Quote source: https://awa.fm/
AWAのARTIST PLANは日本人の他のサブスクリプション型サービス利用者を増やすきっかけになるか。
EVENING編集部
最終更新日:2024年2月17日
サイバーエージェントとエイベックスが提供する音楽ストリーミングサービス「AWA」が新プラン「ARTIST プラン」の提供を開始しました。
その金額はなんと270円という破格設定です。また、そのプランについては全てのアーティストの楽曲が聴けるというわけではなく、自分が好きなアーティスト1組だけを選んで聴き放題というプランの様で、新しいサービス提供システムを構築しようとしている姿勢が伺えます。
加えて、自分が選んだアーティストの限定ボイスメッセージ 、ライブ音源の配信、ライブチケット優先先行予約、新曲の先行配信、ライブセットリストや本人がセレクトした特別なプレイリスト、AWAオリジナルグッズのプレゼントキャンペーンなどといった様々な特典も付くとの事。
好きなアーティストばかり聞いている人には非常にコスパの良いプランではないでしょうか。また、このアーティスト個別限定での聴き放題プランは、従来のサブスクリプションサービスにはなかった新しい提案なの様にも思えます。
今回の新プラン設定の裏にある思惑やどの様な影響があるのかを本記事ではお届けします。
AWAの価格競争戦略とは
ICT総研の2019年 定額制音楽配信サービス利用動向に関する調査を見てみると、最も利用されているサービスはAmazonのPrime Music、続いてApple Music、LINE Musicとなっており、国内サービスであるAWAは7位と伸び悩んでいる状況が垣間見えます。
さらに、Prime MusicやLINE Music利用者が多い理由として、そもそもAmazonプライムやLINEの利用率が高いからという点があると推察でき、プラットフォームとしての底力の差が少しずつ現れてきている様な構図となっています。
ただ、そうなるとやはりAWAは他のサービスと連携していない分、新規利用者獲得のために差別化を図る施策が必要であったのではないかと考えられます。その一つの施策として、今回のアーティスト個別での270円聴き放題プランというのは、SpotifyやApple Musicの980円やLINE Musicの500円から見ても破格な料金設定となっており、差別化ポイントとなるのではないかと思えます。
「価格帯で差別化を図る」という今回の新プラン形態はAWAを利用するメリットとなり得る一方で、価格競争に陥ってしまうと企業体力としての際限ない戦いが発生してしまい、母体(= ユーザー数)の大きい企業が最終的に勝つと言う構図が見えてきます。この点では、AWAは多少不利な要素もあると予想されるので今後どの様な展開を図っていくのか...については注目していきたいところです。
私的な意見では、価格競争に陥るとそもそもの音楽価値が最終的に無料になる(他の部分でマネタイズできれば良いですが)ので、100%の賛同はしにくいですが、一つの差別化戦略である事は確かです。
さらに、日本人には特定のアーティストを繰り返し聴き続けるという聴取行動が根付いていると言う見方もあり、日本国内での利用者獲得を目指したプランとしては奏功するかも知れませんね。
出資パートナーのAvex所属アーティストが聴き放題とは
ただ、今回のプランに対応しているのはまだ36組だけということで、随時追加予定とはありますがこれから参加アーティストがどの程度増えるのかという点は気になるところです。
さらに、現在公開されているのはすべてエイベックスのアーティストです。エイベックスが出資してるんだから当たり前といえばそうなのですが、他のレーベルのアーティストが追加されることはあるのでしょうか…。
このプランに魅力を感じていても肝心のアーティストがラインナップされていなければしょうがないですもんね。
SpotifyやApple Musicにはない特徴とは
アメリカの音楽業界団体「RIAA」が発表した2018年のレポートによれば、音楽ストリーミングの売上は全体の75%を占めているのに対し、ICT総研の調べでは日本での有料音楽配信サービス利用者は30%にも達していません。
また、現在、SpotifyやApple Musicなど主流サービスは、インドや南アフリカといった地域を次なる巨大音楽市場として進出を進めていますが、いまだサブスクリプションサービスが浸透していない日本でも、今後さらに利用者が増えることで新たな音楽市場となりうるかも知れません。
今やサブスクリプションサービスは世界的に定番になりつつあり、その波には争う事は難しいと思われるので、AWAが今回世の中に提案した従来にはなかった新料金プランが、日本のサブスクリプションサービス利用者を増やすきっかけになるかも知れません。
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