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インヘイラー、ニューアルバム『Open Wide』が見据える新たな地平
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インヘイラー、ニューアルバム『Open Wide』が見据える新たな地平

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2月7日(金)にアイルランド出身のロックバンド、インヘイラーが3枚目となるニューアルバム『Open Wide』をリリースした。 「U2のボノの息子が率いる4人組バンド」なんて紹介文は不要。今作はまさにそんな印象に与える革命的なアルバムである。

ギターロック・バンドが提示するポップ

これまでノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズやアークティック・モンキーズのツアーに帯同し、その確かな経験値を『It's Won't Always Be Like This』、『Cuts&Bruises』の2枚のアルバムに落とし込んできたインヘイラー。 そんな彼らの今作は「変貌」の一言に尽きる。 今作についてボーカルのイライジャは「過去2作品はツアーに帯同しながら作ってきたんだ。だけど今作はツアーで外に出ながら制作しなくてはならない環境では無かったから、やらなければいけない事のプレッシャーを感じずに制作できた。だからこれまでの アルバムより(Open Wideの方が)インヘイラーの真実に近いと思うよ」と語っている。 今作の『Open Wide』には、グラミー賞を受賞したハリー・スタイルズのソロアルバム『Harry`s House』や、全米6週連続1位を獲得しグラミー賞にも輝いたマイリー・サイラスの名曲「Flowers」などを手掛けた音楽プロデューサー、キッド・ハープーンが制作に参加しており、彼がインヘイラーの変化を押し上げる強力なギアとなっていることは間違いない。 インヘイラーが過去2作品でギターロック・バンドとしてのポップ路線を歩み続けてきたバンドであることは確かだが、リスナーたちが予期していた躍進をたった一枚のアルバムでこれほど急進的に遂げるとは思ってもいなかった。 と言うのも元来のストレートに鳴り響く ギターサウンドは細かく分解され、ギターロック・バンドのグルーヴとポップに抽出されたオーバーラップなサウンドへと様変わりしているからだ。

6年の成長

T•レックスからインスピレーションを受けたという「Your House」は、冒頭15秒のイントロからでは決して想像はできないが、これしかないないというほど100点満点の展開を繰り広げ思わず笑がこぼれてしまうし、サビでエンタリングするゴスペルは素晴らしく心地がよい。 「A Question Of You」のシンディー・ローパーを彷彿とさせるリズミカルな80年代ポップと現代ポップロックを見事に融合させたサウンドは普遍的な高揚感へ導くナンバーであり、「Still Young」が与える飛躍感にはUKロックの流麗さを覚えてしまう。 タイトル 曲でもある「Open Wide」には呆気に取られたリスナーも多いはずだ。 2019年にデビューしたインヘイラー が、6年間でこれほどまでに極上なスペクタルサウンドを成立させてしまうバンドへと成長したことに驚愕するが、この成長がなんら不思議でないことをすぐさま理解するだろう。 シンセやエレクトロといったジャンルを雑多にすることなく華やかにミックスアップしてしまうインヘイラーのポップセンスは確実に証明されており、これこそ彼らが現代ロックシーンを担う若手バンドと言われる所以であるのだ。 「この アルバムで、僕たちは変わらなければいけなかった」とイライジャが語ったようにインヘイラー は間違いなく変わった。彼らが歩み始める新たな地平をワイドに広げたタイトル通りの一枚だ。 -- EVENINGサイト:https://evening-mashup.com/ Web3 音楽ストリーミング:https://w3.evening-mashup.com/