Author: マッキノン 美怜

Tik Tokで「バズる」にはダンスが全てではない!? 洋楽インディーズアーティストから学ぶ マーケティング戦略とは…
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Tik Tokで「バズる」にはダンスが全てではない!? 洋楽インディーズアーティストから学ぶ マーケティング戦略とは…

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Tik Tokで「バズる」といえば、真っ先に思い浮かぶのは、中毒性があるBGMとそれに合わせた、真似しやすい振り付けだ。 その他にも、有名な振付師やインフルエンサーに曲がピックアップされ、アーティスト自身が知らない間に人気動画に使われたことによって、瞬く間にヒット曲となった例もある。だが、全てのアーティストがこのように「運良く」バズるとは限らず、その上、バズらせたい曲がアップテンポではない場合、振り付けを付けることが難しかったりすることもあるだろう...。 それでも、数々の無名アーティストがTik Tokを通してスターになっているのだ。彼らは一体どのように知名度を上げることができたのだろうか...? Tik Tokの力を借りて成功した洋楽インディーズアーティストの戦略を分析していく。 ▼ 「共感」や「同情」など、人々の心を掴む戦略とは Spotifyの再生回数が、今では246万回以上の「Unlove」を手がけたLyle Kam(ライル・カム)は、作曲の過程や裏話をTik Tokで共有することによって、人々から共感と同情を得ることができ、自身の曲をヒット曲へと導いた。 彼は「Unlove」をバズらせるために、約1分間のナレーション付き動画に自身の失恋経験を語り、その経験を元に作った曲だと告白した。さらに動画の最後では、無名アーティストであることをあえてアピールし、「この曲を通して彼女に振り向いてもらえるかもしれない」、「曲の知名度を上げるためにはみんなの助けが必要」などと、動画を見ている人に自身の心境や願いを正直に訴えた。 このTik Tok動画を通して彼は、同じ失恋経験のある人々から共感を得ることができた上、ありのままの情熱的な姿を見せた事により、人々の同情も得ることができたのだ。作曲の過程や彼の心境を知っているからこそ、どんな曲に仕上がったのか気になり「Unlove」を聴く人もたくさんいたのではないか。 こうして、人々の心をつかんだTik Tok動画は現在130万回以上再生され、ライル・カムの曲やアーティストとしての存在は広く知られるようになった。 彼以外にもたくさんのアーティストが、作った理由や曲作りの過程を紹介しながら自身の曲を動画で広めている。やはりプライベートな内容や努力を共有することによって親近感を人々に持たせることができ、結果的に応援してくれるファンがついたようだ。
@planet.lj

#duet with @lynlapid part 5 of duetting one of my mutuals! #fyp #foryou #singing

♬ original sound - LYN
▼ 「トレンド」を有効的に使った戦略とは 一番手っ取り早くバズる方法と言っても過言ではないのが「トレンドに乗る」という戦略だ。 そもそも「トレンド」となったコンテンツは、既にユーザーから注目されているため、いくらフォロワー数が少なくても、トレンドに乗るだけでその動画目当ての人が見るだろう。現在、Tik Tokアカウントフォロワー数が400万人もいるLyn Lapid(リン・ラピド)はトレンドを活用し、アーティストとしての存在を世に広めた。 自身の曲を載せるだけではなく、すでに多くの人が真似をしているトレンドに乗ることからバズるきっかけを作った。 彼女が乗ったトレンドの一つが「Dancing Queen Challenge」(ダンシング・クイーン・チャレンジ)である。その内容は、誰もが知っている有名グループ、ABBAのヒット曲「Dancing Queen」の一部を息継ぎ無しで歌いきる事だ。このチャレンジをやりこなすには、高い歌唱力と、息をうまくコントロールする必要がある。かなり難しいトレンドである為、成功した人の動画を探すユーザーが多く、彼らの動画はバズる確率が高い。リン・ラピドはこのチャレンジに挑み、歌手としての高い能力を世に見せつけたのだ。たくさんのユーザーがその歌唱力を認め、彼女の楽曲にも興味を持ち始めたことから、アーティストしての知名度が圧倒的に上がった。 その後更に、彼女自身の曲が「あるトレンド」になったのだ。そのトレンドとは、アプリ内の「デュエット機能」を使い、彼女の曲にユーザーがオリジナルを付け足す「チャレンジ」である。このチャレンジに挑んだユーザーが動画を投稿し、それが拡散される度、リン・ラピドの曲がどんどん拡散されていくというカラクリだ。そのおかげで彼女の曲を知らなかった人でも、チャレンジ動画を見て原曲が気になり、彼女の曲を聴く人が増えた。 つまり、リン・ラピドの戦略はトレンドに乗ることでもあるが、自らトレンドを作ることでもあるのだ。彼女は手っ取り早くバズれる「トレンド」を活用して、アーティストとして成功を掴んだ。 ここ最近、ヒットチャート上位の音楽はTik Tokでバズったものが多い。若者に使われているTik Tokは流行にとても敏感であるからだ。 インスタグラムやツイッターと違い、Tik Tokは動画や音楽コンテンツがベースなので、音源のみを使いまわす機能によって拡散することができる。その為「音楽」が一番バズりやすいSNSとなっているのだ。それにより新たなアーティストや曲が発掘されやすく、音楽業界から一番注目を浴びているプラットフォームとなった。 Tik Tokにより、今後さらにスターが生まれていき、音楽業界には欠かせない存在となるだろう。 -- 運営:Evening Music Records Inc.
チームラボ、The Weekndなど、「コラボレーション」で進化するエンターテインメント業界とは…
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チームラボ、The Weekndなど、「コラボレーション」で進化するエンターテインメント業界とは…

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テクノロジーの開発が進む現在、 コンテンツの需要が特に高まる中、新しいコンテンツが次々と競うように制作されている。 流行の移り変わりが激しい現代では、このいわゆる「コンテンツラッシュ」により、 エンターテインメント業界は新しいものを創り出すのに必死である。どのコンテンツ制作会社も高い技術のテクノロジーを取り入れ、常に実在するコンテンツを上回るものを作ろうと努力しているわけだが、この「ラッシュ」の中で新しいものを作り続けるのには限界があるだろう。 そこで、エンターテインメントやコンテンツに新しい技術を取り入れる方法として、コンテンツの「コラボレーション」を一つの例として提案したい。 ▼ チームラボと日常の「コラボレーション」が生み出す、新たなエンターテインメントとは デジタルコンテンツやテクノロジーの開発に携わる会社、TeamLab(チームラボ)と森ビルが共同運営している「チームラボ美術館」は、様々な「コラボレーション」を通して進化を続けている。 今年の前半に、六本木のけやき坂下にオープンした新たな美術館「チームラボリコネクト」はチームラボのデジタルアートをサウナ施設と融合させた施設である。サウナといえば、以前は中年男性が利用するイメージが強く、若者に人気のエンターテインメント施設からは程遠い場所でもあった。 しかし、インスタ映えスポットとして人気のチームラボと「コラボレーション」を果たすことによって、新たなエンターテインメント施設を作りあげることができた。「デジタルアートとサウナの融合」という斬新なアイデアを実践させるには、相当な新しい技術が必要だったであろう。 サウナならではの「超温冷交代浴」から生まれる特赦な体感、「整う」ことを生かして体感するアート作品、そしてサウナの水や湯気を取り入れたデジタルアートなど、どれも今までになかった技術を必要とするエンターテインメントとなった。 他の例では、「チームラボボーダレス」の中にある お茶屋、EN TEA HOUSE (幻花亭)も、デジタルアートと日常の「コラボレーション」の新たなエンターテインメント施設だ。 それは、お茶ブランドEN TEAとウルトラテクノロジスト集団であるチームラボが融合して作ったアート作品で、お茶を頼むと、そのお茶に花や葉の映像が映し出される。茶器を動かすと、中に映し出されたデジタルアートも反応して動く仕組みになっている。一般的なカフェやお茶屋はエンターテインメント施設とは異なるが、チームラボのデジタルアートとコラボすることにより、人々が楽しめる新たなエンタメが誕生したのだ。 一からエンターテインメント施設を創り出すのではなく、流行しているコンテンツやエンタメを、身近に存在する日常的な場所と融合させることで、さらに人々の興味をつかむことができる。そして、「コラボレーション」によって斬新なコンセプトが生まれ、新たな知識や技術の需要も伸びるのだ。
▼ アバター姿のThe WeekndとTik Tokの「コラボレーション」で実現したバーチャルコンサート 米ビルボードチャートHot 100で、史上最長の88週チャートインの記録を持つ The Weeknd (ザ・ウィークエンド)は、Tik Tokとコラボし、初のAR(オーグメンテッド・リアリティー)を使ったバーチャルライブを開催した。 Tik Tokで配信されたライブは2百万人のユーザーを集め、Tik Tokで史上最多動画再生数の記録を更新し、大成功を果たした。さらにこのコンサートを通し、基本的人権の保障に取り組む団体、Equal Justice Initiative(EJI)への寄付金を35万ドル以上 集めることができた。 このコンサートを成功へと導いたのが、若者の多くが使っている動画ソーシャルアプリでの配信と、新しいテクノロジーであるARの起用だ。これにより多くの人々の興味を引くことができたのである。The Weeknd がバーチャルアバター姿でライブに登場し、数々のヒット曲を披露してファンを盛り上がらせた。 Tik TokでARを使ったライブは 初の試みであったが、これほどの成功を果たすことができたので、今後はさらに使われるようになるかもしれない。 すなわち、「コラボレーション」こそがエンターテインメントやコンテンツをより一層進化させる、迅速で合理的な方法である。それによって、新しい技術がさらに生み出されるであろう。
NCT 127、BLACKPINK など、KPOPアイドルの「ライブを超えるオンラインライブ」とは…
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NCT 127、BLACKPINK など、KPOPアイドルの「ライブを超えるオンラインライブ」とは…

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世界で新型コロナウイルスが広がり始めてから1年半以上が経つ今では、エンターテインメントのデジタル化が当たり前になりつつある。 中でも、コンサートや音楽フェスなど、人が密集する空間のエンターテインメントはオンラインにせざるを得ない。 2012年から2019年の間、KPOP業界においての全世界で行われているライブ+グッズ等の売上は合計 934億円に相当する。ライブが主な収入源の一つであるKPOP業界にとって、コロナ禍にあってもライブを実施しない訳にはいかない。さらに、ファンとの交流を大切にする事でも有名なKPOP業界にとって、ライブはアイドルとファンを一体化させるために欠かせない存在である。 このため、多くのKPOPアイドルはオンラインライブを実施しているのだが、オンラインに対して否定的なファンもいるのだ...。 「直接見れないのにお金を払うのはもったいない」 「実際に会えないなら、パフォーマンス動画を見るのと同じではないか」 「オンラインライブでは同じ空間にいる楽しさを味わえないから見る意味がない」 ...等といった、オンラインライブは無意味だと感じている人々のコメントをSNSで見かける事がある。 つまり、このような考えを持つファンがいる中でオンラインライブを成功させるには、同じ空間にいなくてもファンがアイドルの存在を身近に感じる事ができる工夫や、オンラインライブならではの魅力をファンに感じさせる必要があるのだ。 ▼ NCT 127 が手がけた「ファンとの一体感」 NCT 127 のオンラインライブ、「Beyond The Origin」では、選ばれたファンとアイドルたちが直接会話をする事ができる Q&A セッションを取り入れた。普段のライブではアイドルたちが観客に向かって一方的に話す事が多いが、このオンラインライブの Q&A セッションでは、ファンは コンサート会場にいるNCT 127 のメンバー達と中継でつながり、巨大スクリーンにファンの顔が映し出され、直接メンバー達に質問をしたり、一対一で会話をすることができたのだ。 こうして、普通のライブを超える、「ファンとアイドルの一体感」を目指したのだ。 さらに、このオンラインライブでは、参加したファンしか体験することができない「アイドルと一緒にライブを観る」ということができた。ゲストとして、NCT 127 と同じ事務所の先輩である東方神起(TVXQ)のユンホもファンと同じスクリーンに並んで登場した。ファンは Q&A セッションでユンホとも会話することができ、ライブもユンホと共に観ることができた。 このようにNCT 127 のオンラインライブは、ファンとアイドルが同じ空間にいる普通のライブ以上に距離を縮める事ができ、10万4千人のファンを集め、成功に終わることができた。
▼ BLACKPINKが見せた、オンラインライブならではの魅力とは 28万人のファンを集めたBLACKPINKのオンラインライブ「THE SHOW」も、通常のライブを上回る演出を心がけた事によって成功した。 「THE SHOW」が着目したのはオンラインライブならではの魅力をファンに感じさせる事である。 オンラインコンサートがROSÉ(ロゼ)のソロ活動とちょうど重なった事もあり、オンラインライブを観ているファン限定に新曲が先行公開された。ロゼがソロ曲を披露すると聞き、一足先に新曲を聴くためにライブのチケットを買ったファンも少なくはないだろう。 他にも、YouTube Premiumでオンラインライブが配信されたことも成功した理由の一つであろう。今までのBLACKPINKのワールドツアーで、コンサートが開催されなかった国のファンは、BLACKPINKのコンサートに行きたくても行けなかったのだ。だが、YouTubeのような、世界中の人々に使われているサイトでライブが配信されたことにより、そのようなファンが大勢視聴する事ができた。 さらに、YouTubeにチャット機能が付いているため、他のファンとリアルタイムで会話を楽しみながら視聴することができたのだ。普段のライブでは、携帯電話の使用が一切禁止されている。つまり、他のファンとライブ中に会話をすることは、一緒にライブに行かない限り不可能なのだ。オンラインライブでのチャット機能を使うことによって、世界中のファンと盛り上がることができ、視聴している人々はよりライブを楽しめた。 このような工夫を凝らしたオンラインライブは、ファンのニーズを優先する KPOP業界ならではの戦略であり、業界にさらなる成功をもたらしたと言える。ライブで重要視される「アイドルとファンの一体化」、そしてオンラインライブに対しての否定的な意見を覆す、「オンラインならではの魅力」を意識することが、オンラインライブの成功の鍵を握っているのだろう。 -- 運営:Evening Music Records Inc.
KPOPブームの中、BLACKPINK(ブラックピンク)はなぜここまで人気を維持できるのか?
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KPOPブームの中、BLACKPINK(ブラックピンク)はなぜここまで人気を維持できるのか?

ここ数年で瞬く間に世界を虜にしているKPOPだが、中でも際立って人気があるのがガールズグループBLACKPINK(ブラックピンク)である。 K-POPアイドルで初の MV動画再生回数10億回を突破し、2020年にはガールズグループの中でも初めて米ビルボードアーティスト100チャートで1位に輝いている。 ソロ活動をしているメンバーもおり、 魅惑的な雰囲気と「ファッションアイコン」として広く知られているジェニーのソロ曲、「SOLO」のMVはKPOP女性ソロイストで初めて7億回再生以上を記録した。また、透き通る美声を持つブラックピンクの歌姫、ロゼはソロ曲「On The Ground」でギネス世界記録を二つも更新している。その他にもそれぞれのメンバーが有名ブランドのアンバサダーを務めたり、CMのイメージキャラクターとして活動したり、どのメンバーも華やかな経歴を持っている。 そんな絶好調なブラックピンクも今年で結成5年目だ。この5年間で数多くの新しいKPOPグループが輩出されているものの、ブラックピンクはデビュー当時から不動の人気を維持している。その人気の理由は彼女たちのカリスマ性と美貌だけではなく、ブラックピンクの事務所、YG(エンターテインメント)による効果的なマーケティング戦略のおかげでもある。 ▼ 世界的アイドルを作るためのメンバー構成とは ブラックピンクのファン層を分析すると、本場の韓国よりもファンの人数が圧倒的に多い国々が他にもある。それはYGが狙っていた戦略の効果だ。 国内だけではなく、世界的にヒットするグループを目指すために海外ウケするメンバー構成、雰囲気や個性を重視し、今私たちが知る「BLACKPINK」を作り上げたのだ。 ブラックピンクがデビューを果たした2016年には、男性に人気な「キュートコンセプト」のガールズグループがほとんどだったため、ブラックピンクのように「かっこいい女性像」をコンセプトにしたガールズグループはとても新鮮だった。 ブラックピンクのデビュー以前、いわゆるKPOP第二世代には、同じくYG所属の2NE1や4Minuteなど、「女性のカッコよさ」をコンセプトにしたガールズグループもいた。どちらのグループも韓国で人気を誇り、海外でも話題となった。だが、グループ内の不仲説やスキャンダル、1人のメンバーへのえこひいきなどが原因でどちらも解散となった。K-POP第三世代に入り、このような「かっこいい女性像」をコンゼプトとしたグループが消えつつある中、YGアーティスト特有のヒップホップ感とクールな雰囲気を醸し出すブラックピンクは、とてもインパクトのあるデビューを果たすことができたのだ。 世界的に認知されるようになったのも、ブラックピンクの個性的な雰囲気が理由なのではないか。 ブラックピンクファンが最も多くいる米国は、もともとアジアのような(ガールズ)アイドル文化がない国である。海外からみた以前のアジアのアイドル文化、またはガールズグループのイメージは、主流であった「キュートコンセプト」や男性ウケを狙っていたマーケティング戦略が多かったからか、「ロリコン」や「オタク」というものが多く、批判的だった人も多かった。 その一方、Fifth HarmonyやDestiny’s Child など、クールなガールズグループがアメリカでは大人気で、女子の憧れの存在となった。ブラックピンクの雰囲気はそういった、アメリカで大人気なガールズグループと 似ているため、アメリカをはじめ、アジアのアイドル文化がさほど浸透していない国でも人気を得ることができたのではないか。 他にも、今までのガールズグループにはほぼいなかった、外国人メンバーや海外在住経験のあるメンバー、そして英語が堪能なメンバーを入れることによって、グローバルな雰囲気を作り上げることができた。 ブラックピンクのメンバーたちが英語で会話をしたり、英語でインタビューを受ける姿を海外のファンは見ると、親近感を感じることができるのだ。どのKPOPアイドルグループも、ユーチューブチャンネルやバラエティー番組に出演し、ファンにアイドルたちの素顔を見せ、親近感を感じさせるマーケティング戦略を実施するものの、韓国語がわからないファンや韓国文化に詳しくないファンにとって親近感を感じさせることは至って難しいだろう。そんな中、英語ができ、グローバルな雰囲気を持つメンバーがいることで、海外のファンからの支持が得やすくなるのだ。 ▼ ブラックピンクが輝き続ける理由 ブラックピンクの世界的な人気を維持させるためには、活動においての戦略も必要である。他のグループは数ヶ月に一回のカムバック(新曲・アルバム発表後の活動)があるにもかかわらず、ブラックピンクのカムバックを年に一回にしたのも、彼女たちほどの人気を持つグループならではの戦略の1つなのだ。 活動をしていない期間の間、モデルやバラエティー番組に出て他の仕事をこなし、ファンの視界には常に入っている。そのため、人々から存在を忘れられることはないが、活動をしていない期間が長引くほど、次のカムバックへの期待が高まるのだ。そのおかげで、カムバックがあると、MVの再生回数やCDの売上が圧倒的に伸びる。 ブラックピンクを世に送り出し、その人気を不動のものとし、さらに進化を続けているYGの戦略は成功の1つの例だ。
乃木坂46など、日本がまだ「CD大国」である理由とは… 世界と日本の音楽市場を比較してみると。
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乃木坂46など、日本がまだ「CD大国」である理由とは… 世界と日本の音楽市場を比較してみると。

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長年にわたって、日本の音楽市場の売上は世界で2位を維持し続けている。 ここ数年で人気が急激に上昇し、現在6位を維持している韓国発祥の音楽「KPOP」や、2位であるイギリス出身の有名な歌手、エド・シーランやデュア・リパなどが手がける楽曲がヒットチャートを独占しているにも関わらず、日本の音楽業界は世界でも高い売上の順位を保っているのだ。 だが、音楽市場はグローバルなスケールで変わってきている。というのも、音楽・動画配信サービスが主に使われている今では、音楽は人々にとってもっと身近な存在となっているからだ。そのおかげで、音楽市場は前年に比べて7.4%も売上が上昇したのだ。 スマートフォンやパソコンから手軽にアクセスできるSpotify, YoutubeやApple Musicなどのビデオ・配信サービスを通して音楽を聴く人が全体的に多くなった今の時代では、CDやレコードなどの物理的なもの(フィジカル)で音楽を聴く人は数少ない。2021年度の国際レコード産業連盟(IFPI)の調査によると、2020年においてのCDなどの売上は全体の19.5%しか占めていないことがわかる。そんな中、国内音楽市場の売上の71%がフィジカルであり、音楽配信サービスの売上が29%と圧倒的に少ないのだ。 そのため、世界の音楽市場 の売上が全体的に伸びている中、そして韓国の音楽市場は前年に比べて45%も増えているのにもかかわらず、日本の売上は2007年から下がる一方だ。日本が音楽市場の売上において高い順位を保てている現状には限界があるかもしれない。 ▼ デジタル化が進む中、日本がいまだ「CD大国」である理由とは 日本で音楽配信サービスよりフィジカルの売上の方が高い理由としては、文化的要素の側面が強いと考えられる。 「アイドル文化」が一つの例だ。アイドルのCDやアルバム等を買うと、そのアイドルのグッズや写真、握手会の参加券までおまけとして付いてくる事がある。そして、まるでくじ引きのように、グループの中でどのメンバーのグッズがおまけとして当たるか分からなくなっている。こうする事により、好きなメンバーのグッズが当たるまでCDやアルバムを買い続けるファンが増えるのだ。 また、もう一つの例として考えられるのは、日本独自のガラパゴス化である。海外では配信サービスが主流となっている中、CDをレンタルショップ等で借りる習慣が日本には今でも存在する。音楽業界に限らず、集団主義的であると言われる国民性、あるいは物事を変えずに継続させる事への美徳が存在するからか、日本文化は海外文化や世界共通のニーズに影響されにくいと考えられる。 このような理由でデジタル化が他の国に比べて進まないのだと推測される。 ▼ 日本の音楽市場が、世界市場での上位を維持するには 日本の音楽業界の売上を向上させるには、CDやレコードから無理矢理にでも音楽配信サービスへと人々の利用動向を切り替えさせるのでは無く、フィジカルの売上を向上させつつ、音楽配信サービスの利用を推進させる必要があると考えられる。 1つの手段として、日本に浸透している「アイドル文化」と「ヒットチャート」を活用することができるのではないだろうか。 日本の「オリコン(ORICON)」チャートはCDなどのフィジカルの売上だけをもとに集計している一方、アメリカ発祥の音楽チャート「ビルボード」はフィジカルの売上だけではなく、音楽配信サービスでのストリーミング回数やYouTubeでの動画再生回数等、複数の音楽提供サービスの売上を基に集計されている。 オリコンチャート等、日本で主に利用されている音楽チャートでもストリーミング回数を集計方法に加える事ができれば、自分の好きなアイドルグループをヒットチャートの上位に上げる事が目的のアイドルファンなどが、音楽配信サービスをさらに利用するのではないだろうか。 日本の音楽マーケットの現状を尊重しながらも、日本の音楽市場ならではの特徴を活かした市場の活性化をどの様に実現するかが、今後の課題であるだろう。