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ONE OK ROCKの楽曲プロモーションでの工夫と戦略とは

EVENING編集部

最終更新日:2024年2月5日

 

 

TAKA(Vo)、TORU(G)、RYOTA(B)、TOMOYA(Dr)4人のメンバーで2005年に結成されたONE OK ROCK。

 

改めて紹介すると、エモやメタルといった要素を含んだハードなロックサウンドと、アグレッシブなパフォーマンス、海外を視野に入れた精力的な活動で若い世代に大人気のバンドです。そんな彼らですが、近年はがらりと音楽性を変えたということでファンの間で話題となっている事はご存知かと思います。

 

たしかに以前の作品はワンオクのもつ力強いロックサウンド、いわゆるロキノン的な楽曲であるのに対し、2018年にリリースされたシングル「chenge」や2019年にリリースされたアルバム、「Eye of the Storm」はロックというよりもデジタルっぽさが目立つような気もします。ちょっとヒップホップやEDMっぽさも感じるようなアレンジですね。

 

多くのアーティストにも付いて回る音楽路線の変更時の問題ですが、ONE OK ROCKの場合、音楽性が変わったといって賛否両論あるにもかかわらず、「Eye of the Storm」は初週売上208,584枚を記録、2019年2月25日付の週間アルバム・セールス・チャート“Billboard JAPAN Top Albums Sales”でも首位を獲得しており、ONE OK ROCKとしての揺るがない人気を裏付けた結果となっています。

 

 

ONE OK ROCKのプロモーション戦略とは

 

しかし、やはり日本での売り上げは前アルバムには及ばず、伸び悩んでいる事実もある様です。

 

実際に、アルバムセールスにおけるONE OK ROCKの売上ランキングを見てみると、2年前の2017年リリースのアルバム「Ambitions」が、初週で232,710枚を売り上げ初登場1位、初動売り上げ20万枚の実績を見ると驚異的な結果となっており、解釈の仕方という面はあるものの、数値だけで見ると今回は既存のファンの中にも受け入れてもらえない層がいたという事が伺えそうです。

 

確かに楽曲の制作方向性やアーティストのブランディングとして、どの様なファン層を獲得するために、どの様な楽曲をリリースし、持ってもらえるイメージ(= アーティストブランド)を構築するかは難しいと事ですが、レコード会社や事務所の腕の見せ所なのかも知れませんね。

 

恐らくONE OK ROCKのグルーブ感やグループとしてのアーティスト性や曲の良さから見ても、十分世界で通用するレベルのものですが、日本国内でヒットする楽曲が、そのまま世界(主に、米国・欧州など)でウケるかと言うと、それは全く別次元の話となるのは明白です。米国のBIllBoardチャートと日本のオリコンチャートを見れば明瞭ですが、米国は高いレベルでの楽曲性やストーリ性のあるアーティストが好まれる事に対して、日本では共に創り上げる形での楽曲やアーティスト像(アイドル像に近い)が好まれる傾向にあるのが、近年のトレンドではないでしょうか。柔らかく言うと、良い意味での若さ(= 未熟な点も含めたアーティストとしての初々しさ)を日本人は求めているのではないでしょうか。

 

そんな状況において、世界でも通用する売り出し方を進めたONE OK ROCKですので、多少なりとも日本のマーケットにおいて離れてしまうファン層がいたのも事実かも知れません。が、世界的な市場から見ると、十分彼らの音楽をより多くの人に届け、感動してもらうと言う目的は達成できていると思うので問題ないところでしょうか。

 

この様に、音楽性を180度近く変えた背景は、世界に向けたプロモーション戦略が理由としてある様です。私的な意見ですが、最近のONE OK ROCKの楽曲は、バンドサウンド重視と言うよりも、Takaを中心としたプロジェクトなのでは...という様な印象を受けますが、最近までの米国を中心として人気を集めているアーティスト、例えば、BeyoncéやJustin Bieber、Drake等のアーティストの楽曲は同様の形態での制作である様にも思いますので、王道なプロモーション戦略としては問題ないのかも知れませんね。

 

 

世界のマーケットを意識したブランディング

 

また、今流行りのポップスを意識した作りは、日本以外での活躍に向けたバンドとしての進化なのかも知れません。

 

それでも、ファンとしては、「残響リフレイン」がリリースされたの様な「ザ・バンド」「ザ・ロック」という感じの、分かりやすいバンド感が無くなった様な気がしてしまい、寂しくなってしまうと言う気持ちも頷けます。

 

日本で流行っているバンドが世界でヒットするには、ロキノン系よりもポップスやEDMを用いた楽曲でやっていくしかないのでしょうか。むしろ海外で流行っている音楽を受け入れられない私たちは遅れているのか…。

 

 

ただ、今回のアルバムは日本版と海外版の二つがリリースされていますが、1曲だけ収録曲が違いました。

 

海外版のほうに入っているUnforgettableという曲は、これまでのロック味を見せているように感じます。

 

ONE OK ROCKは変わってしまったという人も一定数いるかも知れませんが、彼らは従来のRock感を大切に持ち続けているのではないでしょうか。

 

 

最近のONE OK ROCKの作品は、私たち日本人にとって、海外の音楽トレンドを運んできた黒船的存在と言えると思える一方、今後トレンドが来るかも知れない国内ポップミュージックブームの先駆けとなるアルバムとなるかも知れません。

 

 

 

 

音楽業界における醍醐味とは

 

結成当初は、ジャニーズ事務所を退所し、家族関係も上手くいっていなかった逆境の中だったと楽曲中でも語っているTakaですが、恐らく人生を通してかけがえのない仲間と出会え、その歌唱力を武器に世界のリスナーを魅了し続ける。

 

まさに、アーティストとして誰もが思い描くスター街道かと思いますが、その裏にあるファンやリスナーとの微妙なコミュニケーションの難しさ、楽曲の制作方向性を意思決定する大変さ等、一見頭を抱えたくなる様に見えますが、少しのセンスで自分が信じるアーティストを世界に向けて発信し証明し、アーティストを揺るがぬポジションに押し上げてあげられると言う観点では、音楽業界としての一番の楽しみがあるのかも知れません。

 

  

 

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