新曲「火」MVの裏側から初ライブまで——マスク姿の4人組 oops coolに初インタビュー
マスク姿の4人組ラップグループ、oops cool(ウップスクール)。
全員が学生時代の同級生で、かつては同じサッカー部の仲間だった彼らは、社会人経験を経て2024年に本格的にグループを始動。
“ノリ最優先”のスタンスで、〈Too busy work〉のMVがYouTubeで51万回再生を記録するなど、話題を呼んでいる。
今回はそのメンバー4人全員に参加いただき、インタビューの機会をいただいた。
MV撮影の裏話や、メンバー同士のエピソード、ふざけながらも譲れない表現のこだわり、そして今年12月の初ライブへの意気込みまで、じっくりお話を伺うことができた。
ゆるくて熱くて、なんかクセになる――。
そんな彼らの“素”に、ちょっとだけ近づいてみた。
まず、oops cool の自己紹介をいただいたところ、個性溢れるメンバーであることが伝わってきた。
【メンバープロフィール】
■ Peppu(ペップ)
担当:バランス型MC
中学までは「足速くてモテた」伝説あり。穏やかで感情に流されず、グループ全体の雰囲気を包み込む存在。自らを「人のために生きたい」と語るように、誰かを思いやる視点を大切にしている。楽曲「golazo」では自己紹介的な本音を込めて、楽曲制作にも繊細なこだわりを持つ。
■ WANTAI(ワンタイ)
担当:低音ラップ/おっちょこちょい担当
両利きでサッカーでも両足使える器用さを持ちながら、SNS投稿などではミス連発。「謝らないおっちょこちょい」として、周囲に“ツッコミどころ”を提供し続ける愛されキャラ。謝らない潔さが逆に魅力、という評価もある。
■ NiseChi(ニセチ)
担当:ひょうきんマン
50メートル走8.75秒という”驚異の鈍足”を持つ天然系。高校時代のあだ名は「8.75秒バズーカ」。ふざけ担当でありながら、メンバー間で自然と盛り上げ役になっている存在。
■ Jariboy(ジャリボーイ)
担当:ラブリーチャーミング/末っ子ポジ
最近のマイブームはタコライス。見た目はクールだが中身は少年のように自由奔放。チャームポイントはスネ毛と公言する、「クールビューティー」的存在。パーソナルカラーは ”ブルベ毛” 。
彼らの会話から最も伝わってきたのは、「遊び心を忘れない本気」というスタンスだった。
メンバー同士の特徴をお互いに紹介してくれ、「謝らないおっちょこちょい」「チャームポイントはスネ毛」「足が遅すぎてネタにされる」など、ふざけ合う会話からもメンバーの仲の良さが伺えた。
その一方で、楽曲やMVでは音楽活動へのストレートな気持ちや本音を込める繊細さも持ち合わせていて、まさに“等身大ラップ”が代名詞のグループだ。
7月5日に新曲「火」のMV撮影を終えたoops cool。
過去の撮影と比べると短時間で終わったものの、現場は予想外のハプニング続出だったという。
―― Peppu
衝撃的な出来事は結構あったんですけど、実際に撮ってる時間は思ったより短かったんですよ。本当は1日中かけて撮る予定だったけど、『この場所ダメらしい』みたいな予想外のことなどもあって。現場はバタバタでした。僕らが映る部分より、準備の時間の方が長かったくらい。あと、実際に“火”を使ったので、普通に怖かったです(笑)。まあ、火がかっこよく映ってればいいんですけどね。
oops coolのMVは、いわゆる“作品”というより、遊びやノリの延長にあるように見える。
そんな印象について聞くと、Jariboyが頷く。
―― Jariboy
うん、“遊び”っていう感覚はあるかも。普段通りのノリをそのまま撮ってもらう感じ。真剣じゃないって言うとアレだけど(笑)、あまり作り込まない、遊んでる空気感は大事にしてますね。
撮影中の裏話として飛び出したのが、メンバー・NiseChiの“足の遅さ”にまつわるエピソードだった。
―― Peppu
NiseChiが足遅いんで、速さが必要なシーンはできるだけ避けてあげてるんですよ。危ないんで(笑)
―― NiseChi
それ初耳なんですけど(笑)。確かにMVの撮影で、車と並走して草むらを抜けるシーンがあって。そのとき車が、結構スピード出してたんですよ。PeppuとJariboyが『速すぎ!』って言ってたのを覚えてるんですけど、今思えばそれ、自分のためだったのかなって(笑)
メンバー間のさりげない気遣いも、同級生グループならではの温かさだ。
―― Peppu
足が遅いのも含めて、僕たちの個性だと思ってます。アスリートやアーティストって“かっこいい”とか“憧れの存在”みたいなイメージあるけど、うちは足が遅いやつもいる(笑)。でも、それが人間っぽくてチャーミングなんじゃないかなって思ってます。
何がこの4人を、唯一無二にしているのか?
ふざけながらも音楽活動への熱量が印象的な彼らだが、グループとしての「強み」はどこにあるのだろうか?
—— WANTAI
強み…。今こうして話してるの見てもらえたらわかると思うんですけど、関係ないことでめっちゃ盛り上がれるんですよ。“これやろう”って言われたときも、違う方向に転がって、逆にいいシーンが撮れたり、いい歌詞が出てきたり。…真剣じゃないっていうのが、むしろ強みかもしれないですね。
—— Peppu
今、なんて言ったかよくわからなかったけど(笑)、強みはそこだと思います。
と、その瞬間——。突然、WANTAIの素顔がアップで画面にどーんと表示された。
—— WANTAI
ごめんなさい、ちょっ……!!……誤作動です。
—— Peppu
びっくりした、でこが出てた(笑笑笑)
—— Peppu
でも、これぐらいが僕たちなんです。ちょっと見えちゃう時もあるし、マネージャー陣は“隠さなきゃ!”ってバタバタしてると思うんですけど…そういうのも全部アリなグループなんですよね。いつ何が起こるかわからない。僕たちも楽しいです。
—— WANTAI
…大反省します。
ふざけることも、ハプニングも含めてoops coolということだ。
“あえて整えすぎない”という表現へのこだわりが、作品にも現れており、その自由なノリが魅力を生み出す。
だからこそ、見ている側も、つい笑ってしまうし、惹きこまれてしまうのかもしれない。
「この記事をきっかけに、初めてoops coolを知る方へ。自分たちのおすすめのポイントについて、自由にメッセージをください。」
そんなお願いをすると、4人はふざけつつも真っ直ぐな言葉で、それぞれの“推しポイント”を語ってくれた。
—— WANTAI
プロ素人でやらせてもらってる以上、普段はみんな普通に働いてるんですよ。たぶん、朝の通勤電車とかで偶然一緒になってたりもすると思う。そういう、街に普通に溶け込んでるグループです。リリックも等身大の内容が多くて、“どこかにいそうな4人”が音楽を通して発信してる、っていう距離感を感じてもらえたら嬉しいです。
—— Peppu
僕は音楽性として、“懐かしさ”みたいなものも大事にしていて。年齢も関係なく、その時その時の気分に寄り添えるような曲が作れたらって思ってます。気合いを入れて聴かなくてもいい、ふとした日常にスッと馴染むような、そんな音楽が好きな人に届いたら嬉しいですね。
—— Jariboy
僕らって元々、音楽を聴く側だったんですよ。だからリスナーとしての感覚を今も大事にしてて。“遠くの誰か”じゃなくて、“近い存在”としてのアーティストでいたい。それと、この“ゆるさ”。無理しないでやってるし、それを無理に飾らず見せてるので、あ、なんかちょっと好きかも”って思ってもらえたら、それが一番うれしいです。
—— NiseChi
たぶん、この記事で僕たちを知ってくれる人は、まずビジュアルから入ると思うんですよね。正直、最初は“マスク被った怪しいやつら”って思われるかもしれない(笑)。でも、MVを一本でも見てもらえたら、“あ、なんかゆるくて楽しいじゃん”って空気が伝わると思ってます。視聴時間は数分でも、心の中にちょっとだけ残るような何かを届けられたら、それだけで僕は満足です。
12月の初ライブに向けて、それぞれの想いとキャラクターがしっかりと滲み出たメッセージをいただくことができ、oops coolの魅力をより深く感じさせてくれた。
oops coolが“マスク姿”で活動しているのには理由がある。
ノリと中身で勝負したい——そんな思いから、あえて顔出しせず、見せ方に芯がある。
そんなギャップも、彼らの魅力なのかもしれない。
これからのoops coolの活動に、ぜひ注目してほしい。
新曲「火」MV
公式MVリンク:https://www.youtube.com/watch?v=EhsirFkrkOI
配信リンク:https://oopscool.lnk.to/firePR
--
EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/

ハプニングだらけの新曲「火」MV撮影 — oops coolが語る裏話とリアルな現場

キャラ立ちまくりな4人の一言で表す"oops cool" — 止まらないボケ合戦
連続リリース、MV撮影、走る日々——。 そんな現在進行形のoops coolを「一言で表すなら?」という質問には、想像以上の自由な回答が返ってきた。 —— Peppu 飛んで火にいる柄のついた蝶々です。 —— WANTAI …もう次、出づらいって(笑)。でも、ちゃんと答えるなら“ノリ”ですね。友達ノリ、勢いに乗ってるノリ、いろんなノリがありますけど。 —— Peppu 韓国海苔?それともスティックノリ?アラビック大和? —— NiseChi じゃあ僕は……575の句で表します。 “前しかねえ 壁でも行くぜ この勢い”。猪突猛進って感じ。 —— Peppu 字余りすごい(笑) —— Jariboy まあ僕はあえて二言で表すと…。“ウサイン・ボルトのハードル走”。スピード感と障害物を越えてく感じ、ね。 止まらないボケ合戦と化したコメントからは、どの言葉もバラバラだけど、不思議と全部が今のoops coolを表している気がしてくるようだった。 では、そんな濃ゆい4人だが、普段は喧嘩はしないのか伺ってみた。 —— Peppu ネット界隈とですか? —— WANTAI 違う違う違う(笑) —— Peppu そっか。じゃあ、メンバー同士では…あんまりしないですね。 —— NiseChi 僕たち、思っててもあんまり言わないタイプです。心の中に隠す。 —— Jariboy 移動中の車内とかで、WANTAIとNiseChiがちょくちょく言い合っているのを、僕とPeppuが笑いながら見てます。 —— Jariboy でも、次はグローブつけて本気で試合する予定なんで。お楽しみに。 そう語りながらも、全員がちゃんと笑ってるのが印象的だった。 —— Peppu 本当に、NiseChiが足遅い以外は問題ないですね。 —— NiseChi そこはもう自覚あるので、特に怒られません。 好き勝手言ってるようで、どこか絶妙なバランスで保たれている関係性。キャラは立っても、芯の部分では繋がっている。 そんな4人だからこそ、今のoops coolの空気感が生まれているのかもしれない。ハプニングも含めて、グループの色

初ライブへの意気込み
2025年12月、oops coolにとって初となるライブが控えている。 所属事務所 ROOFTOP 主催のこの舞台で、彼らはどんなパフォーマンスを見せるのか? 期待が高まる中、4人の率直な思いを聞いてみた。 —— Peppu ライブに出ること自体は決まったんですが、マスクをどういう形で出るかがまだ協議中です。 僕たち自身も、どんな形になるか正直わかってないんですよね。 だから12月にどんな姿で現れるのか、僕らも楽しみなんです。 —— WANTAI 初ライブなんで、温かい目で見守ってほしいですね。 あ、ちなみに今日の失態で“デコが出たマスク”が誕生するかも…それが一番の懸念事項です(笑) —— Jariboy 僕らはマスク姿なんで、現実に存在してるか分からない人もいるかもしれないけど、まずは“生身の僕たちがここにいる”ってことを届けたいです。 —— NiseChi 12月はお客さんも厚着してくると思うけど、僕らのライブが盛り上がりすぎて“次からは半袖で来なきゃダメだ”って言われるくらい熱くしたいですね。 —— Peppu でもNiseChiは足が遅いから、ステージに間に合うか心配(笑) —— NiseChi 多分後半から出ます(笑) —— Peppu 楽屋の袖でマイク渡して待機してる感じで(笑)。 でも、全力でやるのでぜひ遊びに来てください! ■ ライブ情報 ROOFTOP Live Event『Meeting』 <日程/会場> 11月30日(日):宮崎 LAZARUS 12月6日(土)神戸 VARIT. 12月7日(日):横浜 F.A.D <出演者> Rin音、クボタカイ、asmi、キズナ(宮崎公演)、oops cool(神戸、横浜公演)、Beard(LIVE DJ)oops coolという存在を、今誰かに届けるなら

新体制となったanewのインタビュー!今後に向けた強い意志を語る
3月24日に新体制を発表。4月19日より、桃兎まいみ・紬祇りこ・月夜なぎ・姫ここな・はる陽の5人体制で活動を始めたanew(from 山形)。
7月に、最新曲『まくあけのうた』を配信リリース。公開になったMVも無題を集めている。
8月9日(土)には、新高円寺LOFT Xでワンマン公演「anew夏の単独公演2025〜夏、終わらないで〜」を開催。ここでは、桃兎まいみ・紬祇りこ・月夜なぎ・はる陽の4人にインタビュー。新体制になって以降のanewについて伺った。
──『まくあけのうた』を初めて披露したのが…。
桃兎まいみ:
4月19日に行った、新体制お披露目ライブからになります。
──一人一人、『まくあけのうた』の魅力についても聞かせてください。
桃兎まいみ:
これは自分の解釈になりますが、『まくあけのうた』は一度挫折を味わった人というか、苦悩を知っている人が、「それでも前を向いていこう」という歌。歌詞は、これまでのanewの活動と重なる部分がすごくあって。anewも、結成から2年半の中、何度か体制が入れ代われば、そのたびに個々に大変さがあれば、続けていく中で挫折しそうになったこともありました。それでも、みんなで支えあって乗り越えてきたからこそ、『まくあけのうた』の歌詞がanewの姿にも重なるんだと思います。もちろん、聴いてくださる人たちの日常の中で感じる気持ちにも重なる思いがここには書かれているし、ここからが始まりだと思える内容だから、まさにタイトル通りの歌になりました。
月夜なぎ :
『まくあけのうた』を初めて披露したのが、4月19日に行った新体制お披露目ライブのとき。4月って、わたしやまいみさんもそうだったけど、新しい環境での生活が始まる時期。anewのファンの方々の中にも、新しい環境もそうだし、新たなことを始めなきゃという人たちがたくさんいたし、そういう会話もよくしていました。わたしもそうだったけど、やりたいことがあっても、そのために一歩踏み出すってすごく勇気のいること。たとえ好きなことでも、怖い気持ちも正直出てきます。そういうときに『まくあけのうた』が、その人の背中を押してあげられる曲になれたらいいなというのは、この曲を初めてパフォーマンスしたときから思っていたこと。最近、配信リリースになれば、MVも公開になって、さらに新しい出会いが増えているのを感じているからこそ、誰か一人でもいい、『まくあけのうた』を通して、その人の背中を押す力をこの曲を通して与えていけたら嬉しいなと思っています。
はる陽:
『まくあけのうた』は、わたしと、ここながanewに入って以降、最初に発表をした曲になりました。新メンバーが入るタイミングって、グループにとっても新たなアクションを起こすタイミングにも繋がること。だからと言って、ただ「メンバーが増えました」「新体制で新しい曲を歌いました」だけにしちゃったら意味のないこと。『まくあけのうた』は、新体制anewに向けたプロデューサーの期待もあって生まれた曲だからこそ、強い責任感や意志を持って表現しなきゃとわたしも思いました。
『まくあけのうた』は変拍子を用いた、歌うタイミングが難しい曲。わたしがシンガーソングライターとして培ってきた面を活かそうと、わたしのハモリを入れてくだされば、りこと歌声を重ねるシーンもあります。これはプロデューサーも言ってたことですけど、メンバー各々の個性が前に出てくる曲だから、個々の魅力を求められるし発揮もしていけるけど。5人で一つに調和しないと、この曲の本当の魅力を発揮していけない。プロデューサーには、そこでどんな化学反応が生まれるのかを期待されていますし、私たちも毎回歌うごとにそこを求め続けています。実際にライブを見てくださっている人たちからも、どんどん一つになっていく中で見えてくる化学反応を楽しんでいる声はよく聞きます。今も、そう。『まくあけのうた』を通して会場自体が一つになれているなと、わたしは感じています。
──ライブで歌っていると、メンバーはもちろん。ファンの人たちも、同じように気持ちを高めていますよね。
はる陽:
そうなんです。ライブハウスという空間って、同じ曲をやっていても、その場にいる人たちがどういう感情になっているかによって、全体の一体感もそうだし、気持ちの動きも左右されるなと、わたしは昔から思ってきました。『まくあけのうた』のすごいところって、サビで強く拳を上げて「まくあけを」とみんなで歌うんですけど。お客さんたちも、同じように拳を突き上げて一緒に歌ってくれる。全員の気持ちをガッと一つに持っていけるところが、この曲の魅力。それと、「幕開けをしたい」と思っている人たちがたくさんいることを発見できたのも嬉しかったことでした。人生の何かに燻っている人たちに、『まくあけのうた』がもっともっと届くようになっていけたらいいなという思いも、わたしの中にはあります。紬祇りこ 『まくあけのうた』には、「僕とあなたの幕開けになる歌」というテーマがあります。もちろん、新体制になったanewの幕開けになる楽曲でもあるけど。この曲を聴いてくれ人たちにとっても、幕開けになる歌になれたらいいなと思っていて。人生の中、誰にだって幕開けになるときってあると思います。それは、本当に些細なことでもいい。この『まくあけのうた』が、そういう人の心の支えになる歌であれたらいいなとわたしは思っています。
──歌う側も、『まくあけのうた』の歌詞を自分事として置き換えて歌うことも多いんですか?
紬祇りこ:
そうですね。最初は「自分たちのことを」という気持ちで歌っていましたが、最近は、聴いてくれる人たちに寄り添う気持ちで歌っています。お客さんの中にも、「新体制になったanewの幕開けの歌」と捉えてくれる人たちから、「自分の人生に寄り添ってくれる歌」として捉えている人たちもいるように、それぞれいろんな捉え方をしているところにも、わたしはこの曲の良さを感じています。
──ぜひ、『まくあけのうた』のMVの見どころも教えてください。
https://www.youtube.com/watch?v=EK5U-QXpgrg&list=RDEK5U-QXpgrg&start_radio=1
紬祇りこ:
今回のMVはしゅんさい (GXIRD/D)さんという方が主人公になって出演してくださっています。『まくあけのうた』は、anewのことでもあるし、この曲を聴いてくれるその人のことでもある歌。映像の中、anewとしゅんさいさんが交差している中へ、その2つの要素を重ねあわせているから、そこにわたしは映像の魅力を感じました。嬉しいのが、予想以上に観てくださる人たちが多いこと。今回も、すごくいい広まり方をしているなと感じています。
──前回、公開した『童貞ソー・ヤング』は20万回以上視聴されるなど、未だバズっていますからね。
https://www.youtube.com/watch?v=tqFwITY-NeU
紬祇りこ:
GOING STEADYや銀杏BOYZのファンの方が、たまたまanewがカバーしているこの曲を発見し、そこからanewのことを知って、応援してくださる人たちが増えたように、今回の『まくあけのうた』も、anewを知っていただける新しい機会になれたら嬉しいです。
──『童貞ソー・ヤング』は、ライブでも熱狂を作りだすキラーチューンになっています。中でも、なぎさんのぶち切れた叫び声は、かなりインパクトを与えていますよね。
月夜なぎ:
『童貞ソー・ヤング』は、ただ「アイドルがカバーしました」だけの曲にはしたくなかったし、GOING STEADYさんがこの曲に詰め込んだ熱量をちゃんと提示し、そのうえでanewとしてどうやって表現していくのかを毎回考えてやっています。とくに最後の部分は、その場の状況に合わせてどう言うのか、毎回すごく考えながら叫んでいます。
私たちは、日本武道館公演を目指しています。そこへ届くためには、東京での基盤はしっかり作ってかなきゃいけないこと。
インタビュー:新体制について
──現在の5人による新体制が幕開けたのは…。 桃兎まいみ: 発表をしたのが3月24日で、お披露目ライブを行ったのが4月19日でした。 ──一度卒業をした姫ここなさんの復帰もそうですが、嬉しい驚きだったのが、これまでanewに楽曲提供を行えば、対バンもしてきた東京在住のはる陽さんが、山形を拠点に活動を行うanewに加わったことでした。東京と山形の行き来は大変じゃない? はる陽: めちゃめちゃ楽しいですよ。これまで、あまり一人で新幹線に乗ったことがなかったから、定期的に東北へ行けることに楽しさを覚えています。 ──良ければ、加入を決めた経緯も教えてください。 はる陽: きっかけは、anewのプロデューサーから連絡をいただいたことでした。それまでのわたしは、はる陽という一人のシンガーソングライターとして音楽活動を続けていくんだとずっと思っていました。ただ、わたしが所属している「TOKYO PINK」は、大森靖子さんを筆頭に、所属している人たちはみんなアイドル。事務所主催のイベント「TOKYO PINK FES!」のときも、わたしはシンガーソングライターとして一人で出演。セッションで他の人たちと共演して踊る程度だったから、「自分も踊れるようになりたい」「他の人と一緒にやってみたい」気持ちは、所属してからの3年間ずっとありました。 その状態の中、anewへの加入の誘いを受けたときに、わたしの中で断る理由はなかったし、「わたしを必要としてくれる人たちがいるのなら行きたいな」と素直に思って、加入を決めました。 ──シンガーソングライターとanewの活動の両立は大変じゃない? はる陽 : ソロとして活動をしていると、行き詰まったり、つらさを覚えたとき、すぐ身近に相談をできる人がいないから孤独を感じることは今でもあります。だけど今は、週の終わり頃を中心に、メンバーやファンたちに会えるから、「一人じゃないな」という気持ちになれます。わたしの中では両立が大変というよりも、「ただいま」と言える場所が増えた感じがしています。 ──りこさん、5人の新体制が始まって3ヶ月近く経ちました。予想以上にいい形になったんじゃない? 紬祇りこ: この5人でスタートすることが決まったときから「絶対に良い形になるな」と思っていたし、実際にそうなっています。一番嬉しかったのが、お客さんたちからの反響の大きさ。新体制を発表したときはとくに、予想以上にリアクションが大きかったです。 ──それだけ、新体制のanewに期待をしている人たちが多いということだ。 紬祇りこ: ここなちゃんが戻ってきてくれたことへの嬉しい声から、はる陽ちゃんは、anewが初めて東京でワンマン公演をやったときから毎年ワンマンに出演してくれていたし、メンバーみんなもはる陽ちゃんのことを愛していることをファンの人たちも知っているから、ちゃんとanewに愛情を持っている人がメンバーに加入したことを素直に喜んでくれています。しかもこのメンバーになったことで、「それまで名前は知ってたけど」とanewのことが気になっていた人たちも足を運んでくれるなど、新体制anewの幕開けによってanewのことを好きになる人たちが増えたなと感じているし、すごく良い成果に繋がったなとも感じています。 ──メンバー自身もこの春には、まいみさんの大学卒業や、なぎさんの高校卒業など、個々に環境の変化もありました。まいみさんは、anewが所属している会社へ就職。OLとanewの両立で今、頑張っています。 桃兎まいみ: きっと他の会社へ就職していたら、今のように仕事とanewの両立は無理だったなと思います。その情況になるのをわかったうえで採用もそうだし、仕事面でも配慮してもらえているから、忙しいけど、両立はしやすい環境です。 社会人ですから、もちろん自分の名詞を持っていますけど。その名詞には、わたしだけアー写が入っています。仕事先の方と名詞交換をするたびに、「これは??」となりますけど、わたしがアイドル活動をしていることが、逆にコミュニケーションをスムーズに進めていくうえでの話題やきっかけにもなれば、結果的にanewの宣伝にもなっています。お仕事での経験をanewへ活かせることがあれば、そこも上手く活用していきたいなと思っています。 ──なぎさんも進学を決め、引き続き学業との両立を続けています。 月夜なぎ: 正直、学校との両立は大変です。anewのライブについてですが、5人体制になったことで、音楽的な表現の幅が広がったのはすごく感じていて。とくに、はる陽ちゃんが加入したことでハーモニーを含め、今までになかった表現の仕方が一気に増えました。わたしは、ここなちゃんが卒業後にanewに加入しています。だから前の体制のときは、わたしがここなちゃんのパートを歌わせていただいていましたが、わたし自身がanewが好きで加入したメンバーだし、ここなちゃんの歌声をずっと聴いていたから、自分で歌いながらも「ここのパートは、ここなちゃんの歌声だからこそ引き立つ」と思える曲はたくさんありました。だからこそ、ここなちゃんが戻ってきて、本来のパートを歌ってくれていることもそうだし、はる陽ちゃんも加わったことで、個々に得意な表現をしっかり活かしたうえで、今は、それぞれの楽曲を表現していけてるなと感じています。 ──確かに表現面でのクオリティもアップすれば、これまで以上にライブでも感情を露に表現してゆく面が強くなりましたよね。 桃兎まいみ: それは楽曲の傾向にもあるなと感じています。昨年秋に出した『束の間』や、GOING STEADYさんのカバー曲『童貞ソー・ヤング』、最新曲の『まくあけのうた』も、そう。感情を露に表現してこそという楽曲が増えてきたのもあって、ライブでも自然に感情が露になっていくことが多くなってきたとは自分たちでも感じています。 『まくあけのうた』は一度挫折を味わった人というか、苦悩を知っている人が、「それでも前を向いていこう」という歌。インタビュー:楽曲について

インタビュー:ライブ活動について
──最近のanewは、東京・山形・新潟・仙台を軸に、まずはその4ヶ所に拠点を作るべくライブ活動をしていません? 桃兎まいみ: まずは、その4ヶ所を自分たちのホームにしていこうとライブ活動の主軸に据えています。ただ、4ヶ所ともカルチャーがぜんぜん違えば、その土地に根付いているアイドルさんの雰囲気も、ファンのみなさんの盛り上がり方もぜんぜん違います。anewの楽曲はめちゃめちゃ振り幅が広いから、場所によってどういう選曲をするかも考えながらライブをしています。 紬祇りこ: 結成した頃から、地元の山形はともちろん、東京での活動もしっかりと見据えたうえで活動をしていく意識はずっとありました。仙台は東北の拠点となる地域だから、定期的に足を運ぶのも当然だなと思っていましたけど。正直、新潟へ毎月のように行くことになるのは、最初の頃は想像もしていませんでした。でも、すべては縁があってのこと。今では、仲良くしてくださるアイドルさんも多くいらっしゃるように、本当に縁を感じる場所になりました。 私たちは、日本武道館公演を目指しています。そこへ届くためには、東京での基盤はしっかり作ってかなきゃいけないこと。着実に応援してくださる人たちが増えてはいるけど、もっともっと頑張らなきゃいけないなと思っています。 ──anewも、デビューから2年半の歳月が経過しました。初期メンとして、現状への焦りやもどかしさもあるのでしょうか。 紬祇りこ: anewを結成したときから、「売れなかったら、そんなに長くanewは続けない」と言われてたから、「もう3年目なのか」という焦りは、わたしの中には正直あります。でも、もっと頑張っていけたら、もっといい未来もあるという期待も変わらずに持っています。 桃兎まいみ: わたしも、「焦りはないのか?」と聴かれたら「ない」とは言い切れなくて。ここまでの2年半、ガツガツと活動をしてきたつもりではいるけど。自分たちが目標にしていたステージに今の時点では到達していない現状もあるからこそ、今回のリリースもそうですが、「もっとanewを知ってもらうためには、どうしたら良いのか」はすごく考えます。 ──8月9日(土)には、新高円寺LOFT Xで、ワンマン公演「anew夏の単独公演2025〜夏、終わらないで〜」も決まっています。今回のワンマン公演は、自分たちを試される場にもなるのでしょうか。 桃兎まいみ: これまでにanewは、12月に周年公演として東京と山形で計4回ワンマン公演を行ってきました。anewの場合、ワンマン公演はセレモニー的な意味合いが強かったけど。今回は、企画色やエンターテイメント的な要素を強く押し出したワンマン公演になります。ただし、新体制になって初めてのワンマン公演だから、「楽しい」だけで終わらせてはいけないライブでもあります。内容については、私たちもまだ把握できてないから何とも言えないけど、「anewだからこその独自の面白さ」を伝える公演にしていく気持ちです。 ──新体制になってまだ期間は短いとはいえ、その真価を問われる面も含んでいますからね。 桃兎まいみ: そうなんです。新体制になって4ヶ月、表現できる曲も増え、見せられる面は増えているし、今のanewへの期待値が高いのも感じているからこそ、それを超えていきたいです。もちろん、リリースも大事だけど。私たちは「anewはライブが一番いい」と思ってもらえることを大事にしていますし、そこは大事にすべきところ。どういう見せ方になるにしろ、みなさんを楽しませる気持ちを大事に。新たにanewへ興味を持っていただいている方々にも、新しい入り口になっていくようにしたいです。 ──他のメンバーの方々も、東京でのワンマン公演へ向けての思いを聞かせてください。 月夜なぎ: 今回のワンマン公演は、エンタメ要素が強くなると思うんですけど。でも、心持ち的には、「今のanewはどんどん変わっていかなきゃ駄目だな」とすごく思っていて。新体制になって初のワンマン公演なのに、今までと変わらない心持ちでライブをやっていたら、何もその先に繋がっていかないからこそ、今回のワンマン公演を通してanewの持つアート面も、エンタメ性も、anewの可能性も広げられるライブにして、また一つ、新しいステージへ上がる一つの階段の場にしていきたいです。 はる陽: わたしにとっては、anewに加入してから初のワンマン公演になります。初のワンマン公演が、エンタメ性の強い内容なのがちょっと面白いなと個人的には思っています。ワンマン公演は、anewが好きな人や興味を持っている人しか見に来ないけど。anewの今後を見据えたシビアな視線を持って見てくださる方々もいると思います。だからこそ、自分たちとファンの人たちが、こうなっていくぞという未来を示す公演にしていけたらなと思います。 紬祇りこ: 新体制として初のワンマン公演になるからこそ、過去一いいライブを届けたいなという気持ちでいます。正直わたしも、エンタメ性の高いライブの想像がついてないですが、anewらしいエンタメ要素を披露できる場になるのなら、すごくいい機会になるのかなと思います。よくお客さんたちから言われるのが、「まずは、あなた方が楽しんでないと、こちらも楽しくない」ということ。もちろん、私たちは「楽しい」だけじゃない、いろんな思いを持って表現していきますけど。お客さんたちに思いきり楽しんでもらうためにも、私たちも思う存分楽しみながら、その部分もしっかり提供していきたいなと思っています。とくに今は、見てくださる方々と感情と感情をぶつけあうライブをやっているからこそ、この日もそうしていけたらなと思います。 ──初期メンとして、「anewらしさ」はしっかりつかんでいるなという実感もあります? 紬祇りこ: デビューのときから思っていたのが、「メンバーそれぞれ性格的に変わっていて面白いな」ということ。そこは変わらずですが、anewは「Art idol new world」をコンセプトに誕生したように、今では、なぎは衣装のデザインをしているし、わたしは振り付けをしたり、まいみは特典のグッズのイラストを描いたり、はる陽ちゃんは歌を作ったりと、それぞれがアート面での活動を担えてきたなと感じています。ここなちゃんは、「姫ここな」自体がある意味作品の人。そういう面でも、活動の中へ個々のクリエイティブな面を反映しだしているところに、anewらしい特色をわたしは感じています。 ──これから、その才能がどんな風に花開くのかを楽しみにしています。 文:長澤智典関連情報
リリース情報
anew New single 『まくあけのうた』 アーティスト:anew 楽曲名:まくあけのうた レーベル名:Brand new day 作曲 楠野功太郎 作詞 アベセージ MIX / Guitar Arrangement 丸山漠(a crowd of rebellion) 楽曲配信サイト https://linkco.re/S7q5rTPp 『まくあけのうた』MV https://www.youtube.com/watch?v=EK5U-QXpgrgライブ情報
anew夏の単独公演2025 〜夏、終わらないで〜 8月9日(土)新高円寺LOFT X -- EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/ Web3 音楽ストリーミング:https://w3.evening-mashup.com/ ECサイト:https://shop.evening-mashup.com/ITZYカムバックー「魔の7年」を前に示す意志と進化

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K-POPのSEVENTEENの弟分として、韓国デビュー後まもなく音楽界に旋風を巻き起こしたTWS(読み:トゥアス)。
2025年7月、日本1stシングル「はじめまして」を携えて、ついに日本デビューを果たす。
所属事務所であるPLEDISエンターテインメントとしては9年ぶりのボーイズグループである彼らは、なぜ今これほどの注目を浴びているのか。
その理由と背景をひも解く
デビュー即トップチャートに―“準備された新人”の証明
TWSは2024年1月に、PLEDISエンターテインメントからデビューした6人組...
HANA―時代が生んだNO LABELな7人組、J-POPの常識を塗り替える存在

HANA―時代が生んだNO LABELな7人組、J-POPの常識を塗り替える存在
2025年春、日本の音楽シーンに強烈なインパクトをもたらした新人ガールズグループが登場した。名前は「HANA(読み:ハナ)」。
SKY-HIこと日高光啓率いるBMSG傘下の新レーベル「B-RAVE」からデビューした7人組であり、ソニー・ミュージックと手を組んだ新たなJ-POPの潮流を象徴する存在として、今まさに注目を集めて...
Tempalay、4月13日に日比谷公園 野外大音楽堂でワンマンライブ開催

Tempalay、4月13日に日比谷公園 野外大音楽堂でワンマンライブ開催
4月13日、Tempalayが日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ『yyyyyyyyy』を開催した。Tempalayがライブを行うのは昨年10月に日本武道館で開催された『惑星X』以来、約半年ぶり。
武道館の時点で妊娠が発表されていたAAAMYYYが無事に第2子を出産し、Tempalayでのライブ活動を再開するとともに、この日は新たなサポートメンバーも迎えられ、結成10周年を経て、バンドのネクストシーズンの始まりを告げる1日となった...
VivaOla 独占インタビュー!音楽制作秘話やアーティストの素顔に迫る
今回は、今注目のアーティスト「VivaOla(ヴィヴァオラ)」にインタビューを行い、彼の音楽制作の秘話や、アーティストを目指すに至った経緯について伺いました。
VivaOlaは、過去に アルバム『APOLRIE VIVANT』などをリリースし注目を集めており、今回のインタビューでは音楽の道を歩むきっかけや、音楽に対する独自の視点を語っていただきました。
彼の素顔に迫るとともに、音楽と向き合う姿勢がどのように形作られていったのかを探ります。
―― インターナショナルなバックグラウンドをお持ちですが、海外での経験が音楽スタイルや価値観にどのような影響を与えましたか?
VivaOla:大学時代にアメリカへ行く機会があり、そのときに大きなカルチャーショックを受けました。この経験が、後々の音楽、特に作詞に大きな影響を与えたんです。
もともと英語で歌詞を書きたいと思ってはいましたが、当時はまだ音楽を仕事にするつもりもなく、日本語で書くことにも抵抗はありませんでした。ただ、洋楽を聴くうちに、日本語の歌詞では自分の表現がしっくりこないと感じるようになりました。
また、実際にアメリカに行ったとき、英語は話せるものの、いざ注文しようとすると言葉がスムーズに出てこなかったんです。ファーストフード店で店員さんに「Hi!」と明るく話しかけられたとき、ちょっと戸惑ってしまって(笑)。その瞬間、自分が日本で育ったことを改めて実感しました。
―― 現地での経験が、自分自身を見つめ直すきっかけになったのですね。
VivaOla:そうですね。特に印象的だったのは、現地で仲良くなったアメリカ人の友人が、日本の文化にとても詳しかったことです。自分は日本に住んでいるのに、文化や歴史についてまだ知らないことが多くあると気づかされました。日本では当たり前だと思っていたことが、海外に行くことで特別なものだと感じるようになったんです。
――音楽やエンターテインメントでも、海外に行ったことで気づいたギャップはありましたか?
VivaOla:ありましたね。洋楽を聴いていても、実際にアメリカで生活してみると、歌詞の意味やニュアンスをより深く理解できるようになりました。元より第二言語として英語を話せてはいましたが、それ以上に文化的な背景やスラング、表現方法を知ることで、歌詞に込められた意図が明確になったんです。
例えば、以前は「この歌詞ってこういう意味かな?」と曖昧に理解していた部分が、現地での会話や文化を通じて「ああ、こういうことだったのか」と腑に落ちることが増えました。そうした経験が、音楽制作にも大きく影響しています。
今はインターネットの普及で海外の文化に触れることが簡単になりましたが、実際に現地で生活すると、より直感的に理解できることが多いと感じました。
ネットを通じてミームやトレンドを知ることはできますが、リアルな空間でその文化に触れると、より深く体感できます。そうした経験が、自分の音楽制作にも影響を与えていて、新しい視点や表現方法が自然と加わるようになりました。
―― なるほど。現地での経験や交流が音楽の幅を広げ、より深い表現を可能にしたのですね。
__制作を進める中で、友人からのフィードバックに、何か腑に落ちるような感覚があったということですか?
VivaOla:逆に、腑に落ちない感覚があるからこそ気付かされましたね。自分のことを言うのは恥ずかしいんですが、よく『アマノジャク』って言われるんですよ。
__なるほど、ご自身はどう感じますか?
VivaOla:確かにそうだなと思いつつ、『アマノジャク』って言われるときは一番嫌なんです。たぶん、あまのじゃくって言われて嬉しい人は少ないと思います。
__確かに、『アマノジャク』という言葉は強いですね。
VivaOla:はい、呼べる人はかなり仲の良い人ですね。それくらい強い言葉ですから。
__アーティストとして、作品を作る際の工夫はありますか?
VivaOla:そうですね。自己理解の仕方が少し変わっているんですが、体調や心身の状況をあまり理解しない方だと思っています。最近は、交えた会話などをメモしたりして、自分の状態を見返し『明日は気分が下がりそう』みたいな心身のチェック的なことをしてます。
__自己認識を深めるための方法ですね。
VivaOla:その通りです。メタ認知として、会話をする前に『このことを話そう』と決めておき、その流れが自分の浮き沈みだと理解しています。友達にリリースを聴いてもらうとき、逆に安心感がありますね。VivaOlaがあまり好きじゃない友達に聴いてもらうと、意見が貴重に感じます。
肯定的な意見も嬉しいですが、自分としては、本当に必要なのは正直でリアルなフィードバックです。自己肯定感はある程度足りていると思っているので、それを求めるわけではないんです。必要なのは、オネスティ(正直さ)ですね。
__今後の活動について、どのような展開を予定していますか?
VivaOla:最近、音楽制作のインプット期間を終え、ついにアウトプットの段階に入りました。今年1月から新しい作品の制作を始め、さまざまなアーティストとのセッションを行っています。自分名義でのリリースも控えており、皆さんに良い意味で驚きを提供できると思います。
音楽的には、これまでの作品とは異なる方向性に進んでおり、前作『RIGHT/WRONG』は比較的落ち着いた内容でしたが、今回はもっと自由に「暴れたい」という気持ちが強くなっています。音楽は自由なもので、その変化を楽しんでいただければ嬉しいです。
__『暴れたい』というのは作風に変化を与えたのでしょうか?
VivaOla:はい、今回はVivaOlaの音楽作品集の中で、これまで挑戦したことがないようなことに挑戦しています。音楽的にもコンセプト的にも新しいアプローチをしていますので、ぜひ楽しみにしてください。
__ファンにどのように受け取られると思いますか?
VivaOla:正直、全く異なる世界観に変わるので驚かれるかもしれません。それでも、新しい音楽の発見があると思っています。
__ファンに伝えたいことはありますか?
VivaOla:これからリリースされる作品は、音楽のスタイルは大きく変わりますが、驚きと新たな発見を楽しんでもらえるはずです。
「暴れたい」というのは、破壊的な意味ではなく、もっと自由に、自分らしさを表現したいという気持ちです。これまで真面目に音楽やアートに取り組んできましたが、今は少し解放され、冒険的なことに挑戦したいと感じています。
それでも、この挑戦が今まで応援してくれたファンにとっても、新しい発見になることを信じています。次の作品では、これまでの作風とは真逆の方向に進む可能性もあり、ファンの反応がどうなるか少し不安ですが、それもまた楽しみにしています。
__音楽制作の転換点は、2025年に訪れるのでしょうか?
VivaOla:そうですね。今後の作品では、これまでの音楽とは全く異なるアプローチを試みる予定です。「暴れたい」という気持ちもその一環ですね。新しい音楽がどう仕上がるか、ぜひ期待してください。
__最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
VivaOla:これからの音楽活動を楽しみにしていてほしいです。新しい作品には、今のVivaOlaの新たな挑戦が詰まっています。ぜひ聴いてほしいですし、感想を直接聞けたら嬉しいです。音楽は一方通行ではなく、リスナーとの繋がりがあってこそのものだと思っています。ライブやSNSを通じて、皆さんともっと深く繋がりたいので、今後とも応援よろしくお願いします!
今回のインタビューでは、VivaOlaが音楽制作において自己表現と独自のスタイルを大切にしていることがわかりました。制作過程では試行錯誤を繰り返して洗練された曲を作り上げていることがよく伝わります。彼の音楽には、自身の個性と情熱が込められていて、独特の魅力が感じられます。
VivaOlaの新たな試みがどのように展開されるのか、今後の活動がますます楽しみです。
また、2025年3月10日から15日まで開催された『SXSW Music Festival 2025』(米テキサス州オースティン)では、オフィシャルショーケース『INSPIRED BY TOKYO』などへも出演しました。今後の活動にも注目です。
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EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/
Web3 音楽ストリーミング:https://w3.evening-mashup.com/
アーティストを目指したきっかけ
―― アーティストを目指すきっかけを教えてもらえますか? VivaOla:特に大きなきっかけがあったわけではないのですが、高校生の頃から音楽が趣味で、次第に仕事にしたいと思うようになりました。日本の高校生なら、進路を考える時期、例えば、大学進学をどうするか悩むタイミングですよね。その頃、「Wez Atlas(ウェズアトラス)」と同じ高校に通っていて、音楽を通じてよく一緒に過ごしたことが印象に残っています。 振り返ると、高校時代からデスクワーク中心の仕事は自分には合わないと感じていましたが、その気持ちを親に伝えるのは簡単ではなく、最終的には大学進学を選びました。でも、大学に入ってからも違和感は消えず、「やっぱり自分は音楽の道に進みたい」と改めて実感するようになったんです。 ―― 大学に進学したことで、普通の進路に違和感を覚え、音楽の道を選んだのですね。 VivaOla:そうですね。最初は音楽を仕事にしようとは思っていませんでしたが、大学生活を送る中で、その思いが次第に明確になっていきました。周囲の人との繋がりも広がる中で、自分の道を見つけていった感じです。 気づけば音楽の世界に足を踏み入れていて、最初は「DistroKid(ディストロキッド)」のような音楽配信サービスを知り、周りの人たちと一緒に自分の楽曲をアップし始めました。それがキャリアの第一歩だったのかなと思います。 ―― 高校時代の音楽活動についても教えてください。 VivaOla:高校では音楽の授業がほとんどなかったので、音楽に触れる機会はそもそも少なかったのですが、廊下でよく顔を合わせていたWez Atlasの名前は知っていました。自分はインターナショナルスクール出身で、彼はアメリカのコロラド州から来た帰国子女のため、少しバックグラウンドが異なっていました。 音楽を通じて急接近したのは、ちょうどテスト期間中でした。お互いにテストを避けたかったのかもしれません(笑)。そのタイミングで、自然に音楽を通じて仲良くなり、一緒に楽曲制作を始めました。 ―― 音楽を通じて仲良くなったんですね。当時、どのような音楽を作っていたのですか? VivaOla:自分は当時ジャズに興味があり、彼はラップが好きでした。最初から同じジャンルで活動していたわけではなかったのですが、逆にそこが面白かったんです。スタイルが違うからこそ、新しいアイデアが生まれやすかったのかなと思います。 ―― それは興味深いですね。音楽を作る中で、お互いの違いが刺激になったということですね。 VivaOla:そうですね。同じ音楽を作るにしても、アプローチが異なることで新たな発見がありました。共感って80%だと思っていて、100%に近づくと、ただのコピーになってしまうんです。でも、違いがあるからこそ面白いんです。だからこそ、彼との音楽制作は自分にとって大きな意味がありました。それぞれ異なるアプローチを合わせることで、新しい音楽が生まれる瞬間を楽しんでいました。 ―― 音楽に対する情熱は、お互いの違いから生まれたのですね。 VivaOla:その通りです。音楽は自分を表現する手段であり、異なるスタイルを取り入れることでより深みが生まれると思っています。自分たちが作った音楽には、お互いの違いが反映されているからこそ、ユニークな作品になったのだと思います。 ―― なるほど。音楽の多様性が、創造性を生むのですね。音楽と海外経験の影響

初めてVivaOlaの音楽を聴くなら、まずはこの曲
__初めてVivaOlaの音楽を聴く人に、ぜひ聴いてほしい曲は何ですか? VivaOla:おすすめですか。うーん、とても難しい質問ですね。初めて聞かれた質問かもしれません(笑)。お気に入りの曲がいくつかあるので選ぶのが難しいですが、もし最初に聴いてもらいたい曲を挙げるなら「RIGHT/WRONG feat.Jimmy Brown」と「Runway」ですね。 「RIGHT/WRONG feat.Jimmy Brown」:https://youtu.be/hdnZHVMbg_8 「Runway」:https://youtu.be/39O8klKAz6Q 特に「Runway」は、自分にとって非常に大切な曲であり、今でもその中に成長を感じる部分があります。 作品のリリース自体に喜びを感じる一方で、後から制作面で悔しさを覚えることがあります。リリースした当初はそれが最高のものだと思っていたけれど、後から振り返ると、もっと別のアプローチができたのではないかと感じることがあります。 __制作に込めた思いについて教えてください。 VivaOla:Runwayは、試行錯誤を繰り返しながら作った作品です。その制作過程で悔しい部分も多かったのですが、それが逆に自分を成長させるきっかけとなりました。 例えば、「Runway」の制作中に、自分の音楽の方向性が少しずつ変わっていったことを実感しました。最初は音楽に対して広い興味を持ち、ギターや既存の音楽のスタイルに挑戦したり、今風のビートを使ったりと、さまざまなスタイルを試しましたが、「Runway」の制作に取り組むうちに、ボーカルやフロントマンとして歌いたいという気持ちが強くなり、シンプルに「自分の歌」を表現したいという思いが芽生えました。 1st ミニ アルバム『STRANDED』全体は、さまざまな要素を取り入れた、オードブルのように多様なスタイルを試した作品です。その中でも「Runway」が特に際立っていると感じた理由として、昔からの友達や音楽仲間から「VivaOlaの代表曲だ」と言われたからです。「この曲を知らなきゃ本物のファンじゃない」と言われ、自然と誇らしい気持ちが湧きました。“アマノジャク”な自分

インスピレーションと制作プロセス
__楽曲を作るとき、どこからインスピレーションを受けますか? VivaOla:作りたい曲が浮かぶ瞬間には、歌いたいこと、伝えたいメッセージ、奏でたいサウンドなどが頭の中で交錯します。 自分が大切にしているのは、 アルバムやEPといった形で、全体的に大きなビジョンを持って作ることです。シングル単体で作ることはあまりなく、むしろ次にやりたい方向性や目標に向けて作ることが多いですね。例えば、来年の今頃にはこういった曲を作りたいという目標を持ちながら制作することが多いです。 個人的に、他のアーティストのように身近な出来事や体験からインスピレーションを得ることは少なくて、むしろフラットな状態で「今作りたい曲はこれだ」と思って作り始めます。 後から振り返ると、「あの時、ああいう気持ちだったな」と思い出すことはありますが、それはあくまで制作後の振り返りとして感じることが多いですね。瞬間的な感情や出来事から作ることは避けるようにしています。 __制作プロセスについて、スケジュールや計画はありますか? VivaOla:実際には、あまり決まったスケジュールに基づいて制作しているわけではありません。マネージャーとのミーティングで示された目標に対して意義を見出すようにしていますが、自分はどちらかと言うと、特定のタイムスパンを設けて制作を進めるのではなく、むしろ制作に取りかかるタイミングが重要と考えています。 作らない時期は音楽以外の活動に没頭して、新しい学びを得たり経験を積んだりしています。その期間が過ぎて、何かしら飽きる瞬間が来た時に、自然と「作りたい」という気持ちが湧いてくるんです。 音楽から離れているときでも、インプットは常に意識しており、音楽を作っていない時期が長くても、それが次の制作に繋がることを感じています。 音楽とは関係ない活動でも、新しいアイデアやインスピレーションが得られることがあり、例えば、最近友人とセッションをしていて、友人が聞かせてくれた録音が父との喧嘩の内容で。「音楽に使えるかも」と思って家族の喧嘩の音声を録音していたらしいんですよ(笑)。こういった予期せぬ出来事も、音楽に繋がることがあるんです。 __では、「インプット期間」はどのように過ごしているのでしょうか? VivaOla:インプット期間は、完全に音楽から離れて過ごすわけではありませんが、音楽以外の活動を重ねることで、自分の感性を磨いています。 友達と会ったり、音楽以外の体験を通じて新しい視点を得ることが多いです。旅行に行ったり、他のアートに触れることも感性を広げる一環です。ただ、音楽制作に入るタイミングが来ると、その瞬間に全てを投入して作業に集中することになります。音楽の制作をしていない期間も、常にインスピレーションを感じ続けるような感覚ですね。 __それでは、音楽制作時に心がけていることはありますか? VivaOla:制作時は、他の活動に没頭している時とは全く異なるマインドセットで取り組んでいます。音楽を作っている時は、何かに追われている感じではなく、むしろ自分の表現に集中しています。誰かに「遊ぼう」と言われても、「今は制作中だから」と断ることが多いです。 時々のインスピレーションに従って、楽曲を作ることに集中します。音楽制作には、計画的な制作というよりも、その時の流れに任せる方が、自然に進むんです。 __制作活動の「充電期間」についてどう思いますか? VivaOla:充電期間として、インプットをたくさんしておくことは、制作活動を始める前の準備段階として重要です。インプットを繰り返しながら、自分の中で新しいアイデアが蓄積され、自然とアウトプットに繋がります。充電期間のような時間を意識的に過ごすことで、その後の制作活動がより充実したものになりますね。音楽制作の哲学と創作の工夫
__「GIVE MINE」の作品では、ミステリアスな雰囲気が感じられますが、作品を作る際に意識している点はありますか? VivaOla:ミステリアスであろうとは思っていませんが、もしかしたら良い意味でも悪い意味でもそう感じる方がいるかもしれません。ライブは別として、音楽作品においては自分を前面に出すことはあまり意識していません。 映像やジャケット写真などでは、音楽という作品が主であり、私自身が強調される必要はないと思っています。もちろん、登場することはありますが、自己顕示欲はあまり感じていません。 __アーティストとしてのコンセプトが強調されるということですか? VivaOla:どうなんでしょう、マネージャーの方が理解しているかもしれません(笑)。最近のミーティングでもその方向性について話し合いましたが、自分がかっこいいと思うものは、全体的に統一感があるものです。ミステリアスな存在であることを意識しているわけではなく、その結果、そう感じる方もいるかもしれません。 __一部のアーティストは普段の生活を全てさらけ出すことで、音楽がより伝わりやすくなる場合がありますが、VivaOlaの場合、必ずしも全てを出す必要はないという考え方ですよね? VivaOla:その通りです。全てをさらけ出すアーティストもいますが、私の場合は音楽にちょっとした魔法やミステリー、ファンタジーを加えることが大切だと考えています。もちろん、すべてが真実である必要はありません。 __本当である必要はないし、むしろ夢を見させることが大切だということですね。 VivaOla:そうですね。全てが本当であることよりも、聴く人に夢を見せることが大切です。もちろん、その中には自分の人生経験や原体験が根底にありますが、それを超えた何かを音楽で表現したいと思っています。 __では、制作に行き詰まった時はどう対処していますか? VivaOla:スランプではないですが、インプットが足りないと感じることはあります。作りたくない時は無理に作らないようにしています。以前、 アルバム「Juliet is the moon」のリリース後はしばらく曲作りができず、納得のいくものが作れませんでした。その時に学んだのは、無理に作らないことです。作れない時に作っても気持ちが悪いので、休むことが大切だと感じています。 __休憩を取り入れることでリフレッシュするんですね。そこから気持ちが整理されてまた新たなアイデアが生まれるのでしょうか。 VivaOla:そうですね。曲を貯めておくことが必要だとは思いませんが、頑張りすぎることは避けています。挑戦や新しいことに挑むことは大切ですが、無理に突き詰めることは避けています。作れないときは、休むことが最良だと思っています。音楽を通じて伝えたいメッセージ
__音楽を通じて世の中に伝えたいメッセージはありますか? VivaOla:メッセージを伝えることは正直難しい部分もあります。難解な歌詞を書くことはあまりなく、歌詞に大きなメッセージを込めることは少ないかもしれません。ただ、音楽を通じて「愛」や「感動」を伝えたいという気持ちは持っています。愛にはさまざまな形があり、例えば友人同士の愛や、時には執着からくる愛もあります。恋愛をテーマにした曲は少ないですが、愛や感情をテーマにした歌詞は多く書いています。 __具体的な曲はありますか? VivaOla:例えば、「GIVE MINE」では独占的な愛や毒々しい愛を描きたかったんです。また、「PRESENCE」では、音楽を通じて愛を伝えたいという気持ちを表現しています。 愛というものは、時に怒りや対立を生むこともありますが、それも愛の一部だと思っています。逆に、嫌いな人に怒りを感じるのも、その人に対する愛情があるからこそだと考えています。そういった様々な「愛」のメッセージを伝えたいですね。 __メッセージが反映された作品はありますか? VivaOla:例えば、藤田織也と一緒に作った「O.M.M」では、キャリアやビジョンについて考えたことが歌詞に反映されています。歌詞の詳細は明かしたくないので、具体的な話は避けます(笑)。自分が書いた意図がそのまま伝わることにこだわりはなく、むしろ今話していることが歌詞に現れる方が大事だと思っています。 「O.M.M」にはその側面があり、リスナーには「ただの『君を思い馳せている』歌詞」と捉えられるかもしれませんが、自分たちにとっては、それ以上に、現在と未来の自分、そしてファンやリスナーとのビジョンも込められています。そうした関係性を大切にし、比喩的に表現しています。 __歌詞を書くには、原体験が必要だと思いますか? VivaOla:原体験がないと、このような歌詞は書けないと思いますし、背景は非常に重要だと感じています。ただ、愛というテーマに関しては、セクシャルな意味に縛られたくないんです。逆に、プラトニックな意味にも縛られたくなく、その部分が抽象的になることを意図しました。愛の形を超えたメッセージを歌詞に込めたかったので、そうした抽象的な部分が伝わればいいなと思っています。音楽の新たな方向性と“暴れたい”という思い

TORO「ロックの復権」を掲げる新生バンドが想う「孤独感」とは
「ロックの復権」を掲げる2023年結成のトリオ・ロックバンドTORO(トロ)。
既に2枚の アルバムをリリースしている彼らだが、去年、FUJI ROCK 2024の出演を果たし、SiM主催の 音楽フェスDEAD POP FESTIVAL 2024にはSiMのボーカル MAHの直接オファーでステージに立つなど、結成2年目とは思えぬ快進撃を続けている。
そんな彼らの魅力に迫るべく、バックグラウンドやアルバム制作、ライブなど様々なテーマについてじっくり語っていただいた。
筆者:今日までに他のメディア取材記事も拝見させて頂いたのですが、「ロックの復権」という言葉をよく目にします。とても魅力的なコンセプトだと思うのですが、どのような思いがあるのでしょうか?
梅田:最初キャッチーコピーみたいなのが欲しくてインパクト重視でいってしまったというか(笑)。
筆者:そうなんですね(笑)。でもものすごくロックバンドだなと感じるんですけれども。
梅田:そうですね。インパクト重視でいったは良いものの、元々やってたバンドも本当の意味でのサブカルチャーというかサブジャンルというか。言い方がちょっとくさいけど、アンダーグラウンド的な 音楽をやってたからこそ出来るカウンターカルチャー精神というのをメンバーそれぞれが持ってて、そのカウンターカルチャー感のあるロックミュージックという軸があるのかなと思います。
筆者:そう聞くと、先ほどの話とも似てる部分があると思うのですが、TOROの曲を聴いていると、どの年代の音楽に影響を受けたのかとても気になりまして、特に好きな年代はありますか?
梅田:最近、今作ってる 曲や、今後の制作を考える時に、バンドの軸になるジャンルを考えさせられることが多くて。よく思うのがどの年代という特定のものはないんですけど、それこそオルタナティブというか、本当の意味でのオルタナティブというか。いつの時代に聴いても同じ感動がするような音楽が好きで。そういう意味ではポップスと被ってる部分はあると思うんですけど、ずっと聴いていられるような曲作っていきたいなというのは思います。
筆者:普遍性ということでしょうか?
梅田:そうですね。いつの時代も聞かれる音楽ということを考えた時に「懐かしさ」と「新しさ」が両立できるような曲を作っていきたいなと考えています。
筆者:メンバー間では制作においてどのような役割を割り当てていますか?
梅田:基本的には僕がデモを作って、大西からドラムとかビートのアイデアをもらって。ベース(ハセガワ)はベースでアレンジをしてもらうって感じです。TOROはベースやドラム以外にも音が鳴っているタイプのバンドだから、最近は色々相談する感じで、自分が作るけど話し相手になってもらうことが多いですね。
筆者:ハセガワさんも大西さんもアレンジ面で意識することはありますか?
ハセガワ:アレンジというよりは、例えば「ここのメロディーが変わったから、こうしてみたんだけどどう?」みたいなのが来て、それで繰り返し聴いて「前の方が良いんじゃない?」みたいな、アレンジ作業というよりはフィードバックする感じですね。
筆者:大西さんもそのような感じですか?
大西:そうですね。基本、梅田が作ってきたものがあって、それをより翻訳的な感じにするというか。ドラムだったら僕の方が聴いてるし、リズムを勉強してるので、「こういうことをやりたいんだったら、こうだよね?」っていう感じでアレンジして、フィードバックしてみたいな感じですね。さっき梅田が言ってたように、前はドラムだけとかドラムのフレーズだけやってたんですけど、最近はデモ段階から「どうだろう?」と言ってくれるのでドラム以外の箇所も皆んながいるタイミングで話し合ったりしますね。
筆者:共通認識がより深まった感じですね。
大西:そうですね。
筆者:2024年に2ndアルバム『幸です』をリリースされましたが、1stアルバム『TORO』とはだいぶテイストが違う作品だと思うのですが、制作過程において1stアルバムと何か違いはありましたか?
梅田:アルバムの統一感は作りつつも、一つのジャンルに偏るバンドではないのかなっていう認識はあって、2ndアルバムを作る時に最初はポップスの 曲を作ろうっていう気でいたんですけど、考えていくうちに色々なジャンルが混じって、ちょっとオタクなアルバムになったのかなっていう感じはあります。
筆者:意識したというよりは、自然と付け加えられたという感じなんですね。
梅田:そうですね。付け加えられたという感じではありますね。自分が作りたい曲を作るっていうの想いはあるんですけど、色んな音楽を聴いて生まれた排泄物のような要素も作曲の魅力の一つかなって感じてて。1stアルバムを作ってる時は、バンドの方向性はあったんですけど、1stアルバムに比べて2ndアルバムの方が自分が聞く音楽を、自然とアウトプットしたような感覚はあって。1stアルバムの方が、バンド結成前の曲が多かったし、制作の方向性がある程度明確にありました。2ndアルバムは自然に出てきた音楽を素直にアウトプットした アルバムになったと思ってます。
筆者:そういう意味では2ndアルバムの方が楽曲に多様性が出た感じですか?
梅田:そうですね。自由な感じに。
筆者:1stアルバムでは英語の歌詞のみの楽曲があったと思うのですが、2ndアルバムでは、すべて英語歌詞の楽曲はないなと思ったのですが、歌詞に対する想いやスタンスに変化があったのでしょうか?
梅田:バンドをはじめる前に作った 曲は、ラウドロックミュージックをずっとやってきて、英語が当たり前の文化で育ってきたので自然と英語的なフレーズが出てくるし、「英語だろ!」みたいな感じだったんですけど。それこそ1stアルバムも日本語がちょびちょび入ってるじゃないですか?
筆者:そうですね。
梅田:そう。ボーカルや作詞をやるのがこのバンドが初めてだったので、最初は当たり前に英語でやってたけど日本語で書いたら、自然と言いたいことが出てきて、言葉遊びが面白いなとなって。邦楽を全然聴いてこなかったタイプだったので、日本語の歌詞に対する知識がなくて。日本語に対するトラウマがあって、日本語が良いって気付いた後は、トラウマだったからこそ使ってこうみたいな。そしたらだんだん自分っぽい言葉が生まれてきて、面白いなと思い、日本語で書くようになりました。
筆者:一つの挑戦でもあり、それが今作に表れたんですね。
梅田:そうですね。今後も多分ずっと日本語が多めになると思います。
筆者:そうなるとTOROの楽曲以外で、日本人アーティストの方の歌詞にも意識が向くようにもなったのではないでしょうか?
梅田:そうですね。日本語の歌詞を書くようになって、日本のバンドが好きになったというか、最近は山下達郎さんや宇多田ヒカルさんとか。日本語をフィールドに活動している作詞家に対して、自分の中で解像度が高くなった感じはあります。
筆者:表現方法が増えた感じはありますね。
梅田:そうですね。言葉がないからこそ出てくる語彙というものがあるのかなと思います。
筆者:精力的にイベント出演を行われ、イベントとはもちろん、FUJI ROCKやSiM主催のDEAD POP FESTIVAL にも出演された中で心境の変化はありましたか?
メンバー:(しばらく考え込む)
梅田:でも、また野外フェスはやりたいよね。
ハセガワ:そうだね。
梅田:いちばん音が抜けるからなのか開放感があって。それこそフェスって言葉通り祭りというか、すごく共有されてる感があるなと思って。フェスにいっぱい出れるようなバンドになりたいなって感じましたね。あとはリスナーの方も徐々に増えているとは思うけど、2024年はライブ活動での課題を解決する場面が多かったです。元々ライブに来てくれる人よりは、一人で 音楽をイヤホン越しで聴いてるリスナーに届いて欲しいというか、部屋でも聴けるロックミュージックでありたいという意識はあって。だから今後もライブは一回も行ったことないけど音楽がめっちゃ好きな人に届けられたら良いなっていう意識はありますね。
筆者:2024年は台湾の音楽イベントにも出演されていましたが、お客さんの雰囲気は日本と違いはありましたか?
梅田:20代くらいの若い人が多くて、台湾の人は「どれ?どれ?評価してやるか。」ではなくて純粋に「音が鳴ってるからちょっと行こうよ。」みたいな気軽さが国内全体にあるのかなって実感しましたね。
筆者:すごく本質的な話ですね。
梅田:そうですね。皆んなが同じ感情を共有している感じが台湾のフェスにはあって、主催の方の思いも伝わってきて熱気があるなと思いました。
筆者:同じアジアでもやはり違いはあったんですね。
梅田:違いましたね。
筆者:ライブの手応えも感じやすかったのではないでしょうか?
梅田:そうですね。レスポンスも素直にきてくれましたね。
筆者:先ほど、大西さんが学生時代にSiMにハマっていたとお聞きしましたが、DEAD POP FESTIVAL にSiMのボーカルMAHさんから直接オファーが来て出演されたことは一つの成果だと思うのですが、どのような心境でしたか?
大西:めちゃくちゃ嬉しかったですね。それこそDEAD POP FESTIVAL は自分が初めて行ったフェスだったので。梅田もね?
梅田:うん。俺もそう。
大西:SiMとかcoldrainとかのライブに高校生の頃たくさん行ってたので本当に嬉しかったですね。しかも自分たちが結成1年目だったので、「うわ、まじか?!」みたいな(笑)。有頂天みたいな感じでしたね。
梅田:嬉しかったよね。
大西:うん。めちゃくちゃ嬉しかったね。
梅田:DEAD POP FESTIVAL の出演後、ラウウドミュージックシーンの助け合い文化がかっこ良いなと思うようになって。SiMからしたら得はないけど、多分おもろいから多分俺らをピックアップしてくれたとか、若手をフェスとかイベントに引っ張り出すっていう文化があのシーンにしかなくて、それがどれだけ大事なものだったかというか。バンドがバンドを引っ張るっていうのはロックの本質だなと。レッチリがジミヘンを聴いて好きになって、俺らがレッチリを聴いて好きになるみたいな受け継がれてく感じがロックの本質っぽくてかっこいいなって感じましたね。
筆者:TOROというバンドもその一部になってるような感覚になりますね。
梅田:そうですね。自分だけの得というよりかは、もっと流動性の高い考え方なんだなというか、すげー良い考えを持ってる人たちなんだなって思って。MAHさんかっこ良いよね。
筆者:会場ではお話しされましたか?
梅田:そうですね。打ち上げにも参加させてもらって。優しかったですね。
ハセガワ:確かに。
バックグラウンドについて
筆者:まず最初にTOROの皆さんが、どのような音楽を聴きはじめ、どのように楽器に触れるようになったのかお聞きしてもよろしいでしょうか? 梅田:最初のきっかけは、マイケルジャクソンが死んだというニュースでその存在を知って、彼の楽曲をiPod nanoに入れてもらったことです。中学受験したんですけど、図書館とかでめっちゃ聴いてた思い出が今になって思い出すというか。 筆者:あれですよね。亡くなって知るという...。 梅田:そうですね。多分、小5くらいだったの思うんですけど。楽器をはじめたのは中1とかなのでもうちょっと後なんですけど、その時はB’zにハマってて、なんかドラムやりたくて。「やらして」って親に言ったら「うるさいからギターにしな」って言われてギターをはじめました。 筆者:なかなかおもしろいですよね。B’zでギターではなくドラムというのは。 梅田:ドラムやりたかったですね(笑)。 筆者:ハセガワさんは、どのようなアーティストに影響を受けましたか? ハセガワ:自分が最初にアーティストとして認識したのは、父親が好きだったビートルズですね。父親がビートルズも好きだし、ハードロックも好きで、家にギターが何本かあったりして。日本だとBOØWYとかも好きだったみたいで、車の中で基本そういうのが流れてたり、父親が家で弾き語ったりしてるのを見てたので。且つ母親も 音楽が好きで、幼稚園くらいの時にELLEGARDENとか流したりしてて、その時は刺さらなかったんですけど。姉貴もピアノとかチューバとかやってて、音楽に囲まれてたので、ビビッときて始めたというか自然と楽器に触れるようになりました。最初は父親が持ってたギターを触って始めたんですけど、チューニングすら分からないからやめて、何年か後に姉貴がエレキベース持ってて触らしてもらってたらどんどんハマって、今もずっとベースを続けてます。 筆者:最初にしっかり触れた楽器がベースだったんですね。 ハセガワ:そうですね。 筆者:大西さんはどうでしょうか? 大西:お父さんが70年や80年台のダンスミュージックがすごい好きで、僕が小っちゃい頃車に乗っている時もそういうのばかり流していて昔の音楽ということはなんとなくわかっていたんですけど、80年代のダンスミュージックとかソウル、ファンクだって認識はなくて、その後にマイケルジャクソンを中学2年生ぐらいでアーティストとして初めて認識しましたね。 梅田:マイケルジャクソンはさっき言ったよ(笑)。(大西が途中参加だったため) 大西:そうなの。そこから昔聴いてたような音楽と似てるなとなって聴きはじめたので、そういう意味では最初はちょっと昔のダンスミュージック系ですかね。それで最初、中学校の友達とコピバンを始めたんですけど、それでやりたいってなったのが突然変異してハマったSiMとかラウンドロック系でした。 筆者:お三方とも両親がすごい 音楽が好きな環境だったんですね。楽器を始めた後、いつ頃からバンドを始めようという思いになったのでしょうか? 梅田:ギターをはじめた時からずっとバンドはやりたかったんですけど、楽器をやってる友人がいなかったから、ギターをやってる友達の家でお互い練習したりして、そこから文化祭に出られるようになったので、高1くらいからですね。 筆者:それでは最初から本格的にバンドを始めたというよりは、高校から続けてきた活動の延長のような事ですか? 梅田:そうですね。高校の時はコピーバンドをやってたので。それこそ大学のサークルがメタルサークルで、初めて組んだバンドがメタルコアバンドだったんですけど、その時のバンドのメンバーがハセガワの中高の先輩で。でもベースを辞めちゃって、その時にベースを募集したら彼が来てくれて。 ハセガワ:そこで俺が後から加わりました。 筆者:お二人が出会ったのはそこのタイミングなんですね。ドラムの大西さんはどこで出会ったのでしょうか。 梅田:大西もサークルで別のメタルバンドをやってて。 ハセガワ:彼も俺の一個上の先輩で。 梅田:飲み仲間的な感じで、酔っ払ったら基本いるみたいな奴で。それで後からこのバンド(TORO)を始めるときに声をかけたって感じです。 筆者:そうなんですね。全員について聞いてしまう形になってしまうのですが、サポートメンバーである木村さんも元々関係はあったのでしょうか?(2/24をもってサポート活動を終了) 梅田:彼は大学の先輩だったんですけど、知り合ったのはバンドをやりはじめた時ですね。 ハセガワ:前のバンドの時に対バンとかをしてて知り合って、実は大学の先輩だったみたいな。元々彼はミックスとかマスタリングエンジニアをやってたので、ファースト アルバムの時にお願いしようと思って頼んだんですけど、ギターがもう1人必要なことに気づいてお願いした感じですね。「ロックの復権」を掲げるTOROのバンドとしての在り方

制作時におけるメンバーの役割

2枚のアルバム

ステージに立ち、抱いた思い

良い意味でも悪い意味でもの「孤独感」
筆者:バンド名が「toro」から「TORO」に変わったと思うのですが、何か心境の変化があったのでしょうか? 梅田:めっちゃ意味があるわけではないんですけど、toroって小文字でバンドを始めちゃったんですけど、始めた時から大文字の方が絶対に良かったと思ってて(笑)。シンプルに思い続けてたから、もう変えてしまおうと。大文字の方が見やすくて良くない?っていう。 ハセガワ:字面が好きだね。大文字の方が(笑)。 梅田:あんま気にしてないです(笑)。大文字の方が見やすいからってだけですね。 筆者:そうだったんですね(笑)。もう一つお聞きしたいことがあるのですが、1st アルバム『TORO』と2ndアルバム『幸です』もジャケットがすごく良いなと思いまして、どちらとも寝転んだ姿が描かれてますが意味はあったりするのでしょうか? 梅田:アートワークを頼んでいる人がどちらも同じでインドネシアのアーティストの方なんですけど、人の 曲線を独特に書く方なので、変な姿勢の方が映えるアーティストだなと思ってお願いしました。デザイン自体は一人の視点というか。ロックミュージックは一対一の関係で、誰かが介入するものじゃないと思っていて、曲もアートワークも良い意味でも悪い意味でも「孤独感」を大事にしているので、あのようなデザインにしてもらいました。 筆者:先ほどの部屋で聴ける音楽ということにも繋がりますね。 梅田:そうですね。そのテーマに近いです。自分一人で聴くロックミュージックを目指してる節はあって、ジャケットも部屋感がある感じになりました。最後に
筆者:2025年の抱負を最後に聞かせていただいてもよろしいでしょうか? 梅田:バンド全体のですか? 筆者:そうですね。 梅田:せっかくなんでバンド以外でも良いですか?(笑) 筆者:大丈夫ですよ(笑)。 梅田:ピアノを弾けるようになりたい(笑)。ピアノを練習してるんですけど、、ピアノかな?あーでも、決まりました。運動しないとと思ってテニスを始めたんですけど、そのテニスを続けたいですね(笑)。 ハセガワ:歌を上手くなりたいというのが最近あったんですけど、それはバンド絡みなんで。 筆者:そうですね(笑)。 梅田: 音楽以外はむずかしいね。 ハセガワ:あ、運転を頑張ります! 大西:あー!それね(笑)。 梅田:それもバンドのためでしょ(笑)。 筆者:免許ということですかね? ハセガワ:免許は持ってるんですけど、全く運転しなくて。 梅田:こいつだけ全く運転しないんですよ。 ハセガワ:頑張ります(笑)。 大西:頼むよ。 筆者:大事ですね(笑)。 大西:俺も歌がマジで下手くそで、カラオケで80〜85点とかなんで。でも音楽絡みだしな。やっぱり運動不足がちなので継続的に運動したいですね。 梅田:被ってない?何かお願いしますよ。 大西:じゃあスパイスからカレー作るとか。 一同:アハハハハハハ。 梅田:勘弁してよ。 大西:スパイスカレー作ってみたいですね(笑)。 梅田:クラフトビールもあって。 筆者:流石にクラフトビールも作るのではないですよね?(笑) 大西:まだ流石にですね。 筆者:それではテニスと運転とスパイスカレーということで(笑)。 メンバー:そうですね(笑)。 筆者:かえって難しい質問になってしまいましたね。 メンバー:いえいえいえ(笑)。 「普遍性」と「孤独感」という、まさにロックの本質を追求し続けているTORO。この先に彼らが生み出す音楽は一体どのような音が鳴り響くのか、ますます興味が湧いてしまうインタビューとなった。 活動3年目に突入するTOROのこれからの飛躍に目が離せない。 -- EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/ Web3 音楽ストリーミング:https://w3.evening-mashup.com/さんうさぎ 独占インタビュー!かわいい系BGM制作の裏側と想いとは
今回、EVENINGでは「かわいい系」フリーBGMで、今話題のクリエイター「さんうさぎ」さん(以下、さんうさぎ)にお話を伺いました。
さんうさぎ がリリースする楽曲は、TikTokやYouTubeで多くのコンテンツに使用されており、日本独自の「かわいさ」が表現された心に優しく響くサウンドとして注目が集まっています。
BGMというと、勉強や作業時間、リラックスタイムなどに愛用されることが多いですが、日常の中で気持ちを前向きにするような効果を持っている音楽です。
そんな中、さんうさぎが届けるBGMは、YouTubeやTikTokを中心に人気があり、配信者やVTuberなどにも支持されています。
本記事では、その音楽制作への思いやこだわり、そして、今後の展望についてお話を伺いました。音楽の魅力や制作時の工夫、今後の挑戦など、インタビュー内容をお楽しみください。
Q. 「かわいい系」BGMというテーマにこだわられている理由についてお聞かせください。
さんうさぎ
「Kawaii」という言葉があるように、日本には英語の「cute」とはまた違う独自のかわいい文化があるなと常日頃から感じています。その考えを音楽で表したい気持ちが強くあるため、「かわいい系」というテーマにこだわって制作をしています!
__日本の文化を大切にしつつ、ユニークな個性を感じますね。音楽を通して自分の思いを届けようとする姿勢は、自分の世界を作り上げているようで、とても魅力的です。
Q.「かわいい系」音楽が持つ魅力や特徴についてお考えをお聞きしたいです。
さんうさぎ
メロディーではない効果音的な音が目立って聴こえ、その1つ1つの音色がかわいいのが魅力だと考えています。例えば、雫が滴る「ぽちゃっ」という音や、鏡の割れる音、女性の掛け声やおもちゃの軋む音などです。
音があまり響かず、狭い空間で鳴っているように聴こえるのも、私の考えるかわいい系の音楽の特徴かなと思います。狭い空間で音が鳴っているサウンドだと、必然的に音の粒がはっきりしてきます(音の輪郭がはっきりするため)。それが、ころころとしたサウンドになりかわいいなと、よく思っています。
__音色の選び方や効果音の使い方が「かわいい系」の魅力を引き立てるなど、細部までこだわりを感じますね。
Q. 楽曲に込めたテーマや、BGM制作で意識するポイントを教えてください。
さんうさぎ
「かわいくどこか哀愁漂う曲」というのが、自分の中にテーマとしてあります。さんうさぎの楽曲には、かわいさ全開だけではなく、少し寂しげな雰囲気が漂う箇所があるようにしたいなと毎回思っています。
特に気を付けている点としては「音色選び」です。同じメロディーでも音色が違うだけでかわいいから逸脱してしまったりすることがあるため、そこにはかなり気を遣っています!
__「可愛いだけじゃない」という意外性が、聴く人に意外性を与えているのですね。聴き手にさまざまな表情を見せてくれる奥深さは魅力的です。
フリーBGM制作のきっかけ
Q. フリーBGMを制作し始めたきっかけは何だったのですか? さんうさぎ YouTubeのおすすめからフリーBGMの存在を知りました。物心がついたころから歌詞のない音楽を聴くのがすごく好きだったので、自分に合っているもの且つ、皆様から求められているのがフリーBGMだなと思い制作し始めました。 __素敵なきっかけですね!自分に合ったものを作りながら、他の人々にも役立つ音楽を提供できるのは素晴らしいことですね!かわいい系音楽における特徴と制作へのこだわり

音楽制作のプロセスや工夫
Q. 楽曲制作で特に工夫されている点や、普段の制作プロセスについて教えていただけますか? さんうさぎ 工夫なのかはわかりませんが、「あまり考えすぎない」ということにはこだわっています。一度考えすぎてしまうと、空回りして納得いかない曲ができてしまったという経験がありました。 制作プロセスですが、まずは曲冒頭のメロディーから作り始めることが多いです。ふとした時に短いメロディーが思いつくので、それをパソコンで再現して、曲の冒頭に持ってきてしまいます。そこにコード進行やリズムの音を打ち込んでいくという感じです!曲の頭が決まっちゃえばあとはすいすいと作曲できちゃうタイプなので、冒頭の雰囲気をもとに曲全体を一気に作ってしまいます。ここの作業もあまり考えすぎずに感じたものをそのまま音にしていくことが大半です。 __「考えすぎない」というアプローチは、音楽制作で自然なインスピレーションを大切にする重要な方法ですね。素直で魅力的な楽曲を生み出していると感じます。 Q. 楽曲制作に使用されている機材やソフトウェアについて、お聞かせください。 さんうさぎ パソコンはノートパソコンで、MacBook Pro のM1 Proチップモデルを使っています。DAW はLogic Pro、オーディオインターフェイスはMOTU M4、ヘッドフォンはFOCALのListen Professional を使っています。 一応 Ik Multimedia の iLoud Micro Monitorというモニタースピーカーは持っているのですが、あまり使っていません。色々なカフェで作業するのが好きなので(特にスタバ大好き!!)、ハードウェアの機材はあまり持たないようにしています。 __機材へのこだわりがしっかりと感じられますね。音質や制作のクオリティにも大きな影響を与えていることがよく分かります。 Q. 視聴者やBGM利用者の方との印象に残ったエピソードがあれば教えてください。 さんうさぎ 「歌詞をつけたい」というコメントはとても印象に残っています。利用規約の中に「歌詞をつけて歌ったものを公開してもいいよ」という文言を入れているからなのかもしれませんが、想像以上に多くの方がこのような感想を言ってくださっているので、かなりびっくりしています!同じフリーBGMでも全然違う歌詞がついたりしているので、私としてはとても面白いです。 __視聴者とのつながりが音楽制作にも新たな可能性を加えている点が素晴らしいですね。自分の作品がどのように使われるかを知ることができるのは、作曲家としても新たな発見があって楽しいですね。 Q. これまでの活動での達成感や苦労したエピソード、顔出しなしで活動される中での工夫についてお聞きしたいです。 さんうさぎ いつもとは違う曲調を作ろうとした時はかなり苦労しました。たまにかわいい系以外の曲を作ることがあるのですが、そういう時はいつもとは違う楽器や音色を使うので、色々と大変です。その分出来上がった時の達成感はものすごくありました。 顔出しなしの工夫という工夫はあまりないのですが、強いて言えば名前を「さんうさぎ」にしたことかな、と思います(文字のビジュアルからかわいいと認識して欲しかったので)。かわいい音楽を作るので、かわいい名前にしたいなってつけたお名前が、結構色々な方に気に入ってくれたらしくとても嬉しいです! __色々なジャンルに挑戦することで新しい可能性が広がりますね。新しい音色や楽器を使っての楽曲制作は、大変さと同時に達成感がありそうですね。 Q. 楽曲制作での大きな挑戦や課題があればお伺いしたいです。 さんうさぎ 1曲目をリリースしたのが今までで最も大きな挑戦でしたね。過度に完璧主義なところがあるので、「プロの方が作っているサウンドと同じにならなきゃ世に出せない」と思いながら1日中パソコンに向かっていた日々がずっと続いていたのを今でも覚えています。 その甲斐あってか今はいろいろな方に曲を聴いていただき本当に嬉しい気持ちです。今の視聴者さんと、過去の自分に大感謝です! __最初の挑戦は誰もが通る道ですが、そこを乗り越えた経験が今の成功に繋がっていることが感じられますね。完璧を追い求める姿勢が良い作品を生み出しているので、その努力が報われているのが伝わってきます。 Q. ご自身の音楽スタイルや方向性を、今後どのように展開していきたいですか? さんうさぎ 今はかわいい系の曲ばかりなのですが、味変としてかっこいい系の曲やお洒落ジャジー系、ダーク系にも挑戦していこうと思っています。曲調の幅をどんどん広げていきたいです。いずれ劇伴みたいなのも作りたいな…なんて思っています。 __音楽の幅を広げることへの意欲が素晴らしいですね。新たなジャンルへの挑戦で、リスナーさんもさらに増えそうですね。今後の目標と展望
Q. 今後の活動や目標について教えてください。 さんうさぎ 引き続きフリーBGMを作りつつ、歌物にも挑戦したいなと思っています。ボーカロイドの楽曲は何曲か作っているので、そちらの制作も行いつつ、人の声の曲も作っていきたいです! 他にもアニメ、ゲームのOP、ED作曲(BGMでも歌物でも…)や、VTuberさんや活動者さんの歌物での楽曲提供、リアル店舗やリアルイベントでのBGM作成などやりたいことが山ほどあるので、徐々に手をつけていければなと思います。 「この曲を作ったのもさんうさぎさんなの!?」ということが増えるよう頑張ります。 __フリーBGMだけでなく、歌物やボーカロイド楽曲にも挑戦するという目標が明確で、今後の活動に対する意欲が感じられますね。今後がますます楽しみです。 Q. 最後に読者やファンの方に伝えたいことがあればお聞かせください。 さんうさぎ いつもさんうさぎの曲を聴いてくださり、そして使ってくださり本当にありがとうございます!作曲家という職業は聴いてくださる皆様、そしてフリーBGM作家は使ってくださる皆様なしでは成り立ちません。 液晶越しとなってしまい、直接お礼をお伝えできなくて大変心苦しいのですが、これからもずっと良い曲を作り続けて、皆様に恩を返し続けていきたいです。 これからも是非応援の程、よろしくお願いいたします!インタビューを通して
今回のインタビューでは、さんうさぎさんの楽曲制作や今後の活動についてお話を伺うことができました。 さんうさぎ が制作する日本独特の「Kawaii」感を代表するとも言える楽曲は、個人的には、日本だけでなく海外の方からも今後注目されるのではないかと感じました。 BGMだからこそ表現できる世界観や、楽曲制作でのこだわりは、いわゆる歌物などの音楽とは異なりますが、そのユニークな魅力が今後どのように受け入れられていくのか、とても気になります。今後の活躍から目が離せません。 皆さんも、日常の一部に「さんうさぎ」さんの曲を取り入れてみてはどうでしょうか。 -- EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/ Web3 音楽ストリーミング:https://w3.evening-mashup.com/人気急上昇中の邦ロックバンド『ミーマイナー』に独占インタビュー!
結成からわずか半年で注目を集める邦ロックバンド『ミーマイナー』。
もともと異なる道を歩んできた2人が、どのようにして出会い、共に音楽の世界で新たな一歩を踏み出したのか。その裏には、信頼と仲間との絆がありました。
バンドとしての成り立ちや、SNS時代ならではのファンとの繋がり方について、2人が語った真意とは...?
活動の裏側や、音楽に対する純粋な情熱が光るインタビューで、彼らの音楽の魅力と成長の秘訣を明かしていく。
__「ミーマイナー」というバンド名の由来は何ですか?
美咲
もともとソロでバックバンドをつけてエレキギターを弾きながらライブをしていましたが、その時に「これってバンドじゃないな」と感じました。ソロで活動するのは嫌だったので、それ以来、バックバンドをつけるプロジェクトは絶対にやらないと決めました。
「ミーマイナー」という名前は、コードのEマイナーやAマイナーから来ています。つまり、一人ではなく、メンバー全員で成り立つバンドという意味です。さらに、自分のマイナーな部分を音楽で表現しているという意味もあります。
__なるほど。「ミーマイナー」という名前は音楽をやっている人にとって、すごくキャッチーですね。
美咲
私は仲間と一緒に作り上げることが好きなので、一人だけ目立つためにバックバンドをつけることは楽しくありません。信頼できる仲間と音を作り上げることが、バンドの本当の魅力だと思っています。
__普段からの関係性があるメンバーと音楽を作ることが重要なんですね。
美咲
そうですね。さすけさんとは6年来の付き合いで、グルーヴ感がぴったり合いますし、彼の音楽に影響を受けて自分の曲を書いたりもしています。そうした深い関係性があるからこそ、独特の音が生まれるんです。
__さすけさんについて、ある意味「古参のファン」のような気持ちもあるのでは?
さすけ
美咲さんがマカロニえんぴつをリスペクトしている点が大きいですね。多くのバンドは同級生同士で結成され、その関係性が音楽にも影響を与えます。バンドの魅力は演奏技術だけでなく、「このメンバーだからこそ作れる音楽」にあると思います。だから、ミサキちゃんがソロ活動で感じたことに共感し、バンドとして活動することになりました。
__構図としては、ボーカル主体のユニット、たとえばYOASOBIさんのような形に近いと感じましたが、意識しているアーティスト像はありますか?
さすけ
そうですね、意識しているアーティストは誰だろう…。でも、僕たちが目指しているのは「バンド版YOASOBI(万葉遊び)」のような感じです。他のレコード会社の方からも、「こうなりそうですよね」とか、「こうなってほしい」と言われることがあるので、それが一番近い表現かもしれません。
美咲
でも、僕たち二人としては「絶対にこのアーティストを超えてやる!」とか「これになりたい!」という強い目標を持って活動しているわけではありません。単純に、「仲間と音楽をやるのが最高に楽しい」というスタンスで活動しているので、特定のアーティスト像を強く意識することはあまりないですね。
__なるほど。ユニットとしての形はしっかり確立されているけれど、今は純粋に「自分たちの音楽を作って届けること」を大切にしているということですね。
__結成後半年でファンが急増したきっかけは何だったのでしょうか?
美咲
実は、私たち自身もその理由がよくわかっていないんです(笑)。事務所やレコード会社の方からは、TikTokやインスタグラムの更新頻度や曲のリリースを褒められますが、私たちはただ投稿したいから投稿しているだけで、バズを狙っているわけではありません。純粋に楽しんでやっています。
__SNSでファンが増えるアーティストには、バズを狙って投稿する人もいれば、純粋に楽しんで投稿する人もいますが、どちらかというと後者ですか?
美咲
そうですね。個人的には、流行っているものやカッコいいと思うものを試してみたいという好奇心から始めました。それがきっかけで、今までできなかったことを表現できるようになり、周りの人にも受け入れてもらえました。
さすけ
強いて言うなら、「ワンルームナイト」という曲がバズったことで、たくさんのリスナーに知ってもらえました。それがきっかけで、TikTokやインスタグラムで多くの「いいね」をもらい、下北沢界隈や邦ロックのリスナーにも注目してもらえました。
__SNSでの反響が増えてきた中、ライブでのリスナーの反応に変化はありましたか?
美咲
SNSで知ってくれたファンの中には、「ハッピーバンド」や「ボーカルがニコニコしている」といったイメージを持っている人が多いですが、実際のライブでは叫んだり煽ったりするので、そのギャップに驚かれることがよくあります。「めっちゃロックだね」と言われることも多いです。
__SNSでのイメージとは違って、ライブではもっと激しいスタイルですね。ロックなスタイルをライブで表現したいという思いがあったのでしょうか?
美咲
はい、やりたい曲をやっている感じです。ライブではロックの方が盛り上がりやすく、エネルギーも高くなります。私たちメンバーは演奏に自信があり、少しメタルっぽい要素がある曲もやっています。
__注目を集める瞬間について、気持ちに変化はありましたか?今後さらに大きくしていきたいという思いはありますか?
さすけ
僕たちが一番大事にしているのは「目標を持たないこと」なんです。いろんな人がいろんなやり方で成功しようとしていると思いますが、僕たちはインターネットを通じて成功しようとはしていません。正直なところ、やりたいことをただやるだけでいいと思っています。
やりたいことをやった結果、それを100人が見てくれたらライブできるし、1,000人来てくれたらリキッドルームに行けるし、2,000人が見てくれたらZEPPに立てる、という感じです。誰かに受けようと思って何かをすることは、死ぬまで多分ないと思っています。
__自分たちが届けたい音楽、それが中心になって、それを貫くということですか?
さすけ
そうですね。多分、2人とも前のバンド活動やYouTubeで16万人の登録者がいた経験があるんですけど、それは世間に求められることをやってバズらせて成功したんです。でも、それをもう一回やる気はないんです。今度は自分がやりたいことをやり、自分を好きと言ってくれる人を大事にするところから変えていこうと思っています。
__伸び率は素晴らしいですね。
さすけ
インスタグラムもゼロから4ヶ月で6,000人に達しました。この調子で続けていけたらと思っています。
__自分たちがやりたいことが結果として現れるのは嬉しいことですね。
さすけ
今の時代、みんなが「これが流行るだろう」と思ってハイクオリティなものを作っている中、逆に僕たちは楽屋でダラダラしている動画をアップしたり、曲もバラードからアップテンポに切り替えたり、自由にやっています。何も考えずに発信しているので、その自然体な感じが見る側にも伝わり、応援したくなるんじゃないかなと思います。そういう余白の部分につながっているのかなと感じます。
__音楽を一言で表すとどういう存在ですか?
さすけ
音楽は、僕にとってコミュニケーションの手段です。音楽を通じて社会と繋がり、多くの人々と出会うことができました。音楽がなければ、今の自分はなかったと思います。音楽があるからこそ、こうして皆さんともお話できているんです。
美咲
音楽は、ありのままの自分を表現できる場所です。言葉で表現する時は気を遣いますが、音楽では自分だけの思いをそのまま伝えることができます。周りの目を気にせずに、自分の気持ちを表現できる場所であり、それが自分を救うことにもなりました。
__ユニットを組んで活動する中で、価値観が共通していることでやりやすさを感じていますか?
さすけ
はい、感じています。例えば、対バンのバンドの曲を急にカバーすることがありますが、音楽は一人でやるものではなく、みんなで楽しむものだと思っています。スタジオで一緒に作業して、お互いに共感できる部分があるからこそ、活動がうまくいくと感じています。価値観が合っているからこそ、お互いにやりやすさを感じる部分が大きいです。
__最近のライブで特に印象に残った出来事や成功したと感じたポイントは?
美咲
最近のライブでは、ハプニングが多かったです。音が出なかったり、弦が切れたりすることもありましたが、そうした状況にもだんだんうまく対応できるようになり、力まずにライブを楽しむことができました。弦が切れてライブができない状況になった際は、元々弦が切れていたメンバー以外で、他のバンドの曲を即興でカバーしました。その場を楽しむことができ、それが成功体験だと思います。
__ライブパフォーマンスで一番大切にしていることは何ですか?
さすけ
パフォーマンスでは「自分たちが一番楽しむこと」を意識しています。メンバー同士やサポートメンバーを含めて目を合わせたり、あえて引いたりすることもあります。観客が「このバンドはすごく仲がいいんだな」と感じられる方が、見ている人たちも幸せな気持ちになれると思っています。その点を大切にしています。
__音楽を通じて人々や社会にどのような影響を与えたいと考えていますか?
美咲
最初から『誰かを救いたい』と思って音楽を始めたわけではなく、ただ自分が服部(マカロニえんぴつのメンバー)に憧れて、服部に救われ、服部を追いかけているだけなんです。服部というのは、マカロニえんぴつのメンバーのことを指しています。その服部に影響を受けて、私もいつか誰かにとって憧れの存在になりたいと思っています。本当に。
__なるほど、つまり、追いかけられるような存在になりたいということですね。
美咲
そうですね。もし自分が誰かにとってそういう存在になれるのなら、その人を大事にしたいですし、死ぬまでそう言い続けたいと思っています。
さすけ
音楽がいいなと思う理由って、例えば昔の人たち、旧石器時代とかの人々って、文字もなかったし、技術もほとんどなかった時代だったじゃないですか。でも、その時代でも言葉がなかったからこそ、夢の中で変なドラゴンとかが出てきたら、それを石や土に絵として描いて、後の人たちに『こんなものが出てきたんだ』と伝えようとしたんです。これが、芸術や言葉の始まりだと言われているんですよ。それを始めた人たちの積み重ねのおかげで、今の芸術や文明が発展してきたわけです。
昔、色というものは一色しかなかったんですが、今では色が何百色も説明できるようになっていますよね。例えば、アンミカさんが『何百色もある』と言っていますが、それも一つの進化なんです。昔は色といえば、白っぽい色しかなかったものが、今では具体的に200色以上説明できるようになっています。これが、表現者たちの努力と積み重ねの結果だと思います。
そして、表現者というのは、悲しいという感情をただ『悲しい』と言うだけではなく、もっと細かく、こういう悲しみもある、ああいう悲しみもあるというふうに表現するものだと思っています。日本語でも『悲しい』という感情に対して、たくさんの表現があるように。音楽やアートにおいても、同じように、感情をより細かく表現できるように進化してきたと思います。
例えば、ある曲が、彼氏に振られて『こういう振られ方をした時の悲しみ』をピンポイントで表現できているとしたら、それを聴いた人が自分の感情を癒してくれるかもしれません。しかし、そういった曲が存在しない場合もありますよね。そんな時に、存在しなかった感情を救い上げるような新しい表現を作り出すことが、アートの大事な役割だと考えています。
だから、例えば、手垢がついたような夢や、光を目指して、虹を追いかけるような歌詞はもういいんじゃないかと思うんです。そういったものは、今後作ることは少ないと思います。むしろ、私たちが作りたいのは、もっと具体的で、身近な感情に触れるようなものです。
実際に、新曲『ローリンタウン』の歌詞に、『行きつけの街、あの中華料理屋が潰れてしまった』という部分があります。これ、おそらく日本の音楽では初めて歌われた内容だと思います。そんな歌詞に共感する人がいると思うんです。私たちが表現するのは、ただ悲しいだけの感情ではなく、もっと具体的で、誰かが経験したことがあるような感情に訴えかけることです。それに共感したり、ノスタルジーを感じたりする人がきっといると思います。こうした表現をもっと突き詰めていくことで、より多くの人々に救いを与えられると思っています。
まだこの曲やこの言葉では、誰かのすべての悲しみを癒すことはできないかもしれません。でも、もっと自分の感情に合った、ピンポイントで癒せるような作品を作りたいと考えています。
__なるほど、やっぱりまだ音楽が手を差し伸べられていない人たちやリスナーがいるということですね。そういった方々に届くような音楽を作りたいという思いがあるわけですね。
美咲
それは、何かを意図して狙って作れるものではないと思っています。私たちがやりたいこと、届けたいものを心から作ることが大事だと思っていて、それが結果的に人々に届くという形になるんじゃないかなと思っています。
__最後に読者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
美咲
私たちはありのままで挑戦しようというバンドで、音楽を届けたくて活動しています。私たちの音楽が好きな人たちだけに応援されたいと思っています。だから、どこにもこびるつもりはなく、持論を押し付けることもありません。楽しく生きている人たちと一緒に、楽しく生きていきたいですね。だからこそ、ミーマイナーに出会ってくれた人たちの手を離さず、これからも大きいところに引っ張っていけるようなバンドになりたいと思っています。
__等身大のアーティスト像が届いてほしいですね。
ミーマイナー
そうですね。
__最近の活動についてどう感じていますか? 特にライブなどはどうですか?
美咲
最近、ライブに来てくれるファンだけでなく、私たちを知らない人たちも来てくれるようになりました。その場で私たちを知ってくれるという新しい出会いが多く、広がりを感じています。これから名古屋、大阪、福岡にも行けることになったので、すごく楽しみです。
__信頼される姿が届いて、新たに聞いてくれる方が増えるといいですね。
美咲、サスケ
頑張ります!!
今回の取材では、ミーマイナーの活動にかける想いや音楽制作の裏側についてお話しを伺うことができました。
ミーマイナーは、2025年の2〜4月にかけて、大阪、名古屋、福岡でライブを予定されています。新たな出会いが広がる中で、彼らの音楽に触れるチャンスです。ぜひミーマイナーのライブに足を運んで、そのエネルギーを体感してみてはどうでしょうか。
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EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/
Web3 音楽ストリーミング:https://w3.evening-mashup.com/
結成のきっかけ
──まず、結成のきっかけを教えてください。 美咲 もともと、さすけさんのボカロPとしての活動が好きで、特に「物憂げ」というYouTubeチャンネルやCDのファンでした。ある日、「歌い手さんを募集します」というツイートを見て、思わず応募したんです。それがきっかけで、一緒に曲を作るようになりました。 ──最初は楽曲制作からのスタートだったんですね。その後、どのようにバンド結成へと発展したのですか? 美咲 以前は別のグループで活動していましたが、解散を機に新しい仲間を探し始めました。路上ライブをするうちに、バンドとして本格的に活動したいと思うようになり、「物憂げ」の曲を歌えることや、自分の楽曲も編曲してもらえることに魅力を感じ、さすけさんにバンド結成を提案しました。 ──最初は美咲さんからのオファーだったのですね。さすけさんはどう感じていましたか? さすけ 以前から、吉川さんや山遊びさんのようなアーティストと共に音楽を作りたいと思っていました。「物憂げ」では15人以上のボーカルとアルバムを作ったことがあり、美咲さんもその一人でした。その後、彼女がTikTokで10,000人以上のフォロワーを持ち、路上ライブでも活発に活動している姿を見て、スター性を感じ、一緒にやりたいと思いました。 ──コロナ禍後、音楽業界は厳しい時期が続きましたが、そんな中での出会いは大きかったのでしょうか? さすけ 実は7年前、彼女が別のグループで活動していた頃から楽曲を提供しており、当時から接点がありました。高校1年生の頃から毎年1曲くらい提供していたので、プロデューサーと演者としての信頼関係が築かれていたんです。さらに、SNSを通じてお互いの活動を見ていたこともあり、自然な形でバンドが始まりました。バンド名「ミーマイナー」の由来

音楽のスタンスと理想のアーティスト像

バズを狙わず、自分たちの音楽を貫くSNSとライブ展開

音楽を通じた自己表現とチームワークの大切さ

歌詞と音楽制作におけるこだわり
__曲作りについてですが、インスピレーションはどのようなところから得ていますか?制作を進める際に工夫していることがあれば教えていただけますか? さすけ 私は歌詞を最も大切にしています。詩集や小説をよく読んで、新しい言葉の組み合わせや可能性からインスピレーションを得ることが多いです。その後、そのアイデアを元に歌詞を作り、曲に落とし込んでいきます。 美咲 私は映画を見て感動したり、本を読んで感じたことをそのまま曲にするタイプではなく、実際に自分の人生で感じたことを表現する方です。そのため、歌詞は自分が書きたいと思った時にしか書きません。それ以外の時は、お願いして書いてもらうことが多いですね。 __最新リリースの「オンリーロンリータウン」についてお伺いします。この作品で特にこだわった点や調整した部分を教えていただけますか? さすけ この曲は、かなり自然にできたものです。僕の得意なコード進行や曲調、手癖で作りました。ただ、歌詞には特にこだわりがありました。特にサビでは、最初に「一人で見るドラマ」と歌い、次に「二人で見たドラマ」という回想的な要素を入れることで、リスナーに別れの時系列を印象づけるようにしました。通常は逆の順番にすることが多いと思いますが、あえて「一人で見るドラマ」を先に持ってくることで、すでに別れが起きていることを伝えたかったんです。 また、歌詞には日常的な具体的な描写を多く取り入れており、「行きつけの街中華」や「冷めたコーヒー」など、普通の人が思いつかないような表現を使いました。これによって、リスナーにリアルで深い印象を与えることができたと思っています。コーヒーの話では、温かいと苦味を感じにくいけれど、冷めると苦味が増すという性質を恋愛に重ね合わせて表現しました。 __歌詞の構造や表現方法について、何か特にこだわっている点はありますか? さすけ 歌詞には本当に多くの工夫が詰まっています。一行の歌詞に1年かけたこともあるくらい、歌詞作りには時間をかけています。歌詞は常に新しい価値を生み出すための研究のようなもので、今後はそのロジックやノウハウをもっと広めていきたいと思っています。 __音楽制作全般において、これまでに直面した挑戦や、それに対するこだわりなどがございましたらお聞かせください。 さすけ、美咲 作業量が多いんですけど、ミーマイナーはメンバーだけで運営していて、CDも全て自分たちで作っています。そのため、梱包作業も含め、すべてを手作業で行わなければならないんです。例えば、新しいジャケットを取りに行ってスマホで撮影し、パソコンに取り込んでデザインして発注し、届いたものを梱包して販売するまでの一連の作業を全て自分たちでやっています。遠方に出かけることもありますし、作業量が多いことは確かですね。 __思いがこもっていそうですね。全部やっているということは。 美咲 本当に、思いがすごくこもっていますよね。指紋もたくさんついているでしょうし。(笑) __これから挑戦してみたい音楽スタイルや新しいリリースの予定について教えてください。 美咲、さすけ かなりいろんなジャンルを試してきたので、ライブではバラードもロックも演奏してきましたし、どれも楽しいと思っています。そのため、特定のジャンルにこだわって「この曲を出します!」という感じではないのですが、新曲はたくさん作っていて、今リリースされているのは9曲ですが、すでに16曲ほど完成しています。早くリリースしたいという気持ちが強いですね。 なので、ジャンルを大きく広げるよりは、今の方向性を大切にしつつ、ミーマイナーの軸を保ちながら、アップテンポ、ミディアム、バラードの3つの軸をさらに強化していけたらと思っています。音楽を通じて届けたいメッセージ
