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Awesome City ClubのPORINソロプロジェクト “Pii” に注目。渋谷WWWでのワンマンライブを経た今後に目が離せない。

EVENING編集部( Evening Music Records )

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今、注目のアーティストがいる。それが "Pii(ピィ)" だ。

 

彼女は、青い髪がトレードマークのアーティストだが、その凛々しい歌う姿を一目見た方であれば、必ず記憶に残ってしまう程のカリスマ性を持っている。

 

現時点では「Awesome City Club の女性ボーカル」と言った方が伝わりやすいかも知れないが、彼女がソロアーティスト活動としてのプロジェクトとして本格展開しているが "Pii(ピィ)" なのだ。本年は、多くの楽曲リリースやアルバムを世の中に届けてきた彼女だが、先日12月8日、渋谷WWWにて初ワンマンライブ『Pii × iiiii 〜庭に集う〜』を成功させたばかりでもあるが、その音楽活動のテーマとしている「シン・カヨウキョク」というコンセプトが素晴らしいセンスを感じさせる。

 

通常、ヒット曲を狙いすぎた印象が残るアーティストは、最初の出だしこそ良いものの、本質的な音楽性や筋の通ったメッセージが感じられないので飽きられるのも早い。はや耳のコアな音楽ファンであれば、尚更、そう言った商業的な音楽には食いつかないものだ。その前提において、Pii が掲げる「シン・カヨウキョク」とは何かを考えてみたい。

 

ノスタルジカルさを感じさせるのが目的であれば、ターゲットとなる年齢層が限られるし、時代の新旧のギャップを活かした音楽制作を行うアーティストは過去にもいたが、Awesome City Club であれだけヒットを飛ばしているアーティストがわざわざ取る戦略でもない様にも感じる。だが、彼女は敢えてその路線を貫いている。これは何故だろうか?

 

本記事では、12月の渋谷WWWで演じられたワンマンライブを見て感じた「シン・カヨウキョク」を歌う Pii の魅力と、そのテーマを掲げる理由について書いていきたい。

 

 

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圧倒的な世界観

 

 

皆さんも、ライブに行ってガッカリする事は良くあるだろう。

 

その気持ちを抱く理由は、自分の中のアーティスト像と、リアルのアーティスト像にギャップがあるからだ。その差分は、ネガティブな方向に生じる程、残念に感じる気持ちが強くなる。

 

 

Pii のライブでは、全くそれが無かった。それもそのはず、1曲目から掴みが素晴らしく、ライブ冒頭に披露された「花明かり」という曲では、最初の一声で圧倒されたのを鮮明に覚えている。Awesome City Club の楽曲でも、彼女の歌声は透き通る様な歌声を武器に、高音域で印象的なメロディラインを届けることで、バンドとしての完成度を高める役目を買っている。ただ、ソロで聴くとその良さがグッと増すのだ。100点どころか、120点級だろう。最初であれだけ引き込む事が出来るアーティストはそういない。筆者は、あれから鬼リピートで聴いている。

 

 

また、楽曲を進める毎に、これが「シン・カヨウキョク」かと気付かされる事になる。

 

楽曲の構成やメロディ自体は聴き馴染みの良いものになっているので、多くの人がきっと心地良く引き込まれる一方、どの楽曲にも新しいアプローチ法が取られているので、いわゆる今らしい曲という新しさも感じられる。しかも、それが自然な感じで成立しているのだ。彼女の歌声が透き通る様な声質である事も手伝い、懐かしさと芸術的な美しさを感じてしまうという言葉が、最もしっくり来ると言えるだろう。

 

 

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Pii の音楽のルーツとは

 

 

渋谷のライブ会場のステージでは、日本庭園とも言える様な美しい装飾が施され、その世界観が描かれていたが、彼女の音楽におけるルーツとは何なのだろうか...?

 

 

それは彼女が大切にしている家族にある様で、過去のインタビューでも以下の様に語っている。

 

 

1曲目は私にしか出せない濃いものにしたかったんですけど、まさに自分の人生を表した曲になりました。親も泣いていましたし、私のご先祖様もきっと喜んでいると思います。曲を書いてもらう時に自分のルーツをお話ししたんですが、私にとってはおじいちゃんがすごく大きな存在で。実家の造園会社を作ったのもおじいちゃんなんですけど、おじいちゃんが亡くなった時、実家の庭に咲いていた紫のお花を枕花として飾ったんです。そういうお話をしている中で「じゃあ紫のお花をモチーフにしたらよさそうだね」ということでカキツバタに辿り着いて。カキツバタの花言葉は“幸せは必ず来る”だったので、そこからイメージを膨らませていきましたね。

 

実家がトラディショナルなのもあって、元々普遍性のあるものが好きなんですよ。生まれや育ちにはどうしても抗えないし、私が一番見つめ直さなきゃいけないのはそこだと感じていたので「自分が表現するとしたら普遍的な音楽がいいな」「フォークや歌謡曲をやりたいな」と最初に思いました。

 

※ 参考記事: https://eyescream.jp/music/124026/

 

 

彼女は、 Pii というプロジェクトでは、自分の人生で色濃く影響を受けたルーツを重要なテーマとして描きたいという想いがあったことで実現できたのだろう。

 

 

2022年は活動の本格展開の年となった彼女だが、2023年はさらなる「シン・カヨウキョク」を見せて欲しい。

 

今、注目のアーティストとして期待している。

 

文:Yuki Matoba

 

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