韓国「BIGBANG」の元メンバー、V.I(スンリ)に実刑判決。バーニング・サン事件から学ぶ、望まれるアーティスト像とは…
世界的な人気を誇る韓国グループ「BIGBANG」の元メンバーであるV.I(スンリ)が、8月12日に「バーニング・サン事件」に伴う売春あっせんなど複数の罪状で懲役3年の実刑判決を言い渡された。
同時に、追徴金11億5,690万ウォン(約1億1,000万円)の判決も下された。
この「バーニング・サン事件」は、2018年11月に起きた暴行事件を発端とする一連の事件や疑惑の総称として知られているが、事件当時、人気グループであったBIGBANGのメンバーであるV.I(スンリ)が関与していた事から、芸能界全体を巻き込む形で大きな話題となった。
この事件は、2018年11月24日の早朝、江南区論峴路にあるル・メリディアンソウルの地下にあり、有名なラッパーやDJの公演や豪華なサービスで知られ、芸能人や財界著名人が集っていたクラブ「バーニング・サン」で、男性客がセクハラされていた女性客をかばったことを発端とする暴行事件が起こった事に起因する。
この男性客は、12月14日にインターネット掲示板で事件を告発し、男性がクラブの関係者に集団で暴行された詳細が分かる写真付きで投稿されたのだ。ここから事態は大きく動き、デートレイプドラッグを使った性的暴行や麻薬販売など、バーニング・サンに関する様々な黒い噂や疑惑が浮上し、2019年2〜3月にV.I(スンリ)が海外投資家への売春斡旋やクラブの違法運営、脱税、麻薬、海外賭博などの容疑により事情聴取を受ける事になった。
▼ YGエンターテインメントにも影響広がる
V.I(スンリ)は同事件に伴い、業務上横領や性暴行犯罪の処罰などに関する特例法違反(カメラ等利用撮影)、売春あっせんなどの行為の処罰に関する法律違反、常習賭博、外国為替取引法違反、売春あっせんなどの行為の処罰に関する法律違反(売春)、特殊暴行教唆など…多数の罪状で起訴されており、今回実刑が下される形となった。
また、事件当時2019年3月11日には、V.Iは芸能界からの引退を表明し、同月13日には所属事務所であったYGエンターテインメントもV.Iとの専属契約を解除する事となった。加えて、同事務所所属 iKONのB.Iによる違法薬物使用の疑惑も浮上した事により、更なる騒動が勃発し、同年6月14日にはYGの代表 ヤン・ヒョンソクが代表取締役から退任する事となった。
これらの報道は当時センセーショナルに議論されたが、なぜこの様な事件が起きてしまったのだろうか...。
▼ アーティストの自由と道徳
BIGBANGが作る音楽は、独創的かつ心を打つ何かがある。
それは世界が熱狂した当時の人気から想像できる。彼らの音楽の凄さは、抜群のグルーヴ感を持った楽曲とステージ上で総合的に魅せる演出や、G-DRAGONを筆頭にアーティストが自らプロデュースまで介入する形で実現された芸術性の高さに現れている。また、このクリエイティビティを産んだ文化を形成したのは、彼らの所属事務所であったYGエンターテイメントの功績であったのは事実だろう。
韓国三大芸能事務所の中でも、アーティストの自由な表現を尊重する文化は、音楽史に多大な功績をもたらしたと言える。
しかし、当時の運営の中で「道徳」的な側面での教育は十分だったのだろうかは疑問符が付くかも知れない。アーティストの自由な表現を許容する事の先には、彼ら自身が世の中のレールを踏み外さないようにマネジメントする必要があると言える。
昨今では、NiziUのプロデューサーでもあるJ.Y.Park(パク・ジニョン)*が言及するアーティストに求められる要素としての「ダンス」「ボーカル」「スター性」「人柄」といった、特徴的な評価基準などは有名だが、アーティストにも道徳的な素養が求められている事は世の中の流れだ。
芸術的な評価と、それを世の中に還元する真摯な姿勢。表現者としては、今後大切にしていくべき視点だろう。