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優里、もさを。りりあ。に続け…. TikTokを効果的に活用するための音楽マーケティングとは…
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優里、もさを。りりあ。に続け…. TikTokを効果的に活用するための音楽マーケティングとは…

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皆さんは、昨今話題となっているTikTok発アーティストをご存知でしょうか。 TikTok発アーティストとは、TikTokで楽曲が人気になり、それが火種となって各種音楽プラットフォームで楽曲がチャートインするなど、TikTokの外でも活躍を見せているアーティストを指します。 彼らと同様に世の中の人気を獲得する為には、TikTokにおいてどのような音楽マーケティングが効果的なのでしょうか...。

TikTok独自のアルゴリズムとは…

当初、TikTokでの楽曲の "バズり" は、一時的なものに留まると思われていましたが、今やTikTokは新しい才能あるミュージシャンと出会う場として受け止められており、大手レコード会社でさえも、新人アーティスト発掘の場として注目しています。 では、この様にミュージシャンにとって、大きな可能性の場となったTikTokで注目されるためには、どのようにTikTokを活用すれば良いのでしょうか...。 まず、TikTokを活用して自らプロモーションを行う為には、TikTokの特性(アルゴリズム)を理解して運用することが大切だと思われます。 TikTokは機械学習アルゴリズムを用い、ユーザーの好みに応じて動画をオススメしています。 このレコメンド機能は他のSNSでも使われていますが、レコメンドが起こる仕組みが他のSNSとは少し異なります。基本的に、TwitterやInstagramの様なSNSのフィード画面(アプリを開いたときにまず表示され、新規の投稿を見ることができる画面)には、自分がフォローしているユーザーの投稿が表示されます。 しかし、TikTokではフォローしているかどうかに関係なく、AIがユーザーの好みに最も合っていると判断した動画が流れます。また、時系列に沿ってタイムライン形式で流れてくるTwitterやInstagramとは異なり、 TikTokでは投稿がユーザーの好みに合えば、3か月前の投稿でもおすすめに表示されることがあります。 この様に、TikTokではフォロワー数に関係なく動画を見てもらえる為、どの様なクリエイターでも大きな拡散力を持ち得るという事が特徴として挙げられます。

人気が急上昇している楽曲カバーも有効...

ここで意識したいのは、TikTokのアルゴリズムが分析する動画の情報には、キャプションやハッシュタグだけではなく、使用されている音楽の情報も含まれているという点です。この為、TikTok上の多くのクリエイターは自分の投稿がおすすめに載るよう、人気急上昇中のハッシュタグを使うだけでなく、その時に人気の楽曲を用いて動画を作成する事が多くなります。このアルゴリズムこそが、TikTokで特定の楽曲がバズりやすい要因の一つとなっていると言えるでしょう。 この様なTikTokの特徴を踏まえると、アーティストは自身のアカウントで楽曲を発信するだけではなく、他のユーザーに自分の楽曲を使用して動画を作ってもらうという事が重要になるという事が分かるかと思います。この為、自身のコンテンツで取り入れるべき要素としては、弾き語り動画や、楽曲にダンスの振付を付けた動画など、他のクリエイターが真似したりアレンジしやすい動画や音楽を作成する事が効果的であると考えられます。 また、自身の楽曲を発信する以外に、人気が急上昇している楽曲のカバーをするなど、話題のコンテンツに自分も参加することで注目度を高めるという方法もあります。 レコメンド機能の精度が高いTikTokでは、TikTok上の流行に乗る事で、より多くのユーザーのおすすめに表示される可能性が高まる為、TikTokを活用するアーティストは、どの様なハッシュタグやコンテンツが流行っているのかを常にチェックしておく事も重要です。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
「ドラムもベースもいないが、ピエロがいる」異色のバンド “セカイノオワリ” はなぜ成功したのか…
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「ドラムもベースもいないが、ピエロがいる」異色のバンド “セカイノオワリ” はなぜ成功したのか…

いまやバンドとしてその地位を確立させ、世代を問わず多くのファンから支持されるSEKAI NO OWARI(セカイノオワリ)。 彼等はどのようにしてここまで上り詰めたのだろうか。 彼等の魅力的な楽曲は前提として、本記事では、楽曲以外の特徴に焦点を当てて、その飛躍の理由を探ってみたい。

"ピエロがいるバンド" SEKAI NO OWARI

やはりデビューしたての知名度が低いアーティストにとって、メディアに取り上げてもらうための話題性は必要だ。 その点、彼らは「ピエロがいるバンド」「ドラムもベースもいないが、ピアノとDJがいるバンド」「幼馴染で結成され、しかも同居しているバンド」「めちゃめちゃ暗いバンド名」といった様に、思わず「なぜ...?」と聞きたくなってしまう様な特徴を幾つも持っていた。 これらの特徴はメディアに出演する際の話題となるし、何よりもリスナーの興味を惹きつける材料として十分だった。 その強みを生かし、彼らがメディアに積極的に露出していたことも、彼らへの注目が途切れなかった理由の一つだろう。 メディアに露出しないことで自身のイメージを守るバンドも多いが、SEKAI NO OWARIは、真逆の選択を取ったと言えるだろう。アニメ・ドラマやCMとのタイアップを積極的に行い、ニュースやバラエティにも多く姿を表した彼らは、”ミステリアスでかっこいいバンド” ではなく、”ピエロがいるバンド” や ”メンバー同士が仲が良いバンド” として世間から認知される様になり、その意外性や親しみやすさから、結果として幅広い世代の支持を集めるようになった。 また、最近ではラジオで冠番組のパーソナリティを務めたり、ボーカルの深瀬が俳優として映画デビューをするなど、本業の音楽活動以外でも活躍が見られる。 メディアに露出することで、楽曲だけでなくメンバー1人1人の魅力も伝えたからこそ、国民的バンドとなった ”セカオワ” の今の姿があるのではないだろうか。

セカオワの代名詞 "ファンタジー" を生み出したライブ演出とは...

SEKAI NO OWARIの話をする上で欠かせないのが、圧倒的なライブ演出だ。 ”ファンタジー” が、彼らの代名詞として確立したのは、やはり2013年の野外公演「炎と森のカーニバル」からではないだろうか。 その公演では、30mもの高さの巨大樹と、それを彩る鮮やかな電飾によって、ステージ上にはまさにファンタジーと呼ぶしかない夢のような世界が作り出された。 その後も、40mもの高さの樹木を設置した圧倒的な存在感のステージセットに、空飛ぶ列車の演出を加えた「Twilight City」や、動物を模した巨大なロボットが喋る「タルカス」、移動式歓楽街をコンセプトに高さ30メートル(10階建てビル相当)、全長80メートルの列車をステージにした「INSOMNIA TRAIN」など、彼等のとんでもない演出を挙げればきりがない。 さらに、SEKAI NO OWARIのライブが凄いのは、ステージ演出だけが理由ではない。 彼らのライブでは、会場の外にもオリジナルのフードが食べられる屋台や、メンバー考案のゲームができるブースが設置されるなど、ライブに訪れた人は会場全体でその世界観を大いに楽しむことができる。言うなれば、会場全体がテーマパークのような空間になっているのだ。 また、「炎と森のカーニバル」でファンの仮装を競う仮装コンテストが行われてから、彼らのライブには仮装して参加することが定番になっている。仮装をして会場内を歩くファンの姿は、会場の雰囲気を高めてくれるし、クオリティの高い手作りの衣装を見れるのもセカイノオワリのライブの醍醐味の一つだ。 会場の細部にまで拘り、ファンと共に作り上げる世界観というものが、SEKAI NO OWARIのライブの最も魅力的な部分と言えるだろう。 そして、ここで大切なのは、彼らのライブでは観客が動画や写真を撮影できたという事である。 多くのアーティストのライブでは、著作権侵害などの恐れから、撮影・録画・録音等が禁止されているが、SEKAI NO OWARIは寧ろ撮影を許可する事で、SNSやYouTubeに拡散された会場内外の写真や動画を通じて、彼らのライブの魅力をより多くの人に伝えたのである。 音盤の売上よりも、ライブやグッズの売り上げがアーティストにとって最も大きい収益になってから久しいが、その様な中で、いち早くライブに重点をおき、SNSの拡散力を使って人気を伸ばしたSEKAI NO OWARIが成功したのは、必然だったのではないだろうか。

End of the Worldとしてのもう一つの顔

もう1つ注目したいのが、SEKAI NO OWARIの海外プロジェクトである ”End of the World” だ。 日本での活動名をそのまま英語に直訳した名前で、彼らは2013年から積極的に海外での音楽活動を行っている。 2011年にメジャーデビューしてから、2年という早さで海外進出したスピード感も凄いが、Fukase自身は、デビュー前から海外進出も考えていたというのだから驚きだ。現在も、積極的にEnd of the Worldとして活動を行っている彼らだが、国内でこれだけ成功してもなお、アジアだけでなくヨーロッパにも進出するなど、新しい事に挑戦し続ける彼らの貪欲さには驚かされるばかりだ。 End of the Worldが海外でも人気を得ている理由は、その徹底されたローカライズ戦略にある。近年、BTSを中心に世界中で人気を得ているK-POPだが、SEKAI NO OWARIの海外戦略にはそれに通ずるものがある。 例えば、楽曲にしても英語で歌う事は勿論、日本で人気を得ているJ-POPらしい楽曲ではなく、EDM調の楽曲など海外のリスナーに受けやすい曲が多い。 さらには、現地で人気のアーティストとのコラボを積極的に行うなど、知名度を向上させるのに効果的な活動も多く行っている。最近ではアメリカの有名な音楽プロデューサー兼DJのスティーブ・アオキとのコラボ曲を制作し、その楽曲を披露した海外でのパフォーマンスも大きな反響を得ている。 海外進出を行う際に、ローカライズに振り切ってしまうと、アーティスト自身が持っている良さや音楽性を失ってしまい、既存のファンが離れてしまうという事も起こり得る。しかしながら、あえて日本国内ではほとんど宣伝せずに、SEKAI NO OWARIとは完全に別のプロジェクトとしてEnd of the Worldを独立させたからこそ、彼らは全く別のアーティストとして海外での活動に集中できたのではないだろうか。 Spotifyなどの音楽サービスによって、音楽に国境が無くなった時代では、海外進出を目指すアーティストも益々増えている。 しかしながら、その際に決して忘れてはいけないのは、”現地の音楽に寄り添う” という事だ。 多くの日本人が、スペインやイスラエル、インド、ロシア...といった言語的・文化的に異なる国のアーティストの曲をあまり聴かない様に、日本語のまま純度100%のJ-POPを押し付けても、現地の人々には響きにくいだろう。時間は掛かるが、まずは現地の音楽を分析し、それに寄り添いながら徐々に自分たちの良さを知っていってもらう事が、海外進出において一番の近道だと思われる。 その点において「SEKAI NO OWARI」、もとい「End of the World」に学ぶところは、多いのではないだろうか。
昨年、デビュー10周年を迎えたSEKAI NO OWARIだが、コロナのため諸々のイベントが延期となっていた。 しかしながら、10周年記念イベントとしてVaundyらが出演する対バンライブ「The PARADE」と、初の4大ドームツアーを2022年に行う事が先日発表された。 さらには、延期となっていたSEKAI NO OWARIのヒストリーを辿るエキシビジョン “THE SECRET HOUSE” の開催も発表されており、2022年はファンにとって楽しみが多い1年となるのではないだろうか。 2022年も活躍が期待されるSEKAI NO OWARIの今後に注目したい。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
VR・メタバース・MX4Dなど、今後のエンターテインメント・コンテンツに必要とされる技術とは…
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VR・メタバース・MX4Dなど、今後のエンターテインメント・コンテンツに必要とされる技術とは…

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私たちの生活は新たな技術を用いながら日々進化しています。 その中でも特に、エンターテインメント業界は、常に最先端の技術を取り入れようとする動きが活発な業界と言えます。 今後、エンターテイメント・コンテンツに、さらなる新しい技術を取り入れるには、何が必要なのでしょうか...。

VR・4D・メタバースなど、エンターテインメントに彩りを与える最新技術とは...

最新の技術は、エンターテイメントをより魅力あるものにするために使われます。 例えば、現実とデジタルコンテンツを繋ぐ "VR" や "AR" といった技術や、映画館で使われている4D技術など、新たな技術はエンターテイメントをより一層ワクワクするものへと進化させてくれます。 しかしながら、技術がエンターテインメントに与える変化は、そのような演出に留まりません。

リアルとオンラインの価値はもはや同等? 受け手の利便性を高める新たなオンラインコンテンツとは...

技術が映像や音響といった演出の面でエンターテイメントのクオリティを高めてくれるのはもちろんですが、技術はエンターテイメントの受け手の利便性をも向上させます。 ライブやフェスへの参加・スポーツ観戦など、今までは会場まで移動しないと体験できなかったイベントが、手元のスマートフォンや家のテレビ、映画館でのライブビューイングなど、より身近な場所でリアルに体験できるようになりました。 実際に会場に行くまでの時間やお金をかけなくてよいというメリットから、オンラインで参加するということが1つの選択肢として当たり前になってきていますが、今後VRやメタバースといった仮想現実の活用が進むなど、そのクオリティが高まることで、オンラインでの参加はリアルの代替手段では無く、リアルで参加するのと同等、もしくは、それ以上の価値を持つ可能性もあります。 仕事が忙しく時間が無い人、金銭的に遠征には行けない学生、身体的に出かけるのが困難な高齢者など、リアルでは参加できない層に目を向け、オンライン上でエンターテイメントを届けるなどデジタル技術による解決策を探ることで、エンターテイメントにおけるデジタル技術の活用方法がさらに広がるのではないでしょうか。

バーチャル空間で作る映画? 最新技術がエンターテイメントの作り手にもたらすものとは...

技術が恩恵をもたらすのは、エンターテイメントの受け手だけではありません。最新の技術は、エンターテイメントの作り方さえも変化させ、作り手の作業効率を格段に向上させてくれます。 例えば、映画の撮影への導入が試みられている「バーチャルプロダクション(LEDウォール& In-Camera VFX)」もその一つです。 この技術は実際にカメラで撮影する映像と、バーチャル空間内の3DCG映像をリアルタイムに合成し、カメラによる視点移動にも対応させたものです。リアルタイムでCGを合成できるため、従来のようにグリーンバックを使って後から合成された映像を見るのとは異なり、監督や演者が手応えを感じながら撮影することが可能です。 さらに、このバーチャルプロダクションを使えば、背景の3DCGを差し替えるだけで、スタジオ内であらゆるロケーションを再現することができるため、撮影時間をかなり短縮することが可能となります。 ここで紹介したのはほんの一例ですが、このようにエンターテイメントの作り手の効率を高めるということを突き詰めていけば、新たな技術を取り入れる余地はまだまだ見つかるのではないでしょうか。

エンタメ × 技術が進化し続けるためには...

冒頭で述べたように、エンターテインメントはあらゆる技術を取り入れながら進化しています。そして、そのような技術が一般家庭にも降りてくることで、それらのエンターテインメントは以前よりも手軽に身近な場所で楽しめるものになりました。 映画を例に挙げると、かつては迫力ある体験を求めて足を運ぶ人も多かった映画館ですが、今は家庭でも高いクオリティのサウンドや映像が楽しめたり、Netflixといったサブスクリプションサービスが登場したことによって映画館に行く意義は以前よりも薄れました。 しかしながら、技術の普及によって映画館の存在意義が薄れたからこそ、4D体験ができるMX4Dや、より優れたサウンドを届けるドルビーシネマなど、映画館でしかできない映画体験を作ろうという努力が生まれたのではないでしょうか。 このような最新技術が一般消費者が利用可能な世界になることで、従来エンターテインメントを提供してきた事業者は、さらなる技術革新を求められます。 最近言われるようになった、モノ消費、コト消費に続く「トキ消費」という言葉が表しているように、今求めらているのは、その場・その時間でしか体験できない、希少価値のある ”トキ(時)” の消費です。 技術の向上によって異なる場所・時間にいても同じ体験ができてしまう今だからこそ、その場・その瞬間でしかできない体験を生み出すようなエンターテインメントをつくることが求められています。 エンターテインメント業界が進化を続けていくためには、新たな技術を積極的に普及させ、身近な場所で体験できるものにすることで、さらに進化せざるを得ない状況を作ると同時に、その場・その時でしか体験できない最高の ”トキ” を生み出す技術を、それぞれのエンターテイメント事業者に常に取り入れ続けていくことが大切なのではないでしょうか。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
音楽業界でのDXとは… オンラインライブの成功の秘訣とは何か
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音楽業界でのDXとは… オンラインライブの成功の秘訣とは何か

 

 

Quote source:https://o-dan.net/ja/

 

音楽業界でのDXとは... オンラインライブの成功の秘訣とは何か

 

新型コロナウイルス感染症の拡大により、ここ数年有観客ライブの数が減り、音楽業界全体がアーティストのライブを開催する際に「オンラインライブ」という新たな形を模索せざるを得ない状況になった。

 

変異株などの拡大が懸念されている中、オンラインライブの成功は今後もアーティスト達の大きな課題となるだろう。

 

この様なオンラインライブだが、実施する上で重要になってくる要素が...

 

 

2021年洋楽トップチャートを占めたラッパー「リル・ナズ・X」「ドージャ・キャット」の音楽マーケティングの共通点とは…
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2021年洋楽トップチャートを占めたラッパー「リル・ナズ・X」「ドージャ・キャット」の音楽マーケティングの共通点とは…

アメリカの音楽市場ではヒップホップジャンル、ラッパーがフィーチャリングした楽曲などが日本に比べて主流であり、トップチャートを占めることが多い。その中でもリル・ナズ・X、ドージャ・キャットは昨年更なる活躍をみせ人気を獲得した。 リル・ナズ・Xは、2019年に”old town road”をリリースし世界的に人気を集め、若者から多くの支持を得ている。2021年には自身初のアルバム”MONTERO”をリリースし、表題曲MONTEROやINDUSTRIAL BABYなどがSNS上で人気を集めた。 ドージャ・キャットは、2019年にリリースした”Say So”が全米一位になり注目を集め、2021年には自身のアルバム”Planet Her” のリリースのみならずシザやザ・ウィークエンドとのコラボ楽曲の発表など精力的に活動し、常にトップチャートに彼女の曲が上がっている状態が続いた。 双方とも数年たらずで多くの注目を集め、多くのファンから支持される世界的ラッパーになった。彼らが成功を収めた音楽マーケティングにはいくつか共通点がある。

批判を恐れない強気なマーケティング

まず一つ目に、周りからの反応、批判を恐れないマーケティングを行ったことで音楽業界での地位を確立したという点が挙げられる。ネット上で個人の感想、批判が簡単に広まるようになった昨今、オーディエンスがどのような受け取り方をするのかは非常に重要である。しかし、2人とも賛否関係なくより注目を集めるということにフォーカスしたマーケティングをしているように思う。 リル・ナズ・Xが注目を集めるきっかけとなった”old town road”は人気ジャンルで競争率の高いヒップホップジャンルではなく、カントリージャンルの曲にすることでカントリーチャートで上位ランクインしオーディエンスの目に止まり易くなった。ヒップホップ・ラッパーである彼の曲が、カントリーチャートに入っているのはおかしいと批判の声も上がったが、結果的に注目を集め成功を収めた。 また、ドージャ・キャットが、注目を集めたのは ”Moo!” のMVがきっかけだった。 MVではドージャが牛柄の衣装で踊っているかなり低画質な動画となっており、サムネイルにはポテトを鼻に入れたドージャの写真が使われるなど、かなりふざけた内容となっている。ただ、このホームビデオのようなおふざけがネットユーザーの関心を集めることに成功し、彼女の名前が広まっていった。両アーティストとも、ネット上で何に注目が集まるのかをしっかりと把握しており、批判も恐れない話題作りのためのマーケティングを行っている。

独自の世界観爆発の楽曲やMVコンセプト

2つ目に、個性的で奇抜な歌詞、音楽、MVを武器にしているということが挙げられる。 リル・ナズ・Xが昨年リリースしたINDUSTRIAL BABYのMVは牢獄がテーマとなっており、彼の奇抜なピンクの囚人服とダンスが目を引くものとなっている。歌詞では、過去にグラミーを取り、一発屋で終わると非難された彼の「これからも頂点を取り続けていくぞ」という強気な想いが表現されており、自分の在りのままの姿をストレートに表現した歌詞が支持を集めた。 ドージャ・キャットも同様で、楽曲毎に明確なコンセプトがあり、MVではかなり奇抜なファッションを披露している。また、Boss BitchやBest friendなど、海外の若い女性が憧れるクールな女性像が表現されている事から、若者から人気を集めている。他のアーティストでは表現できない自分の個性を全面に押し出すことで、より多くのファンを獲得したと言えるだろう。

積極的なSNS上での活動

3つ目に、双方ともtik tokやInstagramなどのSNSでの発信を積極的に行っているという点が挙げられる。 彼らは、自分のパーソナルな内容からエンタメコンテンツまで、幅広いジャンルの動画をSNS上にアップしている。自身の楽曲を用いたダンスやチャレンジ動画をリポストし、自身がそれらに参加した動画もアップすることで、SNS上に新たなトレンド、ハッシュタグを作り楽曲を広めるのに成功している。 TikTokやInstagramのReel、YouTube Shortsなどの短編動画が流行っている現在、楽曲や名前の浸透が早いためSNSでのマーケティング重要度が益々増している。投稿を頻繁に行うことでファンとのコミュニティ形成が行われ、楽曲が広まりやすいプラットフォームが確り整えられている。 この様に、昨今の時代に合ったネットでのユーザーを強く意識した音楽マーケティングにより、短期間で世界の音楽チャートでの地位を確立したと言えるだろう。 今後も、彼らの活躍やマーケティング戦略に注目だ。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
日本音楽市場は世界2位だがマイナス成長!SpotifyやApple Music活用には
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日本音楽市場は世界2位だがマイナス成長!SpotifyやApple Music活用には

英国ベースの国際的な音楽業界の 業界団体であるIFPI( International Federation of Phonogram and Videogram Producers )のGLOBAL MUSIC REPORT2021によると、2020年の音楽業界の全体の収益は前年比+7.4%でした。
楽器店舗が知るべきSEO:検索ランキングを上げるコンテンツ戦略
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楽器店舗が知るべきSEO:検索ランキングを上げるコンテンツ戦略

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【2022年注目】imaseやasmiなど… TikTokで注目の今来てるアーティスト3選。
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【2022年注目】imaseやasmiなど… TikTokで注目の今来てるアーティスト3選。

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大学の期末テストが終わって、先日久しぶりにTikTokのアプリを開いた。 見る人も投稿する人も圧倒的に増えて、よりクリエイティブなプラットフォームとなった今では、ユーチューブ動画の合間で乱入してくる広告がウザがられていた初期を懐かしく感じられる。 途中に割り込んできた時は度々アンインストールを検討してきたがその都度、柴犬が毛刈りされる動画やダンスに明け暮れるJkを散見しては、なんとなくホーム画面の左上に鎮座させていた。 気づけばかなりの規模になり、今では音楽を語る上でこのサービスを無視することはできない。  そこで、最近TikTokをきっかけとして個人的に注目してるアーティストとして下記の3組を紹介する。 ・imase ・asmi ・きゃない 3者の共通点として、楽曲がキャッチーで覚えやすく、1曲のヒットで終わらないバズセンスなどが挙げられるが、その活動スタイルや音楽性は様々である。 それぞれの特徴をざっくりとまとめていく。

imase - 代表曲「Have a nice day」

まずは、やはりimase。 音楽活動を始めてからわずか1年という21歳。 代表曲の「Have a nice day」はTikTok総再生回数が3億回を超えるほどのヒットとなり、続く「逃避行」でも数字を伸ばし、サンプラーを用いた電子的な音と、ゴチャゴチャしすぎない音数のバランスが心地いい。騒がしいようで騒がしくない。 個人的に彼のリラックス感が特徴的だと思ってる。 歌声や表情にいい意味で無機質な印象がある。力まず落ち着いていて、淡々としてるようだが感情の表現はちゃんとある感じ。 どこのスクールカーストにも属さないが女子人気でベスト3に必ず食い込む、ちょいミステリアス味を感じさせる文学男子のような感じ。 休み時間は大体寝てるか読書してる。 新しい学年で一緒のクラスになってるとなんとなく嬉しくなるけど、一回も会話しないまま学年終わる感じ。 知らない間に学年のマドンナと付き合ってたりする。 TikTok見てて、「Have a nice day」のキャッチーなサビの歌唱動画が回ってきた時は2秒でいいねを押した。 シンプルなコード信仰の繰り返しだけど、曲としての展開は早く、開始からピッタリ30秒でサビに入る(狙ってるのかも)。 サンプラー(パソコンの横でペコペコ叩いてるあれ)で弾き語りってのも差別化になってるのかも知れない。
@imase119 「Have a nice day」コロナ禍で感じたことを歌いました! #ドリーマーZ #弾き語り #オリジナル曲 #カバーしてね ♬ Have a nice day 弾き語りver. - imase

asmi - 代表曲「ヨワネハキ」

大阪出身の20歳。MAISONdesというユニットで発表した「ヨワネハキ」は2021年にSNSで最も使用された楽曲となり、他のアーティストとのコラボなどでも話題になっている。 友人がasmiのことを「ピンクが似合う声をしてる」と表現していた。 言わんとしてることはなんとなくわかる気がする。 主張が強めじゃない、白っぽいピンク。 宇多田ヒカルとaikoを足して2で割ったような、白っぽいピンク。 クラスの男子全員と仲良くなるタイプ。 一度は好きになるけど、「あ、あいつとも仲良いんだ」って思って脈アリじゃないことを自覚する。 若い女性アーティストは変に気取らずに気持ちよく歌ってると、それだけでコンテンツとして成立するってのを体現してるように思える。 電子回路のテスト勉強してる時にムズすぎて、息抜きに「森七菜がこっそりやってたらショックなこと」っていう謎の大喜利を友達がやり出したことがあって、「鏡の前で笑顔の練習4時間」っていう回答が1本になった。 みんな疲れてたんだと思う。 この主語が森七菜からasmiに変わっても同じ回答で攻めたい。 asmiさん。あなたは取り繕わない、純粋な笑顔で歌ってください。
@the_first_take #THEFIRSTTAKE #MAISONdes #ヨワネハキ feat. #和ぬか,#asmi #一発撮り ♬ Yowanehaki - MAISONdes

きゃない - 代表曲「コインランドリー」

TikTokネイティブのリスナーにはまだ認知が浅いかもしれないが、毎回の路上ライブで100人以上を集める集客力を発揮している「きゃない」。 「コインランドリー」というタイトルと “1日1日を大事にする” というメッセージ性から話題を呼び、私のタイムラインにも流れ着いた。 恵比寿のLIQUIDROOで行われたワンマンライブでその抜群の歌唱力を体感してきたのだが、SNSでの大きなバズりに余力を残しながらここまで人を集めるその魅力は確かなものだった。 あとMCのトークが普通に面白かった。 お世辞抜きで絶対いい人だと思う。 ライブで見せる言葉の重さや、メッセージの真っ直ぐさから見える人間性が、TikTokなどでのファンからの反応率の高さに繋がってることは間違いない。
@pinku_kinoko 悲しいことより嬉しいことに涙を流したいな。#きゃない#コインランドリー @kyanai_music#路上ライブ #オリジナル曲 #赤髪マッシュ ♬ オリジナル楽曲 - natyyyy
-- メディア運営:Evening Music Records Inc.
Spotifyが総額1億円のクリエイター支援プログラムを強化。次世代を担う音声コンテンツクリエイターへの 支援拡充を目的。
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Spotifyが総額1億円のクリエイター支援プログラムを強化。次世代を担う音声コンテンツクリエイターへの 支援拡充を目的。

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©︎ Spotify

 

Spotifyが総額1億円のクリエイター支援プログラムを強化。次世代を担う音声コンテンツクリエイターへの 支援拡充を目的。

 

Spotifyが、総額1億円を新たに拠出し、次世代を担う国内音声コンテンツクリエイターを支援する「クリエイター・サポート・プログラム」を拡充する事を発表した。

 

また、併せて同プログラムを通じて創作活動を支援する第1期クリエイターの募集も開始されている。

 

Spotifyは音声の力や可能性を確信しており、世界中で音声クリエイターを支援することで、世の中の多様な声やストーリーをお届けできるよう取り組んでいる。

 

日本では、音声コンテンツクリエイターが魅力的な作品を制作し、リスナーを広げ、音声分野でキャリアを築くことを後押しする目的で、「発掘」「共有」「育成」の3つの軸で活動を支援する「クリエイター・サポート・プログラム」を2021年1月にスタート...

 

 

アーティストがオンラインライブを成功させる工夫とは? SKY-HIやSIRUPなどが見せる配信形式とは…
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アーティストがオンラインライブを成功させる工夫とは? SKY-HIやSIRUPなどが見せる配信形式とは…

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新型コロナウイルスの拡大により、ここ数年有観客ライブの数が減り、音楽業界全体がオンラインライブという新たな形を模索せざる終えない状況になった。 また、今後も変異株などの拡大が懸念されている中、オンラインライブの成功はこれからもアーティスト達の大きな課題となるだろう。そこで、オンラインライブをやる上で重要になってくるいくつかの要素について、本記事では取り上げていきたい。

価格設定

チケットの価格設定有観客ライブでも重要な要素だが、ライブを生で見るという本来の体験ができない分、オンラインライブの価格設定はより慎重に行わなければいけない。 昨今はyoutubeがアーティストとタッグを組みライブ映像を公開する TouTube Music Weekendや、アーティストの一発録りが人気のコンテンツ THE FIRST TAKEなど、無料で楽しめるクオリティの高いコンテンツが充実している。そのため新規のファンを獲得するには気軽に払いやすい金額にすることが必要となってくる。 アニソンシンガー、オーイシマサヨシは一般的に3000円から5000円程度でオンラインライブをやるのが主流の中、”1000円ワンマン”と題して価格を格段に落とすことでより多くのオーディエンスを集めた。

アーカイブ期間

オンラインライブ配信にはアーカイブ期間を設定してあるものもあり、ライブ後1週間から2週間程度の期間内映像を繰り返し楽しむことができる。 有観客ライブをオンライン配信する場合には、コンサートに実際に足を運んだ後に配信ライブでもう一度見返すなどといった新たな楽しみ方もアーカイブ機能によって確立された。 ”ライブはその瞬間を楽しむもの” という意見を持つアーティストもいるので、期間設定はアーティスト次第だが、オーディエンス目線としてはより長い期間楽しめる方がよりコンテンツの購買意欲は上がるだろう。

オンラインライブ特有の形態やコンセプト

普段のライブとは異なる形態、場所、コンセプトなどを意識することも重要な要素だ。有観客ライブができない期間多くのアーティストがクリエイティブでオンラインだからこそできるライブの形を追求していた。 ラッパーのSKY-HIは自分の自宅、実家をライブ配信の場とし自身の両親にも出演してもらうなどアットホームな配信を行った。R and B シンガーのSIRUPは自身のアルバム「Cure」の楽曲イメージしたホテルの部屋を作り、HOTEL CUREと題し各楽曲ごとにホテルの部屋からライブ配信を行った。アーティストの新たな魅力をオンラインライブを通して表現できるような工夫があると、有観客ライブと遜色なくオーディエンスに楽しんでもらえるだろう。 日常に対する不安が募るコロナ禍でライブの需要は高まっている。今までとは全く違う状況下で、アーティストがオンラインライブを通してどのような音楽マーケティングやクリエイティビティを見せるのか注目だ。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
Apple Musicなどの音楽配信サービスがもたらした『音楽のインスタント化』とは…
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Apple Musicなどの音楽配信サービスがもたらした『音楽のインスタント化』とは…

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最近に始まったことではないが、音楽のサブスクリプションサービス、つまり音楽配信サービスは人々の生活の一部になりつつある。 現在の日本における音楽配信サービスの使用者数は2000万人を突破している。音楽業界の舞台はライブやCDではなく、もうすでにインターネットを介した音楽配信に移行してるのかもしれない。このことは音楽業界の市場に対し、どのような影響を及ぼしているのだろうか。 まずは音楽配信サービスの普及によるメリットについて考えてみる。わかりやすいメリットとして、多くの人々が低価格で何千何百万曲もの楽曲を自由に楽しむことができるようになることである。Apple Musicを例にとると、現在、海外アーティストも含めて9000万曲以上もの楽曲が配信されている。これほど多くの楽曲を好きな時に好きなだけ定額で楽しむことができる音楽配信サービスはやはり画期的なものであると言うことができる。

『音楽のインスタント化』とは

また、アーティストにとっても楽曲を聴くことに対するハードルを下げることができるというのは大きなメリットとなる。どれだけ聴いても定額の音楽配信サービスがあるからこそ、テレビCMやTikTokなどで耳にした曲をすぐに聴くことができ、アーティストの新規ファン獲得につながっているのだろう。このように価格的、アクセス的に、音楽を聴くことが身近になることはアーティストとリスナーどちらに対してもメリットであると言える。 次に音楽配信サービスのデメリットについて考えてみよう。わかりやすいデメリットとしてはやはり、アーティストの還元率が挙げられる。Apple Musicの場合は1再生1.5円であると発表されている。この金額は一見低いものに見えるかもしれないが、他の音楽配信サービスと比較すれば高く設定されている。 しかし、ただでさえライブ離れが進み、私たちがアーティストに直接還元する機会が少なくなっている現在の音楽市場において、この数字は厳しいものであろう。音楽を聴くことが身近になりすぎたゆえに音楽というものの価値自体が正しく見積もられていないように思う。音楽は大金や長い時間をかけるものではないという認識が広がりつつある。『音楽のインスタント化』である。このような状況下だからこそ、アーティストにとっても、ライブで生の音楽を感じてもらうことが一番の喜びとなるのだろう。

日本の音楽業界は岐路に立たされている

さらに、日本の音楽市場では海外の市場と比較して、音楽配信サービスが拡大していく傾向が強くなっていくだろうと予想する。 その大きな理由として、日本と海外のCDの値段の違いが挙げられる。日本のCD(アルバム)は平均して2,000円から3,000円、高いと5,000円近くのものもある。一方、海外では1,000円から2,000円程度であることがほとんどである。この上、音楽配信サービスが定額聴き放題とあれば、利用しない手はないだろう。このような背景もあり、日本の音楽市場における音楽配信サービスの力は拡大していくように思う。 音楽配信サービスにメリットはもちろんたくさんあるのだが、上に挙げたようにアーティストの還元率が低く、アーティストの活動の妨げとなる可能性も捨てきれない。アーティストも資金がなければ、楽曲制作に真剣に向き合い、より良い作品を生み出すことも容易ではなくなるだろう。この傾向が続けば、日本の音楽業界は間違いなく衰退するだろう。日本の音楽業界は岐路に立たされているように私は思う。 音楽配信サービスによって、音楽を聴くことがより身近になり、音楽が人々の生活の一部になっていることは確かである。しかし一方で、それは音楽の価値が正しく認識されない『音楽のインスタント化』にもつながっている。音楽というものが身近になった私たちだからこそ、なんとなく”聞き流す”のではなく、もう一度音楽を”味わってみる”のはどうであろうか。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.
「Ado」というブランドが人気の理由とは… アーティストの効果的なマーケティング方法について考察する
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「Ado」というブランドが人気の理由とは… アーティストの効果的なマーケティング方法について考察する

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音楽マーケティングといわれて何か思い浮かべることができるだろうか。 音楽は芸術品であるととらえたい人にとっては耳の痛い話かもしれないが、現代音楽にはビジネス的な側面があることはどうしても拭い切れない。音楽マーケティングの根幹はアーティストのブランディングにあると考える。 今回は音楽マーケティングの成功例を追っていき、なぜそれが成功したのかを考察していこう。

女性アーティスト「Ado」とは

音楽マーケティングすなわち、アーティストのブランディングの成功例として、今や老若男女誰もが知っているであろう女性アーティスト「Ado」について述べていこう。「Ado」は代表曲「うっせぇわ」がTikTokで大流行を呼んだことで一躍有名になったのだが、なぜ彼女はそれをブームで終わらせず人気を集め続けているのだろうか...。 もちろん「Ado」本人の並外れた歌唱力や楽曲の独創性が認められ、人気を集めていることは確かなことである。しかし、それ以上に彼女が元歌い手の現役高校生シンガーであるという売り出し方が人気の要因となっていると考える。 なぜ現役高校生シンガーという売り出し方が効果的であったのだろうか。それは「Ado」の並外れた歌唱力と相反するような普通の高校生というイメージを作ることで、その意外性が話題を呼んだからである。 実際に彼女がラジオなどに登場するとリスナーがその意外性に興味を示しているようなコメントをよく目にする。彼女本来のかわいらしさが、どこか応援したくなる雰囲気を醸し出しているのだろう。さらに言えば、普通の女子高生が一躍歌姫へと変身する、そんなシンデレラストーリーをリスナーが意図せずとも望んだ結果、これほどまでに注目されるアーティストになったのだろう。

元歌い手の現役高校生というブランディング

また元歌い手であり、現在も歌ってみた動画を投稿していることも彼女がファンを拡大できた大きな理由の一つと言える。 TikTokなどのおかげもあってかVOCALOIDとPOPSの垣根は今でこそ低くなりつつあるものの、やはりまだVOCALOIDはサブカルチャー的であるというイメージが拭い切れていないように思う。そのため両者のファン層の違いは確かに存在する。人気の拡大には異なるジャンルからファンを集めることが少なからず必要になるだろう。そんな中で「Ado」はVOCALOIDの歌ってみた動画をアップし続けることで、VOCALOIDのファンを味方につけることに成功したのだ。 また、「Ado」の楽曲には有名VOCALOIDプロデューサーが作詞、作曲を手掛けているものも多くある。例えば「踊」という楽曲では「ヒバナ」や「乙女解剖」などで有名なDECO*27が作詞を担当している。これもVOCALOIDファンを味方につけた理由の一つといえる。ファン層の違うジャンルのファンを引き込むことで爆発的な人気を実現したのだろう。これもすべて「Ado」の歌い手という一面を捨てることなく守り続けた結果である。 このように「Ado」は自分を元歌い手の現役高校生とブランディングすることができたので確固たる人気を手に入れたのだ。 あるアーティストがただ歌唱力や曲のキャッチーさが評価されて人気になるというのは容易なことではない。インターネット技術の発展でインディーズやメジャー、個人に関係なく、アーティストや楽曲自体の魅力が正当に評価される時代になっている。しかし、いやだからこそ、その中に埋もれないためにはアーティストが戦略的に自分自身をブランディングするということが、音楽マーケティングということにおいては重要になるだろう。 -- メディア運営:Evening Music Records Inc.