Home » IFPI

IFPI

世界の音楽市場2024年、成長鈍化が示すストリーミング黄金時代の終わり
0

世界の音楽市場2024年、成長鈍化が示すストリーミング黄金時代の終わり

 | , , ,  | 
2024年、世界の音楽市場は前年比4.8%の成長を記録し、10年連続のプラス成長となった。しかしその一方で、業界全体には明確な“減速感”が漂っている。 これまで右肩上がりで成長を続けてきたストリーミング市場にも、初めて陰りが見え始めた──。

有料ユーザー7億人突破の裏で、ストリーミングは「成熟期」へ

ストリーミングは引き続き世界の音楽収益の主軸であり、2024年には初めて年間収益が200億ドルを超えた。有料サブスクリプションの利用者数は7億5,200万人と、前年比で約10.6%の増加。収益も9.5%増と好調に見える。 だが、成長率に注目すると見えてくるのは“鈍化”の兆候だ。2023年はストリーミング全体で11.5%増だったのに対し、2024年は7.3%増に減速。有料サブスク収益も前年の10.3%増から縮小した。 YouTubeなどを含む広告型ストリーミングに至っては、わずか1.2%増。プラットフォームの浸透が一巡した今、いかにして「次の成長エンジン」を見つけるかが問われている。

物理メディアは縮小傾向、しかしアナログは健在

物理メディアの収益は全体で3.1%減となり、特にCDは6.1%減と大幅に縮小した。 一方、アナログレコードは4.6%のプラス成長を維持しており、18年連続の増加という記録を更新。いまだ根強いファン層が存在することを証明している。 とはいえ、フィジカル売上の市場全体におけるシェアは年々減少しており、グローバル全体ではストリーミングの69%に対して、フィジカルは16.4%にとどまっている。

日本市場はマイナス成長、フィジカル依存が浮き彫りに

世界第2位の市場規模を持つ日本では、2024年に前年比0.2%のマイナス成長を記録。前年の5.4%増から一転してマイナスに転じた背景には、フィジカル依存の構造がある。 日本では収益の45%以上をフィジカルが占めており、グローバルなストリーミング主流の流れから乖離している。 CDの減少傾向と、サブスク収益の成長鈍化が組み合わさることで、市場全体としての足踏みが続いている状況だ。

成長の中心は“これから”の市場へ、ラテンアメリカ・アフリカの台頭

注目すべきは、世界の音楽市場における地域別成長率だ。北米やヨーロッパが数%の伸びにとどまるなか、ラテンアメリカやアフリカ諸地域が軒並み20%以上の成長率を記録している。 ・中東・北アフリカ(MENA):22.8%増 ・サブサハラ・アフリカ:22.6%増 ・ラテンアメリカ:22.5%増 これらの地域ではモバイル端末の普及や通信インフラの改善が進み、ストリーミングの新規ユーザーが急増。低価格のサブスクリプションプランや、ローカルアーティストによる活発な音楽配信が牽引力となっている。

音楽業界はどこへ向かうのか?“成長の鈍化”をチャンスに変えるには

今、音楽業界が突きつけられているのは、「数字は伸びているが、勢いは失いつつある」という現実だ。サブスクという収益モデルが普及しきった今、次に問われるのは恐らく以下のような内容だろう。 ・アーティストの持続可能なマネタイズ手段 ・ファンコミュニティとのエンゲージメント強化 ・ローカル市場に根ざした戦略的展開 特に、日本のような成熟市場では、フィジカルに代わる「熱狂を伴う音楽体験」の再構築が求められているのが実情だ。新たなストリーミング体験、ライブやグッズ、Web3的な取り組みなど、多面的な挑戦がこれからの成長を左右するだろう。 ※ 参照:https://www.ifpi.org/ifpi-amidst-highly-competitive-market-global-recorded-music-revenues-grew-4-8-in-2024/ -- EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/ Web3 音楽ストリーミング:https://w3.evening-mashup.com/