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アーティストと本 -尾崎世界観の日常と本音を垣間見る回その1-

Mizuna Koga( Evening Music Records )

※ 音楽クリエイター事務所「BOOOM」所属により、クリエイター同士の楽曲制作機会を提供します。

  

本記事はEVENING連載記事です

本EVENING記事は約3分で読めます。

 

ずなこ。Evening Music Records インターン中の大学2年生。

 

好きなものはたくさんあるけれど、音楽を通して曲を作った人のことを考えることが大好き。音楽の中では、好きとか嫌いとかを通り越して、相手の個性を受け入れることができる気がするから。

 

大学までのながーい道のりを、読書をして過ごします。私の好きな要素をつなぎ合わせて、このような企画が出来上がりました。

 

Mizuna Koga 

 

 

本連載記事では「アーティストと本」をテーマに、アーティストや音楽にまつわる記事をお届けします。楽曲を生み出すアーティストが出版した著作を毎週読み、その感想を書き溜めていくという連載コラムです。

 

Evening Music Records 

 

 

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こんにちは。連載始めます。

 

 

こんにちは。Evening Music Recordsインターン生のずなこです。絶賛大学生中の20歳です。Evening Music Recordsは音楽関連のほっとなニュースを提供している訳ですが、ありがたいことに初の(ゆるゆる)連載企画を開始することになりました。

 

 

連載名は、アーティストと本。音楽アーティストの著作を毎週読んで感想を書き溜めていくというコラムです。考えや趣向を音楽で伝えることのできるアーティストがなぜわざわざ書籍を作るのだろう。そこには音楽では伝えきれなかった何かが潜んでいるはず。そこで著作と楽曲を比較して共通する場所、相違している場所を見つけ、ほんの少し、輪郭だけでもそのアーティストのことを理解した気になろう。そんなことを考えました。

 

 

第一回は、クリープハイプのボーカル尾崎世界観さんを取り上げ、”尾崎世界観の日常と本音を垣間見る回”としました。どうぞお楽しみください。

 

 

 

 

にわかさんいらっしゃいコーナー

 

 

尾崎世界観とは?クリープハイプとは?どんな本書いてるの?そんなハテナマークだらけになっているにわかさんのために、説明を付け足します。

 

-クリープハイプとは?

クリープハイプは日本の4人組ロックバンド。近年では映画「帝一の國」の主題歌を担当するなど、着々と知名度をあげています。生活感に溢れた比喩表現や、男女両方の視点から語られる恋愛観の豊かさが特徴的です。そしてクリープハイプの楽曲の作詞作曲を担当しているのが、フロントマン尾崎世界観さんです。

 

-尾崎世界観とは?

多くの人から言われる「世界観が」という曖昧な評価に疑問を感じたことから、このような名前に。独特な高音ボイスと文学的な言葉を綴るところが彼の秀逸なところ。読書・ヤクルトスワローズが好きだそうですよ。

 

-尾崎世界観、本も書いてるらしいよ。

尾崎世界観さんは、小説・エッセイ本など多くの書籍を出版しています。今回読んだのは、2017年5月25日に出版された日記集「苦汁100%」、それから2016年6月30日に出版された小説「祐介」。祐介は、尾崎世界観さんの本名。デビュー前の尾崎さんが実際に体験してきた出来事や抱いてきた感情を詰め込んだ半自叙伝。主人公はコンビニでアルバイトをする、売れないバンドマン。風俗嬢に恋をしてしまったり、夢を諦めきれず京都に行くもうまくいかず...そんなどうしようもない奴。暴力的な描写や性的な描写が多く、以前読んだ村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」への印象と類似しています。対して、「苦汁100%」は、2016年7月から2017年2月にかけて書かれた尾崎世界観さんの日記集。ミュージシャンではなく、一人の人間としての尾崎さんの様子が見えます。本作品中では、発売後の小説「祐介」に関する文章もしばしば見られました。

 

 

 

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世界観の言葉遊びは、”まぁいいか。”と思わせる魔法だ

 

 

ー視聴者から受けたリアルタイムコメントについてー

“1匹いたら100匹いると言われているゴキブリみたいに、どこかに潜んでいるはずの悪意に気づけないといけない。バンプオブチキン張りに、見えないモノを見ようとして望遠鏡を覗き込まないといけない”

 

-2017年 文藝春秋出版 尾崎世界観 「苦汁100% 」より引用

 

尾崎さんの本を読んでいると、比喩表現をたくさん浴びることになります。尾崎さんはどうして比喩表現を使うのか。クリープハイプの楽曲は大好きで普段からよく聴いているのですが、その時には”本当のことを言いたくないという恥ずかしさと弱さを表現したいのだろう”と解釈していました。上の引用にあるように、ネガティブなことに対して比喩表現を多く使う傾向にあるため、”何かを隠すため”に使っているとてっきり思い込んでいたのです。

 

しかし、2作品を通して多くの比喩を浴びせられているうちに、なぜか少し笑えてきたんです。特に、ゴキブリとバンプオブチキンの例えにはついにやけてしまいました笑 クリープハイプの「二十九、三十」という楽曲の中に、”もしも生まれ変わったならいっそ家電にでもなって 空気清浄機とかなら楽してやっていけそうだな”という表現があるのですが、これも同じ。何かを伝えようとして、表現しようとして失敗して。それなら全てを鵜呑みにする存在になれたら。と思ったりする。それを、家電で表現しているところが、シュールで、なんとも言えなくて。まあ、なんでもいっか笑 と思えてしまう。いいことがなくて、肩を落としてしまう帰り道。そしたら、本当に肩を落として(=無くして)しまうあの曲も大好き。肩落として歩くなんてやめよう、おっかない。と思えました笑尾崎さんが比喩表現を使うのは、そうした気の緩みを作るためなのでしょう。そうであってほしいな。

 

 

なんか、いい。なんか、好きになれない。理由がなくても大丈夫。

 

 

“昼からスタジオでバンドリハ。そしてJ-WAVEへ。やっぱり J-WAVEが好きだ。好きな人が多いし、とにかくなんか良い。行くと元気になる。”

 

-2017年 文藝春秋出版 尾崎世界観 「苦汁100% 」より引用

 

“そんな奴は信用できない。ちゃんと人を好きになったことが無いのだろう。大好きです。愛してる。と。大嫌いだ、死ね。は限りなく似ていると思う。”

 

-2017年 文藝春秋出版 尾崎世界観 「苦汁100% 」より引用

 

尾崎さんは、”なんとなく好き”だとか”なんか好きになれない”そういった感情に素直な方なのでしょう。以前、ライブハウスに行った時、あるおじさんバンドに出会いました。そこで歌われていたのが、「なんかいい」という楽曲。論理的に良さを語ることができたら、それは他人を納得させることができるかもしれないし共感を得られるかもしれない。でも、なんとなくでもいいとおもうんだ。尾崎さんも、ちゃんと「なんかいい」を言える人でした。感情に支配されるタイプだからか、一日ごとにだいぶ心の調子や考えていることが違うのも、尾崎さんの個性で、すごく、いいなあ。(私自身、とても感情の起伏が激しいので、愛着を持ちました。)

 

 

ぴぴー、今回は、ここまで!

 

 

と、こんな感じでこれからもコラムを書きつづけていきます。最後まで読んでくださった方、本当に本当にありがとうございます。まだまだ未熟ではありますが、読み続けてくださったら、嬉しいです。

今回は尾崎世界観さんの(アーティストではなく、一人の人間としての)こころに注目したわけですが、次回はミュージシャンとしての在り方や彼の音楽と著作の共通点を見ることに重点を当てて記事を書くつもりでいます。

 

次回も、よろしくお願いいたします!(ぺこり)。

 

 

 

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Mizuna Koga
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