大坂なおみ選手のツアー大会ボイコットが注目を集める。スポーツと政治、人種問題は混合させてはならないのか?
2020年において特に話題を集めた事項が、人種問題である。
今年、アメリカのミネソタ州にておきた白人警察官による黒人の殺害事件。2014年に発足したBlack Lives Matter運動はこの事件を機に、再び再熱化することとなった。
さらには先日、同じくアメリカにおいて白人警察官による黒人への発泡事件が発生した。アメリカの建国以前から、そして今日までに常にはびこってきた人種差別問題が、特に2020年には問題視させることとなった。
こういった大きな事件が起きてからは、それまでよりもより大衆が人種差別問題に対して関心を抱くようになったのではないか。著名人やインフルエンサーなどが先陣を切って動いたBlack Lives Matter運動は、現代のSNSの発展などの影響もあって、ものすごい勢いで波及していった。
特に最近で言えば、テニス選手の大坂なおみ選手の行動が話題となった。
彼女はツアー大会に参加中で、今月27日には試合の出場を予定していた。しかし最近に起きた白人警察官の発表事件を受けて、それに対しての抗議という意味で試合をボイコットした。
結果的に試合自体が延期となり、大坂なおみ選手も無事試合への出場を果たし勝利を収めた。だが、彼女の今回の行動はあらゆる方面からの意見を寄せている。
◆ 政治をスポーツに持ち込んではいけない?イデオロギー的側面を持つだけに、難しい議論。
今回の大坂なおみ選手の行動は、いわゆるスポーツに政治的要素を持ち込んだとして、批判も一部から上がっている。
一般的に見ればスポーツとは、政治とは独立したアイデンティティを持っているもので、見るものにとっても娯楽的要素を含んでいる。テニス以外にも、過去にはサッカーの場面で、ロンドン五輪の際に韓国選手が竹島のプラカードをもってピッチを走ったことが問題視されるという場面もあった。
確かに見るものにとっては、そういった行為は興ざめし、うんざりしてしまう点もあるかもしれない。ただ今回の大坂なおみ選手の行動自体は、かなりの勇気がいるものであったことは間違いない。
大会自体も彼女の行動を認め、賛同した結果、急遽試合の日程を延期するという行動に出た。特に人種差別問題は、人の生命に直接的に関わる問題で、一人一人の行動力があってこそ解決に向かうものであり、そういった意味では政治的要素とは一線を画しているかもしれない。
音楽面においても、過去には政治的主張を唱える学生団体のsealdsのメンバーがフジロックに出演したことが問題となることもあった。だがフジロック自体は、初期の頃から政治的メッセージを発信するアーティストのブッキングも行ってきたし、あらゆる国のアーティストをブッキングしてきていることから、政治と音楽という組み合わせに関してもある程度の理解があるとも言える。
非常に難しい議論で、人によって感じ方の違う問題である。
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