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サカナクション・ツアー「アダプト」から見る有料オンラインライブの可能性とは...
EVENING編集部( Evening Music Records )
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コロナウイルスの影響により有観客ライブの開催が制限される中、有料オンラインライブ市場はこの1年で急拡大した。
ぴあ総研の調査によると、2020年内の有料型オンラインライブの市場規模は推計448億円に上り、18歳から69歳までの個人全体のおよそ5人に1人が2020年内に有料型オンラインライブを視聴したことがあると回答している。
そんな中、2021年12月から今年1月にかけて、サカナクションは自身2年ぶりとなるアリーナツアー「アダプト」を開催した。
有観客で開催されたツアーであったが、公演最終日には合わせて有料配信も行われた。新型コロナウイルスにより、厳しい制限が設けられていた2020年は、無観客で配信のみ行う完全オンライン型のライブが多かったが、2021年は徐々に有観客ライブが増え、このように同時配信も行うハイブリッド型のライブが多くみられる様になった1年であった。
オンライン・オフライン双方向に向けた演出とは...
ハイブリッド型のライブでは、オフライン・オンライン両方の観客が存在するため、両方の観客を意識した演出が必要となる。今回のサカナクションのツアー「アダプト」では、それが見事に体現されたライブだったと言えるだろう。
実際のライブでは、“舞台 × MV × ライブ” というコンセプトのもと、4階建てビル相当の巨大な造形物「アダプトタワー」がステージに登場し、バンドメンバー以外の出演者もステージに登場する演出が施され、巨大なアダプトタワーはステージ上に複数の空間を生み出し、ミュージックビデオとライブがシンクロしたような世界観を作りあげた。
実際に、会場に足を運んだ観客は、アダプトタワーが生み出す巨大な空間全体を見ることができるだけでなく、音響的な死角を無くすことを目指したサカナクション・オリジナルのサウンドシステムである "SPEAKER +(スピーカープラス)" の導入によって、生でしか味わえない迫力を感じることができたのだ。
その一方で、オンラインで参加した観客は、計算され尽くしたカメラワークと、画面を通すことでより磨きがかかった編集によって、生で見るよりも高いクオリティの映像を楽しむことができた。
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映像コンテンツとしてのライブの可能性は...
オンラインライブに関しては、しばしば如何にして視聴者が生のライブに近い ”ライブ感” を楽しめるかどうかが議論されるが、今回のツアー「アダプト」は、全く逆方向の可能性を示唆しているように思えた。
それは "配信コンテンツ" としてのライブの可能性である。
まるでミュージックビデオかとも思える程、映像として完成された配信映像は、リアルタイムでなくともドラマや映画のように映像コンテンツとして十分に成立するのではないだろうか。実際、すでにdTVやWOWOWでは多数のライブ映像が配信されており、リアルタイム視聴だけでなく後からライブ映像を視聴することができる。
また、GYAO!ではサカナクション「アダプト」のライブ映像が曲単位で公開されるなど、メンバー毎のカメラを切り替えながらマルチアングルでライブが楽しめるFR映像など見応えのあるコンテンツが用意されていた。サブスクリプションといった配信での視聴も可能になったことで、”ライブ” はリアルタイムで楽しむだけのものではなくなってきたと言えるだろう。
オンラインライブや配信コンテンツとしてのライブは、その楽しみ方を大きく広げてくれる存在だ。
会場に行くライブとは異なり、高い倍率のチケットを当てる必要もなく、友達と一緒に画面を通して ”最前席” でアーティストのパフォーマンスを見ることができる。または、仕事が終わり家に帰り、お酒でも呑みながら1人でゆっくりと好きなアーティストのライブを楽しむというのも最高の癒しではないだろうか...。
コロナ禍で急拡大したオンラインライブ市場は、新たな技術を取り入れながら、今後も成長していくと考えられる。この為、実際に会場に行って楽しめるだけではなく、画面を通してリアルタイムでも、オンデマンドでも視聴したいと思ってもらう事ができる様なライブパフォーマンスが、制作者視点では今後さらに強く意識されることだろう。
参考情報:
ぴあ総研. ”2020年の有料型オンラインライブ市場は448億円に急成長。~ポスト・コロナ時代は、ライブ・エンタテインメントへの参加スタイルも多様化へ /ぴあ総研が調査結果を公表". 2021年02月12日
https://corporate.pia.jp/news/detail_live_enta_20210212.html
ぴあ総研. 有料型オンラインライブ、5人に1人が視聴 /ぴあ総研がオンラインライブ視聴に関する実態調査を実施. 2021年02月15日
https://corporate.pia.jp/news/detail_live_enta_20210215.html
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