Adoの「うっせぇわ」が社会現象と呼べない理由とは…?
Adoと尾崎豊の違い
さて、プロテストソングといえばやはり "尾崎豊" だろう。 高校在学中にデビューし、特に10代の頃は「社会への反抗・疑問」「反支配」などを表現した。校内暴力や学生による飲酒・喫煙が横行し、偏差値教育や受験戦争のひずみが露呈していた昭和の独特な時代世相と相まって社会現象となった。マスメディアは彼を「10代の教祖」と呼び、若者の代弁者として時代から求められていた。 そしてふと思った。 令和のプロテストソング「うっせぇわ」に対する時代の反応と、昭和の尾崎を聞いたあの時の時代の反応が明らかに違うのではないか。 一言で言うと、聞き手を巻き込んだ "社会現象になってるか否か" の違いである。 尾崎を聞いて、若者は盗んだバイクで走り出し、校舎の窓ガラスを叩き割ったらしいが、「うっせぇわ」を聞いた令和の若者は果たして何をするのか...。曲に従えば、やはり ”うるさい” と連呼するのである。根拠は健康と天才。「うるさい。抹茶フラペチーノは抹茶飲料だから」と、強引な四捨五入で健康をアピールし、それを片手に撮った30枚の写真から厳選した1枚をSNSに載せて「アフィリエイト・インスタグラマー」を名乗って天才を自称する。 申し遅れたが、本記事を書いている私は現在大学2年生の学生で、順調にいけばこの春で3年になる。 順調にいけば、就活も始まり出し、社会との接点が徐々に増えるのが大学3年生というものだ。社会へのステップとして1歩2歩と大人への歩みを実感する、というのがこの多感な時期の1〜2年における変化だろう。一応、令和の若者という立場で率直な感想を述べると、あくまで個人の意見だが、「うっせぇわ」とは時代批判というより思春期の過剰反応に近い様な印象を持った。 尾崎がもたらした社会現象を肌感覚では知り得ない為、この2者の対比に ”昭和と令和” の時代比較を落とし込むことは難しい。 しかし、実感として、Adoに対して向けられる若者の視線は、不満を代弁してくれた尾崎を象徴的存在として崇めた若者の視線の様な熱を帯びているとは思えないし、Adoがそれを望んでいる様にも思えない。 これらの違いはなぜ生まれているのか...。以下ではこの問いについて考えていきたい。尾崎豊の苦しみの理由
なぜ尾崎のプロテストソングは、若者を煽動する社会現象になり、Adoのソレはならないのか...。 私が思うに、それは「ルールを取り巻く人物相関が変化した為」と考えている。 ルールというのは、作る人とそれに従う人の二項対立の構図になりがちだが、重要な第三のポストがあると私は思っている。それは「ルールを説明する人」である。「なぜ黒髪じゃなきゃいけないのか」と問う生徒と、「そういう校則。ルールだからだ」という先生の議論が摩擦を帯びながら平行線のままになるのは、この第三のポストが見えてこないからではないだろうか...。 「こんな校則には意味がない。改変すべきだ。」という訴えが一向に汲み取られない理由は、その先生がルールを ”作る人” でなくルールを ”説明する人” だからだと考えられる。昔の先生や教育委員会などの組織上部、ひいては文化や慣習などの曖昧な合意形成によって出来上がったルールは、複雑すぎて目の前の先生には100%納得のいく説明が出来ない。 この構造が見えないまま理不尽とも思える制限が続けば、必然的に大人社会への不満というガスが溜まり、そこに反支配を歌うソウルシンガー・尾崎が火をつければ、大爆発になるのは想像に難くない。 一方で、今の若者は不満が溜まるとどうするだろうか...。 答えは『インターネット』である。 誰もルールの構造や闇を説明しきってくれなかった昔とは違う。ネットには膨大な量の情報があり、テキストや動画などその媒体も様々で、自分にあった最適な手段で情報にアクセスできる。そこでは、あらゆる人があらゆる事象を説明してくれる環境が整っており、SNSなどで大きく共感を生んだ話題が、現場での現状見直しのきっかけになる例も多い。 それらが適度なガス抜きになっているので、プロテストソングも着火剤としての機能を失わざるを得ない、というのが私の結論だ。 勿論、見るだけでなく発信者になり易くなった事も、ネットやSNSの重要な側面であり、あらゆる人がクリエイターになれるのでコンテンツの絶対数は昔とは比にならない。以前には無かった様々なコンテンツ文化が発達しているという意味では、今の時代ならではの強烈なメッセージを歌うシンガーはこの令和にも多く存在している。 思うのだが、尾崎の苦しみは代弁者に徹した故のものでもあるかもしれない。誰かの気持ちを歌うことを求められ、それが内部化して自分の思いとすり替わったならば、自分が見えなくなるのは当然である。そうなったなら、もう誰かに助けてもらうしかない。それこそ音楽の出番だ。 一例だが、ヨルシカの『思想犯』という楽曲がある。 "他人に優しいあんたにこの心がわかるものか"、という訴求力の強い言葉から始まり、"死にたくないが生きられない だから詩を書いてる" というアーティストならではの苦悩なクリエイティビティが描かれる。Music Videoはアニメーションのストーリー仕立てになっており、強盗らしき人が素顔を隠すために日常的に仮面を付けているシーンが描かれている。 そして、最後のサビに入る3分10秒辺りで疲れ切った強盗は仮面を外すのだが、鏡を見て驚愕する。仮面の下に、もう一枚仮面があったのだ。その下にも、さらにその下にも様々な仮面が張り付いており、剥がせど剥がせど素顔が見えてこない。そのサビでの歌詞がこれだ... 君の言葉が呑みたい 入れ物もない両手で受けて いつしか喉が潤う その時を待ちながら 付けすぎた仮面に、素顔が乗っ取られるという隠喩と照らし合わせて、あくまで私が個人的に導いた『思想犯』という楽曲の解釈を尾崎にぶつけたい。他人の言葉を飲み続ける事でしか渇きを癒せなくなっていたなら、そして、それを自覚できていなかったのなら、逃げていい。 もしかしたら、と考えてしまう...。 ”尾崎がヨルシカを聞いていたなら、歴史は変わっていたかもしれない。” そう思っても、歴史にタラレバはない。だから、我々にできることは一つしかない。今を生きる、この瞬間と人に向き合う。命の意味がわからない人は、カンザキイオリの「命に嫌われている」を聞いてくれ。生きるのが辛い人は、森山直太朗の「生きてることが辛いなら」を聞いてくれ。天国の尾崎、あいみょんの「生きていたんだよな」を聞いてくれ。まだまだある。まだまだあるんですわ聞いてほしい曲が...。 ということで次回以降は...「〇〇なやつはこれを聞け」...的なのとか。「ヨルシカの楽曲、独断と偏見で鬼深掘り」「あいみょんを聴きすぎて彼女にフラれた話(実話)」...みたいな記事を書こうと考えています。 最後まで読んでいただき、有難うございます。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.【2022年注目】imaseやasmiなど… TikTokで注目の今来てるアーティスト3選。
imase - 代表曲「Have a nice day」
まずは、やはりimase。 音楽活動を始めてからわずか1年という21歳。 代表曲の「Have a nice day」はTikTok総再生回数が3億回を超えるほどのヒットとなり、続く「逃避行」でも数字を伸ばし、サンプラーを用いた電子的な音と、ゴチャゴチャしすぎない音数のバランスが心地いい。騒がしいようで騒がしくない。 個人的に彼のリラックス感が特徴的だと思ってる。 歌声や表情にいい意味で無機質な印象がある。力まず落ち着いていて、淡々としてるようだが感情の表現はちゃんとある感じ。 どこのスクールカーストにも属さないが女子人気でベスト3に必ず食い込む、ちょいミステリアス味を感じさせる文学男子のような感じ。 休み時間は大体寝てるか読書してる。 新しい学年で一緒のクラスになってるとなんとなく嬉しくなるけど、一回も会話しないまま学年終わる感じ。 知らない間に学年のマドンナと付き合ってたりする。 TikTok見てて、「Have a nice day」のキャッチーなサビの歌唱動画が回ってきた時は2秒でいいねを押した。 シンプルなコード信仰の繰り返しだけど、曲としての展開は早く、開始からピッタリ30秒でサビに入る(狙ってるのかも)。 サンプラー(パソコンの横でペコペコ叩いてるあれ)で弾き語りってのも差別化になってるのかも知れない。@imase119 「Have a nice day」コロナ禍で感じたことを歌いました! #ドリーマーZ #弾き語り #オリジナル曲 #カバーしてね ♬ Have a nice day 弾き語りver. - imase
asmi - 代表曲「ヨワネハキ」
大阪出身の20歳。MAISONdesというユニットで発表した「ヨワネハキ」は2021年にSNSで最も使用された楽曲となり、他のアーティストとのコラボなどでも話題になっている。 友人がasmiのことを「ピンクが似合う声をしてる」と表現していた。 言わんとしてることはなんとなくわかる気がする。 主張が強めじゃない、白っぽいピンク。 宇多田ヒカルとaikoを足して2で割ったような、白っぽいピンク。 クラスの男子全員と仲良くなるタイプ。 一度は好きになるけど、「あ、あいつとも仲良いんだ」って思って脈アリじゃないことを自覚する。 若い女性アーティストは変に気取らずに気持ちよく歌ってると、それだけでコンテンツとして成立するってのを体現してるように思える。 電子回路のテスト勉強してる時にムズすぎて、息抜きに「森七菜がこっそりやってたらショックなこと」っていう謎の大喜利を友達がやり出したことがあって、「鏡の前で笑顔の練習4時間」っていう回答が1本になった。 みんな疲れてたんだと思う。 この主語が森七菜からasmiに変わっても同じ回答で攻めたい。 asmiさん。あなたは取り繕わない、純粋な笑顔で歌ってください。@the_first_take #THEFIRSTTAKE #MAISONdes #ヨワネハキ feat. #和ぬか,#asmi #一発撮り ♬ Yowanehaki - MAISONdes
きゃない - 代表曲「コインランドリー」
TikTokネイティブのリスナーにはまだ認知が浅いかもしれないが、毎回の路上ライブで100人以上を集める集客力を発揮している「きゃない」。 「コインランドリー」というタイトルと “1日1日を大事にする” というメッセージ性から話題を呼び、私のタイムラインにも流れ着いた。 恵比寿のLIQUIDROOで行われたワンマンライブでその抜群の歌唱力を体感してきたのだが、SNSでの大きなバズりに余力を残しながらここまで人を集めるその魅力は確かなものだった。 あとMCのトークが普通に面白かった。 お世辞抜きで絶対いい人だと思う。 ライブで見せる言葉の重さや、メッセージの真っ直ぐさから見える人間性が、TikTokなどでのファンからの反応率の高さに繋がってることは間違いない。-- メディア運営:Evening Music Records Inc.@pinku_kinoko 悲しいことより嬉しいことに涙を流したいな。#きゃない#コインランドリー @kyanai_music#路上ライブ #オリジナル曲 #赤髪マッシュ ♬ オリジナル楽曲 - natyyyy
アジカンの歌詞は、世界の全員を幸せにできるかもしれない
アジカンのかっこよさとは
そしてベテランちが思考の高い人物の例として挙げていた人物がアジアンカンフージェネレーションのフロントマン... 後藤正文である。 中学生の運動会で「ソラニン」のサビに合わせて空手の型を学年全員で披露するという、斜め上な出し物があったのが私とアジカンの出会いだった。 ソラニンはアジカンの代表曲の一つである。 浅野いにおによるバンドを通じて人間模様を描いた漫画「ソラニン」の映画化で同タイトルの主題歌を担当し、広く知られる楽曲となった。 ソラニンの歌詞はアジカンの中で唯一後藤正文以外の作詞なのだが、歌詞のどこか遠い思い出や過去の別れ気分を反芻するような世界観に曲調がマッチした名曲だ。 話を戻そう。 後藤正文の思考の高さとは何か。 それはベテランち曰く、フェアネスらしい。 アジカンは活動として音楽の布教や後輩の育成などに精力的に活動している。 自主レーベル内で若手に機会を与え、より広く認められるチャンスを用意したりするために自分達の知名度をフェアに活用したりする姿勢が思考の高さがあり、かっこいいと言う。 ここまで彼の話を聞いて、なるほどロックで芯のある男なのだなと後藤正文について調べてみた。 そして分かったことがある。 この男、とんでもなく想像力が豊である。来年、3/12(土), 13(日) パシフィコ横浜 国立大ホールにて開催となる「25th Anniversary Tour 2021 Special Concert “More Than a Quarter-Century”」
— ASIAN KUNG-FU GENERATION Info (@AKG_information) December 22, 2021
オフィシャル先行(チケットぴあ)が本日、12/22(水)18:00より受付開始に🎟
詳細は特設サイトよりチェックを!!https://t.co/nRJjnuu7vL#AKG25th pic.twitter.com/zrEeu8assf
想像力のあるアーティスト
コロナ禍でのアーティスト活動のあり方について彼の考えたnoteではライブを行うべきかについて右に左にグワグワと、痛々しいほどに揺れ迷う様が綴られている。特にフェスについては、そのフェスを行わなかった場合のスタッフたちの顔が頭に浮かび、心身のほとんどをグワグワが占めているという。 音楽産業にとってコロナは大打撃だったろうが、スタッフやその他の関係者に向けて、ここまで深く想像力を働かせるは簡単じゃない。 例えば次の動画をみてほしい。 我が子を可愛がれないシングルマザー”こどもが気持ち悪い” 説教する芸能人と壮絶バトル Single mother who can't love her child これを見て「なんて母親なんだ。最低だ」としか思えないのはもったいない。母親のダメっぷりに憤り、子供の未来を憂う以外の発想を持つのが想像力の一つかもしれない。 人は自分と、その周囲の当たり前しか受け入れられない。自分が子供時代、親に愛された育ったから、子供が生まれたらそうするのが当たり前となる。そしてその当たり前をしない人間に対してアレルギー反応が出る。 LGBT関連だと分かりやすいかもしれない。自分は当たり前に異性を好きになる。周りもみんな当たり前に異性を好きになる。だから同性を好きになる人間を簡単には理解できず、一昔前だと嫌悪の対象になることも多かった。(私は理解できると主張する人がいるかもしれないが、それはあなたの理解が進んだのではなく社会の理解が進んだだけで、単なる集団心理かもしれない。) 自分は子供ができたら当たり前に愛する。周りの親もみんなそうしてる。だから子供ができたら愛するのが当たり前。それができない人はひどい親で人間的に問題がある。 ここで想像してみる。 愛されたことのない人はどうやって愛せばいいのか。 では子供を産んではいけないのか。 だとしたら、その家の子供たちは生まれてこない方が幸せだったのか。 答えのぼやけた問題が山積みになるため、ほとんどの人はそんな自分以外の他人や、関わりの薄い社会に対して想像力を働かせることは難しい。 それでも悩みながら答えを表現しようとする想像力を持ったアジカンのようなバンドが紡ぐ音楽なら、全員の胸の内を代弁し互いに向き合うきっかけを与えてくれるかもしれない。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.「ぼくりり」は天才ではない、「AmPm」に比べれば
▼ エンタメならではの苦しみとは... 納得の理由だな、と個人的には思う。 アイドルではないにしろ、アーティストも人気商売としての側面は強い。 作品を作れば読み手聞き手は意味を探し、それは作り手のクリエイティビティに大なり小なり影響を与えていく。そういう意味で作ったんじゃない、と思えば思うほど次回作は既存のファンには刺さらなくなり、かといって数字を取りに行こうとすれば世間がイメージする虚像は侵食を続ける一方、アーティストの自殺が世界でも問題になっている理由は容易に想像できる。 それでも、スラムダンクに限らず鬼滅の刃や短期アニメ、惜しまれつつ解散.引退したアーティストなど、人気絶頂のなか見事に完結する作品を見終わった後には、まぶたの裏で刹那的な打ち上げ花火の残像を味わうかのような圧倒的な高揚感が残り、そして我々は口々にこう呟く。 「続き、見たいよな。」 (ここまで前書きです。長いっすね...) そんなエンタメの世界が抱える矛盾に対して、全く新しい方向からアプローチしてるアーティストがいる。(正確ではないが便宜上アーティストと呼ばせていただく) 「AmPm(アムパム)」という名前を聞いた事があるだろうか。
▼ 仮面のアーティストAmPm 覆面を被った二人組のアーティストでリスナーの7割が海外という信じがたい状態なため、邦楽好きにはまだ馴染みが薄いかもしれない。デビューシングルの「Best Part of Us」はSpotifyの注目チャートにいきなりランクインし、2017年の世界で最も聞かれた日本人アーティストとなった。驚くことにここまでの功績はよくある事務所のプッシュではなく、自分達のセルフプロデュースのみで行われている。 そして最も重要なのはAmPmがアーティストではなく、そして作詞作曲もしていないという点である。 混乱するだろうと思うのでじっくり説明させていただきたい。伝わりやすい例えとして漫画の編集者を思い浮かべてほしい。 自分で漫画を書くわけではないが、「面白い漫画とは何か」という物語の知識と、「誰向けにどんな漫画が売れるか」などのプロデュース能力を持っているとする。そこで、「こんな漫画が世に求められているのではないか」というアイデアを文才のある原作者に物語として形にしてもらい、それを才能ある絵描きに描いてもらう。 自分は0→1のアイデアとプロデュースを手伝い、原作者も絵描きも作品を世に売り出せて三方良しとなる。 この形式で才能ある漫画家を紹介するための雑誌に”少年ジャンプ”と名前をつければ、”少年ジャンプ”=(いい漫画との出会い)という図式が出来上がる。 これの音楽バージョンをやっているのがAmPmと思っていただいて差し支えないだろう。 作詞作曲家にアイデアを投げ、才能あるボーカルを紹介する。そのメディアにAmPmという名前をつけて本人はプロデュース面をサポートする。AmPmプロジェクト誕生の経緯は次の通りだ。様々なアーティストを紹介したいが、認知の獲得には最初の認知が必要。そこでとりあえず曲を作り、それが1発目としてヒットするように市場を分析した。 ...とここまで読んで「いうのは簡単だが実際はもっとむずいだろ」と思った人も多いはず。しかしその難しさを乗り越える、恐ろしいほどに強いマインドがAmPmにはあった。 話が行ったり来たりして読みづらいだろうが、ようやくここからが本題なのでついてきて欲しい。 AmPmの1人がYahooニュースのインタビューでこう語っていた。 「どれだけ欲や感情やエゴを殺せるかを、かなり意識しています」 音楽という人間の感情を表現する世界の中で、その感情自体に飲み込まれ時にはその深淵から帰って来られない者もいる中で、自ら徹底してそれを殺しているのである。 ”意識しています”って、いやそりゃみんな意識してるでしょうよ。 どんな曲が売れるのかなんてみんな考えてるし、知りたいし、努力してるけどそれができないから困ってるんだろうに、実際にそれをできてしまうのか。実際にそれでバズらせてしまうのか。TikTokでスクロールした画面にたまたま現れる投稿初期の音楽を「これはバズる」と見抜くことと、実際にそれを作ることは全く話が別。 しかし、自分を殺して作品を売り出すことに全エネルギーを使えればその確率は上がり、メディアとしての寿命もずっと長くなる。 YouTuberのラファエルは「100年後も誰かが仮面を被ればラファエルは生き続ける」と断言してるが、AmPmというメディアもその名前と仮面を受け継ぐ者がいれば原理的には生き続ける。続きを望んだファンの声に応え続けることができる。 アーティスト虚像にむしばまれることなく、その鮮度を更新し続けていける。 なぜなら、最初からAmPmというアーティストは存在しないのだから。 文: 石原 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
『要はバズればいいんだろ?』と思ってるアーティスト、たぶん売れない。ビッケブランカから考察。

▼ バズるだけでは売れない ブラッククローバーの第3クールの主題歌を「Black Rover」で担当したあと、10クールのときにもう一度タイアップで「Black Catcher」を書き下ろし、これはストリーミングでは前作よりも再生されてる。 何が言いたいかっていうと、1発のバズで終わらず2発目3発目が結構な確率で当たってて、すごい。シンプルにすごい。 ハンマー投げ日本2位だれ?って聞かれても分からんし。 日本で2番目に高い山も、2番目に広い湖も知らんし。 あのアーティストの2番目に人気の曲分かる?って聞かれても、ほとんどの人は分かりません。そういうものです。 ようやくタイトル回収します。 「売れるにはとりあえずバズればいい」ってのは正しいんだけど、1発バズっても簡単には軌道に乗れないのがアーティストっていう仕事の難しいところで。当然。 アーティストに限らずクリエイターが一番苦しいのって1発ヒットした後に鳴かず飛ばずになる時期かもなってのは思います。現にバズったのにすぐ消える層は僕らが想像するよりずっと分厚い。 そんな中できっちりセカンドバズが成立してるヒゲダンとかビッケブランカってやっぱすごいんだなと改めて思いました。 そいえばビッケブランカの新曲「北斗七星」アホみたいにハマってます。 やっぱ俺はバラードが好きです。てゆーかビッケブランカの裏声がめっちゃ好き。 サビの(これしか言ってないな)「あしあとたど〜っていくー」の ”ど” 、良い。 よく分からんけどめっちゃ好き。そこだけでいいんで聞いてください。"ど" だけでいいんで。 以上 参考情報 ※ ビッケブランカ公式Twitter: https://twitter.com/VickeBlanka ※ ビッケブランカ「北斗七星」YouTube動画: https://youtu.be/wH5QbrEs8mY ※ ビッケブランカ「Black Rover」YouTube動画: https://youtu.be/8RSfSxkN0ek

「SKY-HI」が、人生を賭けて挑む挑戦とは…?
アーティストでありプロデューサー
こんなに何足ものわらじ履きこなしてんの大谷翔平くらいしか知らんぞ。 しかも、プロデュース業と現役のアーティスト活動を並行してんのがすごい。 こないだ、THE FIRST TAKEで「何様」を歌ってまして。2021/10/22の時点で400万再生に高評価8.9万。これはしっかりちゃんと人気の人の数字です。 裏方が得意なのかと思ったらしっかり音楽力も強い。セカンドキャリアというより色んな職業を同時並行でこなすパラレルキャリアの音楽界における1例として心から尊敬します。 ...と、まあここまで彼のすごさを長々並べましたが、個人的に一番すごいと思ってることを述べます。 使命感です。 ※ SKY-HI × たなか - 何様 feat. ぼくのりりっくのぼうよみ / THE FIRST TAKE運がなくても売れる世界
音楽界を見てて日本が世界に劣ってるってのは共通認識だと思います。だって世界ですから。 ただ彼はそこで止まらず自腹で1億出してまで新しいアーティストを生み出して世界と戦おうとしてる。 1億ですよ? 素直に思いません? なんでそこまでするんだって。 彼はアーティストとしてすでに成功してる。でも若い才能が埋もれてくのを見てきて動かずにはいられなかった。俺なら素通ります。 マンガ「バクマン」の主人公が漫画家として食べていくための3条件を挙げてます。 1. うぬぼれ 2. 努力 3. 運 うぬぼれるほど自信を持って進め。 努力しろ。 そして運。 ここからは推測です。 SKY-HIはおそらくこの3つ目の条件 “運” の要素をなくそうとしてる。 アーティストとして成功するには運が必要ってのは全員わかってるけど、ただそれが納得いかないんじゃないかと。そんで誰かがやらなきゃいけないから俺がやる、と。 インタビューで「なぜ1億も?」って聞かれて 「自分の人生を賭けてもいるから」と答えてました。 すげー人がいるもんですよ。 思いついてもやるかね普通。 素直に応援したいと思いました。 本気で時代を変えようとしてるんだなと。 一般人の自分も何か貢献したいと思ったら、SKY-HIの事務所からデビューした噂の「BE:FIRST」の活動のためにクラウドファンディングをしてるそうで、一助になりたいという方は是非見た方がいいと思います。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.「Da-iCE」の歌はなぜ歌いたくなるのか…?
