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「もさお。」「WurtS」から見る音楽プロモーションアプリとしてのTikTok

早川 雅( Evening Music Records )

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TikTokは今や最強の音楽プロモーションアプリと言ってもいいのかもしれない。カラオケの急上昇ランキングや音楽配信サービスのダウンロードランキングを見てみても、TikTokで一度は耳にしたことがある曲がずらりと並んでいる。

 

どのようにTikTokを用いれば効果的にアーティストをプロモーションできるのだろうか。今回は2人のアーティストを例にとって考察してみよう。

 

 

1人目のアーティストは「もさお。」である。

 

「もさお。」とは顔出しを一切しない男性シンガーソングライターである。TikTokで発表された「ぎゅっと。」という楽曲は、その女性目線で素直に綴られた歌詞が、多くのユーザーに刺さり、大ヒットを巻き起こした。それがきっかけとなり、現在もインディーズながら多くの注目を浴びる存在となっている。

 

 

アーティスト「WurtS」

 

 

2人目のアーティストは「WurtS」である。

 

彼も、同じく顔出しをしていない男性アーティストである。彼の楽曲は作詞、作曲、デザイン、映像などがすべて本人によって手掛けられている。自主製作MVが用いられている「分かってないよ」という楽曲は、その耳に残るリズムと恋愛のもどかしさを素直に歌う飾らない歌詞が多くの共感を生み、注目を集めた。

 

 

この2人のアーティストに共通すること、それはキャッチーなリズムとユーザーに直接訴えかけるような真っ直ぐな歌詞である。

 

TikTokというアプリの性質上、聞き始めて数秒間でその楽曲の良し悪しが判断されてしまう。そこでユーザーの心を掴むためには、一瞬聴いただけでも耳に残りやすい曲調、または考えずともすぐに理解でき、共感してしまうような歌詞が必要不可欠である。実際、TikTokで注目される楽曲はこの2人のものに限らず、キャッチーなリズムと共感を呼ぶ歌詞を持ち合わせているだろう。

 

ここまではTikTokで流行るためのアーティストや楽曲自体の要因を考察してきた。ここからはTikTokで音楽マーケティングを効率的に進めていく方法を考えたい。この場合の音楽マーケティングとはレーベル、あるいはアーティスト自身がどのようにファンを集め、人気を得るかということである。

 

TikTokにおける効果的な音楽マーケティングの方法、それはインディーズのアーティストの露出を促進することにあると思う。インディーズといっても中小レーベルに所属しているアーティストもあれば完全に個人で活動している場合もあり、様々である。しかし、どちらの場合にもTikTokは人気を集めるうえで強い味方となってくれるだろう。

 

 

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実力勝負が可能な世界

 

 

TikTokにおいてはインディーズやメジャーといったアーティストの立ち位置が取り払われる。アーティストは自分の実力勝負が可能なのである。その理由はTikTokは誰でも簡単に動画制作をし、投稿できること。さらに、YouTubeなどとは違いユーザーが自ら検索せずともその映像がユーザーの目に届くことにある。

 

前者の理由についてはこのインターネット社会においては珍しいことではないかもしれない。しかし、後者はTikTokならではの利点であろう。TikTokはインディーズのアーティストのために用意された花道といってもよいかもしれない。TikTokを使えば誰でも予算的、機会的な制約無しで楽曲を評価してもらうことが可能なのだ。

 

TikTokに対する評価は様々であり、TikTokではやった曲をヒットチャートで目にするのを好ましく思わない人ももちろんいるだろう。しかし、TikTokがあるからこそ様々な制約が解け、自分がほんとに好きだと思えるアーティストに出会えるとしたら、とても良い時代なのではないかと私は思う。

 

 

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早川 雅
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