米津玄師から紐解くビジネスにおける影響力とは...

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昨年から今年にかけてのJ-Pop市場は米津玄師一色だったと言って良さそうだ。

 

もちろん、全てのアーティストには個別のファンがいるし、その全員が米津玄師を好きとは言わないだろうが。そう。彼は、絶対的なファン層の厚さという強みを持っていると思う。

 

どういうことかと言うと、例えば、ゴリゴリのビジュアル系のロックバンドがいるとする。学校のクラスで2~3人はこの手のアーティストにどっぷり浸かっている子がいるはずだが、マス受けする、すなわち、40人のクラスだったとすると、その過半数(51%以上)の21名以上が「大好きです!!!!』と言うかと言うと、アーティストのパワーにもよるだろうが、珍しいと思う。

 

その点、米津玄師が昨年の大晦日に見せた幻想的な世界観と、自力の歌唱力は、クラスの40名の内少なくとも20~25名くらいは良いと判断できるアーティストだと思う。今回の場合は、特例だが米津玄師はライブパフォーマンスが圧倒的にうまい。そう。録音や修正技術が向上してきている昨今では、音源とライブの差がヒトに1人のアーティストとして「良い」と判断させる一つの壁となるケースが多いが。彼の場合はものともしないのだ。

 

事実、大晦日に彼の歌を聴くまで存在すら知らなかった親世代も、聴いた時に良い音楽と判断したご家庭も多いのではないだろうか。

 

 

話を戻すと、米津玄師の創る音楽は幅広い世代に受ける要素を備えており、特定のジャンルの癖の部分(ここは特定の世代には刺さるが、他世代には受け付けない要素)が絶妙にブレンドされていると思う。これは持論だが、マーケティング的には「売れる環境に、売れるものを出す」と言う至極シンプルな構成を地で行く事ができる(本人は絶え間ない努力をされていると思うが、そう見える)のだろう。

 

具体的には、ニコニコ動画全盛期の時代には、「ハチ」の名義でボーカロイドプロデューサーとして多様な動画を発信し続けていた彼だが、ニコニコ動画はある種個人の展覧会の様なもので、その人の世界観がとめどなく表現されている(特に、歌声、ボーカロイド、アニメーションの点)ことに共感を覚える動画視聴者が多かったのだと思う。

 

ニコニコ動画の場合は、動画を見にきている人も面白いもの、独自の世界観を持っている作品、感動を覚える何か、を探しにきているのだからニーズが明確にあり、それにミートする作品を生み出すことができていたのだと推察できる。ただ、これは簡単にやろうと思ってできることではない。(事実、2019年2月現在この手の主流のYouTuberの数は増加傾向だが、ご飯が食べられる人の一握り)

 

また、米津玄師の場合はこれだけでなく、ファン層の拡大、つまり、大衆化できるセンスがあったのも事実だ。これはよくある話だが、一定の強固なファンビジネスを展開できるアーティストはいるが、プロデュースできる(=世間のトレンドや想いを汲み取り良い作品に仕上げる)人は稀なのだ。ゲス極の川谷さんや兵役中(2019年11月に除隊予定)のBIGBANG G-Dragonなど、自分の世界観の表現だけに止まらず、有り余る完成で世の中の想いまで作品で表現してしまう。といった表現の方がクリエイター目線では正しいだろうか。そう。彼らはみんなの欲しいものが分かるのだろう。

 

そして、Lemoに代表される様に、米津玄師の場合はそれが大衆の一致意見として確率された。同曲はドラマ「アンナチュラル」の主題歌として制作されたものだが、文字通り、主役を食ったと言う表現だ正しい様に思う。(勿論、石原さとみの役者としての表現もすごかったが、)米津玄師のLemonのMVが、所属レコード会社によると、日本人で初めて3億回再生されたと言う記録(2019年2月9日時点)も納得できる実績だろう。

 

売れるものには一定の法則があるが、音楽の場合は「感性」「センス」と言うブラックボックス化された箱の中にあるものが、特定の個人の中に凝縮されているケースが多く、その該当する人を天才もしくは本物のアーティストと呼ぶことになる。昨今では、AI(人工知能)などの技術でヒトのエモーショナルな部分も数値化した上で、再現性のある作品を生み出すための分析が可能になりかけているが、現実世界での運用(= 90%程のレベルの人がそれに価値を認め、お金を払う状況)にはまだ時間がかかるだろう。

 

ただ、それだけでは面白くないのが音楽であり、アートであるので、米津玄師の様なストーリー性。つまり、ニコニコ動画から生え抜きの表現者として作品を生み出し続けてきた一般人が、世の中を感動させる表現者(アーティスト)として確率すると言うストーリーが合わさることで、今の彼の地位があるのだろう。

 

 

2019年現在の日本の音楽シーンは、日本語の表現の良さやアニメ文化等、世界には強みを持っているが。こと、実績の面では、洋楽や韓国勢に押され気味であることは、口には出さないがみんなが肌で感じているところだろう。私は米津玄師は世界で戦える日本人アーティストだと思うので、宇多田ヒカルやONE OK EOCKのTaka、MIYAVIなどの様に何か突破口となる作品を生み出して欲しいと思う。

 

確かに英語歌詞はカッコ良いし、歌う様に言葉をリリックに乗せられるため、独特の洋楽の空気感はあるが、日本語にしか表現できない世界観があり、それを持っているのが彼だと思うので。韓国のBIGBANGやBTSが無名の状態から世界を虜にした様に、日本のアーティストでも同様のことは必ずできると思うので、次の表現の舞台は世界であることを期待してしまう。(Evening Music Record: 的場)

 

 

 

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投稿者プロフィール

Yuki
YukiEvening Music Records, CEO and Director of Production Business
執筆者:ユキ(Evening Music Records編集長、Production Manager、デジタル音楽ジャーナリスト)

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