Author: 福井 郁花

サカナクション・ツアー「アダプト」から見る有料オンラインライブの可能性とは…
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サカナクション・ツアー「アダプト」から見る有料オンラインライブの可能性とは…

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コロナウイルスの影響により有観客ライブの開催が制限される中、有料オンラインライブ市場はこの1年で急拡大した。 ぴあ総研の調査によると、2020年内の有料型オンラインライブの市場規模は推計448億円に上り、18歳から69歳までの個人全体のおよそ5人に1人が2020年内に有料型オンラインライブを視聴したことがあると回答した。 そんな中、2021年12月から今年1月にかけて、サカナクションは自身2年ぶりとなるアリーナツアー【アダプト】を開催した。 有観客で開催されたツアーであったが、公演最終日には合わせて有料配信も行われた。コロナウイルスにより厳しい制限が設けられていた2020年は無観客で配信のみ行う完全オンライン型のライブが多かったが、2021年は徐々に有観客ライブが増え、このように同時配信も行うハイブリッド型のライブが多くみられるようになった。

オンライン・オフライン双方向に向けた演出とは...

ハイブリッド型のライブでは、オフライン・オンライン両方の観客が存在するため、両方の観客を意識した演出が必要となる。今回のサカナクションのツアー「アダプト」では、それが見事に体現されたライブだったと言えるだろう。 実際のライブでは、“舞台 × MV × ライブ” というコンセプトのもと、4階建てビル相当の巨大な造形物「アダプトタワー」がステージに登場し、バンドメンバー以外の出演者もステージに登場する演出が施され、巨大なアダプトタワーはステージ上に複数の空間を生み出し、ミュージックビデオとライブがシンクロしたような世界観を作りあげた。 実際に、会場に足を運んだ観客は、アダプトタワーが生み出す巨大な空間全体を見ることができるだけでなく、音響的な死角を無くすことを目指したサカナクション・オリジナルのサウンドシステムである "SPEAKER +(スピーカープラス)" の導入によって、生でしか味わえない迫力を感じることができたのだ。 その一方で、オンラインで参加した観客は、計算され尽くしたカメラワークと、画面を通すことでより磨きがかかった編集によって、生で見るよりも高いクオリティの映像を楽しむことができた。

映像コンテンツとしてのライブの可能性は...

オンラインライブに関しては、しばしば如何にして視聴者が生のライブに近い ”ライブ感” を楽しめるかどうかが議論されるが、今回のツアー「アダプト」は、全く逆方向の可能性を示唆しているように思えた。 それは "配信コンテンツ" としてのライブの可能性である。 まるでミュージックビデオかとも思える程、映像として完成された配信映像は、リアルタイムでなくともドラマや映画のように映像コンテンツとして十分に成立するのではないだろうか。実際、すでにdTVやWOWOWでは多数のライブ映像が配信されており、リアルタイム視聴だけでなく後からライブ映像を視聴することができる。 また、GYAO!ではサカナクション「アダプト」のライブ映像が曲単位で公開されるなど、メンバー毎のカメラを切り替えながらマルチアングルでライブが楽しめるFR映像など見応えのあるコンテンツが用意されていた。サブスクリプションといった配信での視聴も可能になったことで、”ライブ” はリアルタイムで楽しむだけのものではなくなってきたと言えるだろう。 オンラインライブや配信コンテンツとしてのライブは、その楽しみ方を大きく広げてくれる存在だ。 会場に行くライブとは異なり、高い倍率のチケットを当てる必要もなく、友達と一緒に画面を通して ”最前席” でアーティストのパフォーマンスを見ることができる。または、仕事が終わり家に帰り、お酒でも呑みながら1人でゆっくりと好きなアーティストのライブを楽しむというのも最高の癒しではないだろうか...。 コロナ禍で急拡大したオンラインライブ市場は、新たな技術を取り入れながら、今後も成長していくと考えられる。この為、実際に会場に行って楽しめるだけではなく、画面を通してリアルタイムでも、オンデマンドでも視聴したいと思ってもらう事ができる様なライブパフォーマンスが、制作者視点では今後さらに強く意識されることだろう。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
優里、もさを。りりあ。に続け…. TikTokを効果的に活用するための音楽マーケティングとは…
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優里、もさを。りりあ。に続け…. TikTokを効果的に活用するための音楽マーケティングとは…

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皆さんは、昨今話題となっているTikTok発アーティストをご存知でしょうか。 TikTok発アーティストとは、TikTokで楽曲が人気になり、それが火種となって各種音楽プラットフォームで楽曲がチャートインするなど、TikTokの外でも活躍を見せているアーティストを指します。 彼らと同様に世の中の人気を獲得する為には、TikTokにおいてどのような音楽マーケティングが効果的なのでしょうか...。

TikTok独自のアルゴリズムとは…

当初、TikTokでの楽曲の "バズり" は、一時的なものに留まると思われていましたが、今やTikTokは新しい才能あるミュージシャンと出会う場として受け止められており、大手レコード会社でさえも、新人アーティスト発掘の場として注目しています。 では、この様にミュージシャンにとって、大きな可能性の場となったTikTokで注目されるためには、どのようにTikTokを活用すれば良いのでしょうか...。 まず、TikTokを活用して自らプロモーションを行う為には、TikTokの特性(アルゴリズム)を理解して運用することが大切だと思われます。 TikTokは機械学習アルゴリズムを用い、ユーザーの好みに応じて動画をオススメしています。 このレコメンド機能は他のSNSでも使われていますが、レコメンドが起こる仕組みが他のSNSとは少し異なります。基本的に、TwitterやInstagramの様なSNSのフィード画面(アプリを開いたときにまず表示され、新規の投稿を見ることができる画面)には、自分がフォローしているユーザーの投稿が表示されます。 しかし、TikTokではフォローしているかどうかに関係なく、AIがユーザーの好みに最も合っていると判断した動画が流れます。また、時系列に沿ってタイムライン形式で流れてくるTwitterやInstagramとは異なり、 TikTokでは投稿がユーザーの好みに合えば、3か月前の投稿でもおすすめに表示されることがあります。 この様に、TikTokではフォロワー数に関係なく動画を見てもらえる為、どの様なクリエイターでも大きな拡散力を持ち得るという事が特徴として挙げられます。

人気が急上昇している楽曲カバーも有効...

ここで意識したいのは、TikTokのアルゴリズムが分析する動画の情報には、キャプションやハッシュタグだけではなく、使用されている音楽の情報も含まれているという点です。この為、TikTok上の多くのクリエイターは自分の投稿がおすすめに載るよう、人気急上昇中のハッシュタグを使うだけでなく、その時に人気の楽曲を用いて動画を作成する事が多くなります。このアルゴリズムこそが、TikTokで特定の楽曲がバズりやすい要因の一つとなっていると言えるでしょう。 この様なTikTokの特徴を踏まえると、アーティストは自身のアカウントで楽曲を発信するだけではなく、他のユーザーに自分の楽曲を使用して動画を作ってもらうという事が重要になるという事が分かるかと思います。この為、自身のコンテンツで取り入れるべき要素としては、弾き語り動画や、楽曲にダンスの振付を付けた動画など、他のクリエイターが真似したりアレンジしやすい動画や音楽を作成する事が効果的であると考えられます。 また、自身の楽曲を発信する以外に、人気が急上昇している楽曲のカバーをするなど、話題のコンテンツに自分も参加することで注目度を高めるという方法もあります。 レコメンド機能の精度が高いTikTokでは、TikTok上の流行に乗る事で、より多くのユーザーのおすすめに表示される可能性が高まる為、TikTokを活用するアーティストは、どの様なハッシュタグやコンテンツが流行っているのかを常にチェックしておく事も重要です。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
「ドラムもベースもいないが、ピエロがいる」異色のバンド “セカイノオワリ” はなぜ成功したのか…
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「ドラムもベースもいないが、ピエロがいる」異色のバンド “セカイノオワリ” はなぜ成功したのか…

いまやバンドとしてその地位を確立させ、世代を問わず多くのファンから支持されるSEKAI NO OWARI(セカイノオワリ)。 彼等はどのようにしてここまで上り詰めたのだろうか。 彼等の魅力的な楽曲は前提として、本記事では、楽曲以外の特徴に焦点を当てて、その飛躍の理由を探ってみたい。

"ピエロがいるバンド" SEKAI NO OWARI

やはりデビューしたての知名度が低いアーティストにとって、メディアに取り上げてもらうための話題性は必要だ。 その点、彼らは「ピエロがいるバンド」「ドラムもベースもいないが、ピアノとDJがいるバンド」「幼馴染で結成され、しかも同居しているバンド」「めちゃめちゃ暗いバンド名」といった様に、思わず「なぜ...?」と聞きたくなってしまう様な特徴を幾つも持っていた。 これらの特徴はメディアに出演する際の話題となるし、何よりもリスナーの興味を惹きつける材料として十分だった。 その強みを生かし、彼らがメディアに積極的に露出していたことも、彼らへの注目が途切れなかった理由の一つだろう。 メディアに露出しないことで自身のイメージを守るバンドも多いが、SEKAI NO OWARIは、真逆の選択を取ったと言えるだろう。アニメ・ドラマやCMとのタイアップを積極的に行い、ニュースやバラエティにも多く姿を表した彼らは、”ミステリアスでかっこいいバンド” ではなく、”ピエロがいるバンド” や ”メンバー同士が仲が良いバンド” として世間から認知される様になり、その意外性や親しみやすさから、結果として幅広い世代の支持を集めるようになった。 また、最近ではラジオで冠番組のパーソナリティを務めたり、ボーカルの深瀬が俳優として映画デビューをするなど、本業の音楽活動以外でも活躍が見られる。 メディアに露出することで、楽曲だけでなくメンバー1人1人の魅力も伝えたからこそ、国民的バンドとなった ”セカオワ” の今の姿があるのではないだろうか。

セカオワの代名詞 "ファンタジー" を生み出したライブ演出とは...

SEKAI NO OWARIの話をする上で欠かせないのが、圧倒的なライブ演出だ。 ”ファンタジー” が、彼らの代名詞として確立したのは、やはり2013年の野外公演「炎と森のカーニバル」からではないだろうか。 その公演では、30mもの高さの巨大樹と、それを彩る鮮やかな電飾によって、ステージ上にはまさにファンタジーと呼ぶしかない夢のような世界が作り出された。 その後も、40mもの高さの樹木を設置した圧倒的な存在感のステージセットに、空飛ぶ列車の演出を加えた「Twilight City」や、動物を模した巨大なロボットが喋る「タルカス」、移動式歓楽街をコンセプトに高さ30メートル(10階建てビル相当)、全長80メートルの列車をステージにした「INSOMNIA TRAIN」など、彼等のとんでもない演出を挙げればきりがない。 さらに、SEKAI NO OWARIのライブが凄いのは、ステージ演出だけが理由ではない。 彼らのライブでは、会場の外にもオリジナルのフードが食べられる屋台や、メンバー考案のゲームができるブースが設置されるなど、ライブに訪れた人は会場全体でその世界観を大いに楽しむことができる。言うなれば、会場全体がテーマパークのような空間になっているのだ。 また、「炎と森のカーニバル」でファンの仮装を競う仮装コンテストが行われてから、彼らのライブには仮装して参加することが定番になっている。仮装をして会場内を歩くファンの姿は、会場の雰囲気を高めてくれるし、クオリティの高い手作りの衣装を見れるのもセカイノオワリのライブの醍醐味の一つだ。 会場の細部にまで拘り、ファンと共に作り上げる世界観というものが、SEKAI NO OWARIのライブの最も魅力的な部分と言えるだろう。 そして、ここで大切なのは、彼らのライブでは観客が動画や写真を撮影できたという事である。 多くのアーティストのライブでは、著作権侵害などの恐れから、撮影・録画・録音等が禁止されているが、SEKAI NO OWARIは寧ろ撮影を許可する事で、SNSやYouTubeに拡散された会場内外の写真や動画を通じて、彼らのライブの魅力をより多くの人に伝えたのである。 音盤の売上よりも、ライブやグッズの売り上げがアーティストにとって最も大きい収益になってから久しいが、その様な中で、いち早くライブに重点をおき、SNSの拡散力を使って人気を伸ばしたSEKAI NO OWARIが成功したのは、必然だったのではないだろうか。

End of the Worldとしてのもう一つの顔

もう1つ注目したいのが、SEKAI NO OWARIの海外プロジェクトである ”End of the World” だ。 日本での活動名をそのまま英語に直訳した名前で、彼らは2013年から積極的に海外での音楽活動を行っている。 2011年にメジャーデビューしてから、2年という早さで海外進出したスピード感も凄いが、Fukase自身は、デビュー前から海外進出も考えていたというのだから驚きだ。現在も、積極的にEnd of the Worldとして活動を行っている彼らだが、国内でこれだけ成功してもなお、アジアだけでなくヨーロッパにも進出するなど、新しい事に挑戦し続ける彼らの貪欲さには驚かされるばかりだ。 End of the Worldが海外でも人気を得ている理由は、その徹底されたローカライズ戦略にある。近年、BTSを中心に世界中で人気を得ているK-POPだが、SEKAI NO OWARIの海外戦略にはそれに通ずるものがある。 例えば、楽曲にしても英語で歌う事は勿論、日本で人気を得ているJ-POPらしい楽曲ではなく、EDM調の楽曲など海外のリスナーに受けやすい曲が多い。 さらには、現地で人気のアーティストとのコラボを積極的に行うなど、知名度を向上させるのに効果的な活動も多く行っている。最近ではアメリカの有名な音楽プロデューサー兼DJのスティーブ・アオキとのコラボ曲を制作し、その楽曲を披露した海外でのパフォーマンスも大きな反響を得ている。 海外進出を行う際に、ローカライズに振り切ってしまうと、アーティスト自身が持っている良さや音楽性を失ってしまい、既存のファンが離れてしまうという事も起こり得る。しかしながら、あえて日本国内ではほとんど宣伝せずに、SEKAI NO OWARIとは完全に別のプロジェクトとしてEnd of the Worldを独立させたからこそ、彼らは全く別のアーティストとして海外での活動に集中できたのではないだろうか。 Spotifyなどの音楽サービスによって、音楽に国境が無くなった時代では、海外進出を目指すアーティストも益々増えている。 しかしながら、その際に決して忘れてはいけないのは、”現地の音楽に寄り添う” という事だ。 多くの日本人が、スペインやイスラエル、インド、ロシア...といった言語的・文化的に異なる国のアーティストの曲をあまり聴かない様に、日本語のまま純度100%のJ-POPを押し付けても、現地の人々には響きにくいだろう。時間は掛かるが、まずは現地の音楽を分析し、それに寄り添いながら徐々に自分たちの良さを知っていってもらう事が、海外進出において一番の近道だと思われる。 その点において「SEKAI NO OWARI」、もとい「End of the World」に学ぶところは、多いのではないだろうか。
昨年、デビュー10周年を迎えたSEKAI NO OWARIだが、コロナのため諸々のイベントが延期となっていた。 しかしながら、10周年記念イベントとしてVaundyらが出演する対バンライブ「The PARADE」と、初の4大ドームツアーを2022年に行う事が先日発表された。 さらには、延期となっていたSEKAI NO OWARIのヒストリーを辿るエキシビジョン “THE SECRET HOUSE” の開催も発表されており、2022年はファンにとって楽しみが多い1年となるのではないだろうか。 2022年も活躍が期待されるSEKAI NO OWARIの今後に注目したい。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
VR・メタバース・MX4Dなど、今後のエンターテインメント・コンテンツに必要とされる技術とは…
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VR・メタバース・MX4Dなど、今後のエンターテインメント・コンテンツに必要とされる技術とは…

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私たちの生活は新たな技術を用いながら日々進化しています。 その中でも特に、エンターテインメント業界は、常に最先端の技術を取り入れようとする動きが活発な業界と言えます。 今後、エンターテイメント・コンテンツに、さらなる新しい技術を取り入れるには、何が必要なのでしょうか...。

VR・4D・メタバースなど、エンターテインメントに彩りを与える最新技術とは...

最新の技術は、エンターテイメントをより魅力あるものにするために使われます。 例えば、現実とデジタルコンテンツを繋ぐ "VR" や "AR" といった技術や、映画館で使われている4D技術など、新たな技術はエンターテイメントをより一層ワクワクするものへと進化させてくれます。 しかしながら、技術がエンターテインメントに与える変化は、そのような演出に留まりません。

リアルとオンラインの価値はもはや同等? 受け手の利便性を高める新たなオンラインコンテンツとは...

技術が映像や音響といった演出の面でエンターテイメントのクオリティを高めてくれるのはもちろんですが、技術はエンターテイメントの受け手の利便性をも向上させます。 ライブやフェスへの参加・スポーツ観戦など、今までは会場まで移動しないと体験できなかったイベントが、手元のスマートフォンや家のテレビ、映画館でのライブビューイングなど、より身近な場所でリアルに体験できるようになりました。 実際に会場に行くまでの時間やお金をかけなくてよいというメリットから、オンラインで参加するということが1つの選択肢として当たり前になってきていますが、今後VRやメタバースといった仮想現実の活用が進むなど、そのクオリティが高まることで、オンラインでの参加はリアルの代替手段では無く、リアルで参加するのと同等、もしくは、それ以上の価値を持つ可能性もあります。 仕事が忙しく時間が無い人、金銭的に遠征には行けない学生、身体的に出かけるのが困難な高齢者など、リアルでは参加できない層に目を向け、オンライン上でエンターテイメントを届けるなどデジタル技術による解決策を探ることで、エンターテイメントにおけるデジタル技術の活用方法がさらに広がるのではないでしょうか。

バーチャル空間で作る映画? 最新技術がエンターテイメントの作り手にもたらすものとは...

技術が恩恵をもたらすのは、エンターテイメントの受け手だけではありません。最新の技術は、エンターテイメントの作り方さえも変化させ、作り手の作業効率を格段に向上させてくれます。 例えば、映画の撮影への導入が試みられている「バーチャルプロダクション(LEDウォール& In-Camera VFX)」もその一つです。 この技術は実際にカメラで撮影する映像と、バーチャル空間内の3DCG映像をリアルタイムに合成し、カメラによる視点移動にも対応させたものです。リアルタイムでCGを合成できるため、従来のようにグリーンバックを使って後から合成された映像を見るのとは異なり、監督や演者が手応えを感じながら撮影することが可能です。 さらに、このバーチャルプロダクションを使えば、背景の3DCGを差し替えるだけで、スタジオ内であらゆるロケーションを再現することができるため、撮影時間をかなり短縮することが可能となります。 ここで紹介したのはほんの一例ですが、このようにエンターテイメントの作り手の効率を高めるということを突き詰めていけば、新たな技術を取り入れる余地はまだまだ見つかるのではないでしょうか。

エンタメ × 技術が進化し続けるためには...

冒頭で述べたように、エンターテインメントはあらゆる技術を取り入れながら進化しています。そして、そのような技術が一般家庭にも降りてくることで、それらのエンターテインメントは以前よりも手軽に身近な場所で楽しめるものになりました。 映画を例に挙げると、かつては迫力ある体験を求めて足を運ぶ人も多かった映画館ですが、今は家庭でも高いクオリティのサウンドや映像が楽しめたり、Netflixといったサブスクリプションサービスが登場したことによって映画館に行く意義は以前よりも薄れました。 しかしながら、技術の普及によって映画館の存在意義が薄れたからこそ、4D体験ができるMX4Dや、より優れたサウンドを届けるドルビーシネマなど、映画館でしかできない映画体験を作ろうという努力が生まれたのではないでしょうか。 このような最新技術が一般消費者が利用可能な世界になることで、従来エンターテインメントを提供してきた事業者は、さらなる技術革新を求められます。 最近言われるようになった、モノ消費、コト消費に続く「トキ消費」という言葉が表しているように、今求めらているのは、その場・その時間でしか体験できない、希少価値のある ”トキ(時)” の消費です。 技術の向上によって異なる場所・時間にいても同じ体験ができてしまう今だからこそ、その場・その瞬間でしかできない体験を生み出すようなエンターテインメントをつくることが求められています。 エンターテインメント業界が進化を続けていくためには、新たな技術を積極的に普及させ、身近な場所で体験できるものにすることで、さらに進化せざるを得ない状況を作ると同時に、その場・その時でしか体験できない最高の ”トキ” を生み出す技術を、それぞれのエンターテイメント事業者に常に取り入れ続けていくことが大切なのではないでしょうか。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
日本の音楽市場は「世界2位」なのにマイナス成長。SpotifyやApple Musicを活用するストリーミング中心の世界に追いつくための鍵とは…
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日本の音楽市場は「世界2位」なのにマイナス成長。SpotifyやApple Musicを活用するストリーミング中心の世界に追いつくための鍵とは…

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英国ベースの国際的な音楽業界の 業界団体であるIFPI( International Federation of Phonogram and Videogram Producers )のGLOBAL MUSIC REPORT2021によると、2020年の音楽業界の全体の収益は前年比+7.4%でした。 年々成長を続けている音楽業界ですが、その成長を支えているのはストリーミングによる音楽消費の増加です。 CDといったフィジカルな音楽流通による収益は-4.7%、ダウンロード等ストリーミング以外のデジタル消費による収益は-15.7%と減ったのに対し、有料ストリーミング配信による収益+18.5%となっており(いずれも前年比)、ストリーミングが世界の音楽消費を牽引していることが分かります。

揺らぐ世界第2位の音楽大国、日本...

同レポートによると、日本の音楽市場は昨年と変わらず世界第2位でしたが、その成長率は市場規模ランキングトップ10の国の内、唯一のマイナスという結果でした。 日本には長年築き上げてきた巨大な音楽市場があるものの、その地位は危ういものとなってきています。一体何が他の国と日本の明暗を分けているのでしょうか...。 それは言うまでもなく、ダウンロード・ストリーミングといった配信による音楽消費の差です。 日本に続き3〜4位の音楽市場を誇るイギリス・ドイツは前年比6%以上の成長を見せましたが、そのうち音楽配信による売り上げが、イギリスは全体の82%、ドイツは全体の71.5%を占めていました。このように、いち早く配信中心の音楽消費に移行したヨーロッパではCD売り上げの減少による打撃を抑えることに成功し、その収益が拡大しています。対照的に、日本では未だ音楽配信による収益は全体のおよそ3割に留まっており、CD文化から脱却しきれていないことが分かります。 とは言うものの、日本でもSpotifyやApple Musicといった有料サブスクリプションサービスの普及により、年々音楽販売に占める配信の割合は増加しています。しかしながら、有料サブスクリプションサービスの普及率が未だ高いとは言えない日本では、配信中心の楽曲販売に移行してもそれを受け取るユーザーが少ないという事もあり、音楽配信サービスへの移行の遅さと相まって、現在の国内音楽市場低迷の原因となっています。

日本の音楽市場、回復の鍵とは...

CDの販売枚数に応じて収益を得る事ができるパッケージ楽曲とは異なり、より多くの人に繰り返し何度も聞いてもらう事で収益を得る事ができる音楽ストリーミング配信は、アーティストやレーベル側にとって利益の回収に時間が掛かります。 加えて、音楽ストリーミング配信による収益の総額自体も、CDシングルが1枚1,000円前後で販売できた様な時代と、月額980円程で大半の楽曲が聴き放題というストリーミング時代を比較すると、減少傾向にならざるを得ない事も想像に難くありません。 つまり、日本の音楽市場では、CDの販売枚数が落ち込む一方で、それを補う程の音楽ストリーミング配信による収益は現段階では確保できていないという状況であると言えます。 この様な現状を乗り切るために、音楽業界にとって欠かせないのがライブかと思います。年々成長し続けている音楽ライブ市場ですが、チケットとグッズの販売による収益は、楽曲そのものが高く売れない時代において非常に大切な要素になっています。 昨今はアーティストの活動方針も、"楽曲を制作し販売する" というスタイルから、"YouTube等のWebメディアを活用し知名度を上げ、ライブの動員数を増やし収益化する" という形態に変化しいます。

邦楽にとってのアジアとは

従来、ファンが好きなアーティストのCDを大量に買う事で成立していた日本の音楽市場も、世界中の音楽を、安価に、1曲単位で聴く事ができるストリーミング時代においては、いかにしてどれ程多くの人に、長く聴いて貰える様な楽曲を生み出せるかが、これからの時代を生き抜く鍵となります。 また、音楽ストリーミングのビジネスに国境はないため、日本の音楽をより一層海外へ発信していく事も必要になってくると思われます。 J-POPとK-POPでは音楽的性質が異なるため、K-POPの様にJ-POPが欧米で爆発的な人気を得る事はすぐには難しいかも知れませんが、代わりに、J-POPは漫画やアニメといったコンテンツ(IP)の人気を背景に、アジアでは一定の評価を得ています。 台湾や中国では、KKBOXチャートやQQミュージックチャートと言った、J-POPやACG(アニメ・コミック・ゲーム関連の音楽)に特化したチャートがあり、台湾・タイ・香港・シンガポール・上海には、ほぼ日本人アーティストだけを扱うコンサートプロモーターも存在します。アジアでは、欧米に比べて日本音楽の占有率が高く、市場規模も大きいため、日本人アーティストが進出する素地としては十分あると言えるでしょう。 海外進出と言うと、欧米での成功が連想され易いですが、日本にとって大きな可能性が期待される "アジア" に邦楽を積極的に売り込む努力を惜しまなければ、音楽ストリーミング中心の時代においても、日本の音楽は国内のみならず、更なるリスナーを獲得する事が可能なのではないでしょうか。
参考情報: 一般社団法人日本レコード協会. ”生産実績・配信売上実績”( 一般社団法人 日本レコード協会 ) EARLYTECHES. ”日本の音楽市場が世界4位に転落の危機?イギリス、ドイツがサブスクで成長”( 日本の音楽市場が世界4位に転落の危機?イギリス、ドイツがサブスクで成長 | アーリーテックス ) 関根直樹「日本のアーティストを売り込め!実践者が明かす海外攻略の全ノウハウ」. 日経BP. 2021年6月14日 第一番第1刷発行 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.