ポップス聴くならKIRINJI ~「共演NG」の裏で輝く彼らの軌跡~受け継がれるKIRINJIのDNA
今回は、日本のバンドKIRINJIの魅力に迫ります。
最近話題のドラマ、『共演NG』の劇伴をメンバーの堀込高樹氏が手掛けています。KIRINJIは2020年いっぱいで、バンドでの活動を終了し、新しい出発をすることを発表しています。本記事では、このKIRINJIの魅力に迫っていきましょう。
KIRINJIってどんなミュージシャンなの、と問われても、はっきりと回答をするのは難しい。
それは、千変万化のミュージシャンだからです。
彼らの代表的な楽曲、『エイリアンズ』『アルカディア』『Drifter』『グッデイ・グッバイ』など、どの楽曲もポップスを基調にしながら、まったく違うサウンドに仕上がっています。
メロディーがいなくなった隙間に入ってくる管楽器隊の音色、歌声にエフェクトで深みを与えるタイミング等のアレンジは、どの楽曲においても一貫してKIRINJI風ですが、全ての要素が1つになって、楽曲として最終的な仕上がりになると、他のアーティストでは真似できない唯一無二の音楽になります。同じ音楽を2度作らない。これがKIRINJIの音楽の特徴と言えるでしょう。
◆ 進化よりも変革
KIRINJIの音楽は、体に染み渡ってくるような奥深いものです。例えるなら、マッサージを受けた後の、ほんのり温かく気持ち良い様な感じだと思います。
こうした感覚は、角の取れたやさしい歌声が、歌謡曲風の歌い方でテンポや拍子を無視して、自由に遠くまですり減らず伸びていく様に流れるからではないでしょうか。そして、この声が早くもなく遅くもなく、また、焦りもせず遅くもない絶妙な音楽と調和し、誰にも真似できない懐かしくて温かみのある音楽が生まれています。
最近は、クリアな音が好まれているような気がしますが、多くの音響機材はこれまで聞こえ辛かった音域をより鮮明に聞こえるようにしようという意図の元、バージョンアップされていきます。技術革新などの音楽環境の進化に可能性を求めている様な気もします。
しかし、こうしたことでは可能性は広がらないのかも知れません。
音楽を演奏する時は、リズムや和音などの「音楽のきまり」を強く意識することになります。そして、音程が外れることや、リズムが不安定になることにリスナーは嫌悪感を抱く傾向にあります。
しかし、KIRINJIの音楽を聴いていると「音楽のきまり」に従うことは、非常に不自由なのだということを痛感します。
KIRINJIサウンドは、歌謡曲には見られない和音進行を採用した上で、頻繁にコードチェンジを採用していることに加え、メロディーの音域は非常に広い特徴があります。歌謡曲は、古き良き伝統的な音楽に根ざした旋律と和音進行で構成されており、メロディーの音域が、現代のポップスの音域よりも狭く限定されています。
KIRINJIは、従来の歌謡曲には無い特徴を持っている、ポップスの王道を引き継いだミュージシャンとも言えるかも知れません。
KIRINJIの音楽は、従来の楽曲制作におけるルールの枠組みの中で変化を求めるのではなく、新しい枠組みを自ら作り、その枠組みの中でも変化を求めると言う変革を追求しており、そこにリスナーは新しい可能性や魅力を見出すのではないでしょうか。だから、彼らの楽曲は、どれも新しくて新鮮に感じられるのだと思います。
KIRINJIの音楽からは、この様なことまで連想させられます。
◆ 現実と空想のどちらも行き来する、ダイナミックな世界観
そして、KRINJIの楽曲で綴られる歌詞も非常に良く、言葉の言い回しが最高のグルーブを生み出します。グループに似合う言葉はどの様な言葉なのかを、彼らは十分に理解しており、その為、彼らの言葉は不自然には聞こえないのでしょう。
その言葉は、彼らの視点から紡ぎ出されたものであり、世の中をこの様な視点で見ることができるのかという驚きを隠せない創造力があります。ポップス音楽が根っこにあり、各楽器がポップサウンドを奏でるけれども、独自の視点で描写された世界感が意味深長な音楽表現となり、私達の感覚と思考を絶えず楽しませてくれるのです。
どうしてこんな曲を書いたのだろうかと意図を探ってしまうことがありますが、たとえ楽曲表現が曖昧でも不自然では無く、奇を衒う訳でも無いのですが、緩すぎもしないと言う、絶妙な心地良さが彼らの魅力と言えるでしょう。
KIRINJIは、2020年いっぱいでバンドとしての活動が終わります。
然しながら、今後もKIRINJIのDNAは受け継がれ、また大きな花を咲かせることでしょう。
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メディア運営:Evening Music Records株式会社
全米・全英1位を制覇! 英国発、新時代のカリスマバンド『The 1975』の魅力に迫る。
全米・全英1位を制覇! 英国発、新時代のカリスマバンド『The 1975』の魅力に迫る。
今回はイギリスを中心に大活躍しているバンド、「The 1975」(ザ・ナインティーンセヴンティファイヴ)の魅力に迫ります。 「THE 1975」は、イギリスのマンチェスター出身のロックバンドで、4人編成のスタンダードなロックチューンをはじめとし、ポップ・オルタナティブジャズ・オルタナティブR&Bなど、様々な魅力溢れる楽曲を生み出す才能を持っているトップアーティストです。 英国には、The Beatles(ビートルズ)をはじめ、素晴らしいロックバンドが生まれ育っています。そして、マンチェスターは、日本人にも非常にファンの多いOasis(オアシス)が生まれた町でもあります。 「The 1975」が持つ音楽的な才能に加え、この様な他のビッグアーティストと同じ境遇からも、彼らへの注目度は業界だけに止まらず高いです。 ◆ 絶対的フロントマン、マシュー・ヒーリー 「THE1975」の最大の魅力は、フロントマン兼ヴォーカリスト、マシュー・ヒーリが持つ同世代アーティストと比べても群を抜くほどの強力な個性と、バンドの音楽が化学反応を起こし、最高のエンターテインメントを生み出しているところにあります。 フロントマンのマシュー・ヒーリーは、小柄かつ細身ですが、この彼の風貌と音楽が完全にマッチしており、いわば自分たちの身の丈に合った違和感のない、キレのあるパフォーマンスに仕上がっています。 誰かに媚びるのではなく、自分たちの目指す音楽を純粋に追い求めている熱量が伝わってきますよね。 「THE1975」のサウンドで特徴的なのは、音数が非常に多い点です。2拍~4拍、大胆に伸ばす音符はあまり使われない傾向にあります。 多様な楽器を重ねることで、音の層を作り、盛り上がりのメリハリを生み出すアレンジよりも、音と音の隙間を縫う様に、音を敷き詰めていくアレンジが採用されており、ロックバンドと称されていながら、シャープでクールなオルタナティブなサウンドに仕上がっています。Jamiroquai(ジャミロクワイ)の流行再び? 20年周期で繰り返される流行の中で、輝くミュージシャンに迫る…
Jamiroquai(ジャミロクワイ)の流行再び? 20年周期で繰り返される流行の中で、輝くミュージシャンに迫る...
◆ Jamiroquai(ジャミロクワイ)- 90年代のリバイバルトレンドに乗って 近年、かつて流行した音楽やファッションが、若者を中心に再流行している。 このリバイバル現象と称されている世の中の動きは非常に面白く、特に、90年代のカルチャー(音楽とファッション)は、現代のトレンドシーンから見ても個性的かつ魅力的だ。 前回執筆した、Oasisの元ヴォーカリストであるリアムギャラガーのドキュメンタリー映画記事( https://evening-mashup.com/archives/63415 )も、このリバイバル現象に影響され製作されたのだと思われる。 さて、今回は、前回記事のリアム・ギャラガーと同じく、90年代に活躍したミュージシャンであるJamiroquai(ジャミロクワイ)の魅力に迫りたいと思う。 ジャミロクワイは、1992年に英国でデビュー。ジャズ・ファンク・ソウルなど、様々な音楽要素を混ぜ合わせた ”アシッドジャズ” と称される音楽を創作してきたアーティストだ。加えて、音楽制作における試行錯誤だけでなく、地球温暖化や貧困問題など、社会が抱えている大きな問題に対するメッセージをアルバムに込めて世の中に発信してきた一面も併せ持っている。 今回は、そんな彼の代表曲である『 virtual insanity 』から、その魅力に迫っていきたい。映画『リアム・ギャラガー アズ・イット・ワズ』! 彼の真の姿とは
リアム・ギャラガーは、1990年代に誕生したイギリスを代表する世界的ロックバンドoasisの元ボーカリストで、独特な歌唱スタイルから生まれるハスキーな歌声が魅力的なヴォーカリストです。
Oasisは、地元マンチェスターから絶大なる支持をされていて、そのマンチェスターではカリスマバンドですよね。
今年は、彼の映画が公開され、そしてoasis時代の名盤と称賛されるアルバム「Morning Glory」の発売から25周年ということもあり注目を集めています。
今回は、このリアム・ギャラガーの魅力に迫っていきます。
◆ 大胆不敵なロックシンガー
リアム・ギャラガーは、1972年に英国マンチェスターで誕生しました。
彼は、ビートルズのジョン・レノンから多大なる影響を受けており、歌声をジョン・レノン風のハスキーボイスに仕上げています。
また、Oasisが解散した後も、その歌唱スタイルを変えず、英国ロックシーンの最前線で歌い続けています。
リアムは、Oasisの成功によってロックミュージシャンとしての地位と名誉を手に入れましたが、度重なるライブにより歌声を徐々に失っていくと言う苦悩を抱えていました。
デビューした頃は、明るくライトなハスキーボイスを存分に活かし「Wonderwall」などの名曲を生み出しましたが、年齢や度重なるライブなど彼を取り巻く様々な要因により、彼の歌声は徐々に重たくて抜けの悪い濁声へと変わり果ててしまいました。
そう。歴史に名を刻むミュージシャン達は、自身の老いや疲労と戦っています。天才と称されるボブ・ディランやポール・マッカートニーも全盛期と比較すると歌声のパワーは弱まっているとも言えるでしょう。
年齢を重ねれば、筋肉は衰えて発声能力は低下してくることに加え、長時間に及ぶライブでの歌唱を継続すれば、喉にかかる負担は非常に大きくなります。
しかし、リアムは、臆せずOasis解散まで自身のスタンスを貫き歌い続けました。
「自分らしくいればいい」というマジックワードがありますが、若い時の「自分らしさ」とは「自分勝手」と表裏一体のような気がします。
しかし、そんなことは、彼には関係ないのでしょう。
自分らしさを貫くことで、絶対的な存在となり音楽的成功を手にする一方、自分勝手なふるまいで社会を驚かせたりするのが、Oasisの個性であり、そこで才能を開花させたのがリアム・ギャラガーなのでしょう。
ジョン・レノンに似ているからではなくて、この大胆不敵こそが、彼の音楽の魅力の源ではないでしょうか。
◆ 復活に隠れてしまった真実
Oasisは、共にバンドを支えてきたノエル・ギャラガーの脱退によって活動に終止符を打ちます。
その後、しばらくは目立った活動は見られませんでしたが、2017年にソロキャリアをスタートさせ、再び特徴的な仁王立ちスタイルで歌を歌い始めました。
Oasis時代には叶わなかったアンプラグドライブを成功させ、アルバムも好セールスを記録しています。
40代で復活を遂げましたが、この背景には彼自身の強い精神力と大胆不敵さに加えて、根強いファンの存在があります。
ここ数年、ロンドンオリンピックやテロなど彼を取り巻く環境において様々なことが起きていました。
きっと彼はこの渦中の中で、歌を歌うことの意義を見出したのかもしれません。そして、ファンも彼の復活を強く望んでいたのかも知れません。
音楽は、聴いてくれる人がいて初めて演奏をする人が格好良くなれます。聴き手と演奏者の絶え間ないコミュニケーションこそが、音楽の醍醐味と言えるでしょう。
Oasis時代もソロ時代も含めて、リアムの演奏で心が動く瞬間はファンと彼との繋がりにあり、彼が貫き通す「自分らしさ」が、明らかな "独りよがり" ではなく、ファンに生きる力を与えています。
ここに感動とか夢とかいったロマンがあると思います。
復活と言われていますが、まだOasis全盛期程ではありません。
多くのファンの方が、彼らの演奏や楽曲は、まだまだ良くなるという期待を抱いていると思います。
私も熱心なファンとして、今後の彼を応援しています。
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