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グラミー賞受賞ラッパー、タイラー・ザ・クリエイターと”ポップ”との関係について考える
Shunya Kita( EVENING編集部 )
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本記事はニュース記事です
更新日:2023年12月15日
写真の人物は、今年1月に行われた第62回グラミー賞授賞式で最優秀ラップ・アルバム賞を受賞したタイラー・ザ・クリエイターである。
ヒップホップグループ「OFWGKTA(Odd Future)」のリーダーを務める傍ら、ファッションブランド「GOLF WANG」をプロデュースするなど、ラップシーンとカルチャーシーンの垣根を越えたアプローチを続けるタイラーのグラミー受賞は、彼が真の天才であるという事実を確かなものとした。しかし、今回の受賞で注目を集めたのは、彼が授賞式後のインタビューで語ったグラミーへの不満である。
「俺たちはジャンルレスな音楽を作っているのにポップにはなれないのか」
...という彼の発言は、今後のグラミーのノミネート基準を揺るがすこととなるのではないかと考えさせられると同時に、タイラーが目指してきた音楽は、ヒップホップという枠から逸脱したポップスそのものであると世間に知らしめることとなった。
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音楽とファッション、両シーンにおいてポップ路線を強めるタイラー
2011年リリースのアルバム「Goblin」から最新アルバム「Igor」まででの音楽性は、グロテスクとポップが共存する独特の世界観はそのままに、最近では歌唱をメインとした曲が目立つようになり、ポップな側面を強まりを感じる。ミュージックビデオを見比べても、2011年時に公開された「Yonkers」と去年公開の「EARFQUAKE」ではトラック等の雰囲気が大きく異なる。
ファッション面でも同様に、GOLF WANGでプロデュースされる服も変化をみせている。奇抜な配色、スケーターファッション的でヒップホップ色の強い初期と比べ、最近のコレクションの中には淡い色のベストやシャツも登場するなど、よりポップな方向にシフトしているように感じる。
こういった変化からも、タイラー・ザ・クリエイターが持つ”ポップ”に対する強い想いを汲み取ることができる。一見、違和感のように感じてしまうスタイルの変化も、一貫したコンセプトとのズレがない上、革新的な音楽家であると世間に意識させる一要因になっている。これも彼が持つ凄みなのであろう。
タイラーはこれからどのような”ポップ”を世界に提示してくれるのか、注目である。
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