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最近の調査によると、アメリカのミュージシャンは、国内音楽業界の売上全体の10分の1しか得られていないという。音楽業界は、ストリーミング時代に突入し、より複雑化された著作権のシステムが付きまとうという事態に陥っている。そんな中、どの様なビジネスモデルや収益方法がミュージシャンにとって最善なのか、目指すべきなのか考察をお届けする。
創作作品としての楽曲やアルバムの所有権である”著作権”は、音楽業界におけるルールやプロセスを難解にする元凶で、一般のファンが思うよりずっと多くのミュージシャンたちが問題に巻き込まれている。音楽近代化法(MMA)が米国議会で成立間近な一方で、有名ソングライター同士の盗用を巡る争いが巻き起こり、またウォール街は、公開会社としてのスポティファイの収益性の欠如を精査している。米音楽業界のファイナンス・システムに関する基本知識を持っておくことは、将来を見通す上で役立つだろう。
ライブパフォーマンスによる収益性は?
アルバム・セールスが次第に先細り、一度に少額を稼ぐストリーミングが唯一の収入源となる中、ツアー、フェスティバルや1回限りのコンサートなどのライヴ・チケットに、かつてないほどの高値が付いている。
広告宣伝費におけるミュージシャンの関与は?
ポップやロックの全盛期、ミュージシャンたちは特定の企業ブランドと結びつくことを嫌ったものだが、ラップがアメリカで最もポピュラーなジャンルとして浮上すると、状況は変わってきた。
ブランドとのパートナーシップにより、アーティストは自分の純粋なお気に入り(かもしれない)ブランドを支援・宣伝しながら、同時に別の収入源を得ることができるのだ。またミュージシャンが収入を得る別の方法としてYouTubeがある。YouTubeビデオにタグ付けされた広告収入を共有する形だ。Psyの『江南スタイル』は、YouTubeの視聴回数が20億に達し、200万ドル(約2億2000万円)を稼ぎ出したと言われている。YouTubeにおける音楽部門の責任者リオール・コーエンは、2017年に投稿したブログ記事の中で、米国におけるYouTubeの料率は1000ストリームあたり3ドルに達することを明らかにした。
SNSやファッション等での収益性は?
香水、グッズ、アパレル用品など音楽以外の製品の販売は、過去何十年にも渡りアーティストにとって簡単に稼げる戦略だった。しかしデジタル時代のミュージシャンは、コンサート会場に設営する物販テントやウェブサイトに表示する広告など、従来のやり方から発展させた独自のクリエイティブな方法を取ることもできる。
アーティストたちはまた、InstagramやTwitter等のソーシャルメディア以外に作ったコミュニケーションのための特別なチャネルやクラウドファンディングを通じ、オーディエンスから直接収入を得る方法を模索しはじめている。例えば、TV番組『ザ・ヴォイス』のスター、アンジー・ジョンソンはアルバム製作のため、Kickstarterを通じて約3万6000ドル(約400万円)を集めた。多くのグループが、自分の音楽に関連する専用アプリやサブスクリプション・パッケージを提供したり、アーティスト主催のフェスティバル、メール配信、楽曲の限定リリース等の特別プロダクトを販売し始めている。独自路線を歩むピットブルもその一例だ。
本記事では多種の収益源の紹介をしたが、ベースとなるのはやはり各アーティストが持つタレント性が中心となり成立するビジネスモデルであるため、最優先されるのは楽曲自体の魅力やライブパフォーマンスの完成度の高さだろう。その上で、利益関係が複雑化しすぎている現代だが、最善の収益性を担保できる活動を展開する事が、ビジネス的には推奨されるだろう。
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