NCT 127、BLACKPINK など、KPOPアイドルの「ライブを超えるオンラインライブ」とは…
世界で新型コロナウイルスが広がり始めてから1年半以上が経つ今では、エンターテインメントのデジタル化が当たり前になりつつある。
中でも、コンサートや音楽フェスなど、人が密集する空間のエンターテインメントはオンラインにせざるを得ない。
2012年から2019年の間、KPOP業界においての全世界で行われているライブ+グッズ等の売上は合計 934億円に相当する。ライブが主な収入源の一つであるKPOP業界にとって、コロナ禍にあってもライブを実施しない訳にはいかない。さらに、ファンとの交流を大切にする事でも有名なKPOP業界にとって、ライブはアイドルとファンを一体化させるために欠かせない存在である。
このため、多くのKPOPアイドルはオンラインライブを実施しているのだが、オンラインに対して否定的なファンもいるのだ...。
「直接見れないのにお金を払うのはもったいない」
「実際に会えないなら、パフォーマンス動画を見るのと同じではないか」
「オンラインライブでは同じ空間にいる楽しさを味わえないから見る意味がない」
...等といった、オンラインライブは無意味だと感じている人々のコメントをSNSで見かける事がある。
つまり、このような考えを持つファンがいる中でオンラインライブを成功させるには、同じ空間にいなくてもファンがアイドルの存在を身近に感じる事ができる工夫や、オンラインライブならではの魅力をファンに感じさせる必要があるのだ。
▼ NCT 127 が手がけた「ファンとの一体感」
NCT 127 のオンラインライブ、「Beyond The Origin」では、選ばれたファンとアイドルたちが直接会話をする事ができる Q&A セッションを取り入れた。普段のライブではアイドルたちが観客に向かって一方的に話す事が多いが、このオンラインライブの Q&A セッションでは、ファンは コンサート会場にいるNCT 127 のメンバー達と中継でつながり、巨大スクリーンにファンの顔が映し出され、直接メンバー達に質問をしたり、一対一で会話をすることができたのだ。
こうして、普通のライブを超える、「ファンとアイドルの一体感」を目指したのだ。
さらに、このオンラインライブでは、参加したファンしか体験することができない「アイドルと一緒にライブを観る」ということができた。ゲストとして、NCT 127 と同じ事務所の先輩である東方神起(TVXQ)のユンホもファンと同じスクリーンに並んで登場した。ファンは Q&A セッションでユンホとも会話することができ、ライブもユンホと共に観ることができた。
このようにNCT 127 のオンラインライブは、ファンとアイドルが同じ空間にいる普通のライブ以上に距離を縮める事ができ、10万4千人のファンを集め、成功に終わることができた。
▼ BLACKPINKが見せた、オンラインライブならではの魅力とは 28万人のファンを集めたBLACKPINKのオンラインライブ「THE SHOW」も、通常のライブを上回る演出を心がけた事によって成功した。 「THE SHOW」が着目したのはオンラインライブならではの魅力をファンに感じさせる事である。 オンラインコンサートがROSÉ(ロゼ)のソロ活動とちょうど重なった事もあり、オンラインライブを観ているファン限定に新曲が先行公開された。ロゼがソロ曲を披露すると聞き、一足先に新曲を聴くためにライブのチケットを買ったファンも少なくはないだろう。 他にも、YouTube Premiumでオンラインライブが配信されたことも成功した理由の一つであろう。今までのBLACKPINKのワールドツアーで、コンサートが開催されなかった国のファンは、BLACKPINKのコンサートに行きたくても行けなかったのだ。だが、YouTubeのような、世界中の人々に使われているサイトでライブが配信されたことにより、そのようなファンが大勢視聴する事ができた。 さらに、YouTubeにチャット機能が付いているため、他のファンとリアルタイムで会話を楽しみながら視聴することができたのだ。普段のライブでは、携帯電話の使用が一切禁止されている。つまり、他のファンとライブ中に会話をすることは、一緒にライブに行かない限り不可能なのだ。オンラインライブでのチャット機能を使うことによって、世界中のファンと盛り上がることができ、視聴している人々はよりライブを楽しめた。 このような工夫を凝らしたオンラインライブは、ファンのニーズを優先する KPOP業界ならではの戦略であり、業界にさらなる成功をもたらしたと言える。ライブで重要視される「アイドルとファンの一体化」、そしてオンラインライブに対しての否定的な意見を覆す、「オンラインならではの魅力」を意識することが、オンラインライブの成功の鍵を握っているのだろう。 -- 運営:Evening Music Records Inc.