嬉しかったね。
梅田:DEAD POP FESTIVAL の出演後、ラウウドミュージックシーンの助け合い文化がかっこ良いなと思うようになって。SiMからしたら得はないけど、多分おもろいから多分俺らをピックアップしてくれたとか、若手をフェスとかイベントに引っ張り出すっていう文化があのシーンにしかなくて、それがどれだけ大事なものだったかというか。バンドがバンドを引っ張るっていうのはロックの本質だなと。レッチリがジミヘンを聴いて好きになって、俺らがレッチリを聴いて好きになるみたいな受け継がれてく感じがロックの本質っぽくてかっこいいなって感じましたね。
筆者:TOROというバンドもその一部になってるような感覚になりますね。
梅田:そうですね。自分だけの得というよりかは、もっと流動性の高い考え方なんだなというか、すげー良い考えを持ってる人たちなんだなって思って。MAHさんかっこ良いよね。
筆者:会場ではお話しされましたか?
梅田:そうですね。打ち上げにも参加させてもらって。優しかったですね。
ハセガワ:確かに。
バックグラウンドについて
筆者:まず最初にTOROの皆さんが、どのような音楽を聴きはじめ、どのように楽器に触れるようになったのかお聞きしてもよろしいでしょうか? 梅田:最初のきっかけは、マイケルジャクソンが死んだというニュースでその存在を知って、彼の楽曲をiPod nanoに入れてもらったことです。中学受験したんですけど、図書館とかでめっちゃ聴いてた思い出が今になって思い出すというか。 筆者:あれですよね。亡くなって知るという...。 梅田:そうですね。多分、小5くらいだったの思うんですけど。楽器をはじめたのは中1とかなのでもうちょっと後なんですけど、その時はB’zにハマってて、なんかドラムやりたくて。「やらして」って親に言ったら「うるさいからギターにしな」って言われてギターをはじめました。 筆者:なかなかおもしろいですよね。B’zでギターではなくドラムというのは。 梅田:ドラムやりたかったですね(笑)。 筆者:ハセガワさんは、どのようなアーティストに影響を受けましたか? ハセガワ:自分が最初にアーティストとして認識したのは、父親が好きだったビートルズですね。父親がビートルズも好きだし、ハードロックも好きで、家にギターが何本かあったりして。日本だとBOØWYとかも好きだったみたいで、車の中で基本そういうのが流れてたり、父親が家で弾き語ったりしてるのを見てたので。且つ母親も 音楽が好きで、幼稚園くらいの時にELLEGARDENとか流したりしてて、その時は刺さらなかったんですけど。姉貴もピアノとかチューバとかやってて、音楽に囲まれてたので、ビビッときて始めたというか自然と楽器に触れるようになりました。最初は父親が持ってたギターを触って始めたんですけど、チューニングすら分からないからやめて、何年か後に姉貴がエレキベース持ってて触らしてもらってたらどんどんハマって、今もずっとベースを続けてます。 筆者:最初にしっかり触れた楽器がベースだったんですね。 ハセガワ:そうですね。 筆者:大西さんはどうでしょうか? 大西:お父さんが70年や80年台のダンスミュージックがすごい好きで、僕が小っちゃい頃車に乗っている時もそういうのばかり流していて昔の音楽ということはなんとなくわかっていたんですけど、80年代のダンスミュージックとかソウル、ファンクだって認識はなくて、その後にマイケルジャクソンを中学2年生ぐらいでアーティストとして初めて認識しましたね。 梅田:マイケルジャクソンはさっき言ったよ(笑)。(大西が途中参加だったため) 大西:そうなの。そこから昔聴いてたような音楽と似てるなとなって聴きはじめたので、そういう意味では最初はちょっと昔のダンスミュージック系ですかね。それで最初、中学校の友達とコピバンを始めたんですけど、それでやりたいってなったのが突然変異してハマったSiMとかラウンドロック系でした。 筆者:お三方とも両親がすごい 音楽が好きな環境だったんですね。楽器を始めた後、いつ頃からバンドを始めようという思いになったのでしょうか? 梅田:ギターをはじめた時からずっとバンドはやりたかったんですけど、楽器をやってる友人がいなかったから、ギターをやってる友達の家でお互い練習したりして、そこから文化祭に出られるようになったので、高1くらいからですね。 筆者:それでは最初から本格的にバンドを始めたというよりは、高校から続けてきた活動の延長のような事ですか? 梅田:そうですね。高校の時はコピーバンドをやってたので。それこそ大学のサークルがメタルサークルで、初めて組んだバンドがメタルコアバンドだったんですけど、その時のバンドのメンバーがハセガワの中高の先輩で。でもベースを辞めちゃって、その時にベースを募集したら彼が来てくれて。 ハセガワ:そこで俺が後から加わりました。 筆者:お二人が出会ったのはそこのタイミングなんですね。ドラムの大西さんはどこで出会ったのでしょうか。 梅田:大西もサークルで別のメタルバンドをやってて。 ハセガワ:彼も俺の一個上の先輩で。 梅田:飲み仲間的な感じで、酔っ払ったら基本いるみたいな奴で。それで後からこのバンド(TORO)を始めるときに声をかけたって感じです。 筆者:そうなんですね。全員について聞いてしまう形になってしまうのですが、サポートメンバーである木村さんも元々関係はあったのでしょうか?(2/24をもってサポート活動を終了) 梅田:彼は大学の先輩だったんですけど、知り合ったのはバンドをやりはじめた時ですね。 ハセガワ:前のバンドの時に対バンとかをしてて知り合って、実は大学の先輩だったみたいな。元々彼はミックスとかマスタリングエンジニアをやってたので、ファースト アルバムの時にお願いしようと思って頼んだんですけど、ギターがもう1人必要なことに気づいてお願いした感じですね。「ロックの復権」を掲げるTOROのバンドとしての在り方

制作時におけるメンバーの役割

2枚のアルバム

ステージに立ち、抱いた思い

良い意味でも悪い意味でもの「孤独感」
筆者:バンド名が「toro」から「TORO」に変わったと思うのですが、何か心境の変化があったのでしょうか? 梅田:めっちゃ意味があるわけではないんですけど、toroって小文字でバンドを始めちゃったんですけど、始めた時から大文字の方が絶対に良かったと思ってて(笑)。シンプルに思い続けてたから、もう変えてしまおうと。大文字の方が見やすくて良くない?っていう。 ハセガワ:字面が好きだね。大文字の方が(笑)。 梅田:あんま気にしてないです(笑)。大文字の方が見やすいからってだけですね。 筆者:そうだったんですね(笑)。もう一つお聞きしたいことがあるのですが、1st アルバム『TORO』と2ndアルバム『幸です』もジャケットがすごく良いなと思いまして、どちらとも寝転んだ姿が描かれてますが意味はあったりするのでしょうか? 梅田:アートワークを頼んでいる人がどちらも同じでインドネシアのアーティストの方なんですけど、人の 曲線を独特に書く方なので、変な姿勢の方が映えるアーティストだなと思ってお願いしました。デザイン自体は一人の視点というか。ロックミュージックは一対一の関係で、誰かが介入するものじゃないと思っていて、曲もアートワークも良い意味でも悪い意味でも「孤独感」を大事にしているので、あのようなデザインにしてもらいました。 筆者:先ほどの部屋で聴ける音楽ということにも繋がりますね。 梅田:そうですね。そのテーマに近いです。自分一人で聴くロックミュージックを目指してる節はあって、ジャケットも部屋感がある感じになりました。最後に
筆者:2025年の抱負を最後に聞かせていただいてもよろしいでしょうか? 梅田:バンド全体のですか? 筆者:そうですね。 梅田:せっかくなんでバンド以外でも良いですか?(笑) 筆者:大丈夫ですよ(笑)。 梅田:ピアノを弾けるようになりたい(笑)。ピアノを練習してるんですけど、、ピアノかな?あーでも、決まりました。運動しないとと思ってテニスを始めたんですけど、そのテニスを続けたいですね(笑)。 ハセガワ:歌を上手くなりたいというのが最近あったんですけど、それはバンド絡みなんで。 筆者:そうですね(笑)。 梅田: 音楽以外はむずかしいね。 ハセガワ:あ、運転を頑張ります! 大西:あー!それね(笑)。 梅田:それもバンドのためでしょ(笑)。 筆者:免許ということですかね? ハセガワ:免許は持ってるんですけど、全く運転しなくて。 梅田:こいつだけ全く運転しないんですよ。 ハセガワ:頑張ります(笑)。 大西:頼むよ。 筆者:大事ですね(笑)。 大西:俺も歌がマジで下手くそで、カラオケで80〜85点とかなんで。でも音楽絡みだしな。やっぱり運動不足がちなので継続的に運動したいですね。 梅田:被ってない?何かお願いしますよ。 大西:じゃあスパイスからカレー作るとか。 一同:アハハハハハハ。 梅田:勘弁してよ。 大西:スパイスカレー作ってみたいですね(笑)。 梅田:クラフトビールもあって。 筆者:流石にクラフトビールも作るのではないですよね?(笑) 大西:まだ流石にですね。 筆者:それではテニスと運転とスパイスカレーということで(笑)。 メンバー:そうですね(笑)。 筆者:かえって難しい質問になってしまいましたね。 メンバー:いえいえいえ(笑)。 「普遍性」と「孤独感」という、まさにロックの本質を追求し続けているTORO。この先に彼らが生み出す音楽は一体どのような音が鳴り響くのか、ますます興味が湧いてしまうインタビューとなった。 活動3年目に突入するTOROのこれからの飛躍に目が離せない。 -- EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/ Web3 音楽ストリーミング:https://w3.evening-mashup.com/さんうさぎ 独占インタビュー!かわいい系BGM制作の裏側と想いとは
今回、EVENINGでは「かわいい系」フリーBGMで、今話題のクリエイター「さんうさぎ」さん(以下、さんうさぎ)にお話を伺いました。
さんうさぎ がリリースする楽曲は、TikTokやYouTubeで多くのコンテンツに使用されており、日本独自の「かわいさ」が表現された心に優しく響くサウンドとして注目が集まっています。
BGMというと、勉強や作業時間、リラックスタイムなどに愛用されることが多いですが、日常の中で気持ちを前向きにするような効果を持っている音楽です。
そんな中、さんうさぎが届けるBGMは、YouTubeやTikTokを中心に人気があり、配信者やVTuberなどにも支持されています。
本記事では、その音楽制作への思いやこだわり、そして、今後の展望についてお話を伺いました。音楽の魅力や制作時の工夫、今後の挑戦など、インタビュー内容をお楽しみください。
Q. 「かわいい系」BGMというテーマにこだわられている理由についてお聞かせください。
さんうさぎ
「Kawaii」という言葉があるように、日本には英語の「cute」とはまた違う独自のかわいい文化があるなと常日頃から感じています。その考えを音楽で表したい気持ちが強くあるため、「かわいい系」というテーマにこだわって制作をしています!
__日本の文化を大切にしつつ、ユニークな個性を感じますね。音楽を通して自分の思いを届けようとする姿勢は、自分の世界を作り上げているようで、とても魅力的です。
Q.「かわいい系」音楽が持つ魅力や特徴についてお考えをお聞きしたいです。
さんうさぎ
メロディーではない効果音的な音が目立って聴こえ、その1つ1つの音色がかわいいのが魅力だと考えています。例えば、雫が滴る「ぽちゃっ」という音や、鏡の割れる音、女性の掛け声やおもちゃの軋む音などです。
音があまり響かず、狭い空間で鳴っているように聴こえるのも、私の考えるかわいい系の音楽の特徴かなと思います。狭い空間で音が鳴っているサウンドだと、必然的に音の粒がはっきりしてきます(音の輪郭がはっきりするため)。それが、ころころとしたサウンドになりかわいいなと、よく思っています。
__音色の選び方や効果音の使い方が「かわいい系」の魅力を引き立てるなど、細部までこだわりを感じますね。
Q. 楽曲に込めたテーマや、BGM制作で意識するポイントを教えてください。
さんうさぎ
「かわいくどこか哀愁漂う曲」というのが、自分の中にテーマとしてあります。さんうさぎの楽曲には、かわいさ全開だけではなく、少し寂しげな雰囲気が漂う箇所があるようにしたいなと毎回思っています。
特に気を付けている点としては「音色選び」です。同じメロディーでも音色が違うだけでかわいいから逸脱してしまったりすることがあるため、そこにはかなり気を遣っています!
__「可愛いだけじゃない」という意外性が、聴く人に意外性を与えているのですね。聴き手にさまざまな表情を見せてくれる奥深さは魅力的です。
フリーBGM制作のきっかけ
Q. フリーBGMを制作し始めたきっかけは何だったのですか? さんうさぎ YouTubeのおすすめからフリーBGMの存在を知りました。物心がついたころから歌詞のない音楽を聴くのがすごく好きだったので、自分に合っているもの且つ、皆様から求められているのがフリーBGMだなと思い制作し始めました。 __素敵なきっかけですね!自分に合ったものを作りながら、他の人々にも役立つ音楽を提供できるのは素晴らしいことですね!かわいい系音楽における特徴と制作へのこだわり

音楽制作のプロセスや工夫
Q. 楽曲制作で特に工夫されている点や、普段の制作プロセスについて教えていただけますか? さんうさぎ 工夫なのかはわかりませんが、「あまり考えすぎない」ということにはこだわっています。一度考えすぎてしまうと、空回りして納得いかない曲ができてしまったという経験がありました。 制作プロセスですが、まずは曲冒頭のメロディーから作り始めることが多いです。ふとした時に短いメロディーが思いつくので、それをパソコンで再現して、曲の冒頭に持ってきてしまいます。そこにコード進行やリズムの音を打ち込んでいくという感じです!曲の頭が決まっちゃえばあとはすいすいと作曲できちゃうタイプなので、冒頭の雰囲気をもとに曲全体を一気に作ってしまいます。ここの作業もあまり考えすぎずに感じたものをそのまま音にしていくことが大半です。 __「考えすぎない」というアプローチは、音楽制作で自然なインスピレーションを大切にする重要な方法ですね。素直で魅力的な楽曲を生み出していると感じます。 Q. 楽曲制作に使用されている機材やソフトウェアについて、お聞かせください。 さんうさぎ パソコンはノートパソコンで、MacBook Pro のM1 Proチップモデルを使っています。DAW はLogic Pro、オーディオインターフェイスはMOTU M4、ヘッドフォンはFOCALのListen Professional を使っています。 一応 Ik Multimedia の iLoud Micro Monitorというモニタースピーカーは持っているのですが、あまり使っていません。色々なカフェで作業するのが好きなので(特にスタバ大好き!!)、ハードウェアの機材はあまり持たないようにしています。 __機材へのこだわりがしっかりと感じられますね。音質や制作のクオリティにも大きな影響を与えていることがよく分かります。 Q. 視聴者やBGM利用者の方との印象に残ったエピソードがあれば教えてください。 さんうさぎ 「歌詞をつけたい」というコメントはとても印象に残っています。利用規約の中に「歌詞をつけて歌ったものを公開してもいいよ」という文言を入れているからなのかもしれませんが、想像以上に多くの方がこのような感想を言ってくださっているので、かなりびっくりしています!同じフリーBGMでも全然違う歌詞がついたりしているので、私としてはとても面白いです。 __視聴者とのつながりが音楽制作にも新たな可能性を加えている点が素晴らしいですね。自分の作品がどのように使われるかを知ることができるのは、作曲家としても新たな発見があって楽しいですね。 Q. これまでの活動での達成感や苦労したエピソード、顔出しなしで活動される中での工夫についてお聞きしたいです。 さんうさぎ いつもとは違う曲調を作ろうとした時はかなり苦労しました。たまにかわいい系以外の曲を作ることがあるのですが、そういう時はいつもとは違う楽器や音色を使うので、色々と大変です。その分出来上がった時の達成感はものすごくありました。 顔出しなしの工夫という工夫はあまりないのですが、強いて言えば名前を「さんうさぎ」にしたことかな、と思います(文字のビジュアルからかわいいと認識して欲しかったので)。かわいい音楽を作るので、かわいい名前にしたいなってつけたお名前が、結構色々な方に気に入ってくれたらしくとても嬉しいです! __色々なジャンルに挑戦することで新しい可能性が広がりますね。新しい音色や楽器を使っての楽曲制作は、大変さと同時に達成感がありそうですね。 Q. 楽曲制作での大きな挑戦や課題があればお伺いしたいです。 さんうさぎ 1曲目をリリースしたのが今までで最も大きな挑戦でしたね。過度に完璧主義なところがあるので、「プロの方が作っているサウンドと同じにならなきゃ世に出せない」と思いながら1日中パソコンに向かっていた日々がずっと続いていたのを今でも覚えています。 その甲斐あってか今はいろいろな方に曲を聴いていただき本当に嬉しい気持ちです。今の視聴者さんと、過去の自分に大感謝です! __最初の挑戦は誰もが通る道ですが、そこを乗り越えた経験が今の成功に繋がっていることが感じられますね。完璧を追い求める姿勢が良い作品を生み出しているので、その努力が報われているのが伝わってきます。 Q. ご自身の音楽スタイルや方向性を、今後どのように展開していきたいですか? さんうさぎ 今はかわいい系の曲ばかりなのですが、味変としてかっこいい系の曲やお洒落ジャジー系、ダーク系にも挑戦していこうと思っています。曲調の幅をどんどん広げていきたいです。いずれ劇伴みたいなのも作りたいな…なんて思っています。 __音楽の幅を広げることへの意欲が素晴らしいですね。新たなジャンルへの挑戦で、リスナーさんもさらに増えそうですね。今後の目標と展望
Q. 今後の活動や目標について教えてください。 さんうさぎ 引き続きフリーBGMを作りつつ、歌物にも挑戦したいなと思っています。ボーカロイドの楽曲は何曲か作っているので、そちらの制作も行いつつ、人の声の曲も作っていきたいです! 他にもアニメ、ゲームのOP、ED作曲(BGMでも歌物でも…)や、VTuberさんや活動者さんの歌物での楽曲提供、リアル店舗やリアルイベントでのBGM作成などやりたいことが山ほどあるので、徐々に手をつけていければなと思います。 「この曲を作ったのもさんうさぎさんなの!?」ということが増えるよう頑張ります。 __フリーBGMだけでなく、歌物やボーカロイド楽曲にも挑戦するという目標が明確で、今後の活動に対する意欲が感じられますね。今後がますます楽しみです。 Q. 最後に読者やファンの方に伝えたいことがあればお聞かせください。 さんうさぎ いつもさんうさぎの曲を聴いてくださり、そして使ってくださり本当にありがとうございます!作曲家という職業は聴いてくださる皆様、そしてフリーBGM作家は使ってくださる皆様なしでは成り立ちません。 液晶越しとなってしまい、直接お礼をお伝えできなくて大変心苦しいのですが、これからもずっと良い曲を作り続けて、皆様に恩を返し続けていきたいです。 これからも是非応援の程、よろしくお願いいたします!インタビューを通して
今回のインタビューでは、さんうさぎさんの楽曲制作や今後の活動についてお話を伺うことができました。 さんうさぎ が制作する日本独特の「Kawaii」感を代表するとも言える楽曲は、個人的には、日本だけでなく海外の方からも今後注目されるのではないかと感じました。 BGMだからこそ表現できる世界観や、楽曲制作でのこだわりは、いわゆる歌物などの音楽とは異なりますが、そのユニークな魅力が今後どのように受け入れられていくのか、とても気になります。今後の活躍から目が離せません。 皆さんも、日常の一部に「さんうさぎ」さんの曲を取り入れてみてはどうでしょうか。 -- EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/ Web3 音楽ストリーミング:https://w3.evening-mashup.com/人気急上昇中の邦ロックバンド『ミーマイナー』に独占インタビュー!
結成からわずか半年で注目を集める邦ロックバンド『ミーマイナー』。
もともと異なる道を歩んできた2人が、どのようにして出会い、共に音楽の世界で新たな一歩を踏み出したのか。その裏には、信頼と仲間との絆がありました。
バンドとしての成り立ちや、SNS時代ならではのファンとの繋がり方について、2人が語った真意とは...?
活動の裏側や、音楽に対する純粋な情熱が光るインタビューで、彼らの音楽の魅力と成長の秘訣を明かしていく。
__「ミーマイナー」というバンド名の由来は何ですか?
美咲
もともとソロでバックバンドをつけてエレキギターを弾きながらライブをしていましたが、その時に「これってバンドじゃないな」と感じました。ソロで活動するのは嫌だったので、それ以来、バックバンドをつけるプロジェクトは絶対にやらないと決めました。
「ミーマイナー」という名前は、コードのEマイナーやAマイナーから来ています。つまり、一人ではなく、メンバー全員で成り立つバンドという意味です。さらに、自分のマイナーな部分を音楽で表現しているという意味もあります。
__なるほど。「ミーマイナー」という名前は音楽をやっている人にとって、すごくキャッチーですね。
美咲
私は仲間と一緒に作り上げることが好きなので、一人だけ目立つためにバックバンドをつけることは楽しくありません。信頼できる仲間と音を作り上げることが、バンドの本当の魅力だと思っています。
__普段からの関係性があるメンバーと音楽を作ることが重要なんですね。
美咲
そうですね。さすけさんとは6年来の付き合いで、グルーヴ感がぴったり合いますし、彼の音楽に影響を受けて自分の曲を書いたりもしています。そうした深い関係性があるからこそ、独特の音が生まれるんです。
__さすけさんについて、ある意味「古参のファン」のような気持ちもあるのでは?
さすけ
美咲さんがマカロニえんぴつをリスペクトしている点が大きいですね。多くのバンドは同級生同士で結成され、その関係性が音楽にも影響を与えます。バンドの魅力は演奏技術だけでなく、「このメンバーだからこそ作れる音楽」にあると思います。だから、ミサキちゃんがソロ活動で感じたことに共感し、バンドとして活動することになりました。
__構図としては、ボーカル主体のユニット、たとえばYOASOBIさんのような形に近いと感じましたが、意識しているアーティスト像はありますか?
さすけ
そうですね、意識しているアーティストは誰だろう…。でも、僕たちが目指しているのは「バンド版YOASOBI(万葉遊び)」のような感じです。他のレコード会社の方からも、「こうなりそうですよね」とか、「こうなってほしい」と言われることがあるので、それが一番近い表現かもしれません。
美咲
でも、僕たち二人としては「絶対にこのアーティストを超えてやる!」とか「これになりたい!」という強い目標を持って活動しているわけではありません。単純に、「仲間と音楽をやるのが最高に楽しい」というスタンスで活動しているので、特定のアーティスト像を強く意識することはあまりないですね。
__なるほど。ユニットとしての形はしっかり確立されているけれど、今は純粋に「自分たちの音楽を作って届けること」を大切にしているということですね。
__結成後半年でファンが急増したきっかけは何だったのでしょうか?
美咲
実は、私たち自身もその理由がよくわかっていないんです(笑)。事務所やレコード会社の方からは、TikTokやインスタグラムの更新頻度や曲のリリースを褒められますが、私たちはただ投稿したいから投稿しているだけで、バズを狙っているわけではありません。純粋に楽しんでやっています。
__SNSでファンが増えるアーティストには、バズを狙って投稿する人もいれば、純粋に楽しんで投稿する人もいますが、どちらかというと後者ですか?
美咲
そうですね。個人的には、流行っているものやカッコいいと思うものを試してみたいという好奇心から始めました。それがきっかけで、今までできなかったことを表現できるようになり、周りの人にも受け入れてもらえました。
さすけ
強いて言うなら、「ワンルームナイト」という曲がバズったことで、たくさんのリスナーに知ってもらえました。それがきっかけで、TikTokやインスタグラムで多くの「いいね」をもらい、下北沢界隈や邦ロックのリスナーにも注目してもらえました。
__SNSでの反響が増えてきた中、ライブでのリスナーの反応に変化はありましたか?
美咲
SNSで知ってくれたファンの中には、「ハッピーバンド」や「ボーカルがニコニコしている」といったイメージを持っている人が多いですが、実際のライブでは叫んだり煽ったりするので、そのギャップに驚かれることがよくあります。「めっちゃロックだね」と言われることも多いです。
__SNSでのイメージとは違って、ライブではもっと激しいスタイルですね。ロックなスタイルをライブで表現したいという思いがあったのでしょうか?
美咲
はい、やりたい曲をやっている感じです。ライブではロックの方が盛り上がりやすく、エネルギーも高くなります。私たちメンバーは演奏に自信があり、少しメタルっぽい要素がある曲もやっています。
__注目を集める瞬間について、気持ちに変化はありましたか?今後さらに大きくしていきたいという思いはありますか?
さすけ
僕たちが一番大事にしているのは「目標を持たないこと」なんです。いろんな人がいろんなやり方で成功しようとしていると思いますが、僕たちはインターネットを通じて成功しようとはしていません。正直なところ、やりたいことをただやるだけでいいと思っています。
やりたいことをやった結果、それを100人が見てくれたらライブできるし、1,000人来てくれたらリキッドルームに行けるし、2,000人が見てくれたらZEPPに立てる、という感じです。誰かに受けようと思って何かをすることは、死ぬまで多分ないと思っています。
__自分たちが届けたい音楽、それが中心になって、それを貫くということですか?
さすけ
そうですね。多分、2人とも前のバンド活動やYouTubeで16万人の登録者がいた経験があるんですけど、それは世間に求められることをやってバズらせて成功したんです。でも、それをもう一回やる気はないんです。今度は自分がやりたいことをやり、自分を好きと言ってくれる人を大事にするところから変えていこうと思っています。
__伸び率は素晴らしいですね。
さすけ
インスタグラムもゼロから4ヶ月で6,000人に達しました。この調子で続けていけたらと思っています。
__自分たちがやりたいことが結果として現れるのは嬉しいことですね。
さすけ
今の時代、みんなが「これが流行るだろう」と思ってハイクオリティなものを作っている中、逆に僕たちは楽屋でダラダラしている動画をアップしたり、曲もバラードからアップテンポに切り替えたり、自由にやっています。何も考えずに発信しているので、その自然体な感じが見る側にも伝わり、応援したくなるんじゃないかなと思います。そういう余白の部分につながっているのかなと感じます。
__音楽を一言で表すとどういう存在ですか?
さすけ
音楽は、僕にとってコミュニケーションの手段です。音楽を通じて社会と繋がり、多くの人々と出会うことができました。音楽がなければ、今の自分はなかったと思います。音楽があるからこそ、こうして皆さんともお話できているんです。
美咲
音楽は、ありのままの自分を表現できる場所です。言葉で表現する時は気を遣いますが、音楽では自分だけの思いをそのまま伝えることができます。周りの目を気にせずに、自分の気持ちを表現できる場所であり、それが自分を救うことにもなりました。
__ユニットを組んで活動する中で、価値観が共通していることでやりやすさを感じていますか?
さすけ
はい、感じています。例えば、対バンのバンドの曲を急にカバーすることがありますが、音楽は一人でやるものではなく、みんなで楽しむものだと思っています。スタジオで一緒に作業して、お互いに共感できる部分があるからこそ、活動がうまくいくと感じています。価値観が合っているからこそ、お互いにやりやすさを感じる部分が大きいです。
__最近のライブで特に印象に残った出来事や成功したと感じたポイントは?
美咲
最近のライブでは、ハプニングが多かったです。音が出なかったり、弦が切れたりすることもありましたが、そうした状況にもだんだんうまく対応できるようになり、力まずにライブを楽しむことができました。弦が切れてライブができない状況になった際は、元々弦が切れていたメンバー以外で、他のバンドの曲を即興でカバーしました。その場を楽しむことができ、それが成功体験だと思います。
__ライブパフォーマンスで一番大切にしていることは何ですか?
さすけ
パフォーマンスでは「自分たちが一番楽しむこと」を意識しています。メンバー同士やサポートメンバーを含めて目を合わせたり、あえて引いたりすることもあります。観客が「このバンドはすごく仲がいいんだな」と感じられる方が、見ている人たちも幸せな気持ちになれると思っています。その点を大切にしています。
__音楽を通じて人々や社会にどのような影響を与えたいと考えていますか?
美咲
最初から『誰かを救いたい』と思って音楽を始めたわけではなく、ただ自分が服部(マカロニえんぴつのメンバー)に憧れて、服部に救われ、服部を追いかけているだけなんです。服部というのは、マカロニえんぴつのメンバーのことを指しています。その服部に影響を受けて、私もいつか誰かにとって憧れの存在になりたいと思っています。本当に。
__なるほど、つまり、追いかけられるような存在になりたいということですね。
美咲
そうですね。もし自分が誰かにとってそういう存在になれるのなら、その人を大事にしたいですし、死ぬまでそう言い続けたいと思っています。
さすけ
音楽がいいなと思う理由って、例えば昔の人たち、旧石器時代とかの人々って、文字もなかったし、技術もほとんどなかった時代だったじゃないですか。でも、その時代でも言葉がなかったからこそ、夢の中で変なドラゴンとかが出てきたら、それを石や土に絵として描いて、後の人たちに『こんなものが出てきたんだ』と伝えようとしたんです。これが、芸術や言葉の始まりだと言われているんですよ。それを始めた人たちの積み重ねのおかげで、今の芸術や文明が発展してきたわけです。
昔、色というものは一色しかなかったんですが、今では色が何百色も説明できるようになっていますよね。例えば、アンミカさんが『何百色もある』と言っていますが、それも一つの進化なんです。昔は色といえば、白っぽい色しかなかったものが、今では具体的に200色以上説明できるようになっています。これが、表現者たちの努力と積み重ねの結果だと思います。
そして、表現者というのは、悲しいという感情をただ『悲しい』と言うだけではなく、もっと細かく、こういう悲しみもある、ああいう悲しみもあるというふうに表現するものだと思っています。日本語でも『悲しい』という感情に対して、たくさんの表現があるように。音楽やアートにおいても、同じように、感情をより細かく表現できるように進化してきたと思います。
例えば、ある曲が、彼氏に振られて『こういう振られ方をした時の悲しみ』をピンポイントで表現できているとしたら、それを聴いた人が自分の感情を癒してくれるかもしれません。しかし、そういった曲が存在しない場合もありますよね。そんな時に、存在しなかった感情を救い上げるような新しい表現を作り出すことが、アートの大事な役割だと考えています。
だから、例えば、手垢がついたような夢や、光を目指して、虹を追いかけるような歌詞はもういいんじゃないかと思うんです。そういったものは、今後作ることは少ないと思います。むしろ、私たちが作りたいのは、もっと具体的で、身近な感情に触れるようなものです。
実際に、新曲『ローリンタウン』の歌詞に、『行きつけの街、あの中華料理屋が潰れてしまった』という部分があります。これ、おそらく日本の音楽では初めて歌われた内容だと思います。そんな歌詞に共感する人がいると思うんです。私たちが表現するのは、ただ悲しいだけの感情ではなく、もっと具体的で、誰かが経験したことがあるような感情に訴えかけることです。それに共感したり、ノスタルジーを感じたりする人がきっといると思います。こうした表現をもっと突き詰めていくことで、より多くの人々に救いを与えられると思っています。
まだこの曲やこの言葉では、誰かのすべての悲しみを癒すことはできないかもしれません。でも、もっと自分の感情に合った、ピンポイントで癒せるような作品を作りたいと考えています。
__なるほど、やっぱりまだ音楽が手を差し伸べられていない人たちやリスナーがいるということですね。そういった方々に届くような音楽を作りたいという思いがあるわけですね。
美咲
それは、何かを意図して狙って作れるものではないと思っています。私たちがやりたいこと、届けたいものを心から作ることが大事だと思っていて、それが結果的に人々に届くという形になるんじゃないかなと思っています。
__最後に読者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
美咲
私たちはありのままで挑戦しようというバンドで、音楽を届けたくて活動しています。私たちの音楽が好きな人たちだけに応援されたいと思っています。だから、どこにもこびるつもりはなく、持論を押し付けることもありません。楽しく生きている人たちと一緒に、楽しく生きていきたいですね。だからこそ、ミーマイナーに出会ってくれた人たちの手を離さず、これからも大きいところに引っ張っていけるようなバンドになりたいと思っています。
__等身大のアーティスト像が届いてほしいですね。
ミーマイナー
そうですね。
__最近の活動についてどう感じていますか? 特にライブなどはどうですか?
美咲
最近、ライブに来てくれるファンだけでなく、私たちを知らない人たちも来てくれるようになりました。その場で私たちを知ってくれるという新しい出会いが多く、広がりを感じています。これから名古屋、大阪、福岡にも行けることになったので、すごく楽しみです。
__信頼される姿が届いて、新たに聞いてくれる方が増えるといいですね。
美咲、サスケ
頑張ります!!
今回の取材では、ミーマイナーの活動にかける想いや音楽制作の裏側についてお話しを伺うことができました。
ミーマイナーは、2025年の2〜4月にかけて、大阪、名古屋、福岡でライブを予定されています。新たな出会いが広がる中で、彼らの音楽に触れるチャンスです。ぜひミーマイナーのライブに足を運んで、そのエネルギーを体感してみてはどうでしょうか。
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EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/
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結成のきっかけ
──まず、結成のきっかけを教えてください。 美咲 もともと、さすけさんのボカロPとしての活動が好きで、特に「物憂げ」というYouTubeチャンネルやCDのファンでした。ある日、「歌い手さんを募集します」というツイートを見て、思わず応募したんです。それがきっかけで、一緒に曲を作るようになりました。 ──最初は楽曲制作からのスタートだったんですね。その後、どのようにバンド結成へと発展したのですか? 美咲 以前は別のグループで活動していましたが、解散を機に新しい仲間を探し始めました。路上ライブをするうちに、バンドとして本格的に活動したいと思うようになり、「物憂げ」の曲を歌えることや、自分の楽曲も編曲してもらえることに魅力を感じ、さすけさんにバンド結成を提案しました。 ──最初は美咲さんからのオファーだったのですね。さすけさんはどう感じていましたか? さすけ 以前から、吉川さんや山遊びさんのようなアーティストと共に音楽を作りたいと思っていました。「物憂げ」では15人以上のボーカルとアルバムを作ったことがあり、美咲さんもその一人でした。その後、彼女がTikTokで10,000人以上のフォロワーを持ち、路上ライブでも活発に活動している姿を見て、スター性を感じ、一緒にやりたいと思いました。 ──コロナ禍後、音楽業界は厳しい時期が続きましたが、そんな中での出会いは大きかったのでしょうか? さすけ 実は7年前、彼女が別のグループで活動していた頃から楽曲を提供しており、当時から接点がありました。高校1年生の頃から毎年1曲くらい提供していたので、プロデューサーと演者としての信頼関係が築かれていたんです。さらに、SNSを通じてお互いの活動を見ていたこともあり、自然な形でバンドが始まりました。バンド名「ミーマイナー」の由来

音楽のスタンスと理想のアーティスト像

バズを狙わず、自分たちの音楽を貫くSNSとライブ展開

音楽を通じた自己表現とチームワークの大切さ

歌詞と音楽制作におけるこだわり
__曲作りについてですが、インスピレーションはどのようなところから得ていますか?制作を進める際に工夫していることがあれば教えていただけますか? さすけ 私は歌詞を最も大切にしています。詩集や小説をよく読んで、新しい言葉の組み合わせや可能性からインスピレーションを得ることが多いです。その後、そのアイデアを元に歌詞を作り、曲に落とし込んでいきます。 美咲 私は映画を見て感動したり、本を読んで感じたことをそのまま曲にするタイプではなく、実際に自分の人生で感じたことを表現する方です。そのため、歌詞は自分が書きたいと思った時にしか書きません。それ以外の時は、お願いして書いてもらうことが多いですね。 __最新リリースの「オンリーロンリータウン」についてお伺いします。この作品で特にこだわった点や調整した部分を教えていただけますか? さすけ この曲は、かなり自然にできたものです。僕の得意なコード進行や曲調、手癖で作りました。ただ、歌詞には特にこだわりがありました。特にサビでは、最初に「一人で見るドラマ」と歌い、次に「二人で見たドラマ」という回想的な要素を入れることで、リスナーに別れの時系列を印象づけるようにしました。通常は逆の順番にすることが多いと思いますが、あえて「一人で見るドラマ」を先に持ってくることで、すでに別れが起きていることを伝えたかったんです。 また、歌詞には日常的な具体的な描写を多く取り入れており、「行きつけの街中華」や「冷めたコーヒー」など、普通の人が思いつかないような表現を使いました。これによって、リスナーにリアルで深い印象を与えることができたと思っています。コーヒーの話では、温かいと苦味を感じにくいけれど、冷めると苦味が増すという性質を恋愛に重ね合わせて表現しました。 __歌詞の構造や表現方法について、何か特にこだわっている点はありますか? さすけ 歌詞には本当に多くの工夫が詰まっています。一行の歌詞に1年かけたこともあるくらい、歌詞作りには時間をかけています。歌詞は常に新しい価値を生み出すための研究のようなもので、今後はそのロジックやノウハウをもっと広めていきたいと思っています。 __音楽制作全般において、これまでに直面した挑戦や、それに対するこだわりなどがございましたらお聞かせください。 さすけ、美咲 作業量が多いんですけど、ミーマイナーはメンバーだけで運営していて、CDも全て自分たちで作っています。そのため、梱包作業も含め、すべてを手作業で行わなければならないんです。例えば、新しいジャケットを取りに行ってスマホで撮影し、パソコンに取り込んでデザインして発注し、届いたものを梱包して販売するまでの一連の作業を全て自分たちでやっています。遠方に出かけることもありますし、作業量が多いことは確かですね。 __思いがこもっていそうですね。全部やっているということは。 美咲 本当に、思いがすごくこもっていますよね。指紋もたくさんついているでしょうし。(笑) __これから挑戦してみたい音楽スタイルや新しいリリースの予定について教えてください。 美咲、さすけ かなりいろんなジャンルを試してきたので、ライブではバラードもロックも演奏してきましたし、どれも楽しいと思っています。そのため、特定のジャンルにこだわって「この曲を出します!」という感じではないのですが、新曲はたくさん作っていて、今リリースされているのは9曲ですが、すでに16曲ほど完成しています。早くリリースしたいという気持ちが強いですね。 なので、ジャンルを大きく広げるよりは、今の方向性を大切にしつつ、ミーマイナーの軸を保ちながら、アップテンポ、ミディアム、バラードの3つの軸をさらに強化していけたらと思っています。音楽を通じて届けたいメッセージ

名古屋拠点の4人組バンド The Moon – 日常が紡ぐ音楽の物語
筆者がストリーミングで耳にした瞬間、心を掴まれたバンド、The Moon。
愛知県の名古屋を拠点に活動する4人組バンドで、ジャズやR&Bの要素を感じさせる 1st シングル「徒花」をリリースすると同時にバンドを結成し、本格的な活動を開始したようだ。
儚さを感じさせる歌声と、温かみのある音色やメロディが織りなす音楽、そして日常の一部を切り取ったかのような歌詞が印象的で、聴く人の心にそっと寄り添う楽曲となっている。
そんな彼らが、12月15日には初のEP「atodashi」をリリースし、新たな音楽表現の一歩を踏み出した。
今回のインタビューでは、メンバーの琴梨(Vo)さん、宮田(Ba)さん、真央(Key)さん、めい(Dr)さんのうち、宮田(Ba)さん、真央(Key)さん、めい(Dr)さんの3名に、バンド結成の背景や、これまでリリースした楽曲に込めた想い、そして今後の展望についてお話を伺うことができた。
まずは、バンド結成の経緯やメンバーとの出会いについて伺った。
__バンドを結成しようと思ったきっかけは何でしたか。
宮田(Ba):僕と真央(Key)が高校時代からの同級生で、卒業する前から「何かやりたいね」と話していた中で、結局サラリーマンに1回なったんですけど。ある時友達がカラオケで、King GnuさんのVinylを歌っていた時にMVが同時に流れていて、それを見た時に僕に電気が走りまして(笑)。こういうのをしたいと思って。それでKing Gnuさんを追いかけつつ、他のアーティストさん含め、アーティストの人たちがフェスなどのステージに立って見ている景色を見てみたいなと思って。それで真央と2人で、バンドを組むことになりました。
__楽器の経験はそれまであったのですか。
宮田(Ba):全くやったことがなくて。20歳の頃に楽器を始めると同時にバンドを組みました。
__めいさんの、メンバーとの出会いのきっかけは何でしたか。
めい(Dr):ボーカルの琴梨さんとたまたま同じ美容院に通っていて、席が隣になって。その時に、たまたま会話の中で私がドラムをしていることを聞いていてくれたみたいで。琴梨さんから、「今、バンドにドラムがいないから入ってくれませんか」と誘われたのがきっかけでした。私が元々 The Moon のファンで楽曲を聴いていたので、ぜひ参加したいと思って。
__バンド名の「The Moon」、由来を教えてください。
宮田(Ba):由来は、バンド名をどうするかっていう話になっていた時に全然決まらなくて。コンビニで話していて、空を見たら月が綺麗だったっていう(笑)。
バンド名の由来は、日常から切り取ったようなもので、「月」という要素が彼らの楽曲の雰囲気にもぴったりと合っているように感じた。
では、彼らは普段どのような活動をしているのだろうか。SNSでは、レコーディングやスタジオ練習の様子が見受けられたが、実際のところはどうなのか。さらに掘り下げて聞いてみた。
__活動状況としては、楽曲制作やライブは頻繁に行っているのですか。
宮田(Ba):ライブは正直まだ1回しかしたことがなくて、今年の5月に1度だけ行いました。というのも、自分たちの持ち曲がなくて。5月に1回行ったライブは少しなのですが、コピーを交えてのライブをしました。それで今3曲リリースしているのですが、それからは自分たちの曲を増やすために、12月15日リリースのEPに向けてレコーディングと制作を繰り返していました。
レコーディングは、12月15日にリリースの4曲入りEPの制作に向けたものだったようだ。
The Moonの楽曲はどのように作られているのだろうか。
__楽曲制作はどのように行っているのですか。
真央(Key):僕の家にパソコンやインターフェイスとか機材が色々置いてあって、そこでDAW上でできるようになっていて。楽曲は僕と宮田が作ることが多いので、2人で僕の家に集まって、話し合って作っていくことが多いですかね。
__作詞作曲を二人で行っているのですか。
真央(Key):作曲は僕が少しできて、作詞は全て宮田が担当しています。 1人で完全に作るというより、2人で話し合って作っていくので、作り始めに大体最初どういう曲を作るかっていうイメージを2人で固めてから作ることが多いですかね。
EP作品について伺う前に、まずは現在リリースされている3曲の楽曲について知っていただきたい。
楽曲についてお話を伺う中で、それぞれの楽曲にテーマが意識されていることが印象的だった。
まず、2023年9月にリリースされた1st シングルの「徒花」。
この楽曲は『失恋』をテーマにしているそうだ。 ジャズっぽさを感じさせる独特のリズム感がイントロから引き込んでくれ、琴梨さんのボーカルと切ない曲調が見事に合わさった楽曲だ。 曲名の「徒花」は、『咲いても実を結ばない花』を意味し、外見は華やかでも実質を伴わないもののたとえにも使われる言葉だ。 歌詞は宮田さんの実体験をもとに書かれているようで、実を結ぶことができないもどかしい恋愛心情が表現されている。
__「徒花」という楽曲について、『失恋』をテーマにしたきっかけは何でしたか。
宮田(Ba):僕の失恋です。振られたじゃないですけど、色々あってダメだった女の子に届けばいいなっていう想いで作りました。
__制作にあたって、工夫した部分はありますか。
真央(Key):最初(宮田さんが)コード進行を出してくれて、僕がとりあえずコードだけでピアノのバッキング入れて「いいじゃん」ってなって進んだんですけど、あとはもうなんかセンスでやったよね。
宮田(Ba):センスでやりました(笑)。
真央(Key):センスで結構進めちゃって。
宮田(Ba):真央と僕の好きな音楽が結構似ていて。2人の好きな感じをふんだんに詰め込んだ曲になりました。
__どういったアーティストさんのイメージを持っていたのですか。
真央(Key):僕、The Cardingsさんの『Carnival』っていう曲が好きで、その曲のイントロがオルガンから始まっていて。すごくいいなと思って、オルガンで始まるイントロのアイデアはそこから持ってきましたね。ドラムは最初結構センスで作りましたけど、よく聴いたら僕らJamiroquaiさんが好きなんですが、『Virtual Insanity』っていう曲と似ているね、という話にはなりましたね。
次に、2024年4月にリリースされた 2nd シングル「MUT」。
ラップが印象的で、1stシングルの「徒花」とは異なり、ヒップホップ要素が取り入れられ、楽曲の雰囲気がガラッと変わっている。
曲名の「MUT」は、ドイツ語で『勇気』という意味があるそうだ。
そのテーマでもある通り、踏み出せずにいる人たちに向けて語りかけ、自分の目指す未来へ進んでいけるよう『勇気』を届けるメッセージが込められた楽曲となっている。
__「MUT」という楽曲について、『勇気』という意味を込めた楽曲にした理由は何でしたか。
真央(Key):2ndのシングル「MUT」は、リリースした時期が4月の後半で。 4月は新しい環境で頑張る人が多い時期でもあるので、そういった人たちに向けての『勇気』をイメージしました。
__ラップも印象的で「徒花」に比べて雰囲気も一気に変わったと思いますが、何か意図があったのですか。
宮田(Ba):1番初めに出したのが結構暗い曲なので、次は明るい楽曲をやってみようかっていう。僕が趣味でラップをやってるので、自分のラップを入れようという風に考えました。
宮田さんが趣味でやっているというラップが取り入れられたこの楽曲では、リリックにも寄り添ったメッセージが込められている。ぜひ注目してほしい。
続いて、2024年7月にリリースされた「Soleil」。 この楽曲は『結婚』をテーマに作られた楽曲のようだ。 結婚を誓い合う心情や、人生の新たなスタートを描いた歌詞にも印象を受ける。
__「Soleil」という楽曲について、『結婚』 という意味を込めた楽曲にした理由は何でしたか。
宮田(Ba):3曲目の「Soleil」は、ちょうど友達が結婚式だった時で。その友達は高校からの友達でよく知っていたので、高校から今までの経路をたどっての歌詞になっています。
__イントロの部分でもイメージを感じましたが、『結婚』のテーマを表現するために意識したことはありますか。
真央(Key):「Soleil」は『太陽』っていう意味なんですけど、「ひまわり」っていう捉え方もできるらしくて。結婚した友人の奥さんが向日葵が好きらしく、そこからこの曲名をつけました。
楽曲で表現した部分は、本当は『太陽』という意味なので、最初は、少し焚き火の音みたいな要素を入れて、火を表しました。ここでストリングスも使ったことで、華やかに、少しクラシックっぽさも表していこうかなと考えた感じですかね。盛大に祝いたいなと思って工夫したところです。
このように友人の結婚を祝う気持ちや、その特別な瞬間への思いが楽曲の細部にも表現されている。
聴く人に幸せが伝わるような、温かさの込められた楽曲となっている。
既にリリースされている3つの楽曲についてお伺いしたが、12月15日にリリースのEPについてもお話を伺った。 4曲を含めたEP「atodashi」をリリースするようだが、これまでの楽曲とは少し異なるアプローチを取り入れているようだ。
真央(Key):これまでの楽曲では、音色をたくさん重ねるという方向性で編曲とかをしていたんですけど。
宮田が、少ない楽器や音数での「満足感のある曲」を追求しているようで。それを聞いて、最近は少ない音数の中でその1曲で満足感が出るというのを目指して制作していますね。音数が少ない分どう展開していくかを考えることが最近多いかなって思います。
__EPについて、何かテーマはあるのですか。
宮田(Ba):EPの名前が「atodashi」っていう名前になっているんですけど。日常にある恋愛だったり、会話の中での「話し手の後者に回る」といったようなものが、一応テーマになっています。
真央(Key):「笑談」っていう曲があって、その曲は特定の友人とか、周りであったことを歌詞に込めて作っていますね。でもそんなにがっつりとしたテーマはないかな。
__制作において今までの3つの楽曲とは違う、新たな試みはありましたか。
真央(Key):今のところ、3曲ともジャンルが別々っていうか。1曲目はジャズやR&B、2曲目はラップでヒップホップ要素を取り入れて、3曲目がクラシックっぽさをイメージしたんですけど。
でもこれから、自分たちのバンドの色を定めていきたいっていうところもあって、EPで少し固めるようにはした感じですかね。 僕らはいつも通り作ったつもりなんですけど、聴き手からしたらまた新しいものになったのかなと思います。音数が少なくなって、また少し違う感じに聴こえるんじゃないかなと思います。
EPのリリースを機に、今後のライブ活動にも期待を抱いているが、過去に一度行ったライブについても、今後の展望を交え、お話を伺った。
__初めて行ったライブはカバーも交えたんですよね。どんな曲をカバーしたのですか。
宮田(Ba):2曲カバーはしたんですけど、うちのボーカルの声に合いそうだと考えてshowmoreさんの「circus」、あとは僕と真央がやりたかったSuchmosさんの「GIRL」という曲をカバーしました。
__どういうお気持ちでしたか。
宮田(Ba):あんまり成功した感はなかったですね(笑)。
真央(Key):「徒花」がオルガンとかを使用して、音色も少し多く取り入れていて。それもあって初のライブで、同期を使って演奏したんですけど。同期をセッティングするっていう部分で、最初手こずったかなって感じですかね。最初やばって思ったけどね(笑)。これからライブをしていって、そういうとこも慣れていって、いろんなところでライブをしていきたいって思いますね。
__その時はどういう規模感の場所で行ったのですか。
宮田(Ba):喫茶店だったんですよね。マニュアル喫茶店で。ほぼ自主企画みたいな感じで、先輩のバンドとか呼んで、ラッパーとかも呼んでみたいな。DJもして。
__楽しそうですね。
宮田(Ba):楽しかったですけどね、あんまり満足できなくて(笑)。
__EPを出すというきっかけで、今後のライブの展望はありますか。
宮田(Ba):無難にライブハウスでやったことがないので、今までで。誰もが一度は通るライブハウスでもやってみたいですし、野外でもやってみたくて。 今のところの僕らの目標が、愛知県の蒲郡市である「森、道、市場」っていう大型のフェスがあるんですけど、出てみたいなと思っているので。野外でもライブをやってみて、経験を積んでいきたいですね。
まずは、来年からライブ活動にも積極的に取り組んでいきたいという熱意も伺うことができた。今後の展開にも注目していきたい。
現在はバンド活動を中心に音楽活動を行っていますが、それぞれの活動の取り組みについても伺った。
__現在、活動はバンド活動中心で行っているのですか。
真央(Key):僕はバンドで楽曲を作る活動をしていることが多いですね。あとは楽器を始めたのが遅くて、実力がまだないなと思っていて。クラシックとジャズを習いながら作曲をしていますね。
宮田(Ba):僕は、バンド組んだと同時期くらいに仕事を辞めて、そこから作曲活動中心でという感じです。
めい(Dr):私は、普段は音楽の先生とピアノの講師をしています。他の時間はもう趣味も音楽なので、全部ドラム、バンドです。
__ボーカルの琴梨さんも、弾き語りでステージに出ていますね。
宮田(Ba):琴梨さんは高校からギターを始めて、卒業したタイミングぐらいから弾き語りを始めたようで。そこからも趣味という感じでステージに出ているのだと思います。
__今後バンドとして挑戦していきたいと思っていることはありますか。
真央(Key):12月はEPで4曲をリリースする予定ですが、今後はアルバム、もう少し大きな作品を僕は作っていきたいなと考えていますね。ライブは先ほども言った「森、道、市場」を目標に頑張りたいです。
めい(Dr):県内でも県外でもいっぱいライブやりたいです。あと私も作曲したいです、一緒に(笑)。
めいさんはEPがほぼ完成していた段階でバンドに参加したとのことで、今後は制作活動にも積極的に取り組んでいきたいとのこと。 今後、新たな楽曲の世界が広がる可能性を感じさせるコメントだった。 The Moon が作り出す新たな音楽の世界が、今後の楽曲やライブ活動を通じて多くの人に広がっていくことを期待したい。
__EPリリースを踏まえて、どういう風に聴いてほしいといった想いはありますか。
宮田(Ba):今回のEPの楽曲は意外と寄り添った曲というか、さまざまな人に当てはまることが多いと思う曲ばかりなので。自分を当てはめてじゃないですけど、感化されてほしいなって思います。
めい(Dr):感化されてほしいですね(笑)。
まお(Key):やっぱ僕と宮田が、楽器を始めるのが遅かったけど、こんなことができるよっていうのを思ってもらえたら、多くの人が色々な道に挑戦したり、 今からでもできるって思えたらいいなって僕は思っています。
12月にリリースされるEPでも、私たちの日常に寄り添う、素敵な楽曲が詰まっているだろう。
ぜひこの機会に、The Moon の音楽に触れてみてはいかがでしょうか。
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EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/
Web3 音楽ストリーミング:https://w3.evening-mashup.com/
結成のきっかけは、King Gnu のMV

3つの楽曲に込められた想い

EP「atodashi」を通してバンドの色を

目標は「森、道、市場」

日常で紡ぐ音楽

「嫌々」で大注目の “HALVES” 、双子が手掛ける音楽とイラストの融合
TikTokをきっかけに注目を集め、楽曲「嫌々」がストリーミングで1,000万再生、YouTubeではMVが300万再生を超えるなど、話題を呼んでいる双子で活動中の“HALVES”。
弟・りょうまさんが手掛ける心に響く楽曲と、兄・みらいさんの描くキャラクターアニメーションが融合したMVが注目を集めている。
今回のインタビューでは、彼らの活動の背景、楽曲やMV制作へのこだわり、そしてこれからの挑戦についてお話を伺た。なぜ彼らの作品が多くの人の心を捉えるのか、その魅力に迫る。
TikTokを通じて始まった活動
「嫌々」のMVが300万回再生、Spotifyでのチャートイン、プレイリスト選出などで話題を集める一方、「ウェルテル」も100万回再生を突破するなど、公開された楽曲が次々と反響を呼んでいる。そんな彼らに、現在の心境を伺った。 __YouTubeのMVが大きな注目を集めていますが、現在の心境はいかがですか。 みらい(兄):弟の作る楽曲は素人の僕が聴いても素晴らしいものなので、楽曲が注目されたのは「やっぱりな」という感想です。そのおまけといってはなんですが、僕の手がけるMVが300万再生超えを果たし、自分のキャラクターにも注目していただけて嬉しさと驚きでいっぱいです。 りょうま(弟):まさかここまで多くの人に見られるとは思っていなかったので、驚きと嬉しさでいっぱいです。 TikTokを通じて、「迷夢」や「どうせ」をはじめとした、現在リリースされている楽曲を含む数々の動画を投稿し始め、次第に注目を集めるようになった “HALVES”。 その活動を始めたきっかけを伺った。 __TikTokの投稿を始めた理由を教えてください。 みらい(兄):弟の歌を多くの人に聴いてもらいたいという強い思いからTikTokへの投稿を始めました。その中で、2人でHALVESとして活動するため、MVのアニメーション制作を始めました。 りょうま(弟):数あるSNSの中でTikTokを選んだ理由としては、一番拡散力や影響力があると考えたからです。 二人の活動が始まった背景には、兄・みらいさんの「弟の楽曲をもっと多くの人に届けたい」という強い思いがあった。この思いをきっかけに、二人はHALVESとしての活動をスタートし、楽曲にイラストを融合させたMVを投稿し続けている。二人で作り上げる一つのMV

世界観や言葉にならない感情を楽曲へ
メッセージ性のある歌詞や、癖になる心地よいリズムやメロディが印象的なHALVESの楽曲。 そんな楽曲の制作を担当する双子の弟・りょうまさんにその背景を伺った。 __楽曲を制作するようになったきっかけは何ですか。 りょうま(弟):僕は16歳から楽曲制作を始めたのですが、自分の世界観や言葉にならない感情を表現したいと思ったのがきっかけです。 __メッセージ性のある歌詞が特徴的ですが、作詞において意識していることはありますか。 りょうま(弟):作詞は、「嫌々」や「完璧なLIFE」では言葉を並べること、「フラットアース」や「海底宇宙」では物語性を持たせることを意識したりと、曲ごとに表現の仕方を変えています。自分自身の感性を一番に、これまでにない新しさ、HALVESらしい雰囲気を大切にしています。 __その中で、最も注目を浴びた「嫌々」という楽曲では、何か意識したことはありますか。 りょうま(弟):「嫌々」の歌詞には、この世界に溢れているたくさんの嫌なことを詰め込んで、言葉を並べることを意識しました。ストーリーを意識したアニメーション
さらに、HALVESは楽曲だけでなく、ポップなキャラクターが描かれたアニメーション映像のMVも見る人を楽しませている。そんなイラストを手掛ける双子の兄・みらいさんにMV制作についてお話を伺った。 __MV制作はどのように行っているのですか。 みらい(兄):MVはiPadの「プロクリエイト」というアプリで描いたものをパソコンで編集しています。弟(りょうま)の楽曲の歌詞ではなく、曲調に焦点をあててイメージしたものを描いています。 __キャラクターの動きやストーリー性まで細かく表現されている印象を受けましたが、MV制作において意識していることはありますか。 みらい(兄):MVを作る際に意識していることは、ストーリー的な繋がりを作ることです。伏線を貼るのが好きで、よくMVを見てみると全てのMVに繋がりがあることに気づけるはずです。例えば「嫌々」の最後の方に出てきたロケットに乗ったリンゴは、「海底宇宙」で月に到着していたり。そういったキャラクターのストーリーも楽しんでもらいたいです。 __制作の際は、お二人で話し合いながら進めることが多いのですか。 みらい(兄):基本僕1人で作っています。アイデアが出ない時や感想が聞きたい時などは、りょうまと話し合っています。 歌詞の内面的な要素と、ポップなイラストが絶妙に組み合わさった彼らのMVは、多くの人に共感を呼び、同時に勇気を与えている。このような二面性について意識しているのか尋ねたところ、特に意識しているわけではないが、「双子の特権」なのかもしれないと答えてくれた。次回リリースの「誰もが死にたくなる夜に」
HALVESは現在、毎月リリースを実施し、月に一度新たなMVを公開し続けている。そんなお二人に、次回のリリース作品である12月13日配信予定の「誰もが死にたがる夜に」について、込めた想いや注目してほしいポイントを伺った。 りょうま(弟):次回配信予定の「誰もが死にたがる夜に」は、多くの人が抱える命に対する負の感情を、言葉を羅列してストレートに表現しています。この曲を聴いた人が自分の感情と向き合い、本音を曝け出し、一歩踏みとどまって前を向いてほしいと言う願いを込めています。 みらい(兄):MVでも、今までの楽曲のMVでキャラクター達が犯してきた悪事によって捕まってしまうといった伏線回収をしているので、そこも楽しみながら見ていただけたら嬉しいです。今後の挑戦
MVに寄せられたファンのコメントには、「アニメを制作してほしい」「ライブをするなら行きたい」「グッズが欲しい」といった声が多く見受けられる。そうした中、お二人に今後挑戦してみたいことを伺った。 __今後挑戦したいことはありますか。 みらい(兄):今後はグッズ展開などにも挑戦していきたいです。キャラクターのぬいぐるみや服など、様々なグッズを作りたいなと思っています。 りょうま(弟):ライブなどにも挑戦していきたいです。また、メディアに出ることを目標にしていて、特にラジオのパーソナリティを務めてみたいです。ファンの方へのメッセージ
__最後に、ファンの方へのメッセージをお願いします。 みらい(兄):ファンの方々には感謝で一杯です。僕ら双子のこと、特に弟(りょうま)の楽曲を好きになっていただきありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします。 りょうま(弟):ファンの方々の存在は僕が音楽活動をしていくなかでの大きな支えになっています。コメントは全て読んでいて、心温かい言葉に元気付けられています。感謝で一杯です。これからも頑張ります。ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024オープニングアクトに登場した“HINONABE”の音楽とその世界観に迫る
2024年8月27日に開催された、学生バンドが中心に出演する「SOUND SHOCK」や、9月14日から16日にかけて新宿・下北沢・渋谷の3地域で行われた大規模サーキットフェス「TOKYO CALLING」など、多くのアーティストが集まるイベントが続々と開催された。
その出演者の中で、筆者が特に注目している次世代学生バンドが「HINONABE」である。
彼らは、2024年8月10日のROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 にオープニングアクトとして出演し、さらに独特の世界観と迫力ある映像で注目を集めた「裸体」のミュージックビデオは、YouTube再生回数が3万回を超えるなど大きな反響を呼んでいる。
そんな彼らの楽曲に込められた想いや楽曲制作、ライブの背景に迫るべく、メンバー4人のうち、磯 敢太さん(Vo/Gt)、菊地 楓さん(Gt/Cho)、佐藤 ケンゾウさん(Dr/Cho)にお話を伺うことができた。
__TOKYO CALLINGやSOUND SHOCKを振り返り、現在の心境を教えてください。
磯(Vo/Gt):サーキットイベントということで新しいお客さんもたくさん来るので、今までやってないようなライブをしたり、少ない曲の中でも少し変化をつけたりして、楽しく激しいライブができたので、すごくいい夏の思い出になりました。
菊地(Gt/Cho):今まで出たことのない規模の大きなフェスやサーキットに色々と出ることができて、嬉しかったです。
佐藤(Dr/Cho):第一に、出たことがなかったサーキットに出られたことが嬉しかったのと、自分たちのやっている音楽をいろんな人に見てもらえる場っていう意味でも、そういう機会が嬉しかったし、もっと知ってもらいたいなという思いが、嬉しい気持ちの中にも強くありました。
__今年8月のROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 に出演した時の心境はどうでしたか。
佐藤(Dr/Cho):ロッキンは誰もが知ってるぐらい大きいフェス、夏の1番のフェスっていう認識なんですけど、そのようなフェスにオープニングアクトとして出演できたことがまず光栄でした。嬉しい気持ちはもちろんのこと、自分たちの年齢で簡単に立てるようなステージではないと思うので、貴重な経験ができて、これからも頑張っていこうっていうモチベーションにも繋がった気がします。
菊地(Gt/Cho):今回はロッキンのオーディションで勝ち上がって出演できた形になるんですけど、今後の目標にも繋がる良い経験になったと思っています。 あと、ちょうど自分の20歳の誕生日とロッキンの日が重なってて。お客さんにも「おめでとう」と言ってもらえたことはすごく嬉しかったですね。
磯(Vo/Gt):ロッキン、初めての規模感のキャパ、初めての野外ライブで。そんな大きいフェスに初めて出られるということで、不安もめちゃくちゃあって、もう本番直前まですごい緊張もあったんですけど、いざステージに立つと、すごく気持ちよかったですね。あとはオープニングアクトとして気合いももちろん入ってましたが、これがまたオープニングアクトじゃない形として出られた時、もう楽しみだなっていうのが思い浮かぶステージでしたね。
__バンドを結成されたきっかけやメンバーとの出会いを教えてください。
磯(Vo/Gt):僕とギターの楓(菊地)は元々音楽に一切触れてなかった人間で、全然違う部活をやってたんですけど。僕がオリジナル曲を作りたいと思って楓を誘って、その後ベースの優之介が入ってきて。活動していく過程で、高校卒業した時に前のドラムが脱退して、そこで募集をした時にケンゾウが来てくれて、今のメンバーで活動をしている状態です。
__皆さん元々お知り合いだったのですか。
磯(Vo/Gt):ギターともベースとも高校で初めて会いました。僕が高校に入る前からカバー曲よりオリジナル曲を作りたいなと考えていたので、それがきっかけになって、オリジナル曲を多く作る高校生バンドとして活動するようになったんだと思います。
__結成されたのはいつ頃ですか。
磯(Vo/Gt):今のHINONABEという名前になる前のバンドでは2020年〜2021年頃から活動していて、今のメンバーで本格的に始めたのは2024年、今年からです。
__佐藤さんはどのようなきっかけで参加することになったのですか。
佐藤(Dr/Cho):元々高校時代の彼らを見たことがあったんですけど、ちょっと興味があって。それでずっと見ていたら、ドラムが脱退しちゃうって話で、メンバーを探してるって聞いて。自分の感性的に、高校生でこういう音楽をしてるのは本当にすごいなと思っていたので、そこから、入らせてもらおうかなっていう経緯で自ら連絡しました。
__「裸体」という楽曲が注目されたと思いますが、こだわったポイントはありますか。
磯(Vo/Gt):この楽曲は高校生の時に作ったものなんですけど、自分たちの曲の中でも、特にメロディーやギターの音が聴きやすく、かっこよくできたとは思っていますね。この「裸体」は元々「人間失格」っていう違う楽曲名だったんですけど、それだと聴く人がそのタイトルに引っ張られてしまうのもどこか違うなということで「裸体」という名前にして。この楽曲もテーマは「愛」なんですが、愛にも気持ち悪い部分と、綺麗だと思う部分があると思っていて。そこで裸も、愛し合う時は裸になるし、かといって普通に裸で街を歩いてたら気持ち悪がられるし、みたいな。そういう二面性がある部分を表現したいなと思ったときに、1番自分がその時に身近にあったのが、「裸」っていう題材だったのかなということで、「裸体」という楽曲名にしました。
__ミュージックビデオの制作においてこだわった点はありますか。
磯(Vo/Gt):ミュージックビデオの制作では、監督さんと色々お話をしたり、撮影中もモニターで確認させてもらいながら進めました。汚い、気持ち悪いような、「いびつさ」っていうのを、綺麗に撮りたいというところに関して苦戦しつつ、結果かっこよく仕上げてもらったので、それはすごい感謝ですね。途中で映像が激しく変わる部分では、自分のボーカルとしての動きもそうですけど、あんまり日常では見ない、いびつな動きを取り入れました。日常ではしない動きを、楽器を持っていたり、ライブ中だとできちゃうので、そういう動き方は意識しましたね。
楽曲「裸体」で表現された「愛」の二面性を示す世界観は、楽曲の隅々にまで緻密に作り上げられており、彼が語る「いびつさ」を美しく映し出したミュージックビデオも非常に印象的だ。ぜひ、楽曲に込められた深い思いを感じながら、一度聴いてみてほしい。
YouTube - 裸体 / HINONABE (Music Video) :
https://youtu.be/nM17h2AQdps
__ライブパフォーマンスにおいて大事にしていることはありますか。
磯(Vo/Gt):少し前まではどちらかというと独りよがりというか、自分たちが気持ちよければいいや、そこに楽曲が持ってるパワーをお客さんにぶつけようっていうライブの仕方をしてたんですけど、最近になってお客さんもお金を払って見に来てくれてるし、いつでもできるライブをしちゃダメだなっていう気持ちがメンバー内でも強くなって。コンディションとかそういうの関係なしに、その時、その空間だから出せるライブ。仮に喉が枯れてたら枯れてるから出せるっていうような、ライブを全部プラスに持っていって、お客さん自体も生活の中でプラス要素になってくれるように、っていうことを心がけてやってますね。
菊地(Gt/Cho):ライブだとお客さんの表情を見て確認するっていうのを最近は意識してるようにしていますね。こだわっている部分だと、ギターの音作りではお客さんが聴きやすい音量感を気を付けたりしてます。
佐藤(Dr/Cho):磯の話に通ずるんですけど、ライブ感を大事にしてるつもりでいて。やっぱりドラムは、自分が出すテンポで曲の速さが決まったりとか、自分のテンション感でお客さんのノリが変わったりするので、自分が最初にテンション感を出さないとっていう気持ちもあって。動きだったりとか、それこそボーカルを見たりとか、お客さんの反応を一緒に楽しんだりとか。楽曲を聴くだけじゃなくて、ライブを楽しませるような考え方はいつも持っています。
ライブではお客さんの反応や一体感を何より大切にしているという。その瞬間、その場所でしか味わえない熱気や空気感、テンションがダイレクトに伝わってくるはずだ。ぜひ、実際に足を運び、その瞬間を体感してほしい。
新たな目標が見えたフェス出演

メンバーとの出会いや影響を受けた音楽

インスピレーションを受けているアーティスト
__影響を受けてるアーティストや尊敬しているアーティストはいますか。 菊地(Gt/Cho):高校に入るまでは全く音楽に触れてなかったのですが、音楽を始めてからヨルシカさんにハマって、高校の時ずっと好きでした。今はリーガルリリーさんや羊文学さんが好きです。 __高校入学してからギターも始めたのですか。 菊地(Gt/Cho):そうですね。 磯(Vo/Gt):僕はボカロを中学の時から聴いていて。高校に入ってからは、カラオケトップランキングとかに入ってるような曲ばかりを聞いたんですけど、NEEさんっていうバンドがきっかけで、アンダーグラウンドな曲を聴くようになりました。そこからより一層音楽の面白さを知った気がしています。僕にとってはNEEさんがでかいですね。 1人で楽曲を作ってる時には、できる限りその期間は1つのアーティストだけを聴かないようにしてるんですけど、サカナクションさんとかカネコアヤノさんとかは、影響というか、何回も戻ってきます。苦戦した時に、どうしたらこういう雰囲気を出せるんだろうかっていう時には、助けてもらったり、ある意味ちょっと気持ちを戻してもらったりしてますね。 __磯さんも高校に入ったタイミングで楽器を始めたのですか。 磯(Vo/Gt):そうです。高校に入る前は全然楽器とかは一切やってなくて。鼻歌はやってました(笑)。 佐藤(Dr/Cho):逆に僕は3歳ぐらいからピアノを習わせてもらってたので、割と物心ついた頃には音楽に触れてたので、明確に影響を受けたアーティストが誰かと聞かれると、覚えていないっていうのが答えです。ずっと音楽には触れていたけど、バンド系の音楽には触れてなくて。でも、いま僕のドラムに影響を与えているアーティストでいうと、絶対にルサンチマンっていうバンドを答えますね。 __ドラムはいつ頃始めたのですか。 佐藤(Dr/Cho):中学校から高校まで吹奏楽をやってたんですけど、ドラムはそこでちょっと触るぐらいで、ちゃんとやり始めたのは18歳の時で、2、3年前ぐらいですね。独自の世界観を生み出す楽曲制作
HINONABEの楽曲には一貫したテーマがあるのか、作詞作曲を担当する磯さんに尋ねると、彼は「愛」を大きな題材にすることが多いと語ってくれた。彼らは「愛」のさまざまな側面を追求し、その要素を楽曲の独特な世界観に取り込んでいる。そんな彼らの楽曲制作の過程に迫ってみた。 __楽曲制作はどのように行われていますか。 磯(Vo/Gt):楽曲制作は、僕がパソコンで全楽器を軽く入れたデモをメンバーに提出して、そこからはメンバーとアレンジを長時間かけてやってきたのが今までの作り方ですね。 __楽曲の世界観に衝撃を受けたのですが、どこからインスピレーションを得ていますか。 磯(Vo/Gt):抽象的になるんですけど、景色や匂い、温度とか、空間的な要素で曲作りが変わると思っています。また、ギターの種類とか出すアンプの音とかで、曲作りの雰囲気、モチベーションも変わりますね。逆に「生で音を出すからこういう曲ができる」という時もあったり、その時々で変わるのを高校生の頃くらいに気づいてから、1つの楽器でずっと作ったり、初めからパソコンでやったりというようなずっと同じ方法では作ってない気がします。 __歌詞も印象的ですが、どのように考えているのですか。 磯(Vo/Gt):文学に精通してるわけではないんですけど、小さい頃から本を読むのが好きだったり、漫画とかアニメとか映画が好きで。歌詞を書く時でも、気持ちを主体に出したい曲の時は気持ち主体で出して、言葉にできない雰囲気や世界観がある時は、変にその世界観を括らないように、その世界観が浮かんだ時にそばにあるものを風景として歌詞に織り込んだり。それプラス自分の感情とか、曲を作ってる時の温度感とかを一緒に歌詞に込めてますね。 __アレンジ面で意識していることはありますか。 菊地(Gt/Cho):アレンジでは、ボーカルメロディー、他のバンドメンバーのリズム感、自分の音の並び方を意識してて、自分のリードフレーズに関しては音の繋がりをよく意識してアレンジしてます。いつも楽譜ソフトでアレンジするんですけど、全体をまとめて聴いた時に聴きやすく感じるかどうかを大切にしています。 佐藤(Dr/Cho):僕が1番考えてるのは、ボーカルを立たせるのはもちろんのこと、リズムを刻みつつも、リードギターが出してるフレーズに寄り添うようなドラムをしたり、ベースが動いた時にはそれについてくじゃないですけど、それに沿ったり、バンドとしての一体感を大事にしてます。 磯(Vo/Gt):アレンジは技量を詰め込みすぎても、それが楽曲と合ってない時に、その世界観を崩してしまうこともあると思っているので、そこは変に喧嘩しないようにしたいなと思っています。また、曲作りでも一緒になるんですけど、すごく綺麗な音ばかりを使いたいとは思ってなくて、汚くてもいい音があると思ってるので、使用する音も意識しています。その中でも、全部の音やアレンジ、構成、全てに、後から聞かれた時に意味を伝えられたり、そういうのを具現化できるような範囲内でアレンジをしようとは思っています。ここでため(間)を作ったり、息を止めたりという部分には、こういう意味があるんだという風に、誰にでもわかりやすく伝えられるぐらい、堂々としたアレンジや音作りにしようって思っています。愛の二面性を表現した「裸体」

ライブで作り上げる一体感のある空間

聴いてくれる方々が誇れるバンドに
__今後の展望、ファンの方やこれから聴いてくれる方に向けてのメッセージをお願いします。 磯(Vo/Gt):もちろん変わらず曲はいっぱい作っていきたいし、今しか作れないものを作っていきたいし、そこに意味があると思っています。常に楽曲を作って、今応援してくれてるファンの方たちが自分たちのバンドの名前を言うのが恥ずかしくないような、誇れるバンドになりたいですね。ファンの方たちに向けては、曲をリリースするにしろ、ライブをするにしろ、そうやって聴いてくれてる方のためにやってるというか。そのファンの方たちの時間を絶対に無駄にしないように、悪影響を及ぼさない、良い影響を及すバンドになるので、楽曲からも色々なことを汲み取って、日々のプラスになってくれていれば嬉しいです。 菊地(Gt/Cho):もっとみんなに知ってもらいたいし、応援してもらえるバンドになりたいですね。ファンの方には今、古参でいられることが嬉しいと思ってもらえる、最近知ってくれた方には自慢にできるようなバンドになります。 佐藤(Dr/Cho):具体的にどこのステージに立ちたいとかっていう明確な目標はないんですけど、 磯も楓も言ってるように、名前を出したら知ってるって言ってもらえるような、そんな規模感のバンドになりたいなって思ってますね。ファンの方々に対しては聴いてくださったり、見てくださったりしてる方々がいるから、僕らもライブができてたり、楽曲を作れていたり、それをモチベーションにしていたりするので、今使ってくれてる時間だったり、聴いてくれてる方の心を無駄にしないように、これからその恩じゃないけど、楽曲やライブで返していけるようなバンドになりたいので、応援していてほしいです。”Vatelier.”自由な音楽のアトリエで創り上げる未来
2024年8月27日に開催された、学生バンドが中心に出演する「SOUND SHOCK」や、9月14日から16日にかけて新宿・下北沢・渋谷の3地域で行われた大規模サーキットフェス「TOKYO CALLING」など、多くのアーティストが集まるイベントが続々と開催された。
その出演者の中で、筆者が特に注目している次世代学生バンドが「Vatelier.」である。
「Fly Day」という楽曲がテレビ朝日系列YTS山形テレビ深夜版「Do~んな天気」の9月度テーマとして起用され、注目を集めているほか、YouTubeに公開されたMVは1万回再生を超えるなど、今後の活躍が期待される。
特に、バンド名の由来でもある「5人のアトリエ」が表現された自由な音楽スタイルが魅力的だ。
そんな彼らの楽曲制作に対する姿勢や活動の実態に迫るべく、アリマさん(Gt/Vo)、コトミさん(Key/Vo)、ヨタカさん(Gt)、シオウさん(Ba)、サラさん(Dr)の5人のメンバーにお話を伺うことができた。
SOUND SHOCKの出演を振り返って
__SOUND SHOCKを振り返り、現在の心境を教えてください。 アリマ(Gt/Vo): 今まで自分たちが出た中では1番大きい規模感で、入っているお客さんも人数が多かったので、緊張して気合いが入りましたね。 __他のライブやイベントと何か違った点はありましたか。 ヨタカ(Gt):僕は、大きなライブではあるけれども、いつもと違うってことはあまりなかったんですけど、他のメンバーはどうですか。 コトミ(Key/Vo):私もヨタカが言ってるように、 特にその他のイベントと全然違う感覚でいたわけではなく、普段からお金を払って見に来てくださってる方がいて、その分は意識を持ってやらければならないと思っているので、どのイベントにかける思いも一応同じではやっています。でも普段出ているようなイベントよりは大きいイベントに出ることができたので、ワクワク感であったり、どんな他のアーティストさんと出会えるのかなというのは結構楽しみでした。その分のモチベーションは結構高かったかなと思います。コピーバンドからオリジナルバンドへ
__結成の経緯が、軽音サークルだったようですが、どのような流れで結成に至ったのですか。 サラ(Dr):サークルでコピーバンドをするんですけど、King Gnuさんのコピーバンドをしたくて。私が、コトミとヨタカと、あと私のお兄ちゃんを誘って、そのメンバーだけ集まってて、じゃあキーボードボーカルもう1人どうしようってなって。そしたら先輩が「アリマさんやりたがってたよ」って言ってたので、その場でアリマさんに電話して。まずその5人で結成されました。 ヨタカ(Gt):付け足すなら、俺はやるとは言ってなかったよね。その時 (笑)。 サラ(Dr):名前書いて(笑)。 ヨタカ(Gt):いつの間にか名前書かれてたよね(笑)。 サラ(Dr):コピーバンドから徐々にオリジナルに移行していったという感じです。でも、途中でお兄ちゃんが個人の事情で脱退してしまって、そこにシオウくんが入ったという感じですね。 __結成されたのはいつ頃になるんですか。 コトミ(Key/Vo):オリジナルとして、完全にVatelier.としてやろうってなったのは多分1年半ぐらい前。 3月1日にVatelier.になった気がする。 __元々音楽性とかは皆さん一緒だったんですか。 ヨタカ(Gt):そうですね。 アリマ(Gt/Vo):みんなおしゃれ寄りの曲好きだよね。 コトミ(Key/Vo):あとシティポップとか好きな人も多い。 アリマ(Gt/Vo):バンドコンセプト的に「5人のアトリエ」ということで、それぞれの音楽感を1つのバンドに思い描いてこうかなっていう感じでつけた名前なので。みんなよくやってくれていると思います(笑)。 __元々コピーバンドをされていて、オリジナル曲を制作する方向性に変化したきっかけはありましたか。 アリマ(Gt/Vo):明確に路線が変わったのは、いつもサークルで出させてもらってるライブハウスが対外向けに行った、学生が出るコピーバンドイベントに出た時でしたね。そのライブハウスの店長の方が、「君たちはもっとオリジナルやってもいいと思うよ」みたいな感じで猛プッシュしてくれて。それで、始めてみたという感じでしたね。 コトミ(Key/Vo):で、その曲が意外と周りにも褒めてもらったりとかして、楽しいなみたいな感じで、ぬるっと始まって、どんどん曲も増えてきて今になりました。 __YouTubeやサブスクを見ると現在リリースされてるのは2曲でしたが、まだ他にも楽曲はあるのですか。 ヨタカ(Gt):いっぱいあります。 あるけど、なんもしてないねまだ。早くやろうね(笑)。 全員:(笑) コトミ(Key/Vo):オリジナル曲だけでライブはいっぱいしてて、もう完全オリジナルバンドとしてやってはいるんですけど。 曲枠をどんどん増やしていこうとはしてるんですけど、ちょっとボツになったり色々よくあるので(笑)。試行錯誤しながら進めてます。 YouTubeやサブスクで正式に公開されている楽曲は2曲だが、実際にお話を伺うと、お蔵入りしている楽曲を含めると10曲近くあることが分かった。今後どのようにリリースや公開が行われるのか、そしてどのような楽曲が秘められているのかは、注目すべきだ。楽曲づくりのインスピレーション
Vatelier.では、アリマさん(Gt/Vo)とコトミさん(Key/Vo)が中心となってデモを作成し、ヨタカさん(Gt)がそのデモをアレンジしてメンバーに提案するというプロセスで楽曲制作を行っているようだ。それぞれがどのように楽曲制作に取り組んでいるのか、詳しく伺ってみた。 ヨタカ(Gt):楽曲は基本的にコトミとかアリマが持ってきたものを、僕が全部アレンジして1度みんなにまた返して、またそこからどうですかっていう風に制作を進めています。 アリマの曲は基本的に音とかも作り込んで持ってきてくれるんで、あとはそれをバンドサウンドに。僕が全部ギターを入れたりとかしながら、細かいところを修正して直していきますね。コトミの方が弾き語りで送ってくれるので、その音源にキーボードを入れたりとか、ドラム入れたり、ベース弾いたり、ギター弾いたりみたいな感じで、自分が手広くやったのを最後にみんなに返す形で進めています。影響を受けたアーティスト
まずは楽曲制作の中心となっているメンバー3人に、楽曲制作においてインスピレーションを受けているアーティストについて掘り下げてみた。 コトミ(Key/Vo):1番好きなアーティストが、東京事変さんですかね。ジャズ要素が入ってる音楽が結構好きで、ピアノの方がジャズ専攻だったというところからマカロニえんぴつさんも好きです。あとはSIRUPさんが好きで、ラップとちょっとジャズっぽさ、R&Bっぽさもあるんですけど、その方の影響は結構受けてると思います。 アリマ(Gt/Vo):僕はKing Gnuさんもそうなんですけど、元々B'zさんがめちゃめちゃ好きで。なので多分、ロックのゴリゴリな要素も抜けずに作っちゃってるみたいな感じですね。 その中でVatelier.は、今でいうとお洒落な路線に行き始めたから、できるだけ自分の感性もそっちに寄せないとなと思ってて。 ヨタカ(Gt):僕はメンバーの中だと割と幅広く聴いていて、日本のアーティストだとヨルシカさん、米津さん、BUMP OF THE CHICKENさんだったりとか。あと、自分が素養を深めなきゃなと思うところがあって、ジャンルで色々聴いたりとかしてます。例えば、ネオソウルだとソエジマトシキさんとか、有賀教平さんのようなギターリストの演奏を参考にしてたりとか。メタルだとSlipknotさんがすごく好きなので、たくさん聴いたりとか。あと最近は海外だとPOLIPHIAさんとかすごい好きなんで、その辺りも参考にしながら曲に入れたいなと思って、いろんなアーティストからつまみ食いみたいな感じで聴いてますね。 アレンジってリファレンス曲があるかないかで結構違うなって思ってて。偉大なアーティストがいろんな良いものを残してくれているのを活用しない手はないよなっていう感じで、毎度毎度送られてくるデモをアレンジしながら頭を抱えてますね。バンドのリズム隊の視点
リズム隊のメンバーであるサラさん(Dr)とシオウさん(Ba)にも、それぞれの楽曲制作に対するアプローチや影響を伺った。 サラ(Dr):結構作り込まれた音源を送ってくれると、大体それに寄った感じのドラムを作る感じになるんですけど、私自身はそれこそコピーしてたKing Gnuさんとか、あと普通に好きなバンドなんですけど、Co shu Nieさんが好きです。あとはめちゃめちゃUNISON SQUARE GARDENさんをコピーしました。 自分の技術を上達させることはできたのかなと思っています。とにかく手数が多すぎて、次から次へと変則的っていうか、特殊なリズムがたくさん出てくるので、手数を吸収することができたのかなと思っています。 シオウ(Ba):僕は、アレンジして送ってくれた音源を比較的そのまま弾くことが多いんですけど、 その送ってくれたものに、この部分はこうした方が楽しいなとか、弾いてて気持ちいいなっていうフレーズに変えることが多いです。元々コピーしてたKing Gnuさんのフレーズを、ちょっと入れたこともありますし。あとシティポップが昔からずっと好きで、リズムの乗り方とか、スライドの音とかがすごい好きなんですけど、それを無意識で入れたりしています。五弦ベースを買ったんで、もっと低い音を入れてみたりとか、スライドのドゥーンって音を結構長めに尺取ったりっていうのは、影響受けてるかなっていうのは思いますね。最初の曲作りとアレンジ
バンドが最初に楽曲を作り始めたときの話や、アレンジの流れについても伺った。 アリマ(Gt/Vo):Vatelier.の1番最初の曲は、僕が元々作ってあった曲を何曲かピックアップして、この中からどれを1番最初にやりたいかをみんなに聞いて決まったのをやりました。最初の曲に関してはそんなにアレンジをしてないね。 アレンジが目立つのはコトミが持ってくる曲ですね、弾き語りベースでデモを送ってくれるので。それをどういう風に味付けしようかなっていう感じだよね。それでうまくいったのが「Fly Day」とかになるんじゃない。 ヨタカ(Gt):そうだね。「Fly Day」とか「Star」、あとは音源上での「黒猫」とかね。5人で彩る「Fly Day」
__楽曲「Fly Day」、注目されたと思いますが、どのように制作を行ったのですか。 コトミ(Key/Vo):私が弾き語りを少しやってた時期があって、個人的に曲を作るのが中学生の時から好きだったんです。それで、高校生の時に「Fly Day」の大枠になるような、歌詞や大体のメロディーをかいていて。Vatelier.を結成して、どういう音楽をやっていくのかはまだ定まってない段階だったので、「こういうコンセプトにしよう」とかではなく思いつきで作ったところはあったんですけど、メロディーと歌詞を結構変えて、リニューアルみたいな感じでできたのが「Fly Day」でした。 __作詞作曲の際、こだわりはありましたか。 コトミ(Key/Vo):私は思いつきというか、降ってきたもので作っちゃいますね。あとは韻を踏んだり、リズム感、テンポがよくきこえるように作りました。作詞に関しては、どこにどの言葉を入れようかを考えるのが結構好きで、「こういう意味の単語を入れたい」というところから、わからない言葉も調べたりして、パチっとパズルみたいにあてはめて作るのが楽しいと感じますね。 __アレンジの面でも、こだわった部分はありますか。 ヨタカ(Gt):「Fly Day」の時はベースが違ったのかな、今と。 シオウ(Ba):そうですね。当時アレンジに参加はしてないですけど、ライブ中で演奏する時は若干変えています。ベースラインはいじってないんですけど、少しゴーストノートを増やしてテンポ良くしてみたりとか。あとこれは他の曲でもそうなんですけど、ドラムに合わせるのは結構意識してやってるかな。サビのリズムの取り方もラスサビと1番のサビで変えてみたりとかは少ししてますね。 ヨタカ(Gt):他のメンバーは、最初の出来た当時の話になるのかな。Fly Dayのアレンジは今と形態がちょっと違ってて。その当時はまだ僕もアレンジとか作曲とか全然知識もなかったんで、持ってきた弾き語りの音源を聞きながら、みんなで1つずつ考えながら作ってったよね、その場で。 アリマ(Gt/Vo):3、4時間くらい一気に練習とって、ずっと缶詰めでしたね。 ヨタカ(Gt):やったやってた。 6時間取って、一生懸命詰めた時期もあった。結構コスパの悪いことやってたけど、それも大切な時期だったと思うな、振り返ると。そのコスパの悪さというか、がむしゃらさがなんか良さに出てるなと思うな。 アリマ(Gt/Vo):多分誰かが作ってきたやつじゃ、あのグルーヴ感にはなんなかったよね。みんなで生で、実際に一緒に入って作り上げたから、ゆったりとした感じに仕上がったんじゃないかなと思ってます。 __タイアップもされたということで反響もあったと思いますが、どういう心境でしたか。 アリマ(Gt/Vo):地上波映るんだって思ったね。 ヨタカ(Gt):メンバーの誰にも、知り合いにも言ってなかったんだけど、通ってる大学で実習に行かなきゃいけないんですよ。その実習は、1人じゃなく複数人で行く形になってて。一緒に行った同期の1人に山形出身の人がいて、タイアップしてるテレビを知ってたんですよね。それで番組のことを聞いたら、山形ならみんな知ってるお天気番組って聞いて。自分が山形に行ったことがないからどういう番組なんだろうと思っていたら、どうやら向こうも知っているみたいで、すごい盛り上がったっていう話があったんだよ。 サラ(Dr):バイト先の山形県出身の人とか、知り合いの山形県出身の人、みんな知ってて。 アリマ(Gt/Vo):YouTubeのコメント欄にも、テレビから来ましたっていうコメントがあったね、1個。 ヨタカ(Gt):ただ1つ東京から見れないってことが残念だったよね。どんな風に流れてるのか(笑)。 全員:(笑) 「Fly Day」の制作にあたり、メンバー全員が時間をかけて作り込んだエピソードや、ライブでの演奏を通じてさらに磨きをかけている様子から、まさに「5人のアトリエ」というコンセプトが色濃く表れている楽曲であることが伝わってきた。 YouTube - Vatelier. - Fly Day: https://youtu.be/HzfKXcu25tY?si=x57tx8U7bB1bq9NP活動を通して生まれた想い
__楽曲制作やライブの裏側で起きた印象に残った出来事はありますか。 コトミ(Key/Vo):私はVatelier.として曲を作っていく上で思ったことがあるんですけど、 最初はオリジナル曲をどういう方向性・ジャンルで作ろうか全然定まっていなくて難しかったんですけど、やっていくうちにVatelier.の色が出始めて来たような感じがしていて。今はお洒落なポップスっていうイメージで作るのと、個人的に「1つの物語を読んでるような感覚」になれるような曲を作っていきたいなと思っています。1つの曲に世界観がしっかりあって、ライブで聴いていても飽きないというか。どの曲も世界観があって良いと思える曲が作れたらいいなと今思っているので、このような方向性が見えてきたのは、私の中で印象的な出来事だと思います。 ヨタカ(Gt):喫煙所界隈。 『シュガースプレー』と『アローン』がいたりとか。ライブの裏側というか、共演者で仲良くなる機会は僕としては印象に残ることが多くて。自主企画をした時に来てくれた『Redrums』と『ココ』は、昔から国分寺の箱で一緒にやってる中で知り合ったりとか。バンドの横の繋がりというか、今でも関わり深い対バンの人との出会いっていうのはやっぱり印象に残るね。 アリマ(Gt/Vo):僕が1番印象に残ってるのはライブなんですけど、少し前に初の自主企画のライブをやらせてもらって。その時に30人くらい、それ以上は呼べたのかな、お客さん。結構狭いパンパンな中で、舞台の上から1人1人の顔を見ている時に感慨深さはありましたね。 なんかすごい気持ちよかった、あの景色は。 ヨタカ(Gt):それと同時に、いろんな人に支えられてたんだなっていうのも俺はあの時感じたよ。 アリマ(Gt/Vo):そう、みんな応援してくれてんだねみたいな。ありがとうっていう思いを込めて、めちゃめちゃ弾き倒した記憶があります。 サラ(Dr):私はライブ1回1回の、バンドの横の繋がりもそうだし、お客さん、あとライブハウスの方との繋がりってすごい大事だと思ってて。そこから自主企画のライブに呼ぶことができたり、違うバンドを見に来てたお客さんが私たちのバンドにも来てくれたり。あとはライブハウスの方にライブ誘っていただいたりっていうことが多くて。1つ1つの繋がりは大切なんだなって思ってます。 シオウ(Ba):バンド同士の繋がりで仲良くなって、他のイベントで一緒になった時に喋ったりというのは嬉しいなっていう風に思うんですけど。それ以上に感じるのは、僕は途中から入ったメンバーで、かつ周りのメンバーも全員サークルの先輩なので、最初はちょっと不安はあったんですけど、何度も一緒にライブを重ねるごとに距離が縮まったなと感じるのがすごい嬉しいです。もう今ほぼ友達みたいな感じで、先輩なんですけど接してる時もあるんで、毎回嬉しいなと感じている部分ではありますね。 アリマ(Gt/Vo):最初から友達だよ(笑)。可愛いやつで。 全員:(笑) それぞれのお話を伺う中で、Vatelier.としての音楽活動の方向性が、活動を通して徐々に形作られていく様子が見えてきた。また、共演者やライブハウス、そしてお客さんとのつながりを大切にする姿勢も強く感じられた。さらに、メンバー間の温かい関係性や仲の良さがインタビュー中のやり取りから自然と伝わり、Vatelier.の音楽には、こうした人とのつながりや信頼感が深く反映されているのかもしれない。ファンの方へのメッセージ
__最後に、ファンの方々やこれから聴いてくださる方々へメッセージはありますか。 シオウ(Ba):バンドとしても個人としても、これからパワーアップして、いい曲、いいベースラインを作れるようになろうと思うので、少しでもいいなと思ったらいっぱい聴いて、いっぱい応援してほしいなっていう風に思います。 サラ(Dr):日常に寄り添える曲を作りたいので、日常でいっぱい聞いてほしいです。 ヨタカ(Gt):星の数ほどあるアーティストの中から、もし自分たちの動画や楽曲を見つけてくれたなら、まずはそれにありがとうということと、あとはよかったらライブを見に来てねというところですかね。本当にありがとうございます。 アリマ(Gt/Vo):僕から逆に聞いてみたいですね、ちゃんと僕らの音楽ができてるか。5人のアトリエってちゃんと伝わってるかな、みたいな。ありとあらゆる曲をやりたいんだけど飽きずについてこれてるかな、みたいな部分は気になるところですね。飽きさせないバンドだと思うんで。多種多様な曲を作っていきたいと思ってます。 コトミ(Key/Vo):私自身、いかにCD音源を超えるかみたいなところで生演奏に最近こだわりを持ってやっていて。自分の実力を上げていけるように試行錯誤してライブに挑んでいるので、その成長も応援してくれる方々は楽しめると思っています。これからに期待というか、ライブを見に来てたり、楽曲をたくさん聴いてくれたら嬉しいなと思います。私自身も頑張ります。 -- EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/ Web3 音楽ストリーミング:https://w3.evening-mashup.com/JAPAN JAM 2024オープニングアクト出演を果たした「ポルトギース」の魅力に迫る
2024年8月27日に開催された、学生バンドが中心に出演する「SOUND SHOCK」や、9月14~16日にかけて新宿・下北沢・渋谷の3地域で行われた大規模サーキットフェス「TOKYO CALLING」など、多くのアーティストが集まるイベントが続々と開催された。
その出演者の中で、筆者が特に注目する次世代学生バンドが「ポルトギース」だ。
2024年5月に「JAPAN JAM」のオープニングアクトとして出演したことでも注目を集め、彼らの楽曲は、聴く人に情景を浮かばせるリアリティのある歌詞、思わず口ずさみたくなる耳に残るメロディ、そして心地よいリズム感が特徴だ。
今回は、その魅力に迫るべく、メンバーの中から中村隆太郎さん(Vo/Gt)と竹澤地洋さん(Ba)にインタビューを行い、楽曲制作へのこだわりやライブにかける熱意についてお話を伺うことができた。
__TOKYO CALLINGやSOUND SHOCKを振り返り、現在の心境を教えてください。
竹澤(Ba):両方ともそうなんですけれども、まずお客さんとして見に来てくれる方々の中で、”ポルトギース”という名前の認知度が、徐々に上がってきたなっていう印象がありました。それはすごく、サーキットイベントやフェスに出る上での1つのやりがいというか、目に見えてわかる進捗度みたいな感じには捉えてますね。知ってくれる人が増えていくのがわかるのは、結構嬉しいし、やってて面白いところだなっていう風には思います。
__どういった時に自分たちのお客さんが増えたと感じますか。
竹澤(Ba):シンプルに1つはまずライブハウスにお客さんがいっぱい入ってるっていうのと、その後に物販のスペースに多くのお客さんが来てくれたりと、そういうところですかね。
中村(Vo/Gt):お客さんの乗り方もちょっとずつ、僕らの音楽の乗り方みたいなものにちょっと変わってきてるというか。今までは、曲を知らないだろうなっていう手の挙げ方だったりしたんですけど、最近本当ちょっとずつですけど、“ポルトギース”を知ってるんじゃないかっていう、手の挙げ方だったりするので、それはテンションが上がる部分ではあります。
__今年5月のJAPAN JAMに出演した時の心境はどうでしたか。
中村(Vo/Gt):やっぱり単純に注目度というか、知ってくれる人が増えたなっていう、JAPAN JAMというイベントの大きさを感じましたね。
竹澤(Ba):もう本当に僕はもう、ただただひたすらに楽しかったっていう思い出しかなくて、中学生みたいな感想になっちゃうんですけど(笑)。
中村(Vo/Gt):すごく楽しかった(笑)。
竹澤(Ba):え、そう。すごく楽しかった。でも結局それに尽きない? あんなでかいステージでやる機会がないっていうのはもちろんなんですけど。あの日の天気とかのコンディションもすごく良くて、自分たちの想像よりもお客さんが見てくれて、なんかもうひたすらテンションがぶち上がってたなっていう。終わった後もしばらくはもう余韻ビタビタだったっていう感じ。
__SOUND SHOCKやTOKYO CALLINGなどのサーキットフェスと違った点はありましたか。
中村(Vo/Gt):オープニングアクト、前座の枠だったので、いい意味ですごい気持ちを楽にできたというか。プレッシャーは感じないで、楽しむ全振りでできたなという感じです。 SOUND SHOCKやTOKYO CALLINGみたいなサーキットフェスは良くも悪くも、いつもよりプレッシャーがあるというか、ちゃんとここでお客さんとしてちゃんと取り込まなきゃなみたいな独特の緊張感があるので、それらと比べると、本当に楽しかったという気持ちが強く出た感じです。
__バンドを結成したきっかけやメンバーとの出会いは何ですか。
中村(Vo/Gt):メンバー4人いるんですけど、僕とギターの稲垣がサークルの後輩・先輩という関係、僕が後輩で、彼が2個上の先輩で。そのバンドがコピーバンドサークルで、もっと自分たちらしく表現できる場所を見つけたいですよねっていう話をして。 いわゆる外バンっていう形で、僕が高校の同期だった竹澤を呼んで、 稲垣がその前の高校の同期だったドラムの松田を呼んで、なんとなく結成されてったっていうか。 メンバー全員それぞれコピーバンドサークル出身。
__コピーバンドから、本格的にオリジナルをしていきたいと思ったきっかけは何でしたか。
中村(Vo/Gt):僕と今ベースの竹澤が、中3から高1ぐらいにかけて、2年ぐらいオリジナルでバンドをやってたんです。同じ高校だったんですが、それぞれ別々の大学に進んだので、一旦、オリジナルはお預けだよねってなってて。それぞれでサークルでコピーバンドをやってたんですけど、色々やっていく中で、コピーバンドの楽しさもありつつ、やっぱりオリジナルをやりたいなと、僕も竹澤も思っていて。そこで、僕がギターの稲垣さんを誘ったきっかけとしては、大学のコピーバンドサークルの打ち上げの時に、ちょっと酔っ払った勢いで誘ってみた。なんとか快諾してもらって。
竹澤(Ba):学生時代に僕と隆太郎(中村)が、高校時代にやってたバンドっていうのがコロナともろ被りしちゃってて。で、なかなか活動ができなかったんですよ。 そのモヤモヤみたいなのをずっと抱えたまま大学に各々行ってたので、なんかそれがこう、大学2年ぐらいの時に両方爆発して。それで、コピーバンドサークルからオリジナルを作るようになったって感じですかね。
__9月9日にリリースされた「アウトロ」という楽曲について、注目してほしいポイントはありますか。
中村(Vo/Gt):1つは歌詞ですかね。この曲は、1つの楽曲が恋人関係の2人を繋いでいるというような設定で、主人公が相手のことと、その思い出のこもった楽曲を重ねてしまうといったような曲になっています。あとは、「イントロを飛ばして流れたサビは」という部分から早口になっているところがあるんですが、どうしてもあの箇所は入れたくて、1番のBメロであったり、2番のそのAメロの前のところは結構工夫した部分です。 1つの楽曲とその恋人のことを重ねてしまっている情景を、あの箇所で浮かぶようにしたいなと考えた部分です。
YouTube - ポルトギース - アウトロ (Official Music Video):
https://youtu.be/6o790p1GZGs?si=_Mzec4fjcJ4g5CvP
__楽曲制作はどのような流れで制作していますか。
中村(Vo/Gt):僕がAメロとBメロとサビと、あとCメロをアコギの弾き語りで基本は作ってて、それを送って、その組み合わせ、構成部分はみんなでスタジオで話し合って制作しています。たまに僕が”GarageBand”っていう作曲ソフトで結構ドラムまでかっちり入れて、デモで送ることもたまにあります。前はそうやってたんですけど、それだとドラムは僕が作ったデモに結構縛られちゃうので、最初はシンプルに弾き語りだけで持っていって、ストロークとかもすごくシンプルにして、その決めの部分だったり、構成はなるべくスタジオでみんなの意見取り入れながら作っています。
__影響を受けているアーティストや尊敬してるアーティストはいますか。
中村(Vo/Gt):My Hair is Badの椎木知仁さんと、クリープハイプの尾崎世界観さん、オレンジスパイ二クラブの鈴木さん兄弟ですかね。サウンドもそうですけど、歌詞が特にすごく憧れていて。わかりやすく言えることをちょっとわかりづらく書くというか、解釈の余地の幅が広いのがすごい心地よくて。歌詞を見た時に、「一瞬これどういう意味なんだろう」ってなるんだけど、なんとなく自分の中でこれが答えじゃないかなみたいなのを落とし込める限界のわかりづらさというか、何もわかんないまま終わらない感じがすごく好きです。歌詞を書かせてもらう中で、なるべくどこまでわかりづらく書けるか、でもわかるぐらいがいいしな、みたいな。考える上で結構参考にはしてます。
竹澤(Ba):indigo la Endの川谷絵音さん、あとはLaura day romanceの鈴木迅さんですかね。メンバー4人集まって曲を作ってる時とかに、僕が出すアイディアには、多少は反映されてるんだと思います。
中村(Vo/Gt):我々の曲で「23」っていう曲があるんですけど、その曲の1番のサビが終わった後に、4拍だったのが3拍になるんだっけ。リズムが変わって、また元の4拍に戻るんですけど、それは竹澤が言い出しっぺというか、何かに憧れて付け足した部分なんじゃないかな。
竹澤(Ba):そうですね。なんかそういうのが好きって、ざっくり言っちゃうと抽象度が高いんですけど、急ハンドル切るみたいなのは結構好きだったりしますね。
中村(Vo/Gt):スタジオで、この部分で多分こういう風にやりたいって言うんだろうなっていうのは、もうなんか感じますね。ボツになることもあれば、そのまま採用ってなることも。 それぞれの誰がどんな音楽が好きなのかっていうのがなんとなくわかっている感じがあるので。曲作る時でも、多分この人こういう風にやりたいんだろうなっていうのはお互い感じながらやっていますね。
__状況が思い浮かびやすい歌詞が印象的ですが、改めて作詞作曲の際に意識していることはありますか。
中村(Vo/Gt):作詞で言うと、先ほど申し上げたわかりにくさも持たせつつわかりやすく、あとはおっしゃってもらえたような、情景が浮かぶように意識しています。例えば「アウトロ」という楽曲の『渋谷の3月』という歌詞の部分だったら、3月に渋谷に行ったことがない人でも、こういう気持ちで渋谷の3月を歩いてるんじゃないかと、ないはずの記憶が蘇るじゃないですけど。また、基本的には僕自身の実体験を元に書くことが多くて、すごくリアルな歌詞を書いているつもりです。 作曲については、キャッチーで口ずさんでもらえるようにはしたいと思っています。でもありきたりとキャッチーってすごく紙一重というか。 ありきたりにならないようにメロディや歌い方にちょっとした癖を意識しています。
竹澤(Ba):中村以外のメンバーが携わってるのが編曲面になっていて、それこそ「23」のリズム部分や「アウトロ」の早口の部分もそのイメージになるんですが、急にガラっと転調してみたり、冗長になりすぎないように、そのまま流されて曲に流れていきそうなところを、一旦意識をもう1回向けさせるみたいなタイミングをしっかり作る部分は意識しています。また、ベースっていうと注目されづらいパートではあるんですけど、曲の乗り方を出す上では1番大事だと思っているので、「こういうリズムの取り方を聴いてる人にしてほしいな」という部分は常々意識してて、それに合わせた乗れるようなベースラインを作るのを意識しています。
中村(Vo/Gt):ベースとドラムは、よく乗り方についてスタジオでずっと話してて、ギターはもうやることないみたいな時間が結構あります。 乗り方みたいな部分を気にしていますね、2人は。
__ライブの裏側での印象に残った出来事はありますか。
中村(Vo/Gt):ギターの稲垣以外は、前の出番のバンドを見れないんですよ。やっぱり緊張しちゃうので。稲垣以外の3人は、出番が近くなると楽屋にずっと籠ってるんですけど、稲垣だけずっと最後の最後のギリギリまで前の出番の人を見て、戻ってきてやるみたいなスタイルですね。あとは、背中叩いて気合いを入れるっていうのはしてて、あれはやるとやっぱりなんか意外にも気合が入るね。
竹澤(Ba):あの瞬間が1番楽しいかもしれない(笑)。
中村(Vo/Gt):そうだったんだ(笑)。知らなかった。そんな楽しんでるように見えなかったけど(笑)。
竹澤(Ba):楽しいかも。 なんですかね、ライブの流れとかMCを試行錯誤してて、ここでどういう雰囲気で喋るのかとか、ここでどういう曲の流れを作るのかみたいなことは、毎回失敗に失敗に失敗を重ねて、まだ失敗を重ねてるみたいな段階で、ここはもう毎回ライブ来るたびに多分違ったものが見れるみたいな感じですね。
中村(Vo/Gt):僕が基本的にMCを喋ることが多いんですけど、直前までアドレナリンが楽屋の時は出てるから、「大丈夫、俺はいける」とか言っといて、いざその場面になると、全部飛んじゃってそのまま入るみたいなことがあるので、ライブのクオリティという意味では特に試行錯誤が必要だなと思う。あとは、うちのドラムの松田がBPM、テンポ感をすごい気にしてくれる。JAPAN JAMの前日の夜だったかな。夜から当日の入りの直前までずっとイヤホンでBPM聞きながら、楽屋の本当出番の直前まで聞いてたってことはありましたね。
竹澤(Ba):確かに1日中聞いてたよね。
中村(Vo/Gt):ずっと音漏れでピッピッピッピって。こっちが頭おかしくなる(笑)っていうようなことがありましたね。
__結構、真剣に直前まで向き合ってるイメージですか。
中村(Vo/Gt):今日いいライブができないかもしれないとあわあわしてる時ほど、いいライブができて、今日なんか行ける気がすると言ってる時ほど、すごいミスをかましたりしちゃうので。毎回真面目に向き合ってはいるつもりなんですけど、その時のマインドによってパフォーマンスに変化が出ちゃうのは良くないなと感じていますね。
竹澤(Ba):そういうことを考えてるってことは、ストイックではあるんですかね。この空気感ってメンバーみんな一緒なんで、ライブ前はちゃらんぽらんな雰囲気にはならないね。
中村(Vo/Gt):ならないですね。そんな直前までワイワイするタイプではなくて、SEが流れ始めたらそれぞれ結構静かめになって、背中だけとか叩くというような感じ。
__活動を通して大変だと思うこと、苦労していることはありますか。
中村(Vo/Gt):それぞれが学生、1人は大学院の1年生なんですけど(稲垣)、レポートだったり研究とか色々、スケジュール感が難しい中では、時間の作り方はやっぱり難しい。
竹澤(Ba):大学の学部も違う4人の学生が一斉に時間を作るっていうのが意外と難しくなってきましたね。楽曲をコンスタントに作って更新して、ライブもコンスタントにこなしていかなきゃいけない。このサイクルはもう崩しちゃいけないという風には思ってるんで。そのために普段、週1くらいのペースで少なくとも集まるようにしてて、そこで曲作ったり練習したりみたいな。今年から1人社会人のメンバーもいる関係で、余計4人の時間を合わせるっていうのが難しくなってきたっていう印象ですね。
中村(Vo/Gt):あとはそうですね。学生の大きな1番の強みって、友達をたくさん呼べるみたいなのがあると思うんですけど、僕ら結構みんな友達少ないので、そこは全然活かせてねえなと(笑)。
でも逆に、学生だからこそサークル等を通していろんな人と関わったり、いろんなことを経験できるので、曲を作るという意味では、恋愛もそうですけど、それ以外にも様々なきっかけがあると感じるので、そこはまだまだ活かしていきたいと思う。
__今後目指していきたい姿はありますか。
竹澤(Ba):時間とかスケジュール感とか、そういうのが許す限りは活動を続けたいなと思ってて。 明確に、「ここまで行きたい」というのは正直そんな大きくは持ってないんですけど、本当に登れるとこまで登りたいみたいな感覚はありますね。もう記録伸ばしチャレンジみたいな感覚でずっとバンド活動やってます。
中村(Vo/Gt):遊びでやってるっていう感覚は、もう個人的にはなくなって超えたかなと思ってて。いろんな方が支えてくれたり関わってくれたりする以上は、本気で向き合うべきだし、向き合っているんですけれども。これを本気で続けながら、それぞれがやらなきゃいけないことがあるのであれば、それも本気でやるっていう。 メンバーのバンド以外のこともちゃんと支えられるような基盤。なるべく長く、死ぬまでぐらいの感じで続けて、それぞれ4人にとってまずはバンドが居場所になる。居場所になるための手段として、いろんな他の研究であるとか就職とかがあるのであれば、そこは認め合いながらみたいな。
フェス出演を振り返って

バンド結成のきっかけ

聴く人々に寄り添った楽曲づくり

ライブ裏側でのストイックな空気感

居場所となるバンド活動

音楽を通じたファンの方々とのつながり
__今応援してくれているファンの方々やこれから聴いてくれる方々へのメッセージはありますか。 竹澤(Ba):1番の目的でもあるというか、聴いてくださる方々は届けたい対象になるので、自己満で作ってるっていうよりかは曲を聴いて、良いなって思っていただきたくてずっと活動しているので、コメントとかくださったり、いいねしてくださったり、反応をいただけることは本当に原動力そのものみたいなところがあります。メンバー間で結構共有したりする時もあって、それがすごくモチベーションに繋がっています。 中村(Vo/Gt):ここまで続けてきた、かつこれからも続けていく原動力は、やっぱりまず聞いてくれてる方がいるっていうのが大前提なので、そこは本当にいつもありがとうございます。僕らの1つ1つにいいねをしてくれたりとか、応援のコメントをしてくれることも、すごく励みになっておりますので、今後とも、僕たちもちゃんと応援してくれる方々に寄り添えるようにしたいです。俺たちも支えられてますし、みんなの支えになれるように頑張ります。インタビューを通して
今回のインタビューを通じて、彼らの楽曲制作における細部へのこだわりや、裏側でのエピソードから彼らのストイックな一面も知ることができた。現役大学生ならではの背景が生み出す、心を揺さぶる楽曲をぜひ一度聴いてほしい。 【楽曲情報】各種サブスクからリリース中 ・4th Single『アウトロ』 ・3rd Single『花火と煙』 ・2nd Single『相合傘』 ・1st EP『ときめくstay with me』 【ライブ情報】 ・10/22 (火) : U's MUSIC、U-NEXT主催 「MUSIC NEXUS Live 導 - SHIRUBE」 - TOKIO TOKYO渋谷 ・11/2 (土) : KNOCKOUT FES 2024 autumn - 下北沢 -- EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/ Web3 音楽ストリーミング:https://w3.evening-mashup.com/特集:AATA、フルアルバム「be in bloom」に込めた10年間の想いとは
今年4月にフルアルバム「be in bloom」をリリースし、今注目を集めている女性シンガーソングライター「AATA(あーた)」に、インタビューの機会を頂くことができた。
本特集記事では、甘く軽やかな歌声で多くのポップソングを生み出している彼女だが、そのアーティスト活動に対する想いや、一人の人間としての素顔について、インタビュー内容をお届けしたい。
AATAというアーティストとは
最初に、フルアルバムのリリース直後のタイミングでの活動状況について伺ってみた。 ーー今年の4月にフルアルバム「be in bloom」をリリースされ、8月からは全国ツアーを予定されているかと思いますが、直近の活動状況はいかがですか? AATA:そうですね。一旦制作は落ち着いていて、作ったアルバムを色んな方に知っていただこうと活動しているところです。折角コロナも落ち着いたので、今までなかなか行けていなかった場所に直接歌いに行って、お返しができればという気持ちでツアーを組ませていただいています。 ーー今回のツアーは、北海道から九州まで予定されていますよね? AATA:九州は今回初めて行かせていただくんですが、北海道は色々ご縁があって、一番多かった時期はワンシーズンに1回程は行かせてもらっていました。ラジオをやらせてもらっていたり、日本ハムファイターズのキャラクターのテーマソングを作らせていただいたりとか、偶然だったんですけど、凄い縁がある場所だなと感じています。全国の中でも特別に思っています。 ーー最近は、特に活動の幅を広げられていますよね? AATA:そうですね。スズキ ラパンのCMナレーションや、アイドルグループへの楽曲提供もあったり、有難いことに忙しくさせていただいています。東京の新代田にあるライブバーの店長も6月からやらせていただくことになったり、もう自分でも把握しきれない程になってます。 ーー最近は、特に精力的に活動されている様ですね。 AATA:色んな人に還元していくっていうターンなのかなと感じています。今まで好きでやってきたことが、今度は伝えていったり、繋いだりとか、そういう時期になっているのかなって、ちょっと個人的には思っていますね。あと、以前より「自分だけの音楽ではなくなった」っていう感覚もあります。自分の音楽を聴いてくれる人がいて、何かを求めてくれる瞬間が、自分の中で大きなモチベーションに繋がるっていうか。 ーーファンの方との繋がりを感じる瞬間ですか? AATA:そうですね。勿論、ファンの方がいてくれて、ライブの時には自分が求められているんだってことを実感できるんですけど、普段音楽を作ってる時って、すごい不安になったりする瞬間もあるんですね。そんな時でも「自分の曲が好きで私たちのために曲を作ってください」とか、「あなたの声が必要です」って言ってもらえると自信になりますね。 ーー自分の音楽に価値が付くような感覚でしょうか? AATA:そうですね。一種の価値付けのような感覚に近いです。商業ベースというと何か違うような気もするけど、しっかり仕事に繋がっている感覚が嬉しいですね。 ーー今回、北海道から九州までの全国ツアーを企画された経緯はどのようなものでしたか? AATA:フルアルバムのリリースツアーとしての企画なのですが、九州での開催は、ファンの方からの要望があったことも大きかったです。フルアルバム制作時にクラウドファンディングをさせていただいたんですが、自分が今まで歌いに行けていなかった九州にも応援してくれる方がいて、この機会に足を運んでみようかなと思いました。 ーーデジタル化の時代のメリットですね。 AATA:クラウドファンディングやサブスクリプション含め、ファンの方がどこにいるのかが分かる点は良い点ですね。昔だったら、全く分からなかっただろうし。数字やデータでファンの方と繋がっている感覚は凄く嬉しかったですね。フルアルバム「be in bloom」に込めた10年間
次に、2024年4月にリリースされたフルアルバム「be in bloom」について伺ってみた。 ーー今回リリースされたフルアルバムはどの様な位置付けの作品ですか? AATA:今回のアルバムは、活動10周年を記念した集大成となる作品です。本当にこの10年間、私の中でも色々あったし、社会も変わったり、音楽シーンも変わったりっていうのもあって、周りの仲間たちやファンの方だったり、家族の支えがなかったら本当に続けて来られなかったなって思います。そういう人たちに「ありがとう」って伝えたい気持ちで作りました。 ーー確かに、ここ数年で音楽シーンも大きく変わりましたね。 AATA:そうですね。少し前までは、コロナ禍でライブやイベント自体ができない時期が続いたので、今だからこそ取り組めることがあるなって思います。でも、コロナがあったからこそ、何か普段感じることができなかった”ありがたみ”を再認識できたっていうのもありますね。 その期間は、自分と向き合う期間というか、「自分にとっての音楽」だったり、「暮らしの中での音楽」の意味っていうのをすごく考えた期間だったので、大切な時間でした。今、音楽を続けられていることのありがたみや、仲間や環境の大切さに気づけたし、本当に感謝だなって思いました。 ーー今回のフルアルバムは、荒山諒さんとの共作でしたが、今までの作品と違った点は? AATA:今回のフルアルバムは、この10年間でやってきたことの集大成を、敢えてちょっと音楽性に幅を持たせた形で見せたいなと考えながら、諒君と一緒に作りました。 過去にリリースしたAATAの1枚目のアルバムが「BLUE MOMENT」というタイトルの作品で、音楽的にはトラックに全振りした様なアルバムになっているんですが、元々、そのアルバムより前は弾き語りのシンガーソングライターとして活動していました。 オーガニックというか、弾き語り+バンドサウンドっていう感じの音楽性で、ソウルの要素も入りつつ、ポップスみたいな感じでやらせてもらっていたんですが、「BLUE MOMENT」のアルバムが、それまでの自分が弾き語りで育ててきた良いところを捨ててしまっている様な感覚があったんですよね。 当時、パッケージングする上では、どこを切り取っても同じものが見えた方が1枚目のアルバムとしてはキャッチーで良いなと考えて、それも正解だったなと思います。ただ、その自分の強みをもう1回出していきたいと思って、今回のフルアルバムでは、敢えてちょっと音楽性に幅を持たせた1枚にしました。そういう意味でも、この10年の集大成ですね。 ーーこの10年が凝縮した作品ということですね。 AATA:そうです。ただ、オムニバスみたいな作品にはしたくなかったことと、音楽性に偏りがあるアルバムは美しくないなと思ったので、そのバランスの取り方や音楽性や曲順には、すごくこだわりながら2人で作りました。 ーージャズ的な楽曲も多い印象を受けましたが、そこが狙いだったということですね。 AATA:そうですね。自分の持っているものを全部出しちゃおうみたいな感じですね。 ーー作品を通してのメッセージは何かありますか? AATA:フルアルバムのタイトルが「be in bloom」で、直訳すると「咲いてる」という意味なのですが「みんな生きてるだけで、そのままで素敵だよ」ってメッセージを込めています。 私自身のAATAとの向き合い方の変化にも影響しているんですが、私が20代の頃って、最初にまず自分の中に否定があって「ここが自分ができないから変えていこう」っていう気持ちをモチベーションにしていたところがあったんですが。そうじゃなくて、ちょっと出来ないとか、人より苦手だなって思うところもある意味個性だし、だからこそ生まれてくるものがあるなっていう風に思った時に、何か肯定してあげることも大切だなって思ったんです。 SNSでは、どうしてもビジュアルがどうのとか、ここは駄目だとか言われることもあると思うんですが、あなたの素敵なところを知っている人は周りにたくさんいるし、何より自分の素敵なところは自分が知っているよっていうメッセージを発信していきたいなって思ってて。 なので、フルアルバム1曲目の「C.H.O.O.O.E」っていう曲とか、あとは「MOMANTAI」っていう曲は、そんな思考の変化が現れた曲になっています。 ーーSNS世代の子たちには特に届けたいメッセージですね。変化のきっかけは何だったんですか? AATA:コロナ期間でしょうか。自分を見つめ直す期間を過ごす中で、自分のコンプレックスと思うところを変える努力をする日々を送っていたのですが。コンプレックスと向き合った結果、自分がコンプレックスだと思っていたものも、他の人から見たらすごいキュートなところだったり、少しずつ考えが変わりました。 完全に悪い人や、完全に良い人って絶対いないし、シチュエーション次第で人って悪者にも見えるけど、英雄にもなることって実際あるなって思うと、自分の駄目なところを嫌うよりも、良いところを好きでいてくれる人に何か出来たらなって思います。 このアルバムを通して、同じように悩んでる20代の頃の私みたいな女の子とか、男の子とかがいたら、何か気づいてもらえたらなって思います。 ーー作品制作の観点で、こだわった点はありますか? AATA:自分がワクワクするものや、本気でカッコいいって思えるものしか出さないってことでしょうか。あと、1人で完結させないってところですね。今回のアルバムは、荒山諒がトータルプロデュースをしてくれましたが、それ以外にもトラックメーカーの方とコラボさせていただき、色々な化学反応が生まれました。 私はシンガーソングライターっていう自分で曲を作って歌う人間ではありますけど、何かそこに執着はなくて、私の知らないエッセンスだったり、気づきとかをもらえる瞬間が、音楽をやっていて嬉しい瞬間ですね。 ーー関わってくれた方と納得するものを作ったということでしょうか? AATA:そうですね。商業的に売れるっていう視点も大切ですけど、やっぱり自分が納得したものを作るっていうところは曲げたくないなって思っています。流行りの音楽がどうとかではなく、自分がやりたいと思っているホットなものを作って、みんなに見せられた方が、応援してくれているファンの方もきっとワクワクしてくれるなって、制作チームもそうだろうなって思い、作りました。幼少期の挫折とは
次に、AATAというアーティストを形作った過去の経験や困難について伺ってみた。 ーー今までの人生の中で苦労された経験はありますか? AATA:大学受験での失敗ですね。私、幼稚園に通っていた頃に、結構ひどい心臓病にかかっていたんです。その頃、同じ病棟でよく一緒に遊んでいた白血病の子が急にいなくなっちゃう様な経験や、看護師さんやお医者さんに救ってもらったっていう思いがあって、その頃からずっと小児科の先生になるのが夢だったんです。 ただ、大学受験まで頑張ったんですけど、受験当日にめちゃくちゃ緊張しちゃって、頭が真っ白になって何も出来なかったんです。そこで、すごく大きな挫折を味わいました。結局、他の医療系の大学に入学したんですが、ずっとコンプレックスが消えなくて「私がこんなところにいてどうするんだろう...」みたいな気持ちで生きてきたんですけど、何年かして、ひょんなことから音楽を始めたんです。 当時歌詞を書いた初期の曲に「各駅停車」っていう曲があって「1駅1駅本当だったら見逃していた景色も、こんな回り道して1つずつ見てる私だから、この景色を知ってるんだ」っていうことを思った時に、大学受験で失敗した経験も何か還元できるかも知れないって思えて。 結果として違う形ではありますけど、音楽を通して「本当に救われました」っていう言葉をもらったり、「この曲で大学受験乗り越えました」って言ってくれる瞬間に、ちょっと違うアプローチだけど誰かのためになってるんだなって思います。 ーーAATAさんの人柄が感じられますね。リスナーへ伝えたい想い
最後に、リスナーの方へ伝えたいメッセージについて伺ってみた。 ーー本インタビューの最後に、ファンの方へ伝えたいメッセージはありますか。 AATA:音楽を通して、今まで私は色々な出会いをもらって、すごくそれに救われたので、今度は音楽を通じて、また誰かと誰かが出会うきっかけになったり、人生の何かきっかけになれたらいいなと思っています。 今後も、できるだけ多くの方に音楽が届くように頑張って活動していくので、どうか見守っていてください。インタビューを振り返って
インタビューの中で、AATAのフルアルバム「be in bloom」に込めたメッセージや想いだけでなく、アーティストしてのルーツとなるエピソードを伺うことができた。 昨今の音楽シーンのトレンドを汲み取りつつも、自身のアーティスト感を強く持ち、世の中に「自分らしくいることの大切さ」を投げかける姿は、とても印象的だった。 彼女の音楽に触れ、自分を肯定してあげる。そんな瞬間をあなたも感じてみてはどうだろうか。 ■ リリース情報 AATA 『be in bloom』 2024年4月18日 リリース リンクはこちら:https://aata.thebase.in/items/85541842 -- EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/特集:目指すは世界!生粋のギャルディーバ Alice Peraltaの魅力を裏話トークと共に徹底解剖
そのパワフルさとポジティブ思考は、まさに誰もが認める存在。そこに洗練された圧倒的な歌唱力が合わさり、自身を “ギャルディーバ” として掲げるアーティストとして注目されているAlice Peralta(読み:アリス・ペラルタ)。
グアム人の父と日本人の母を持ち、幼い頃からブラックミュージックをルーツとしてきた彼女は、R&Bを中心にHIPHOPやPOPSといった幅広い音楽で人々を魅了してきた。
目指すべき舞台は、もちろん世界。今回は、そんな魅力満載のアーティスト Alice Peraltaを知り尽くすべく、独占インタビューを行った。
取材の中では、ソロアーティストとしての音楽にかける想いや楽曲制作秘話だけでなく、一人の人間としての等身大の姿を自身の音楽に反映させた裏話にも迫ることが出来た。
本記事では、Alice Peraltaの魅力の秘密や素顔をお届けしていきたい。
ただのギャルじゃないのがAlice Peralta
インタビュー取材の冒頭では、まず自身の音楽ジャンルやルーツについて伺ってみた。 ーーーR&B、HIPHOP、POPSなど幅広いジャンルを手掛けられていますが、楽曲のインスピレーションはどのようなルーツからきているのでしょうか? Alice Peralta(以下、Alice):小学生2年生の時に見た「天使にラブソングを2」のローリン・ヒルを見た時にうわぁー!って衝撃を受けたんです。そこからマライア・キャリー、ビヨンセ、デスティニーズ・チャイルドやクリスティーナ・アギレラを見始めるようになったのが、自分のルーツであると思います。 幼い頃から洋楽を中心に聴いていたというAlice。 世界的なポップスターアイコンとして活躍するアーティストの曲を何度も練習したり、パフォーマンス中のキャラクターや振る舞いといったところでも影響を受けているのだそう。 しかし、ただの真似事ではなく一人のアーティストとしてのこだわりがあると語っていた。 Alice:ただ、Alice Peraltaとしては ”踊れるR&B” を作るって事にこだわってますね。R&Bっていうとチルなイメージだったりミドルバラードを想像する人が多いと思うんですけど、その中でもAliceは ”踊れるR&B” を表現していきたいって思ってます。 ジャンル一つをとっても様々な形が存在する今、彼女のオリジナリティを主張するハングリーな姿勢は、アーティストとしてのカリスマ性を垣間見せた瞬間だった。 楽曲『OPEN』では、まさにイントロからビートに乗りたくなってしまうような、お洒落でかっこいいR&Bサウンドが展開される。そのパワフルな歌い出しにぜひ「これはやられた」と感じてほしい。 Alice Peralta『OPEN』MV: https://youtu.be/0JevjvC4ilE?si=S0W-Lr0sRpZuBUzK 次に、気になるキャッチーな二つ名「#ギャルディーバ」について、質問を投げかけてみた。 ーーー「#ギャルディーバ」っていうキャッチコピーが生まれた経緯には、どんなものがあったのですか? Alice:世界的なアーティストになるっていうゴールは常にあるんですけど、メジャーデビューしてから14年が経って、その中でAlice Peraltaっていうアーティストについて何度も試行錯誤してきたんです。でも、失敗や壁を乗り越える経験を経たからこそ、ここ最近やっと見えてきた自分の良さとかもあって。それを「#ギャルディーバ」として表しています。 幼い頃からディーバ(歌姫)でありたいという気持ちがあった上に、自身は生まれた時からギャルだったと語っていたAlice。 また、生まれ育ってきた日本のカルチャーを背負いながら活動していきたいという想いもあるらしく、色々な経験を経てたどり着いたそのキャッチコピーは、まさに Alice本人を体現するようなものになっていた。 Alice:スポットライトを浴びるのが難しいこの業界で生きていくってなった時に、「ギャルって言っても、ただのギャルじゃないからね」みたいな(笑)。やっぱりギャルって、一度これだって決めた夢を諦めないみたいなマインドの部分があると思っていて。そこに歌の努力も惜しまないディーバとしての自分でもありたいって思ったら、この言葉に辿り着きました。 小さな頃から見据える方向は変えずに、夢に向かって直向きに走り続けるAlice。そんな彼女の音楽に対するまっすぐな志と覚悟を感じる事ができたように思う。 自分自身を一人のアーティストとして客観的に捉え、何度も己と向き合ってきた彼女だからこそ、Aliceだけが持つ唯一無二を見つけ出せたのではないだろうか。クリエイティビティに富んだ日々と仲間
さらには、普段どのように楽曲制作に取り組んでいるのか尋ねてみた。 ーーー作詞や作曲にも携わられているようですが、楽曲制作はどのように行っていますか? Alice:自分の心が大きく動くことがあったら、うわぁーっと一気に取り組んだりします。最近はSNSでトレンドを抑えたりすることも多くて、インスピレーションをたくさん受けています。おかげでメモ帳は常にパンパンです(笑)。 他にも、寝ようと思った矢先にアイデアが浮かんでしまってそこからデスクに向かう...なんて日もあるそう。眠たいけど寝れない...みたいな日が多いです(笑)。と笑顔を見せながら語っていた。 ーーー楽曲制作時は基本的に一人で行うのですか? Alice:前までは基本的に一人で作っていたんですけど、楽曲『OPEN』からは制作チームと一緒に作っていて、プロデューサーのKyteと色々とブラッシュアップしながらやっていくのがメインになってますね。 ーーー公式YouTubeにもAliceさんとKyteさんの対談動画が載せられていましたよね。お二人の相性の良さが全面に感じられました。 Alice:見てくださったんですね!嬉し〜(笑)。そうなんです、Kyteはアーティストとしても素晴らしい上に、お互いにルーツとかツボの部分が一緒で。私にとっては当たり前すぎて気づけていない面も、プロデューサーの視点でいっぱい引き出してくれるんです。ニコイチでやっていくことで、KyteがAlice Peraltaをより作品に生きるように落とし込んでくれるので、とても心地よく制作できているなって感じます。 AliceとプロデューサーKyteの対談動画: https://youtu.be/0Zzj_tiT1tk?si=4SUf36TUvl2WM0jT 有能な製作陣をチームに携えているAliceだが、個人ではないからこそ生じる困難もあるのだそう。 Alice:制作中にAliceがやりたい方向性とはちょっと違うかなと感じた時に、その思いを言語化するのが難しい時があります。でも基本的には、チームの皆はAliceのやりたいことを理解して支えていてくれるので、アーティスト個人としてちゃんと言語化していくってところが大事かなって思いますね。 レコーディングの際にも、プロデューサーのKyteからもう少し難易度上げてみようかという風に言われることも少なくないと語っていたAlice。毎回何かに挑戦して成長ができることにも喜びを感じているのだとか。 また、ミックスやマスタリングにも細かいところまでこだわっているようで、Alice本人がチームと団結して良いものを創り上げていくという姿勢からは、プロフェッショナルの雰囲気が感じられた。苦しいことも全て音楽に変えていく
話を伺っていくなかで、Aliceの作品には知られざるストーリーが隠されていたことも判明した。それには自身のリアルでの経験が深く関係していたという。 Alice:『NIGHTMARE』『OPEN』『PRIORITY』っていう流れで楽曲をリリースしたんですけど、実はこれらの歌詞は同時期に書いていたもので。当時とても辛い事があった時に、それを『NIGHTMARE』として表現したんです。つまんない夢見たわ!って感じで乗り越えられたことを、次に『OPEN』としてリリースして、『PRIORITY』も皆んなに自分のPriorityを大事にしなよっていうメッセージを込めて書きました(笑)。 楽曲自体は、どれもシングルとしてリリースしたものであるが、それらは作品として一つのストーリーのようなものになっていると語ったAlice。楽曲を聴いてくれるリスナーへ向けて、彼女なりの伝え方で伝える強い想いがそこにはあった。 Alice:それぞれの楽曲のリリース時期や内容も、ランダムじゃなくてちゃんとそこにつながる経緯とか想いがあるんですよね。そういうものを感じ取って貰えたら嬉しいです。 また、楽曲『NIGHTMARE』を制作するにあたって立ち向かった困難とは一体どんなものだったのかも尋ねてみると、Aliceの過去の出来事について真剣な眼差しで赤裸々に語ってくれた。 Alice:2022年のコロナの時期に、オーストラリアからオファーがあって。世界に出るチャンスだと思って、実際に現地に行って制作に取り組んだりしたんですけど、思っていたものと全く違う結果になってしまって。ぶっちゃけて言うと、人生で初めてPTSDになってしまったんですね。どう立ち直ればいいか分からないくらい苦しくなっちゃって。 当時のことを思い出しながら話すAliceの姿は、先程見せていた底なしに明るい彼女とはまた違った印象だったが、そこにはAliceが一人の人間としてファンへ向けた、やさしい本心が感じられた。どんなことがあっても音楽にできるって気づいた
Alice:これを曲にしたらきっと誰かが救われるって思って、そう思ったらどんどん心が軽くなっていって。自分が好きで始めた音楽だけれど、結局私自身も音楽に救われているなって感じました。 自身の苦しい経験でさえも音楽にして、それで誰かが助かったと思ってもらえるようなものが作れたら...と考えることで踏ん張ることが出来たと語ったAlice。 まさに彼女らしいポジティブな考え方で大きな壁を乗り越えたその姿には、アーティストとして、そして一人の人間としての芯の強さが感じられた。 ーーー最後に、今後のビジョンはどんなものか教えてください。 Alice:Alice Peralta = ギャルディーバ、としてやっていくっていう、明確なビジョンが出来たのは大きいと思いますね。実は今ものすごい量の楽曲を作っているので、もう少ししたらリリースラッシュが来ると思います(笑)。あとやっぱり海外に向けて、世界的なアーティストになる夢を本格的に叶えていく活動をしていきたいですね。 シンガーとしてだけでなく、世界的に大人気のゲーム『スプラトゥーン』に登場するテンタクルズのイイダ役として歌と声をも担当しているAlice。これからもっと世界に羽ばたいていくであろう彼女の活躍から、今後も目を離さずに追っていきたい。 Alice Peralta メッセージ: 「きっかけはゲームでも、ギャルっぽい見た目でも、音楽でも、どんな形でもいいのでAlice Peraltaを知っていただけたのなら、皆さんの人生に寄り添っていけるようなエンターテインメントを音楽で届けていきたいって思っていますので、ぜひ注目してついて来て欲しいです!」インタビューを振り返って
インタビューの中で、様々な場面でポジティブなギャルマインドを見せてくれたAliceだが、その中にも垣間見える彼女の等身大のやさしさが Alice Peralta の魅力をより強調していた。 終始屈託のない笑顔で人を魅了する彼女の人柄と、音楽をするべくして生まれたディーバの熱い想いが、Alice Peralta を他とは違うユニークなアーティストとして確立しているのだろう。 10代・20代の若者世代にこそ、Alice Peraltaの楽曲で日常を彩ってほしい。 メッセージ性の強い彼女の楽曲は、きっとあなたに寄り添い、毎日をポジティブにしてくれるだろう。リリース情報
Alice Peralta 「Fruit Sundae (2024)」 2024年6月21日 リリース 収録曲: MELON -2024 PEACH -2024 BLUEBERRY -2024 PINEAPPLE -2024 CHOCOLATE -2024 リンクはこちら:https://aliceperalta.lnk.to/FruitSundae2024常に最高を更新中!挑戦を恐れない新進気鋭の実力派バンド「totemぽぉる」の裏側に迫る
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